映画「ラ・ラ・ランド」感想|ラストシーンに隠された仕掛けがすごい

映画「ラ・ラ・ランド」

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どうも、夏蜜柑です。
WOWOWで放送された映画「ラ・ラ・ランド」を見ました。

アカデミー賞6部門など数々の賞を受賞した、いわずとしれた2016年の話題作です。もうさんざん語り尽くされているので今さらですが、やっぱり良かったので。

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

基本情報

  • 製作国:アメリカ合衆国
  • 上映時間:128分
  • 公開日: 2016年12月9日(アメリカ)、2017年2月24日(日本)
  • 原題:La La Land
  • 監督:デミアン・チャゼル(「セッション」「10 クローバーフィールド・レーン」)
  • 脚本:デミアン・チャゼル
  • 音楽:ジャスティン・ハーウィッツ

あらすじ

夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミアは女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末の店で、あるピアニストの演奏に魅せられる。彼の名はセブ(セバスチャン)、いつか自分の店を持ち、大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合う。しかし、セブが店の資金作りのために入ったバンドが成功したことから、二人の心はすれ違いはじめる……。(公式サイトより)

キャスト

  • セバスチャン・ワイルダー……ライアン・ゴズリング
  • ミア・ドーラン……エマ・ストーン
  • キース(セブの旧友)……ジョン・レジェンド
  • ローラ(セブの姉)……ローズマリー・デウィット
  • デヴィッド(ミアの夫)……トム・エヴェレット・スコット

感想(ネタバレあり)

ストーリー的には、想像していたまんまの内容でした。
まさに王道。どこかで見たシーンのオンパレードです。

だけど、最後に心を揺さぶる仕掛けが用意されていて、見終わった後もずっと余韻が続いています。あのラストがなかったら、間違いなく「面白かった」だけで終わっていました。

もっとあっけらかんと明るい、歌って踊って楽しくいこうぜ!みたいなノリなのかと思っていましたが、中盤以降は音楽もストーリーも切なく、ラストシーンの余韻のせいか予想よりもしっとりした作品という印象です。

そして意外だったのは、登場人物がきわめて少ないこと。
ほぼ主人公の男女ふたりで進む、シンプルなストーリーでした。

違和感は、作り込まれた世界

ジャズ・ピアニストと女優という、ロサンゼルスで夢を追うセブとミアが偶然出会い、恋をするあたりまでは、実はあんまり面白くない(ちょっと寝そうになった)

色彩はとてもカラフルで、どことなく懐かしい。昔の映画はカラーを意識しすぎてとにかく原色一辺倒だった。その頃を思わせる色使い。

時代設定は現代らしいけど、セブが乗る車は昔のアメ車だし、女性たちが着るドレスのデザインは古いし、スマホは登場してもメールを使う場面は出てこない。全体的に昔懐かしさが漂う作り。

でも、ダサくはない。とってもオシャレ。

有名なマジック・アワー(日没直後の薄明の時間帯)のタップダンス、グリフィス天文台でのワルツなど、恋人たちのダンスシーンはどれも美しく幻想的。

でも、これらの要素は、わたしの心にはさほど刺さりませんでした(宣伝などで、これらの映像が繰り返し流れたせいかもしれません)

むしろ、作り物くさくて、なんだか入り込めないなぁと思っていました。

夢を追う恋人たちは、いずれ再会する

夢中になったのは、セブがミアのために音楽へのこだわりを捨て、お金になるバンドの仕事を引き受けるあたりから。

古き良きジャズを愛するセブは、いずれ貯めたお金で自分の店を持とうと夢見ていたのですが、順風満帆なバンドメンバーとしての仕事に甘んじるようになります。

いつまでたっても芽が出ないミアと、成功を手に入れたセブは、物理的にも精神的にも距離が開いてしまう。

ミアの一人芝居の初日にセブが仕事で来られないとか、ミアが夢を諦めて田舎に帰ったとたんミアの舞台がキャスティング担当者の目に止まるとか、どこかで見たようなオーソドックスな展開が続くのですが、テンポが良いので飽きません。

愛を誓い合いながらも、オーディションに受かってパリへと旅立つミア。ロサンゼルスに残って夢を追うセブ。

いつか再びめぐり逢う日が……と、見ている人は誰もが思うはず。

フィクションを現実に変えるもの

予想通り、5年後、2人はセブの店で偶然めぐり逢います。
しかし、そこで見せられるのは、わたしたちが望んだ結果ではなく。

ミアは女優として成功を収め、結婚し、優しい夫と子供のいる家庭を手に入れていました。一方セブも、念願だった古き良きジャズを楽しむ店を経営し成功させていました。

たまたま、夫と通りかかった店に入るミア。
大勢の客に紛れて席に着いたミアの目に、ステージに立つセブの姿が。
セブもまた、客席にいるミアに気づきます。

そこでセブが奏でるのは、2人を引き合わせた美しくも切ないナンバー。
この曲がまた……とってもいいんです。

2人の心は一気に時を遡り、初めて出会った場所へと連れ戻されます。
そこからふたたび始まる、2人のもうひとつの人生。

ミアとセブは出会った瞬間から惹かれ会い、ミアの独り舞台は大成功し、セブはミアと一緒にパリへ行き、ジャズ・ピアニストとして成功し……。

何もかもが、絵に描いたように上手くいく。
これ、一見やり直しの人生を描いたようにも見えるけれど、そうじゃない。

2人は選択肢を間違えたわけではないから。

だからこれは、2人がこの一瞬に思い描いたありえない妄想。
妄想だから、とびっきり楽しく、とびっきりカラフルに、まるで古い映画を模倣したようにふざけて作られている。

そうなんです。この「妄想」が描かれたことで、この瞬間まで「古い映画を模倣した作り物」だったミアとセブの世界が、一瞬でリアルになったんです。

妄想から醒めた2人は、ほんのわずか微笑み合っただけで、それぞれの人生に戻っていく。

2人が心に残している後悔や、夢と引き換えに失ったものへの未練が、リアルに胸に迫ってきて切なさMAXでした。なんという余韻を残して終わるんだ!

そしてやっぱり、古き良き懐かしき映画が観たくなりましたね。


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