「宮沢賢治の食卓」第3話感想|恋を彩る花巻の春の景色

連続ドラマW 宮沢賢治の食卓

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WOWOWオリジナルドラマ「宮沢賢治の食卓」第3話が放送されました。

美しい風景と、素晴らしい音楽と、子供のように素直で初々しい恋。
今回は、春という季節もあってか彩り豊かな、心が弾むエピソードでしたね!

女性の皆さんが来ている着物の色が、春の風景に映えてとてもきれいでした。
特に、市川実日子さん演じるヤスの青い着物が、とっても素敵でした。

第3話「恋の鶏南蛮そば」ネタバレ

賢治(鈴木亮平)は、小学校教員の櫻小路ヤス(市川実日子)と出会い、すっかり魅了されてしまいます。

賢治は収穫祭の前に、花巻の人たちに音楽に親しんでもらおうと、花巻高等女学校の音楽教師・藤原嘉藤治(山崎育三郎)の協力を得てレコード・コンサートを開くことを企画します。

大正11年の春、第1回レコード・コンサートが花巻高等女学校の音楽室で開催されます。ベートーヴェンの交響曲「田園」のレコードを聴きながら、賢治の言葉に耳を澄ます町の人たち。

賢治の言葉と音楽に誘われ、花巻の美しい風景の中に身を置くヤス。賢治は「ベートーヴェンはこの曲で、懐かしい故郷への愛をうたっている」と言います。

コンサートからの帰り道、賢治に家まで送ってもらったヤスは、「私がずっと思ってたこと、言葉にしていただけた気がして、胸が震えました」と賢治に伝えます。

翌日から、賢治はヤスの実家のそば屋に毎日通い、昼食に鶏南蛮そばを食べます。嘉藤治に「彼女のこと好きなんだべ?」と言われ、慌てて否定する賢治。嘉藤治は笑って「考えるんじゃない、感じるのよ」と賢治に言います。

賢治はそばの丼の下に、ヤスにあてた小さな手紙をしのばせます。ヤスもまた、翌日、丼の下に手紙をしのばせて賢治に運びます。そうしてふたりは、他愛ない手紙のやりとりを楽しむようになります。

しかし、町で賢治とヤスの噂を聞いた賢治の母・イチ(神野三鈴)は、賢治の妹・トシ(石橋杏奈)に辛いことを思い出させたくないからと、賢治に慎重になるよう言います。トシは以前、女学校のバイオリン教師と噂になったことがあり、傷ついた過去がありました。

賢治はヤスの店に通うのをやめます。賢治の態度が変わったことから、不安になるヤスでしたが、「大丈夫ですから」と賢治の前で気丈に振る舞います。

ヤスのことを忘れようとわざと明るく振る舞う賢治でしたが、勘助(犬飼直紀)たち生徒も、妹のトシも、賢治の様子がいつもと違うことに気づいていました。

そんな時、賢治が勤める稗貫農学校の校長が賢治の家を訪ねてきます。盛岡にいる校長の教え子がレコード・コンサートに興味を示し、ぜひ観賞したいと言っている、と校長は言います。喜んで引き受ける賢治。

第2回レコード・コンサートが開催され、イチやトシたち賢治の家族もやってきます。しかし、盛岡から来る校長の教え子が遠藤先生だと知って、困惑する賢治。遠藤先生は、トシがかつて噂になったというバイオリン教師でした。

なんとかトシと遠藤を会わせないようにしようとする賢治ですが、遠藤が妻を連れてやってきてしまいます。「コンサートは中止します」と言うものの、校長や遠藤の前でその理由を話すことができません。

「どうしてもできないんです」と、廊下で土下座して謝罪する賢治を見て、遠藤は「音楽をわかりやすい言葉で表現するというあなたの発想は斬新で、私は非常に感銘を受けました。そんな聡明な方がここまでしてらっしゃる。おそらく何か切実な事情があるんでしょう」と言います。

遠藤が帰りかけたとき、トシが廊下に出てきました。遠藤を見て驚くトシ。遠藤は、賢治がトシの兄・宮沢賢治だということを知って納得します。お互いに笑顔で挨拶をかわす遠藤とトシ。

コンサートは延期になりました。
その夜、トシは賢治に「あの頃、世界の全部が輝いて見えたんです。あんな幸せな気持ち、恋をしてなかったら知らなかった。恋をしてよかった、今は心からそう思ってます」と嬉しそうに話します。

ふたたびヤスの実家のそば屋を訪ね、鶏南蛮そばを食べる賢治。帰り際、賢治はヤスを土曜日のレコード・コンサートに誘います。

土曜日、ヤスが音楽室にやってきます。ドビュッシーの「月の光」のレコードをかけ、賢治はある女性に恋をする男の心情を語ります。「彼は知りませんでした。月の明かりに照らされて、この世界が、こんなにも輝いていることを」

賢治の思いに気づき、戸惑いつつも嬉しそうな様子を見せるヤス。

その夜、トシは激しく咳き込み、血を吐いてしまいます。

原作では?鶏南蛮そばとベートーヴェンの「田園」が登場するのは、第1話です。物語の内容はある生徒との別れを描いたもので、ドラマの内容とは違っています。
原作でのヤスとの出会いは、レコード・コンサートの場ということになっています。

第3話「恋の鶏南蛮そば」感想

賢治とヤスの恋。
たどたどしいけれど、まっすぐに自分の気持ちを伝えるふたり。
ふたりとも、素直で初々しくて、とても可愛かったです。

この時代は、恋愛をするのも大変だったんですね。
田舎というのもあるかもしれませんが、誰かを好きになるだけで噂になったり。
結婚前の男女が自由にお付き合いすること自体、まだまだ、抵抗があった世の中なのでしょう……。

今回、お気に入りのシーンはたくさんありますが、その中のひとつ。
ベートーヴェンの「田園」を、目を閉じて聴いている賢治とヤスのシーン。
ふたりの背景に、色鮮やかに芽吹いた春の林の風景が広がっていました。
これは、花巻の春の景色ですよね。

賢治はそのあと、「ベートーヴェンはこの曲で、懐かしい故郷への愛をうたっている」と言います。ヤスもまた、賢治と同じ思いだったことを明かします。

そういえば私も、子供の頃に初めてこの曲を聴いたとき、家の近所の田んぼの風景を思い描いていたことを思い出しました。

今の私は、ベートーヴェンの故郷がドイツだということを知っているし、「田園」は田んぼではなく「田舎」という意味合いだということも知っているので、この曲を聴いても日本の田んぼを想像することはなくなりましたが……。

当時の花巻の人たちも、子供のように透明な心でベートーヴェンの音楽を感じることができたのかも、と思うシーンでした。


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