ドラマ「この世にたやすい仕事はない」第5回&6回~原作との違いは?

真野恵里菜さん主演のNHKBSプレミアムドラマ「この世にたやすい仕事はない」の第6回が放送されました。
今回は、第5回と第6回で描かれた「路地を訪ねる仕事」の原作との相違点に注目します。

ドラマ「この世にたやすい仕事はない」は、U-NEXTで各話有料配信中です。

第6回のネタバレと感想は、こちらの記事で書いています。

http://dramaeveryday.com/nhk_sigoto_06/

ドラマ「この世にたやすい仕事はない」原作について


このドラマの原作は、芥川賞作家・津村記久子さんの連作短編小説です。
主人公は、ドラマよりも少し年上の30代半ばの設定です。

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第5回&6回「路地を訪ねる仕事」の原作との違いは?

恋人・純からのプロポーズや、美千留の登場など、原作にはない場面も満載でした。
それでは今回も、ドラマと原作の相違点についてあげてみます。

以下、原作のネタバレになりますのでご注意ください。

【その1】盛永さん

ドラマの前編では、家賃を滞納していたり、時々怖い表情をしてみせたりと、かすみが不安になるほど怪しさ満載でした。後編で、実は美千留の兄で「さびしくない」を監視するために活動していたことがわかります。

原作では、グラフィックデザイナーです。すごくカッコいいポスターを作っています。ひょろひょろして太い縁の眼鏡をかけ、髪を伸ばしていて顎に三日髭を生やした年齢不詳の男性。町の人たちから同情されるほど、いつも独りです。
盛永さんの事情については、事務所が閉鎖された後で正門さんから聞かされます。盛永さんは「さびしくない」に妹と両親を連れていかれ、行く先々でデザインの仕事をしながら「さびしくない」を監視しています。白いワンピースの女性の兄、という直接的な言及は最後までありませんでしたが、それを思わせる場面はありました。

【その2】美千留

ドラマの前編では、かすみの仕事を一緒に手伝ってくれて、仲良くなります。しかし、後編で美千留が「さびしくない」のために町の人々を騙しているとわかり、かすみは彼女を説得しようとしますが、うまくいきませんでした。

原作では、“白いワンピースの女性”としか書かれておらず、名前は出てきません。主人公とも、接することはありません(町で声をかけられたのは、さわやかな若者でした)。
主人公は最初から「さびしくない」を怪しんでいるため、声をかけられても交流会には行きません。

【その3】主人公の仕事

ドラマでは、かすみは盛永さんの事務所に住み込みで働きます。最初は全くポスターを貼らせてもらえず、美千留に力を借りてやっと貼らせてもらえるようになります。その後も、かすみや、かすみが貼った盛永さんのポスターは、町の人に受け入れられた様子はありませんでした。

原作では、主人公は住み込みではありません。盛永さんのポスターも普通に受け入れられています。が、徐々に「さびしくない」とのポスターの貼り争いが激化し、熱くなった主人公は、町の人に景品(ふじこさん おしょうゆ)を渡して「盛永さんのポスター」に貼り替えらせるという強硬手段に出ます。その結果、「さびしくない」のスタッフを怒らせます。

【その4】交流会

ドラマでは、かすみは仲良くなった美千留に誘われ、早い段階で交流会に参加します。そこで、白いセーターを着た男性に仕事の悩みを相談します。

原作では、事務所のシャッターに「孤独に死ね」と落書きされて怒った盛永さんと主人公が、変装して交流会に潜入するのが最初です。

【その5】染谷さん

ドラマでは、盛永さんの監視の仕事を手伝う形で登場します。

原作では、染谷さんは登場しません。

【その6】田所さん

ドラマでは、美千留に夢中になった田所さんが家の権利書を「さびしくない」に提供してしまいます。田所さんの奥さんは事務所の大家さんという設定です。

原作では、主人公は路地を訪ね歩く仕事をする中で田所さんと知り合い、夫が「さびしくない」に傾倒しているという悩みを聞かされます。

【その7】物語の結末

ドラマでは、田所さんの家の権利書を取り戻し、町のポスターを全部剥がしたところで、盛永さんが事務所を閉鎖して町から去っていきます。

原作では、盛永さんは新たに「らくがきはやめよう」というポスターを作り、主人公は町のポスターを貼り替えていきます。さらに、交流会に潜入して手に入れた落書きの証拠や、田所さんの奥さんが撮影した落書きを実行している現場の動画を盛永さんが警察に提出したため、警官が現場検証に来て、「さびしくない」は活動を停止します。
田所さんは夫と別居すると言い、盛永さんは主人公に付箋を残して町から去っていきます。

【その8】「さびしくない」の正体

ドラマでは、町の活性化のために活動している、と美千留が説明していましたが、実際の活動は不明です。

原作では、交流会に出席した人の個人情報はすべてリスト化され、交流会で悩みを吐き出させ、次の段階の交流会(有料)に誘い、そこから更に深い食事会(有料)に呼ぶという仕組みです。最終的には家の中に入りこみ、遺産などを狙うようです。

ひとこと

この回はターニングポイントでした。
原作の主人公は、「さびしくない」と戦ううちに手段を選ばなくなっていきます。でも、田所さんから「こざかしいんだよ」と言われたとき、心の中で「そうだよくこざかしくなったな私。えらいぞ」と、褒め言葉として受け止めるんですよね。

ドラマでも、主人公はこの仕事で強く逞しく成長して、次の仕事へ向かいます。