どうも、夏蜜柑です。
NHK・BSプレミアム日曜夜10時「盤上の向日葵」最終回。
号泣でした……。
最後に明かされた真実に胸が熱くなりました。
さすが伝説の真剣師。一筋縄ではいきませんね。
千葉雄大さんの泣き顔にもらい泣き。
竹中直人さんの鬼気迫る演技に圧倒されました。
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最終回「向日葵の棋士」のあらすじ
※ネタバレを含みます
平成6年。桂介(千葉雄大)は唐沢(柄本明)を見舞い、竜昇戦最終局の決戦場である山形県天童市へ向かう。桂介と東明重慶(竹中直人)の関係を突き止めた石破(大友康平)と佐野(蓮佛美沙子)も山形へ。
3年前。桂介のもとに東明から「約束は果たした。今度は俺の頼みを聞いてくれ」という電話がかかってきた。桂介は東明を所沢の天木神社へ連れて行く。そこはかつて東明が人間らしい幸せな時間を過ごした場所だった。
東明は癌に侵され瀕死の状態だったが、最後に桂介と真剣勝負をしたいと申し出る。「俺が勝ったら、俺を殺してこの場所に駒と一緒に埋めてくれ」という東明。しかし東明はわざと負け、桂介に意外な事実を打ち明ける。
子供の頃、桂介が唐沢に連れて行かれた温泉の休憩場で、桂介に勝負を挑んで負けた男は東明だった。東明は桂介に将棋の面白さを教えるため、わざと負けたのだ。将棋道場で大学生になった桂介と再会した時、東明はすぐにあの時の少年だとわかったと言う。
東明は桂介に「プロになれ」と言い残し、自ら腹を刺して自決する。桂介は東明の死体をその場に埋め、弔いとして初代菊水月作の駒を一緒に埋めた。その後、実業界を引退し、東明に言われた通りプロを目指したのだった。
竜昇戦最終局で桂介は決め手を見つけることができず、敗退する。石破と佐野は桂介に任意同行を求めるが、桂介は2人を振り切って電車のホームに飛び込もうとする。石破は桂介を追いかけ、自殺を阻止する。
桂介は東明に父親の殺害を依頼し、口封じのために東明を殺したと自供。桂介を殺人の容疑者と断定する警察の中で、佐野だけが異論を挟む。そんな中、殺されたはずの桂介の父・庸一(渋川清彦)が警察に現れる。
石破と佐野は、桂介に庸一が生きていることを告げる。東明は桂介をプロ棋士にするため、暴力団員のふりをして庸一を脅し、桂介には「殺した」と嘘をついていたのだ。
佐野はかつて26歳の壁を超えられずに奨励会を去った時、桂介の姿に救われたと語る。そしてもう一度、将棋の世界に戻ってほしいと懇願する。桂介は東明を殺していないことを打ち明け、釈放される。
事件解決後、捜査本部は解散となる。石破は佐野に「俺に将棋を教えてくれないか」と頼み、佐野は「私、厳しいですよ」と微笑む。
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最終回の感想(ネタバレ有)
東明さんと桂介は本物の師弟だった
私好みの暗くて重い古典的ミステリーで、面白かったです。
最後の展開はかすかに予感があったものの、東明さんの行動は読めませんでした。
第1回に登場した、温泉の休憩場で桂介に勝負を挑んだ人物。
タオルで顔が見えなかったので気にはなっていたのですが、やはり東明さんだった。
彼は目の前の桂介に自分を重ね、自分なりのやり方で将棋の楽しさを教えていたのです。
桂介から養父・庸一を殺してほしいと頼まれたとき、「体はこんなザマだが、こっち(頭)ならまだ使えるぜ」と言ったセリフの意味も腑に落ちました。
東明さんは庸一を殺すのではなく、暴力団員のふりをして脅し、二度と桂介に近づけさせないようにした。桂介には殺したと思わせておいて、自分の命をかけて彼を追い込み、プロ棋士の道を選ばせようとした。
そして東明さんの思惑どおり、桂介はプロ棋士になることを決めました。
さすが伝説の真剣師、命を賭けた大勝負。
東明さんからすれば「してやったり」だろうなぁ。
2人が本物の師弟だったことは、2人だけが知る真実でした。
だからこそ桂介は、東明さんの罪を被って死のうとしたのでしょう。
年齢制限の壁を越えられなかった佐野
佐野さんが将棋界を去った理由も明らかになりました。
奨励会には年齢制限があり、満26歳までに四段へ昇段しなければ退会となる決まりがありました。
彼女はその年齢制限最後の年に、四段昇段まであと1勝というところまで来て痛恨の一手を指してしまい、負けたのです。
だから彼女の目には、奨励会を経ずに(年齢制限など無視して)プロを目指し、棋士となった桂介は憧れの存在として映っていたのでしょう。
取調室で桂介を説得することができたのは彼女だけだっただろうし、その機会を与えたのは石破さんの後押しだった。
最初は「たかが駒遊び」と馬鹿にしていた石破さんが、捜査を進める中で彼女が生きてきた世界を知り、考えを改めていくところにも彼の柔軟な性格が表れていました。
事件が解決したあと、彼女に敬意を払うように「将棋を教えてくれ」と照れ臭そうに言う石破さん。それに応える佐野さんが初めて笑顔を見せたのが印象的でした。
「砂の器」よりも救われる結末
竜昇戦に負け、過去の罪が公になり、生きる意味を見失う桂介。
東明さんと唐沢さんは「将棋」を通して彼に生き方を教え、彼を救ったのだと思います。「砂の器」よりも救われる結末で、希望を感じさせるラストシーンでした。
竹中直人さんが最近痩せられたのはこのドラマの役作りだったのかな。
自決する間際に桂介に「プロになれ」と迫る顔なんか、ゾッとするほど怖かったです。
取調室で桂介がこらえていた感情をあふれさせ、涙する場面もよかった。
千葉さんはどの場面でもいい表情をしていましたが、このシーンにはやられました。ボロ泣き。
あと、セリフはほとんどなかったけど、壬生竜昇を演じた笠松将さんも存在感ありました。
全4話でしたが大満足のドラマでした。ありがとう。