「犯罪症候群」と原作「誘拐症候群」の相違点【その2】

オトナの土ドラ 犯罪症候群

(C) 東海テレビ/WOWOW

ドラマ「犯罪症候群:Season1」が最終回を迎えました。
復讐心に苦しむ武藤が最後に出した答えは……?
原作とは少し違う、ドラマ版ラストでした。

今回は、第6話~最終話において描かれた、もうひとつの誘拐事件における原作との違いについて考察します。

「犯罪症候群」の原作は?

このドラマの原作は、貫井徳郎さんの小説「失踪症候群」「誘拐症候群」「殺人症候群」の3部作です。

原作では、人事二課の環敬吾をリーダーとする警視庁の影の特殊工作チーム──私立探偵の原田、托鉢僧の武藤、肉体労働者の倉持の活躍が描かれます。

現在放送されているSeason1は「失踪症候群」「誘拐症候群」にあたり、第1話~第3話が「誘拐症候群」、第4話・第5話が「失踪症候群」で、第6話から再び「誘拐症候群」にもどっています。

ドラマの前半で描かれた小口誘拐事件の原作との違いについては、こちら↓で書いています。

オトナの土ドラ 犯罪症候群 「犯罪症候群」と原作「誘拐症候群」の相違点【その1】
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第6話~最終話における原作との違いは?

ほぼ原作通りで進んでいるようですが、細かい部分で相違があります。
以下、原作のネタバレになりますのでご注意ください。

1.高梨道典との出会い

ドラマでは、環のもとを去り調査員に戻った武藤が、高梨と同じティッシュ配りの仕事をしていて、同僚として知り合います。

原作の武藤は、調査員ではなく托鉢僧です。毎日、駅前で托鉢をしているうちに、同じように毎日ティッシュ配りをしている高梨と徐々に言葉を交わすようになり、親しくなります。

2.高梨の素性

ドラマでは、高梨がフォルトの社長の息子だということは、早い段階で明らかになります。

原作では、武藤は高梨がフォルトの社長の息子だということを、誘拐事件が起きるまで知りませんでした。高梨は父親を毛嫌いし、身代金も借りるだけで必ず返すと言い張ります。

3.高梨の妻

ドラマでは、施設で育った女性・美和と結婚し、4~5歳くらいの息子がいます。施設出身という理由で、高梨の父に結婚を認めてもらえず、誘拐事件の後、秘書の桜井に「別れてください」と言われ高梨のもとを去ります。その後、犯罪被害者の会で矢吹響子に話を聞いてもらい、再び高梨のもとに戻ってきます。

原作では、賢淑という名の韓国人女性と結婚していて、武藤と知り合ってから子供が生まれました。韓国人という理由で、高梨の父から産まれた子供ともども嫌悪されます。日本語が上手く話せないため、原作での台詞はほぼありません。

4.身代金の運搬役

ドラマでは、高梨夫婦は武藤にすべてを任せ、「助けてください」と言っています。武藤が犯人逮捕に失敗した後、美和は「元刑事なんですよね?どうして犯人を逃がしたんですか!」と武藤を非難します。

原作では、高梨はそれほど親しい間柄でもない托鉢僧の武藤に対して、身代金の運搬役という危険な役目を頼むことを申し訳なく思い、「まずは自分の身の安全、それから余裕があったら、和樹のことを考えてやってください」と武藤を気遣います。
武藤が犯人逮捕に失敗した後は、ひたすら「何も言わないでください」と言い続けます。

5.犯人捜し

ドラマでは、武藤と鏑木が協力して犯人を追います。武藤はホームレスの男性から犯人(山名)らしき男の様子を聞き、環がその人物の情報を提供します。

原作では、武藤はひとりで犯人を捜します。ホームレスの男性からほかにもティッシュ配りがいたことを聞き、そのティッシュ配りが高梨のことを話した相手が犯人(山名)でした。武藤は公園で犯人たちが誘拐事件の話をしているのを聞き、その場で捕らえます。

6.高梨道治

ドラマでは、自分が稼いだ金を身代金として出すことを惜しみ、密かにサイモ化合物を使って紙幣に<無効>という字を印刷し、犯人が受けとった後、文字が浮かび上がる細工をします。
そのことを武藤に問い詰められると「子供が死ぬとは思わなかった」と言います。後日、秘書の桜井から事実を聞かされた息子の道典によって殺されます。

原作では、犯人が和樹を殺してくれれば息子夫婦を別れさせることができると考え、数時間後に文字を浮かび上がらせることができるロイコ化合物を使って、本物の紙幣に細工を施します。しかし、そのことを突き止めた息子の道典によって、殺されてしまいます。

7.環敬吾

ドラマでは、高梨道治の政治家との癒着の証拠を得るために、誘拐事件の捜査に協力していました。事件が解決した後、再び武藤を裏の仕事に誘います。

原作では、環は小口誘拐の犯人<ジーニアス>を挑発するために、武藤が巻きこまれた誘拐事件を利用します。

8.武藤隆

ドラマでは、鏑木と共に誘拐事件の捜査をし、高梨道治が身代金に細工をしたことを突き止めます。後日、その事実を知った道典が父親を殺して逃亡中だと環から聞かされます。道典の人生を狂わせたのは自分だと悔やみ、環の誘いを受けて裏の仕事を続ける決意をします。

原作では、高梨道治の罪に気づいたのは道典ただひとりでした。武藤は、父親を殺して逃亡中の道典からその事実を聞かされます。
この事件で、初めて武藤は環のやり方に不信感を抱くようになります。

ひとこと

原作の3部作に登場する環チーム:原田・武藤・倉持の3人分の苦しみを背負うことになったドラマ版の武藤さん(玉山鉄二さん)に、お疲れさまでしたと声をかけたい気分です。
そして、環さん(渡部篤郎さん)の存在感は、毎回強烈でした!

本当によく練られた脚本で、原作同様、最後まで楽しませていただきました。
Season2は、さらに苦しい展開になりそうですが、引き続き観賞したいと思います。


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