「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」最終回|本当にこれでいいのか考えさせられる

ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」

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どうも、夏蜜柑です。
「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」最終回(第10話)。

予想したとおりでしたね……。

柊先生が郡司に語った経緯の中にも、特に新しい情報はありませんでした。
さくらの告白も含め、冒頭の15分ですべての真相が明かされ、あとは柊先生の一人舞台。

菅田将暉さんの演技には圧倒されましたし、彼がネット住民(=視聴者)に向けて放ったメッセージは強烈でしたが、「本当にこれでいいのか?」と考えさせられる最終回でした。

最終話のあらすじ

  • 一颯(菅田将暉)は銃弾を受けるが、防弾ベストを着用していたため無事だった。一颯は翌朝8時にマインドボイスのライブ中継ですべての真相を話すと語る。そして郡司(椎名桔平)になぜ自分がこの事件を起こしたのか、その経緯を告白する。
  • 文香(土村芳)がフェイク動画によって武智(田辺誠一)に陥れられたことを知り、武智の罪を暴くために魁皇高校の教師になったこと。澪奈(上白石萌音)が文香と同じ目に遭っていることを知っていたにも関わらず、彼女を助けることができなかったこと。一颯にとってこの計画は復讐ではなく、救済だった。
  • さくら(永野芽郁)は澪奈が自殺した当日、澪奈とビルの屋上で会っていたことを教室で告白する。ネットでの誹謗中傷により幻聴が聞こえるようになっていた澪奈は、謝罪するさくらの前で飛び降りようとした。さくらは澪奈を助けようとしたが、「楽にさせて」という澪奈の言葉を聞いて手を離してしまったと言う。
  • 翌朝8時。一颯は屋上でライブ中継を始める。さくらたち3年A組の生徒は、一颯が自殺するのではないかと疑い、がれきで遮断された廊下を開通させて屋上へ向かおうとする。郡司もがれきの反対側から協力する。
  • 一颯は防犯カメラに映っていた自分と澪奈の動画がフェイク動画であることをバラし、情報に流されて個人攻撃を繰り返すネットの住民たちに向けて、「お前らネットの、何千何万という悪意にまみれたナイフに刺されて景山澪奈の心が殺されたんだ」と訴える。
  • ライブ中継が終了し、屋上から飛び降りようとする一颯。さくらは落ちる寸前に一颯の腕をとらえ、駆けつけた3年A組の生徒たちによって一颯は助けられる。さくらは澪奈が飛び降りたときも、本当は助けようとしたことを思い出す。
  • 一颯が自殺しようとしたのは、さくらにそのことを気づかせるためだった。一颯は逮捕され、警察に連行される。校庭では、武智が文香に謝罪する。
  • 一颯はその後1年間の闘病生活の末、この世を去った。3回忌に集まった3年A組の生徒たちは当時を振り返りながら、校舎をあとにする。教室にはさくらがひとり残り、「あの10日間は、私にとって青春でした」と心の中で一颯に語りかける。
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最終話の感想

ストーリーに組み込まれた「秘密」や「謎」を小出しにして、最後まで視聴者の興味を引きつける構成はよくできていたと思います。

毎回「今度は何が起きるんだろう?」という好奇心もあり、それなりに面白く見ていました。

柊先生の長くて熱い、ともすれば恥ずかしいお説教も、菅田将暉さんの演技力のおかげで見応えのあるシーンになっていましたし、生徒役の中にも今後の活躍を期待させる役者さんがたくさんいて、彼らをひとつのドラマの中で見ることができたのはよかったと思います。

「悪意にまみれたナイフで汚れなき弱者を傷つけるな」

初回から最終回まで、それだけを繰り返し訴え続けたドラマでしたね。

「生徒のため」という動機

しかし、柊先生の動機が明らかになった今、やはりその言動には疑問を抱いてしまいます。

生徒を人質に取り、恫喝し、10日間も監禁し、校舎を爆破し、フェイク動画を使って武智を陥れ、何も知らない人々(生徒や、生徒の親、教師、警察、その他諸々)の心を弄び、振り回したわけです。

監禁されて恐怖にさらされた生徒はもちろんですが、生徒以外の人たちの中にも、今回の事件で傷ついた人はたくさんいただろうと想像します。

それでもいいと、柊先生は思ったのでしょう。

「生徒のため」だから。
誰かを傷つけても、これは「やらなければならないこと」だから。

本当に、そうでしょうか……?

暴力で解決する危うさ

極端に言うと、柊先生がとった行動は、「現実世界の暴力<ネット社会の悪意」のように捉えることもできるわけです。

生徒を正しい道に導くためには、多少の暴力行為はやむをえない。
間違った輩に罪を気づかせるためには、何をしてもいい。

そんなふうにも思えませんか。

おそらく、制作側はそれをも含めての問題提起だったのだと思います。だけど最終回のメッセージをまっすぐ視聴者に届けるためには、柊先生が悩んでいてはダメだった。だからああいうキャラクターになった。

ならばせめて生徒のひとりかふたり、柊先生のやり方に最後まで異議を唱える子がいてもよかったのではないか、と思います。

「右へならえ」に警鐘を鳴らすなら、もう一歩踏み込んで、生徒たちに柊先生の正義について考えさせるシーンを用意してもよかったのでは?

一致団結をよしとする学園ドラマ

わたしはリアルタイムで金八先生を見ていた世代ですが、その当時から、「なぜ3年B組の生徒は、みんながみんな金八先生を好きになれるんだろう」と思っていました。

いや、もちろんドラマですから、そういうもんだというのはわかるんですけどね。
そうしないと感動的じゃないし、最終回で号泣できませんから。

でもこれだけいろんな生徒がいるのだから、ひとりくらい、「金八のことは最後まで好きになれなかったな」っていう生徒がいてもおかしくないと思うんですよね。

あれから何十年も経って、多様性の許容が求められる時代になったのに、未だに「一致団結をよしとする学園ドラマ」が多いことに辟易しています。

もうそろそろ、最終回に一致団結しない学園ドラマを作ってもよいのではないでしょうか。

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