BRIDGE はじまりは1995.1.17神戸|カメラが重要な役割を担っていた

カンテレ開局60周年特別ドラマ BRIDGE はじまりは1995.1.17神戸

どうも、夏蜜柑です。
カンテレ開局60周年特別ドラマ「BRIDGE はじまりは1995.1.17神戸」のあらすじと感想です。

すごくよくできたドラマ。泣かずにはいられませんでした。

野村周平さん演じる春日豊がカメラを回す、という設定が生きていました。
24年前の実際の映像が紛れ込んでも違和感がなく、ドキュメンタリーを見ているように臨場感があった。うまく考えたなぁ。

新鮮だったのは、きれいごとでは済まされない当事者の悲惨な状況を描くのと同時に、関西人にとって日常的な「ボケ」と「ツッコミ」を自然な形でドラマに溶け込ませてくれていたこと。

題材が題材なだけにやり過ぎると不謹慎になってしまうところですが、絶妙なバランスでした。これは「私をスキーに連れてって」や「七人のおたく」の脚本家・一色伸幸さんのセンスだろうなぁ(どちらの映画も大好きですわたし)

夏蜜柑

文枝師匠とユースケ・サンタマリアさんはもうちょっと出番あるかと思ったけど。

あらすじ

  • 2018年の秋。佐渡島克也(葉山奨之)は神戸にある阪神・淡路大震災慰霊碑に落書きをして警察に捕まる。そこへ春日と名乗る謎の男(椎名桔平)が現れ、父親のふりをして克也を引き取る。春日は克也をJR六甲道駅に連れて行き、23年前のことを語り始める。
  • 1995年1月17日。阪神・淡路大震災は神戸の街を一瞬で破壊。JR六甲道駅は崩落し、大阪と神戸を繋ぐ東海道本線は分断される。JRから復旧工事を依頼された建設会社「磐巻組」の工事所長・高倉昭(井浦新)は、工期を大幅に短縮する“ジャッキアップ”工法による難工事に挑む。
  • 六甲道で暮らす春日豊(野村周平)は、偶然高倉と出会い、記録係を頼まれる。「磐巻組」の一員として、工事の一部始終をビデオカメラに収める豊。日常を奪われ絶望に陥る街の人々は、高倉たちを「よそ者」扱いしていたが、休む間も惜しんで懸命に働く作業員たちを次第に応援するようになる。
  • 通常2~3年かけて復旧させる規模の工事を、高倉らは2か月半で完成させる。1995年4月1日、ついに分断されていた線路が開通。その後工事を終えた高倉は、数か月ぶりに大阪の我が家へ帰宅する。
  • それから23年後、春日は克也に誰にも言えなかった秘密を打ち明ける。当時、学校を退学になったことで世の中に不満を抱いていたこと。地震が起きた日の夜、仲間たちと街を徘徊し、全壊した家から物を盗んではしゃぎ回ったこと。春日が工事の記録を収めたカメラは、その時盗んだものだった。
  • カメラには、持ち主が撮った幼い少女の映像が残っていた。その家族の生死はわからず、カメラを返したくても一面焼け野原でわからなくなっていた。23年経った今でも、春日はその少女のことが忘れられないと言う。「誰かに許して欲しかった」と語る春日。
  • 克也が席を立ち戻ってくると、春日の姿は消えていた。JR六甲道駅の前に立った克也は、通りがかった警察官に声をかける。

感想

春日の罪と23年分の後悔

実際の映像を違和感なく紛れ込ませるという点、そして春日の罪を象徴するという点において、「カメラ」は非常に重要な役割を担っていたと思います。

同じ出来事を経験しても、みんなが同じことを思うわけじゃない。

地震に見舞われて辛く悲しい思いをした人が大多数を占める一方で、真逆の感情を抱いた人がいたことも事実なのでしょう。春日のように。

その荒んだ感情に身を任せて取った浅はかな行動(全壊した家から物を盗む)は、ずっと彼を苦しめ続けてきた。見た目の印象だと、現在の春日(椎名桔平さん)もあまり幸せそうには見えなかった。

災害を題材にして、日常生活の尊さや逆境に立ち向かう人々の姿を描くドラマは、数多くありました。だけど罪を犯した被災者を描いたドラマは珍しい。

自分の欲求不満のはけ口を他人の不幸に求めるなんて最低だ。だけど現実は美談ばかりじゃなかっただろうと思う。2018年の春日が流した涙には23年分の後悔が現れていて、胸を打ちました。

あの時代はもう過去や。
嫌なことは忘れてええ。
十分すぎる時間がたった。
地震は終わったんや。

春日の言葉がウソだとわかるから、克也(葉山奨之さん)には、同じ後悔を抱える生き方をしないでほしいと願ってしまう。

ラストシーンで彼がどんな選択をしたのかはわからないけれど、春日とは違う道を選んだと思いたい。

大阪と神戸の温度差

春日とは対照的だったのが、「磐巻組」の人たち。

六甲道駅でそんな大変な復旧工事が行われていたとは、全く知りませんでした。実家が阪急沿線だったので、阪急電車のニュースばかり気にしていたのかもしれません。

井浦新さん演じる高倉が、大阪の街と神戸の街の被害の差に驚くシーンがありましたが、事実そうでした。

わたしは大阪市内にいて、室内の物が落下したりエレベーターが停まったりはしたけど、街の景色が変わるようなことはありませんでした。17日当日もいつも通り出勤しました。

梅田の繁華街に出ると、ちょうどバーゲンの時期でいつも以上に混雑していたことをよく覚えています。

テレビに映る神戸の街を朝からずっと見ていたから、女の子たちがバーゲン商品に群がる光景を見ても現実味がなくて、自分がどうすればいいのかもわからなかった(実家は被災したけど大したことはなかった)

そんなふうにわたしがぼんやりと日々を過ごしていた頃、寝る間も惜しんで必死に作業を続けていた人たちがいたと思うと、今さらですが申し訳なく思ってしまいます。

ふぐ丸

JR西日本はこの頃から無茶な注文をしてたんやなぁ。

頑張れば頑張るほど「もっと」を要求してくる人たち、今も大勢いますよね(たいてい自分は何もしない)。どうにかならんもんでしょうか。

復旧工事が終わった後、新聞屋の小比類巻さん(中村靖日さん)が「あんたらはこれで終了」と言っていたけど、高倉(井浦新さん)はまた次の現場へ行って、またゼロから工事を始めるんですよね。

六甲道駅の工事は終わったけど、高倉の仕事はこれからも続くわけで、決して終わりじゃない。ほかの人たちも、みんな。

やまない雨はないんです

借金を返し終わったばかりの店がめちゃくちゃになり、片付けを手伝いに東京から来てくれたボランティアの若者につい愚痴をこぼしてしまう焼鳥屋の源さん(小市慢太郞さん)。

ボランティアの若者は、「神様は乗り越えられない試練は与えません」「明けない夜はありません」「やまない雨はないんです」と励まそうとするのですが、源さんはブチ切れて殴り飛ばしてしまう。

この言葉のチョイスがもう、残念!って感じで。わたしが源さんの立場でもムッとしたと思うわ。自分の言葉じゃないうえに、全然気持ちがこもってないんだもの。「いいこと言ってる自分」に酔っているだけでしょう。

絶望している人に言葉をかけるのは難しい。
相手が自分よりもはるかに年齢が上の人なら、なおさら難しい。

東京から駆けつけてくるくらいだから、この若者も悪い人じゃなかったんだろう。でも、「助けてあげている」という傲慢さは透けて見えた。

夏蜜柑

親身になって愚痴を聞くだけでよかったのかもしれないね。

気になったのは、ユースケ・サンタマリアさんと桂文枝師匠。
思わせぶりに登場したのに、何の活躍もないまま退場してしまいました。

これ、すごく不自然に感じたんだけど、彼らのシーンはカットされたのでしょうか。

ほかにも「カットされているんだろうなぁ」とおぼしき箇所がいくつかあって、なんとなく端折った感は否めませんでした。

しかしそれらを差し引いても、とてもよくできたドラマだったと思います。
個人的に評価したい最大の点は、やはり「笑える」シーンを作ってくれたことだなぁ。

あ、最後にカンテレさん、60周年おめでとうございます。
これからも面白いドラマ作ってください。期待しております。

 

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