韓国ドラマ「トレイン」(全16話)についてまとめました。
パラレルワールドを舞台に繰り広げられるサスペンスラブストーリー。ある瞬間の選択で世界が2つに分かれ、運命が大きく変わってしまう。2つの世界にまたがる殺人事件の謎を解き明かすべく、主人公が奔走する物語。
主演は「親愛なる判事様」「サイコパス・ダイアリー」のユン・シユン。A世界では熱血刑事、B世界では悪事に手を染めるエリート刑事と、まったく異なる人格を見事に演じています(本当に別人に見える!)。
パラレルワールド、バタフライ・エフェクト、ミステリー、シリアスで切ないラブストーリー…と、私の好きな要素がまるっと詰め込まれた至福のドラマでした!
Contents
作品概要
- 放送局:BS-TBS
- 放送時間:2022年3月22日(火)から毎週月~金曜7:00~【全16話】
- 製作国:韓国(2020年)
- 原題:트레인
- 脚本:パク・ガヨン
- 演出:リュ・スンジン/イ・スンフン
あらすじ
ドウォンは愛する人の死の背後にある真実を明らかにしようとしている。その中の平行世界の存在を認識して、二つの世界を行き来するようになる。それで彼の愛する人が一つの世界では亡くなったが、また一つの世界では生きていることを分かる。彼は一つの世界では殺人犯を追い詰める一方、また別の世界では彼女を守ろうとする。しかし、ドウォンはこれが自分一人でできることではないと認める。
BS-TBS公式サイトより
予告動画
視聴方法(動画配信)
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登場人物(キャスト)
A世界
ソ・ドウォン(ユン・シユン)
ムギョン警察署強行犯係3チームのチーム長。12年前に父ソ・ジェチョルをひき逃げ事故で亡くす。遺品から凶器のネックレスが見つかり、ソギョンの父親を殺した犯人が父親だと思い込む。償いのため、真実を隠したままソギョンを見守ってきたが、ある事件の捜査でソギョンに真実を打ち明ける。
ソギョンの死後、彼女を殺した犯人が12年前の事件の真犯人だと気づくが、捜査の途中で謎の列車に遭遇し、B世界に移動する。
ハン・ソギョン(キョン・スジン)
検事。12年前の殺人事件で父を失い、真犯人を捜し続けてきた。家族のように見守ってくれたドウォンに想いを寄せるが、彼が父を殺した犯人の息子だと知って動揺する。ムギョン駅で見つかった遺体を調べるうちにドウォンの父親が無罪だと気づき、真相を追うが、その捜査の中で殺されてしまう。
イ・ジョンミン(シン・ソユル)
科学捜査班の鑑識要員。ドウォンの幼馴染で、密かに彼を想っている。連続殺人事件の捜査中にドウォンとソギョンの関係を知り、心を痛める。
オ・ミスク(イ・ハンナ)
刑事課長。ドウォンの上司。12年前の殺人事件の担当刑事で、ドウォンとソギョンを家族のように見守る。ドウォンが子供の頃から苦労していることを知っており、彼を守るために父親の犯行を隠蔽する。
ウ・ジェヒョク(チョ・ワンギ)
ドウォンの後輩刑事。無愛想だがドウォンを慕っている。
キム・ジヌ(キム・ドンヨン)
ドウォンのチームの最年少刑事。ドウォンに憧れて警察官になった。
チョ・ヨンラン(ユン・ボギン)
ソギョンの継母で、ソンウクの実母。美容院を経営している。ソギョンの父が亡くなった後、保険金を手に入れた。
イ・ソンウク(チャヨプ)
ヨンランの息子。ソギョンの異母兄。12年前にソギョンを襲おうとしてドウォンに痛めつけられた。その後、交通事故に遭い、知的障害を負う。12年前の事件の秘密を握っている。
ソ・ジェチョル(ナム・ムンチョル)
ドウォンの亡父。アルコール依存症。12年前にひき逃げ事故で死亡する。当日、ソギョンの父ハン・ギュテの家を訪れており、犯人が盗んだと思われるネックレスを持っていた。
ハン・ギュテ(キム・ジンソ)
ソギョンの亡父。12年前の殺人事件の被害者。
B世界
ソ・ドウォン(ユン・シユン)
ムギョン署の刑事。警察大学出身のエリートだが、殺人犯の息子という烙印を押され、薬物や汚職に手を染めるようになった。イ・ジンソン殺害容疑で警察に追われ、逃亡する中でA世界に移動してしまう。
ハン・ソギョン(キョン・スジン)
イルソン署の刑事。感情を表に出さず、淡々と任務を遂行する。他人と関わらず孤立していることから“ソシオパス”と噂されている。12年前に父を殺した犯人の息子であるドウォンを憎み、彼を監視するためムギョン署に異動する。
イ・ジョンミン(シン・ソユル)
科学捜査班の鑑識要員。かつてドウォンと交際していたが、堕落していく彼に失望して別れた。ジンソンが殺された日、ドウォンから「俺は無実だ」という電話を受けている。
ウ・ジェヒョク(チョ・ワンギ)
ドウォンのチームの刑事。ドウォンの下で働くことに嫌気がさし、異動申請を出すも却下される。退職を決意するが、A世界から来たドウォンに留保される。
カン・ジュニョン(ペク・ジェウ)
ドウォンのチームの最年少刑事。ドウォンが急に変わったので不思議がる。
オ・ミスク(イ・ハンナ)
刑事課長。ドウォンの上司。12年前、ドウォンの父ソ・ジェチョルを殺人犯として逮捕した。
イ・ジンソン(チャン・ヘソン)
麻薬ブローカー。ドウォンが殺人容疑をかけられている事件の被害者。殺される直前、イルソン駅で遺体の入ったキャリーバッグを目撃していた。
キム・ジヌ(キム・ドンヨン)
チョン・ギョンヒ失踪事件の容疑者。4年前に窃盗罪でドウォンに逮捕され、彼を憎んでいる。
チョ・ヨンラン(ユン・ボギン)
ソギョンの継母で、ソンウクの実母。〈コンヒョン開発〉の代表。ソギョンの父の死亡保険金を手に入れ、不動産投資で成功した。
イ・ソンウク(チャヨプ)
ヨンランの息子。ソギョンの異母兄。母の金で贅沢三昧の暮らしをしている。12年前の事件の秘密を握っている。
ソ・ジェチョル(ナム・ムンチョル)
ドウォンの父。アルコール依存症。12年前にソギョンの父ハン・ギュテを殺害した容疑で逮捕された。事件当日のことは酔っていて記憶がない。10年の刑期を終えて出所し、ドウォンに会いに来る。
ソク・ミンジュン(チェ・スンユン)
精神科医。警察官のカウンセリングをしている。トラウマを抱えるソギョンの担当医でもある。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
2008年4月8日。高校生のソギョンとドウォンは同じ日に父親を亡くす。ソギョンの父ハン・ギュテは自宅で何者かに殺害され、「ムギョン駅住宅殺人」として報道される。ドウォンの父ソ・ジェチョルは事件当日、修理工としてハン家を訪れていた。ドウォンは父の遺品の中から凶器のネックレスを見つけ、愕然とする。
12年後。ドウォンは刑事に、ソギョンは検事になり、12年前の事件を担当した刑事オ・ミスクは、2人を家族のように見守り続けていた。ドウォンに想いを寄せるソギョンは3年前に告白していたが、ドウォンはその直後に家を出て行き、彼女を遠ざけていた。
ある日、ドウォンは5年前に廃駅になったムギョン駅で、白骨化した複数の遺体を見つける。ソギョンは見つかった4体の遺体がいずれも頭蓋骨を骨折し、殺害後も攻撃されていることから、12年前の事件と同一犯ではないかと疑い始める。
ドウォンは現場にいた怪しい男がソギョンの異母兄イ・ソンウクだと気づき、イ家を訪れる。12年前、ドウォンはソギョンを襲おうとしたソンウクを痛めつけたが、彼はその後、交通事故に遭って知能障害を負っていた。
遺体が発見された場所の写真をソンウクに見せると、彼は「危険、鏡、信号、停止、北京楼」という言葉を繰り返す。ドウォンは、それらの言葉を示す物が現場に揃っていることに気付く。
ウォンはムギョン駅へ行き、ソンウクが繰り返しつぶやいていた「危険」「鏡」「信号」「停止」が遺体の埋められた場所を示していると確信する。ソンウクに容疑がかかっていると知ったソギョンは、ドウォンを追ってムギョン駅へ行き、ソンウクが父を殺した犯人なのかとドウォンを問いただす。
ドウォンは12年前の犯人とは別人だと断言し、5人目の遺体が埋まっていると思われる「北京楼」を手分けして探すことに。ソギョンは駅の構内に「北京楼」のチラシが貼られているのを見つけ、倉庫に隠されていた5人目の遺体を発見する。
そこへソンウクが現れ、ソギョンを殺そうとする。ドウォンが駆けつけてソギョンを助けるが、彼女はソンウクに銃口を向け、父を殺した理由を聞き出そうとする。ソギョンを止めるため、ドウォンは自分の父が犯人だと打ち明ける。
ソギョンはミスクの家を訪ね、真実を聞き出す。ミスクは12年前にドウォンから凶器のネックレスを渡されていたが、幼い頃から苦労している彼を“殺人犯の息子”にしないため、真相を闇に葬ったことを明かす。家族同然の2人に裏切られたソギョンは、悲嘆に暮れる。
ドウォンはソンウクを尋問するが、自白を得ることができない。そこへソンウクの母ヨンランが出頭し、遺体を見つけたのは自分だと証言する。
3年前、線路脇にバッグが捨てられていたので中身を見たところ、遺体が入っていたという。自分は遺体が身につけていたアクセサリーを盗んだだけで、ほかにも遺体があったことや、息子がそれらを埋めていたことは知らなかったと話すヨンラン。
ドウォンは犯人がキャリーバッグに遺体を入れて運んだ理由について考え、列車に思い当たる。ムギョン駅で列車の幻覚を見たドウォンは、薬の副作用を疑う。
ソギョンは遺体が身につけていたアクセサリーが12年前に盗まれたものだと気づき、真犯人は別にいるのではないかと疑い始めるが、ドウォンに否定される。自分に対して愛はなかったかと尋ねるソギョンに、ドウォンは罪悪感に苛まれて地獄の日々だったと語る。
ムギョン駅を調べていたソギョンの前に、来るはずのない列車が停まる。列車の中から投げ捨てられたキャリーバッグを確認しようとしたソギョンは、列車に乗っていた人物に撃たれる。
その頃、警察署には5人目の被害者イ・ジヨンが元気な姿で現れる。死んだはずのジヨンを見て混乱するドウォン。連絡を受けてムギョン駅へ向かったドウォンは、ソギョンの遺体を見つけて慟哭する。
ソギョンは死ぬ直前、ドウォンの留守電に最後のメッセージを残していた。ソギョンを殺した犯人が12年前の事件の真犯人であり、連続殺人犯だと知ったドウォンは、犯人を捕まえるため捜査にのめり込む。
6人目の遺体が入っていたキャリーバッグから、麻薬ブローカーのイ・ジンソンの指紋が検出される。だがジンソンにはアリバイがあり、指は切断されていた。
さらに、バッグにはムギョン教会のイベントを告知するチラシが入っていたが、教会は5年前に引っ越して名称を変更しており、チラシに載っている牧師は3年前に病死していることが判明する。
ありえないことの連続に混乱し、動揺するドウォンたち。ドウォンはどこからか犯人を乗せた列車が現れ、ソギョンを撃ったのではという推測をジョンミンに話す。ドウォンを心配したジョンミンは、刑事課長のミスクに相談する。
ドウォンの行き過ぎた捜査を問題視したミスクは、彼が服用している薬を見つけ、停職を言い渡す。
その頃、もうひとつの世界では、イ・ジンソン殺害の容疑をかけられたドウォンが警察に追われていた。ドウォンはムギョン駅から列車に乗り、追ってきた刑事を殴って逃亡する。
ムギョン駅へ向かったドウォンは、ソギョンが死んでいた場所で自殺を図ろうとする。そこへ一台の列車が滑り込んでくる。列車の中にソギョンの姿を見たドウォンは、走る列車に飛び乗ってソギョンを探すが、探し当てた女性は別人だった。
なぜか列車の中で刑事に銃を向けられ、戸惑うドウォン。乗客に紛れて駅に降りると、そこはあるはずのないムギョン駅だった。さらに移転したムギョン教会も存在し、病死したはずの牧師から例のチラシを渡される。今までいた世界とは違う“B世界”では、死んだはずのソギョンも生きており、ドウォンに銃を向ける。
ソギョンに逮捕され署に連行されたドウォンは、自分がソ警監と呼ばれ、麻薬ブローカーのイ・ジンソン殺害容疑をかけられていることを知る。B世界のドウォンは、ジンソンから麻薬を受け取る代わりに捜査情報を渡していたという。
ドウォンに自白させようとするソギョンだったが、薬物反応は陰性で銃の線条痕も一致しなかったことから、仕方なく彼を釈放する。ドウォンはソギョンが生きているこの世界に留まることを決め、まずはB世界の自分について調べ始める。
翌日ムギョン署に出勤したドウォンは、同僚たちが自分の悪口を言っているのを聞く。B世界のドウォンは麻薬だけでなく汚職にも手を染めていた。さらに12年前の殺人事件で父親のソ・ジェチョルが罪を被っていることも判明。ドウォンは“殺人犯の息子”として罵られてきたのだった。
幼なじみのジョンミンと会ったドウォンは、B世界の自分が事件の日にジョンミンに電話し、「俺は無実だ」と伝えていたことを知る。ジョンミンは殺害現場であるイ・ジンソンの部屋で髪飾りを見つけ、ジンソンには恋人がいるはずだとドウォンに教える。
A世界でジンソンの恋人パク・ミンギョンを見つけ出していたドウォンは、その髪飾りが彼女のものだと思い出し、ミンギョンの家を訪ねる。
ドウォンがミンギョンを訪ねると、彼女は別の男性と結婚し、幸せに暮らしていた。ソギョンもまた、事件当日に彼女がジンソンに電話していた証拠を掴んでやってくる。
2人に問い詰められたミンギョンは、ジンソンとの関係を認め、事件当日に別れを切り出すために電話したことを話す。その電話の最中に、何者かがジンソンの家を訪ねてきたという。
さらに、ジンソンが「イルソン駅で死体を見た」と語っていたことも判明。ドウォンは彼がイルソン駅でムギョン教会のチラシを受け取り、構内に置き捨てられていたキャリーバッグのポケットにチラシを入れ、遺体を目撃したのではないかと推測。ソギョン同様、ジンソンも遺体を見たために殺されたのだ。
B世界の自分の足取りを追い始めるドウォンの前に、父ジェチョルが現れる。元の世界ではひき逃げ事故で亡くなったジェチョルだが、B世界ではドウォンの行動がわずかに違ったことで、事故は起こらず、ジェチョルは生き延びていた。
12年前の真実を教えてほしいというドウォンに、ジェチョルは自分も思い出せないのだと打ち明ける。課長のミスクに呼び出されたドウォンは、B世界の自分もまたジェチョルの無実を信じ、真相を追っていたことを知る。
ドウォンは雨の日の夜9時35分にムギョン駅に到着する列車8210号が、A世界とB世界を繋ぐ通路だと気付く。だがドウォンが乗った8210号の列車は、老朽化のため車両基地に収容されていた。その列車にB世界の自分が乗っていたことを知ったドウォンは、彼が自分と入れ替わりにA世界へ行ったことを知る。
ドウォンは収容されている8210号の列車内で、犯人と思われる人物からの電話を受ける。その人物は「この世には複数の世界が存在する」と言い、8210号の損壊によって通路は塞がれたと話す。そして余計なことをすれば、また大切なものを失うことになると脅す。
ソギョンはドウォンを監視するため、同じチームに異動する。ソギョンとともに失踪事件の捜査に向かったドウォンは、失踪者のチョン・ギョンヒがA世界で発見された6人目の被害者だと気付く。
彼女が借家人と揉めていたという情報を得たドウォンは、部屋に火をつけて逃げようとした男を捕まえるが、彼はA世界で部下だったキム・ジヌだった。ジヌは4年前にB世界のドウォンに窃盗の罪を着せられて逮捕されたことがあり、ドウォンを激しく憎んでいた。
その頃、A世界の病院で目覚めたドウォンは、もとの世界とは違う状況に困惑していた。イルソン駅でジンソンと会っていた彼は、ジンソンが遺体の入ったキャリーバッグのそばで拾ったという指輪を手にしていた。
ドウォンはA世界に捨てられた遺体が3年前に発見されていることから、半年前まで服役中だったジヌに犯行は不可能だと判断するが、何も知らない課長のミスクやソギョンは理解できない。
ソギョンの手首に自殺未遂の痕跡を見つけたドウォンは、彼女がひとりで苦しんできたことを思って心を痛める。ソギョンは自分の人生を壊したドウォンの父ソ・ジェチョルを憎み続け、今も死ぬほど苦しいと精神科医に訴える。
ドウォンはかつて自分が阻止したはずの出来事が、B世界では事件として記録に残っていることを知って驚く。ジヌは高校生のとき同級生からいじめを受けており、祖母にまで嫌がらせをした彼らを包丁で刺そうとしたことがあった。
A世界ではドウォンが駆けつけて阻止したが、B世界では阻止する者が存在せず、ジヌは傷害事件を起こしていた。そしてその事件をきっかけに、「自分の大切なものを守るためには、相手を攻撃するしかない」という考えに陥っていた。
ジヌはチョン・ギョンヒが失踪した日、犯人らしき人物を見たと証言。その直後、署から脱走する。ジヌが別の事件を企てていることに気付いたドウォンは、ジヌの祖母を死に追い込んだ遠因が〈コンヒョン開発〉にあることを突き止める。
ジヌは祖母の命を奪った〈コンヒョン開発〉に復讐する計画を立てており、その計画を隠すために部屋に放火したのだった。造園会社で働き始めたのも、〈コンヒョン開発〉の代表者の屋敷に忍び込むためだった。
その頃ジヌは、〈コンヒョン開発〉の代表者が住む屋敷に向かっていた。
ジヌは〈コンヒョン開発〉の代表者宅に忍び込み、寝ている彼女を刺そうとするが、駆けつけたドウォンに止められる。代表者はソギョンの継母チョ・ヨンランで、彼女はベッドの中で既に息絶えていた。
殺害の手口は12年前の事件と同じで、遺体はソギョンの家から盗まれたアクセサリーを身につけていた。動揺するソギョンに、ドウォンは12年前の事件の真犯人がヨンランを殺した犯人であること、同じ手口で6人が殺されていることを話す。
A世界では、父親のジェチョルがひき逃げ事故で死んだことを知ったドウォンが、その車を探し出そうとしていた。ドウォンはB世界で父親を救った際、車を運転していた男の手に黒い痣があるのを目撃していた。
B世界のジヌは、ドウォンに諭されてこれからの生き方について考える。ジヌは犯人と思われる人物とすれ違ったときのことを思い出し、手の甲に黒い痣があり、黒いSUVに乗っていたとドウォンに伝える。その人物は、母親の死の知らせを受けて署にやってきたイ・ソンウクだった。
B世界のソンウクは障害を負っておらず、金遣いが荒く、援助を断った母親と揉めていたという。ソギョンは数日前にヨンランと会い、彼女が息子を怖がっていたことをドウォンに話す。
ドウォンはウンソクが廃車に出した黒のSUVを押収。車内から被害者イ・ジヨンの指紋が検出され、ロッカーのカードキーが見つかる。ロッカーの中には血のついたハンマーと、ソギョンの家から盗まれたアクセサリーが入っていた。
ウンソクは母親と6人の女性を殺害した疑いで指名手配され、12年前の事件の真犯人である可能性も浮上する。課長のミスクは12年前の誤認逮捕を認め、ドウォンに謝罪する。ミスクはドウォンの父ジェチョルが余命わずかであることを知っていたが、口止めされているためドウォンに話すことができない。
ジョンミンは殺されたヨンランの屋敷でソギョンの古い血痕が見つかったことや、過去に警察が出動した記録があったことをドウォンに伝える。
ソギョンはかつてヨンランの家で暮らしていた頃、義兄ソンウクに襲われそうになって彼の右目を失明させていた。激怒したヨンランはソギョンに暴力をふるい、耐えられなくなったソギョンは手首を切って自殺しようとしたのだった。
ドウォンはヨンランの家に残っていたソギョンの日記を読み、彼女の壮絶な過去を知って心を痛める。
その頃、ソギョンはジヌの祖母が働いていた市場跡で、逃亡中のソンウクと遭遇していた。父を殺した理由を問うソギョンに、ソンウクは「殺すつもりはなかった」と12年前の事件の真相を語る。宝石を盗もうと家に忍び込み、早く帰ってきたハン・ギュテに見つかったため殺害したという。
ソギョンはソンウクを撃ち、自らも命を絶とうとするが、駆けつけたドウォンに止められる。独りにして悪かった、と泣きながら謝るドウォン。そこへB世界のドウォンから「ソンウクには共犯がいる」という電話が入る。
逃亡したソンウクは屋上でジェヒョクに追い詰められ、「殺したのは俺じゃない」と共犯者の存在を明かす。幻覚に襲われたソンウクは屋上から転落し、意識不明の重体となる。
ドウォンは課長のミスクから、父ジェチョルが末期の肝硬変で余命わずかだと知らされる。病院へ向かおうとしたドウォンの前に、B世界のドウォンが現れる。A世界にいた彼は、雨の降るムギョン駅から再びB世界へ戻ってきたのだった。
B世界のドウォンから「元の世界へ帰れ」と言われるが、ドウォンはクスリ漬けの彼を罵ってB世界に残ることを主張する。
ドウォンが入院中の父ジェチョルを見舞っていると、ソギョンが現れる。長年ジェチョルを犯人だと思い、憎んでいたことを謝罪するソギョン。ドウォンは父が生きている間に真犯人を捕まえたい、とソギョンに告げる。
2人はソンウクの同窓生に聞き込みを行い、彼が内気な性格だったことや、学校でいじめられていたことを知る。ソンウクが高校3年のときに他校の男子生徒に助けられていたことを知ったドウォンとソギョンは、その男子生徒が共犯者ではないかと考える。
B世界のドウォンは、ソンウクが転落した現場に落ちていたというネックレスを見て共犯者のものだと気づく。ネックレスの中にはハンチントン病に処方される薬が入っていた。患者のリストを取り寄せたドウォンは、リストの中に意外な人物の名を発見する。
ソギョンの提案で、ジェチョルは当時の記憶を思い出すために催眠療法を試すことに。ソギョンは担当医のミンジュンに依頼し、病室で催眠療法が行われる。ジェチョルは事件現場に犯人がいたことや、薬が落ちていたことを思い出す。
ドウォンとソギョンが病室を出ていったあと、ジェチョルは犯人の顔を思い出す。それは目の前にいるミンジュンだった。助けを呼ぼうとするジェチョルだったが、ミンジュンに鎮静剤を打たれ眠らされてしまう。
その夜、ジェチョルを殺すため病院へ忍び込むミンジュン。だがジェチョルに気づかれ、逃げられてしまう。病院に来ていたB世界のドウォンは、雨の中を逃げるジェチョルを助けようとするが、2人はトラックに轢かれてしまう。
ミンジュンはドウォンが持っていたペンダントを取り戻し、ジェチョルの死を確認する。そしてまだ息のあるドウォンの首に手をかける。ドウォンは「俺は取り逃がしたが、結局は俺に捕まるんだ」という言葉を残し、ミンジュンに殺される。
連絡を受けて病院へ駆けつけたA世界のドウォンは、路上に倒れている2人を発見。そこへソギョンも駆けつけ、ドウォンが2人存在することに気づく。
B世界のドウォンの死は記録されず、身元不明の遺体として密かに遺体安置所に収容される。ソギョンからドウォンの遺体を見せられたジョンミンは泣き叫ぶが、生きているドウォンを見て声を失う。
ドウォンは困惑するソギョンとジョンミンに、2つの世界が存在することや、自分が別の世界から来たことを説明する。ジョンミンは「親友」だというA世界のドウォンを受け入れられない。B世界のドウォンは亡くなる前、ジョンミンにやり直そうと告げていたのだった。
病院の監視カメラには犯人の姿が映っておらず、ジェチョルの死は事故扱いにされてしまう。ミンジュンは殺したはずのドウォンが生きていることに動揺し、自らの病気が進行して認知症が発症しているのではないかと不安を募らせる。
ジェチョルを轢いた犯人は、A世界においてドウォンが飲酒運転で逮捕したパク・テギョンだった。彼は被害者イ・ジヨンの恋人で、彼女が服用していた精神安定剤を飲んで運転したという。さらに、犯人がドウォンの首を締めて殺害する現場を目撃したと話す。
ミンジュンは新たな犯行に及び、女性を殺害。そして残るひとりのターゲットに狙いを定める。
ドウォンたちは被害者の共通点を探るが見つからない。そんな中、被害者のチョン・ギョンヒがパニック障害で薬を持ち歩いていたことが判明。ドウォンは被害者の共通点が精神安定剤ではないかと気づき…。
クリニックを訪れたソギョンに、ミンジュンは「最後にゲームをするつもりです」と告げる。ドウォンは被害者たちが全員ミンジュンの患者であったことを知り、急いでソギョンに連絡するが、電話に出たのはミンジュンだった。
動揺するドウォンの前に現れたミンジュンは、12年前の事件と失踪した女性たちを殺した真犯人であることを認め、その場で自首を宣言。署に連行され取り調べを受けるが、犯行の動機についてははぐらかす。
ミンジュンは犯行を認めつつ、遺体は見つかったのかと笑う。自白だけで証拠がないため、犯行が立証できないことを知っていたのだ。クリニックや自宅を捜索して証拠を捜すが見つからず、追い詰められたドウォンは最後の切り札として、B世界のドウォンの遺体を使って立証しようとする。
ところが遺体安置所に保管されていたドウォンの遺体は、別人の遺体にすり替えられていた。証拠不十分で釈放されたミンジュンは、3日前にも女性を殺したと告白。遺体が消える前に捜しに行けと嘲笑う。
激怒したドウォンはミンジュンに掴みかかり、A世界でソギョンを殺した罪を必ず償わせると告げるが、ミンジュンはA世界を知らないような態度を取り、ドウォンの最も身近な人間を殺すと予告する。
7人目の被害者を突き止めたドウォンは、彼女の遺体がまだA世界へ運ばれていないと考え、遺体の捜索を始める。一方ソギョンは、ミンジュンが子供の頃に住んでいた家を訪ね、彼の祖母が難病を患い、亡くなっていることを知る。
夜になって雨が降り始め、焦ったドウォンはイルソン駅からムギョン駅行き8210号に乗り込む。車内で遺体が入ったキャリーバッグを発見するも、ある人物から銃を突き付けられるドウォン。その人物とは刑事課長のオ・ミスクだった。
信頼していたミスクがA世界のソギョン、B世界のイ・ジンソンを殺した犯人だと知り、衝撃を受けるドウォン。ミスクは「間違った道だと分かっても進むしかない」と言い、ドウォンに向かって発砲する。
負傷したドウォンは遺体のバッグとともにA世界のムギョン駅に捨てられ、病院で目覚める。すぐさまムギョン署へ向かうも、ミスクは既に退職していた。
B世界ではドウォンが姿を消し、ソギョンは元の世界へ戻ったのではと考える。ドウォンが持っていた写真に、彼とA世界の自分が並んで写っているのを見たソギョンは、ドウォンの愛する人が自分だと気付く。
ソギョンは雨の降る夜、9時35分発のムギョン駅行き列車に乗るが、その列車は8210号ではなく8311号だった。ミスクが手を回し、老朽化した列車の安全を問う記事を書かせて8210号を廃車に追い込もうとしたのだった。
8210号の廃車が明日に迫っていると知ったソギョンは、ジョンミンに相談して廃車を阻止しようとする。
A世界に戻ったドウォンは、ミスクが連続殺人犯ソク・ミンジュンの実の母親であることを知る。ミスクがかつて住んでいた家を突き止めたドウォンは、そこで植物状態のミンジュンとともに心中しようとしていたミスクを助ける。
ドウォンに12年前の真実を語るよう迫られ、息子ミンジュンについて話し始めるミスク。妻がいる男の子供を妊娠し、独りで育てようと決心したミスクだったが、自分たちに用意されていたのは苛酷な運命だった。
母が不治の病気で亡くなり、自分とミンジュンにも同じ病気が受け継がれていることを知ったミスクは、いつ発病するかわからないまま子供を育てる自信がなく、ミンジュンを手放す決意をした。
12年前の事件が起きたとき、現場に駆けつけたミスクは見覚えのある薬を見つけた。それはミンジュンがミスクに気付かせるために、わざと犯行現場に落としていった薬だった。
父親の犯行だと思い込んだドウォンが警察に通報しようとするのを止めたのは、彼が持っていたネックレスにミンジュンの痕跡が残っていると思ったからだ。彼女が守ろうとしたのはドウォンとソギョンではなく、息子のミンジュンだった。
一方、B世界のソギョンはミンジュンを問い詰め、最後のターゲットが彼を捨てた母親であることを確かめる。これまでの被害者はみな子供や家庭を捨てて苦しんでる患者たちで、ミンジュンは彼女たちに母親を重ねていたのだ。
彼が犯行に及ぶ前に、母親を探し出さなければと焦るソギョン。そこへB世界のドウォンが取り寄せていたハンチントン病の患者リストが届き、その中にオ・ミスクの名前があることに気付く。
ミンジュンは昔住んでいた家にミスクを呼び出し、なぜ自分を止めなかったのかと非難する。母親だからだと答えるミスクに「あんたがくれたのはこの病気だけだ」と告げ、その首に手をかけて殺そうとする。
その場に駆けつけたソギョンはミンジュンを撃ち、ミスクを助けるが、ミスクはソギョンに銃を向ける。息子を止めなかった理由を、これ以上失いたくなかったからだと言うミスク。
そこへA世界から戻ってきたドウォンが現れ、ミンジュンを人質に取ってミスクを止める。ミスクとミンジュンは逮捕されるが、ミンジュンは銃を奪って自殺する。
連続殺人犯ソク・ミンジュンが自殺し、共犯のオ・ミスクも逮捕された。真実を暴くと宣言するドウォンに対し、ミスクは「あなたも境界を越えたことを永遠に後悔する」と謎めいた言葉を残す。
ドウォンはB世界に残り、ソギョンのそばに居続ける決心をする。ドウォンの想いを知ったソギョンは彼を受け入れ、2人はこの世界でともに生きていくことに。
そんな中、ドウォンは2012年のミスクの写真を見て、手に傷があることに気付く。しかしミスクが逮捕されたとき、彼女の手に傷痕はなかった。
ソギョンは強盗事件があった現場で刺される。ドウォンが発見したため命は助かるものの、A世界と同じ結末に向かっているのではないかと不安を覚えるドウォン。
勾留中のミスクと面会したドウォンは、彼女が別の世界からきた人間で、この世界の自分を殺してなりすましていたことを知る。川に沈んだ車の中から発見された白骨遺体は、この世界のミスクだった。
彼女の目的はただひとつ、息子ミンジュンの命を救うことだった。そのために何度も境界を越え、運命を変えようとあがいてきたが、結局は元の世界と同じ運命を歩むことになった。
そしてドウォンにも同じ事が起こると言い、ドウォンがこの世界にいる限りソギョンは死ぬと断言する。
ドウォンはソギョンを守るためにA世界へ戻ろうとするが、境界を越える8210号の列車は廃車になっていた。線路で自ら命を絶とうとしたドウォンの前に、列車が現れる。
その頃ソギョンは、12年前の事件の日にドウォンと会っていたことを思い出す。ドウォンから折りたたみ傘を借りたソギョンは帰宅時間が遅くなり、事件に巻き込まれずに済んだのだった。この世界でもドウォンに助けられていたことを知り、ドウォンを探すソギョン。
ソギョンは病状が進んで記憶を失いかけているミスクに会い、世界をつなぐ通路がいつ開くのか聞く。ドウォンに会えば死ぬと警告するミスクに、ソギョンは「何度も彼に救われるのが私の運命」と答える。
ドウォンはA世界でもB世界でもない、新たな世界に迷い込む。その世界のドウォンは刑事課長になっていた。人混みに紛れて歩き出すドウォンの前に、ソギョンが現れる。ドウォンは黙って見過ごそうとするが、ソギョンは「ここから始めましょう」と告げる。
感想(ネタバレ有)
すごく面白かったです!!!
個人的にこういうSFチックな話が大好きなので、終始ずっとワクワクして、最後まで楽しめました。単純にパラレルワールドを行き来して右往左往するだけじゃなく、それがミステリーのトリックにもなっているところが秀逸。最後の謎解き部分も面白かった。
主人公のドウォンを演じたユン・シユンさん。初見だったのですが、演技力に圧倒されました。A世界とB世界のドウォンが完全に別人に見えた。体格まで違って見える(B世界のドウォンのほうが痩せてて背が高く見える)のだからすごいです。
~ここから先は、結末のネタバレに触れています~
連続殺人犯は精神科医のソク・ミンジュンでした。そして死体遺棄と隠蔽工作を行ったのが、彼の実母だったオ・ミスク(彼女は最初から怪しすぎたよね)。
ミスクは計4回、境界を越えていることが最終話で明らかになりました。
おそらく最初はミンジュンを逮捕したんでしょうね、12年前の事件の犯人だとわかったときに。けれどのちに彼が自殺したため、その運命を変えるために境界を越えて、別の世界に移動した。
そしてその世界でもミンジュンは自殺することになって、また別の世界へ…。そうやって4回も繰り返して、最後はなりふりかまわず自らの手まで汚したのに、結局またミンジュンは死んでしまいました。
そこでようやく、自分の存在こそがこの運命を生み出しているのだと気付いたミスク。
「結局あんたも同じ運命を歩むわ。あんたがこの世界に来て変えなければ、何も起こらなかったのよ」
つまり…A世界の人間であるドウォンがB世界に移動して影響を与えたことによって、B世界がA世界化しまう、ということかな。
自分の存在そのものが愛する人ソギョンの命を奪うと気付いたドウォンは、ソギョンの前から姿を消しました。8210号は廃車になっているため、彼の前に現れたのはおそらく違う列車。その列車に乗って、また別の世界=C世界へと移動します。
こうなったらもう、もとの世界には戻れない。ミスクの言っていたとおり、ドウォンは「繰り返す運命の中に閉じ込められた」ことになります。はぁ~たまらんわ、この結末。
しかし…ここで意外な真実が明らかに。B世界のソギョンは、12年前にB世界のドウォンから折りたたみ傘を借りていたことが判明。そのためまっすぐ帰宅せず(書店に立ち寄った?)、事件に巻き込まれずに済みました。
B世界のドウォンも、ソギョンを救っていたんですね。ソギョンは「何度も彼に救われるのが私の運命」と信じ、ドウォンとの再会を求めているようでした。
ドウォンがC世界で出会ったソギョンは、B世界からきたソギョンだったのか。それともC世界のソギョンなのか。あるいは別の世界から来たソギョンかもしれない。いろんな可能性を考えると、想像が膨らみます。
でも、結局どの世界でも2人が出会うことになるのなら、どのソギョンでも同じなのかな、という気もします。
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