“ザワキュン”ドラマ「愛してたって、秘密はある。」が後半戦に突入しました。
未だに犯人の目星がつかないまま、黎と爽の結婚式が近づいてくる緊張感。
毎回ラスト10分に繰り広げられる衝撃の展開が話題になっています。
今回は、ドラマの中で黎が父親を殺した時に流れていたレコードの曲、オペラ「トゥーランドット」の“誰も寝てはならぬ”について考察します。
この記事の目次
歌劇「トゥーランドット」とは?
「トゥーランドット」は、イタリアの作曲家・プッチーニ(1858~1924)によるオペラです。ドラマの中で、黎が父親を殺害した時にかかっていたレコードが、このオペラでした。
氷のような心を持つトゥーランドット姫は、求婚者に3つの謎を出し、答えられない者を処刑するという厳しい掟を設けていました。タタール国の王子カラフは、見事にその謎を解き、勝利します。しかしトゥーランドット姫は求婚を受け入れません。王子は「明日の夜明けまでに私の名を知れば、私は潔く死のう」と姫に謎かけをします。
姫は家来を総動員し、名前を知る者としてリューを捕らえます。リューは拷問にかけられますが、剣で自ら命を絶ってしまいます。
リューの死に心を動かされたトゥーランドット姫を、カラフは抱き締めキスをして自分の名前を告げます。トゥーランドット姫は「彼の名前は“愛”です」と宣言し、ふたりは結ばれます。
誰も寝てはならぬ
ドラマで流れていた曲は、オペラの第3幕に登場する「誰も寝てはならぬ」というアリアです。有名な曲なので、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
「3大テノール」のひとり、ルチアーノ・パヴァロッティ(1935~2007)が2006年のトリノオリンピックの開会式で歌ったことでも有名です。同オリンピックでは、フィギュアスケートの荒川静香選手もこの曲を使って金メダルを獲得しましたね。
「誰も寝てはならぬ」は、トゥーランドット姫が家来を総動員してカラフ王子の名前を知る者を探させ、「今夜は誰も寝てはならぬ!名前がわからなかったら住民は全員死刑にする!」と言ったことに対し、カラフ王子が歌うアリアです。
歌詞はこちら。
誰も寝てはならぬ!
誰も寝てはならぬ!
姫様、あなたもです
冷たい部屋で
愛と希望に打ち震える星々を見上げながらでも私の秘密は私の胸の中にある
誰も私の名前を知るものはいない
いや、あなたの唇にそれを告げよう
朝の光が輝く時にそして私の口づけは沈黙を解き
あなたは私のものになる(女たちの声)
誰も彼の名前を知らない
私たちは、ああ、死ななければならない夜よ去れ!
星よ沈め!
夜明けになれば、私の勝ちだ!
私は勝つ!
私は勝つ!
ドラマの内容と重なる気がしませんか?
特に「でも私の秘密は私の胸の中にある」という部分。
この歌を歌っているのはカラフ王子です。
ドラマでいうと、黎になるのかもしれませんね。
王子は、夜明けと共に姫に秘密を打ち明ける、と歌っています。
そしてその瞬間、自分は勝利するのだと……。
黎は最後に、爽に秘密を打ち明けて、勝利することになるのでしょうか?
「トゥーランドット」は未完のオペラ
実はこのオペラは、未完なんです。
作曲者のプッチーニが、1924年に作曲途中で世を去ったため、「トゥーランドット」第三幕の後半部分は未完のまま遺されました。
そのためフィナーレは、彼のスケッチを参考に、友人のフランコ・アルファーノが補筆して完成させています。
ひとこと
ドラマの中では、黎が父親を殺害した場面を振り返るたびに、この「誰も寝てはならぬ」が流れます。
たびたび流れるので、あのレコードにも、何か仕掛けがあるのかと思ってしまいますね。というか、そもそもあのレコードをかけた人物は誰なんでしょうか?
黎の父親?
それとも晶子?
そうなると、カラフ王子=黎ではない可能性も出てきます。
カラフ王子=黎の父親、あるいは晶子と考えても、歌詞の内容は合うんですよね……。
黄色いバラの意味と共に、こちらも気になる謎のひとつです。