Netflix映画「ナイブズ・アウト グラス・オニオン」を観ました。
名探偵ブノワ・ブランが活躍する「ナイブズ・アウト」シリーズの第2作。ギリシャの孤島を舞台に、セレブたちの嘘と虚構を現代の名探偵ブランが暴きます。
前作同様、古典ミステリーの雰囲気をまといながらも、現代社会への鋭い皮肉を効かせた作品で、とても楽しめました。娯楽ミステリーというより、セレブ文化や権力構造の“化けの皮”を丁寧に剥いでいく寓話のようにも感じられました。このシリーズにハマりそうです。
今回は、ガラス建築やキャラクターたちの衣装、空間演出の工夫などから、作品が描いた「透明なウソ」と「見えない真実」をじっくり考察していきたいと思います。
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Contents
作品概要
- 製作:アメリカ(2022年)
- 配信:Netflix
- 配信開始日:2022年12月23日
- 原題:Glass Onion: A Knives Out Mystery
- 脚本・監督:ライアン・ジョンソン
予告動画
登場人物(キャスト)一覧
ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)
世界一の名探偵。テクノロジー界の大富豪マイルズ・ブロンに招待され、“ミステリーゲーム”に参加するためギリシャの孤島へ。マイルズと癖の強い友人たちに混じって休暇を楽しむが、実際に殺人事件が発生し、捜査に乗り出す。
マイルズ・ブロン(エドワード・ノートン)
巨大ハイテク企業アルファ社の創始者にして億万長者。地中海にあるプライベートアイランドに、10年来の友人たちを招待する。海水から抽出する新たな固形水素燃料“クリア”を1週間後に発表予定。「グラス・オニオン」は若い頃に友人たちと通っていたバーの名前で、そこでアルファ社のアイデアが生まれた。
カサンドラ・“アンディ”・ブランド(ジャネール・モネイ)
マイルズとともにアルファ社を創業した元ビジネスパートナー。2年前、固形水素燃料をめぐってマイルズと対立し、会社から追い出された。以来、仲間たちとは疎遠になっていたが、マイルズの招待を受けて孤島にやってくる。その目的は不明。
クレア・デベラ(キャスリン・ハーン)
コネチカット州知事。上院議員に立候補している。友人のマイルズから招待状を受け取り、ギリシャの孤島へ。マイルズの支援を受けており、固形水素燃料に関わる発電所の事業計画を認可した。
ライオネル・トゥーサン(レスリー・オドム・Jr)
科学者。マイルズの友人であり、協力者。マイルズに招待され、ギリシャの孤島へ。固形水素燃料を有人ロケットに使う許可を出した。
バーディー・ジェイ(ケイト・ハドソン)
元ファッションモデルで、元“シー・シー”誌最年少編集長。失言が多い。発売した高級ジャージ“スウィーティー・パンツ”が大ヒットし、大儲けしている。友人のマイルズに招待され、ギリシャの孤島へ。
デューク・コーディ(デイヴ・バウティスタ)
元Twitchのインフルエンサーで、男性の権利活動家。マイルズの支援を受けて、Youtube配信へと活躍の場を移した。常に銃を携帯している。マイルズに招待され、ギリシャの孤島へ。
ペグ(ジェシカ・ヘンウィック)
バーディーのアシスタント。失言や浅はかな行動で炎上を繰り返すバーディーに手を焼いている。“スウィーティー・パンツ”の件で、マイルズからある声明を出すよう迫られている。
ウィスキー(マデリン・クライン)
デュークのガールフレンドで、アシスタント。将来的には公職に就くことを目指している。マイルズとも親しい。
デロル(ノア・セガン)
マイルズの島に入り浸る謎の人物。
マー(ジャッキー・ホフマン)
デュークの母。
デヴォン・デベラ(ダラス・ロバーツ)
クレアの夫。
マイルズの助手(イーサン・ホーク)
マイルズの有能な部下。島へ渡るメンバーにコロナ対策を施す。
フィリップ(ヒュー・グラント)
ブランのパートナー。
あらすじ(ネタバレ有)
2020年5月。コロナ禍で行動が制限される中、コネチカット州知事のクレア、科学者のライオネル、元ファッション・モデルのバーディー、インフルエンサーのデュークのもとに、10年来の友人でIT企業の大富豪でもあるマイルズ・ブロンから招待状が届く。
地中海にあるプライベートアイランドでミステリーゲームを開催するというのだ。だがそこに、なぜか名探偵ブノワ・ブランも参加する。
一行はギリシャの港に集まり、マイルズの豪華クルーザーで孤島へと向かう。島の中心には、ガラス張りの未来的な邸宅「グラス・オニオン」がそびえ立ち、マイルズが自慢げに出迎える。
だが、ブランに対しては「招待していない」と困惑した様子を見せる。結局、マイルズは面白がって滞在を許すものの、どこか不穏な空気が漂い始める。
参加者の中には、マイルズと過去に共同経営していたアンディの姿もあった。彼女は仲間たちと疎遠になっていたはずで、突然の登場に皆が動揺する。
孤島に集まったマイルズの友人たちは、アンディを除いて皆ひとり残らずマイルズに寄生していた。マイルズは新たなエネルギー技術として固形水素燃料の「クリア」を披露し、世界を変えると豪語するが、科学者ライオネルはその危険性に懸念を示す。
夕食の席で始まったミステリーゲームは、ブランがあっさりと解いてしまい、場はしらける。その直後、インフルエンサーのデュークが突然倒れ、命を落とす。毒殺の可能性が浮上し、島は一気に緊張感に包まれる。さらに、停電が発生し、混乱の中でアンディが銃撃される。
ここで物語は過去に遡る。実はアンディはすでに亡くなっており、島に現れたのは彼女の双子の姉妹ヘレンだった。アンディの死に疑問を抱いたヘレンは、ブランに調査を依頼し、姉になりすまして島に潜入していたのだ。
アンディはかつて、マイルズに自分のアイデアを盗まれ会社を乗っ取られていた。彼女はその証拠となる紙ナプキンを自宅で発見し、仲間たちに知らせた直後に命を奪われたのだった。
ブランの推理により、犯人はマイルズであることが明らかになる。デュークはアンディの死を知り、マイルズを脅迫したため、パイナップルアレルギーを利用して殺された。アンディ(ヘレン)への銃撃も、停電の混乱に乗じたマイルズの犯行だった。
しかし、マイルズは証拠となる紙ナプキンを燃やし、罪を逃れようとする。そこでヘレンは、ブランから託された「クリア」の破片を使い、マイルズの邸宅を破壊する。炎が広間を包み、ルーブル美術館から借りた名画「モナリザ」までもが燃え落ちる。マイルズが誇った“永遠の象徴”は、自らの傲慢によって灰となった。
仲間たちはついに沈黙を破り、マイルズの罪を証言することを決意する。ヘレンは瓦礫と化した「グラス・オニオン」をあとにし、ブランとともに朝焼けを見つめる。