どうも、夏蜜柑です。
フジ火曜9時「僕らは奇跡でできている」が始まりました。


以下、ネタバレを含みます。
この記事の目次
第1話のあらすじ
- 相河一輝(高橋一生)は、都市文化大学で“動物行動学”を教える講師。恩師である鮫島教授(小林薫)のすすめで講師になったものの、マイペースでルールに無頓着なため、周囲からは変わり者扱いされている。
- ある日、一輝は放置していた虫歯の痛みに耐えられなくなり、鮫島の紹介で水本歯科クリニックを受診する。空気が読めず、診察時間を守らない一輝に、院長の水本育実(榮倉奈々)はイライラを募らせる。
- 一輝はクリニックで出会った宮本虹一(川口和空)から、イソップ童話に登場する「ウサギとカメ」の謎を託される。カメは、なぜウサギに声をかけなかったのか? 一輝はその謎を、学生たちに投げかける。
- 育実は恋人の鳥飼(和田琢磨)を誘って高級レストランに入るが、経営の悩みを打ち明けたり自分が支払いを持ったりしたことで鳥飼のプライドを傷つけてしまい、鳥飼に「もうウンザリだよ。俺のこと下に見てんだろ」と言われる。
- 一輝の講義を受ける学生たちは、一輝から「シマウマはどうして白黒の縞になっているのか?」という課題を出され、頭を悩ませる。それぞれが考えた答えを発表するが、授業の最後に一輝が「正解はわかりません」と答えるのを聞いて脱力する。
- 診察時間に遅れないよう、一輝は1時間早くクリニックを訪れるが、育実は「常識ってものがないんですか?」と一輝に怒りをぶつけてしまう。一輝はその場を立ち去り、外で偶然会った虹一とカメの謎の答え合わせをする。
- 一輝を追いかけてきた育実は謝罪し、一輝は治療を受ける。一輝は育実に「先生はウサギっぽいですね」と言う。カメは競争には興味がなく、ただ道を前に進むことだけが楽しい。ウサギはカメを見下すために走る。
- 育実は一輝にウサギだと指摘されてショックを受け、「私のどこがウサギなんですか?」と聞き返してしまう。
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第1話の感想
まだ始まったばかりだけど、すごく面白かったです。
これから先も、面白くなる予感しかないわー。
このドラマの脚本は、わたしが大好きな2003年のドラマ「僕の生きる道」の橋部敦子さんが担当されています。
ほかにも「僕と彼女と彼女の生きる道」(2004年)、「僕の歩く道」(2006年)、「僕のいた時間」(2014年)など、私の好きな僕シリーズを手がけている方です。
このドラマにも橋部さんの雰囲気がよく出ていて、「僕の歩く道」と少し雰囲気が似ているなぁという印象。
主人公が成長していくだけでなく、主人公と関わる周囲の人々も少しずつ変わっていくのですが、その描き方がとても好き。
真面目ゆえに人を許せない育実
たとえば榮倉奈々さん演じる育実。
真面目な彼女にとっては、仕事を優先することが当たり前で、自分の時間を犠牲にするのも当たり前。それだけ頑張っているのだから、褒められなきゃおかしいと思ってる。
だから、プライベート優先で、仕事に対して責任感の薄いあかり(トリンドル玲奈さん)や、自分を尊敬しない一輝(高橋一生さん)が許せない。
自分のやり方を否定されることが我慢できず、つい八つ当たりしてしまう。
こうやって書くと「最低」って思うけど、心当たりがある人も多いんじゃないでしょうか。

育実に限らず、どの登場人物も、どこかしら自分に当てはまる部分があるんですよね。
見ていると「嫌だな」って思うんだけど、「こんなヤツいないよ」って人はいない。
偉そうな人も、欠点ばかりの人も、孤立している人も、変わっている人も、一方的に否定しない描き方が好きなのです。
ウサギとカメの新解釈
今回のキモは、イソップ童話の「ウサギとカメ」でした。
ウサギに歩くのが遅いことをバカにされたカメが、かけっこの勝負を挑み、ウサギが油断して途中でいねむりしている間に、カメがウサギを追い越して先にゴールする……という話ですね。
過信して油断するなとか、能力が低くても着実に進めば成果を得られるとか、そういう教訓を含んだお話。
でも、虹一くんはその常識に疑問を投げかけます。「どうしてカメはウサギに声をかけなかったんだろう? 倒れていたかもしれないのに」と。
虹一くん、カメの甲羅を虹色に塗っているところを見ても、かなり独創的な少年みたいです。

お母さんは「そんなことより宿題」と一蹴しますが、一輝は一緒に面白がって、その謎について考える。
そして2人がたどりついた答えは、偶然にも同じものでした。
一輝に「ウサギっぽいですね」と言われた育実は、誤解を解こうとして、必死に言い返します。
「こう見えてウサギじゃないんですよ、私。意外と努力型? 器用じゃないけど、こつこつ頑張るタイプで、どっちかというとカメですね」
でも、一輝にとってのカメは、「こつこつ頑張る」動物じゃなかった。
「カメは全然頑張っていません。競争にも勝ち負けにも興味がないんです。カメは、ただ道を前に進むこと自体が楽しいんです。
想像してみてください。地面を這いつくばって前に進むカメにしか見えない世界。地面から数センチの世界。
その素晴らしい世界を楽しむためだけに、カメはただ前に進むんです。カメの世界にもはやウサギの存在などなく、寝ているウサギに声をかけなかったのもそのためです」
そして、育実に向かって、「ウサギはカメを見下すために走るんです。自分はすごいって証明したいんです」と言う一輝。
一輝はまったく悪気がないんだろうけど、これは傷つく。
育実が無自覚だっただけに、面と向かって言われてかなりショックだったんじゃなかろうか……。
こういうちょっと哲学っぽいところも橋部さんらしくて、めちゃくちゃ好きです。
わたしもカメのように自分の世界だけを楽しむことができたらいいな~と思うけど、やっぱり自分の世界だけじゃつまらないな~とも思ってしまう。
わたしはどうしても、ウサギやウサギが見ている世界が気になってしまうんですよね。
謎めいている相河家
一輝は発達障害のようにも見えますが、劇中でそのことに触れる場面はなかったので、わかりません。
森で暮らす陶芸家の祖父(田中泯さん)や、家政婦の山田さん(戸田恵子さん)との関係など、相河家には明かされていない謎がたくさんあるように思います。
ちなみにあの森にそびえ立っていた巨樹は、「フランケンシュタインの恋」のロケ地にもなっていた河内の大杉(静岡県沼津市)らしいです。
樹齢300年以上とあって、圧倒的な存在感が画面越しにも伝わりますねー。立派なお姿でした。
わたし好みのドラマが始まってうれしいです。来週も楽しみ。