映画「ボヘミアン・ラプソディ」感想|クイーンを知らなくても楽しめる

映画「ボヘミアン・ラプソディ」感想

「ボヘミアン・ラプソディ」

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どうも、夏蜜柑です。
現在公開中の映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見てきました。

イギリスのロックバンド「クイーン(Queen)」のリード・ボーカル、フレディ・マーキュリーの生き様を描いたノリノリの伝記音楽映画です。

クイーンを知らなくてもぜんっぜんOKです!
若い世代でも楽しめる、ライブ感満載のエンターテインメントに仕上がっています。

特にラストの「ライヴエイド」のステージを再現したシーンは圧巻。鳥肌ものでした。

以下、少しネタバレを含んでいます。

作品概要

  • 製作国:イギリス/アメリカ合衆国
  • 上映時間:134分
  • 公開日: 2018年10月24日(イギリス)/2018年11月2日(アメリカ)/2018年11月9日(日本)
  • 原題:Bohemian Rhapsody
  • 監督:ブライアン・シンガー
  • 脚本:アンソニー・マクカーテン
  • 製作:グレアム・キング、ジム・ビーチ、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラーほか
  • 音楽:ジョン・オットマン

あらすじ

複雑な生い立ちや、容姿へのコンプレックスを抱えるフレディ。彼が出会ったのは、のちに生涯の“ファミリー”となり、音楽史にその名を残すことになるバンドのメンバーたちだった。

個性的なメンバーの革新的な挑戦によって、誰もが知る名曲が次々に生み出されていく。そしてバンドは、ロックミュージックにオペラを導入した「ボヘミアン・ラプソディ」で、既成概念を覆すことに成功する!

数々のヒット曲を放ち、一躍世界的な大スターとなったクイーン。そしてフレディは、“史上最高のエンターテイナー”とまで称されるようになる。しかし、成功の光に照らされる一方で、孤独の影が忍び寄っていた。

フレディがソロ活動を始め、崩壊寸前となったウイーン。そんな中、バンドは20世紀最大の音楽イベント“ライヴ・エイド”に出演する。永遠に語り継がれるラスト21分のパフォーマンスに秘められた真実とは……。(公式サイトより)

キャスト

フレディ・マーキュリー……ラミ・マレック
メアリー・オースティン……ルーシー・ボイントン
ブライアン・メイ……グウィリム・リー
ロジャー・テイラー……ベン・ハーディ
ジョン・ディーコン……ジョゼフ・マゼロ
ジョン・リード……エイダン・ギレン
ジム・ビーチ……トム・ホランダー
ポール・プレンター……アレン・リーチ
レイ・フォスター……マイク・マイヤーズ
ジム・ハットン……アーロン・マカスカー
ボブ・ゲルドフ……ダーモット・マーフィ
ラリー・マレン・ジュニア……マシュー・ヒューストン
シェリー・スターン……ミシェル・ダンカン

予告動画

予備知識

クイーン(Queen)について

イギリス・ロンドン出身の男性4人組ロックバンド。全員が作詞作曲を行う。

フレディ・マーキュリー(リードボーカル 、ピアノ)、ブライアン・メイ(ギター)、ジョン・ディーコン(ベース)、ロジャー・テイラー(ドラム)の4人が揃った1971年を正式なバンド結成の年としている。

1973年、ファーストアルバム「戦慄の玉女」を発表。イギリスのメディアからは「レッド・ツェッペリンの二番煎じ」と酷評される。
1974年、3枚目のアルバム収録曲「キラー・クイーン」がヒット。

初来日は1975年4月で、羽田空港に3000人を超すファンが殺到。
熱狂的な歓迎を受けたメンバーは、以来親日家に。

1975年、シングル「ボヘミアン・ラプソディ」が全英9週連続1位の大ヒットを記録。その後もメガヒットを連発する。

1983年、バンド活動を一時的に休止し、各自ソロ活動に専念。
1984年、活動を再開。シングル「RADIO GA GA」が大ヒット。

しかしこの頃からメンバー間の対立が深刻化し、険悪になる。
後に「1985年7月のライヴ・エイド出演がなければ解散していたかもしれない」とメンバーが語っている。

1985年、20世紀最大のチャリティーコンサート「ライヴエイド」に出演。これが大きな反響を呼ぶことに。

1991年11月24日、フレディがHIVに感染していることを声明文で発表。
翌25日、フレディがHIV感染による免疫不全が原因で引き起こされた肺炎により死去。享年45歳。

1995年、残された音源や過去の楽曲に3人のメンバーが重ね録りし、フレディの死から4年を経てラスト・アルバム「メイド・イン・ヘヴン」を発売。

「メイド・イン・ヘヴン」は現在までに全世界累計2000万枚以上ものセールスを記録し、クイーンのスタジオ・アルバムとしては最大のヒット作となった。

「ボヘミアン・ラプソディ」について

「ボヘミアン・ラプソディ」は、クイーンが1975年10月31日に発表した楽曲で、4枚目のアルバム「オペラ座の夜」からの先行シングル。フレディ・マーキュリー作詞・作曲。

アカペラ→バラード→オペラ→ハードロック→バラードという曲の構成になっています。

「ママ、人を殺してしまった」という独特の歌詞は、フレディが今までの自分に別れを告げ、ゲイとして生きる決意を綴ったものとも言われていますが、フレディ自身は歌詞の意味について何も語らずにこの世を去りました。

レコード会社は長すぎる演奏時間(約6分)を嫌がり、当初「ラジオで流してくれない」と難色を示していたそうです。発売前、フレディとロジャーが知り合いのラジオDJケニー・エヴェレットにコピーを渡したところ、ケニーはこの曲を聴いて衝撃を受け、すぐに自身のラジオ番組で流しました。放送後、リクエストが殺到したと語っています。

その後制作された斬新なプロモーションビデオも功を奏し、世界中で大ヒット。全英シングルチャートでは9週連続1位を獲得しました。

感想

わたしは若くありませんが、クイーンのことはほとんど知りません。
「We Will Rock You」や「We Are the Champions」は若い頃によく耳にしたけど、曲名は知らなかった。

映画を見た日、帰宅してから夫にクイーンのアルバムを借り、ずっと聴いていました。
映画を見て気になった曲や、メンバーについて調べたりもしました。

洋楽に詳しくないわたしでも、フレディ・マーキュリーのことは知っていました。

エイズが猛威を振るっていた1991年、HIV感染を発表したこと。
亡くなったのはその翌日で、世界中に大きな衝撃が走ったこと。

わたしにとっては楽曲よりもその衝撃のほうが生々しく記憶に残っていたため、この映画も「悲劇」だろうと思っていたのですが、ぜんぜん違いましたね。

伝記映画=真面目で暗い、という先入観は、この作品に関してはいったんリセットしたほうがいいかもしれません。

まるで本人のようにそっくり

まず、驚いたのは完成度の高さ。

クイーンのメンバーを演じる俳優が、そっっくりなんです。
よくこんな似た人を見つけてきたなぁと感心したくらい(決まるまでには紆余曲折あったようですが)

劇中の歌唱シーンは、主にフレディ本人の音源を使っているらしいですが、一部ラミ・マレック(フレディ役の俳優)本人の声や、クイーンの公式コピーバンドのボーカルを務めるマーク・マーテルの声を使用しているそうです。

ラミ・マレックは見た目そんなに似てないんだけど、ステージでの動きはそっくりでしたね。

ステージ以外の場所で見せる繊細な表情や自信なさげな佇まいも、心に刺さりました。
わたしはフレディが私生活で見せる顔なんて知らないんですけどね……。

本当にフレディがそこにいるかのようでした。

胸熱のライヴエイド

メンバー間の対立が深刻化し、崩壊寸前だったクイーンが復活するきっかけとなったのが1985年の音楽イベント「ライヴエイド」だと言われています。

映画では、この「ライヴエイド」の盛り上がりを細部まで忠実に再現しています。

わたしは当時こんなイベントをやっていたことすら知らなかったのですが、夫はテレビで見たと言っていました。わたし、何してたんだろうなぁ(笑)

この記事を書く前に実際の「ライヴエイド」の映像を見ましたが、いやーもうそのまんまでしたね。フレディが弾くグランドピアノの上に並べられたペプシコーラの紙コップまで、そのまんま。

このシーンを劇場で見たときは、30年という時間を超えて、自分もライヴエイドの会場にいるような気分になれました。

なんというか、ここまで忠実に再現してくれたことに感謝したい気持ちになったんですよね。
クイーンのファンでもなんでもないのに、「見せてくれてありがとう」っていう気持ちになった。

それくらい作り手の熱が伝わってくるシーンでした。

あと、この映画は音楽がメインなのですが、カメラワークもいいです。
これから見に行く方は、そこもぜひ注目してください。

光と影

ライブシーンがこの映画の「光」ならば、「影」にあたるのはフレディが抱え続ける孤独。

フレディの本名は「ファルーク・バルサラ」といい、両親はペルシャ系インド人です。
自身も幼少期の大半をインドで過ごし、イギリスに渡ってきたのは17歳のとき。

名前を変えたことからも察することができますが、彼は出自についてコンプレックスを抱いていたらしく、メンバー間でもその話を避けていたようです。

ゲイ(バイセクシャル?)であることも、さらに彼を孤独に追い込むことになったでしょう。
映画では軽い描写にとどめていましたが、おそらく私生活はかなり荒れていたと思われます。

成功を手にして世界中から賞賛されても、夜、家の中にはひとり。
寄り添う人は誰もいない。

バンドのメンバーたちはみな結婚し、家族がいて、家で帰りを待つ人がいる。
この絶望的な疎外感は、つい最近までわたしが感じていたものと同じでした。

ライヴエイドの直前、フレディは医師からHIV感染を宣告されます。

彼のセリフは一言もなく、サングラスをかけているため瞳も見えない。それでも彼の孤独と絶望が伝わってきて、泣きそうになる。

このあたりの時系列は映画用に変更されているようですが、フレディの絶望という「影」を見たからこそライヴエイドでの「光」がいっそう輝き、感動を与えたのだと思います。

フレディの晩年は、劇中では描かれませんでした。
フレディがこの世を去るとき、淋しさや悲しさを柔らかく包み込む「光」が共にあったことを、願わずにはいられない。

マレーネ・ディートリッヒのポスター

マレーネ・ディートリッヒ

マレーネ・ディートリッヒ

劇中、女優マレーネ・ディートリッヒのポスターが象徴的に出てきます。
最初は、シャイで自信なさげだった長髪痩身のフレディが、小さな部屋に飾っていたポスターとして。

その後、成功を収めた彼は髪を短く切って髭を生やし、豪邸に引っ越します。
その豪邸の壁にも、やはり同じポスターがありました。

フレディを取り巻く環境は大きく変わったのに、ポスターだけは変わらない。
気になったので調べてみたら、重要な意味を持つ写真でした。

1974年発売のアルバム「クイーンⅡ」のジャケットは、この写真を模倣して撮られています。さらに、「ボヘミアン・ラプソディ」のプロモーションビデオでも。

その後、この「暗闇に顔が浮かび上がる」映像は、クイーンを象徴するものになっていきます。

マレーネ・ディートリッヒは、“100万ドルの脚線美”と謳われた美しい脚線美で世界中を悩殺した20世紀を代表する大女優。バイセクシャルだったと言われています。

恋愛に対しては開放的で、男性とも女性とも自由に愛を交わし、恥じることも隠すこともなかったそうです。

フレディは、自由で美しい彼女に憧れていたのかもしれません。

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