ネタバレ有*映画「前田建設ファンタジー営業部」マジンガーZの格納庫を作れ!笑って泣ける大人の青春映画

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映画「前田建設ファンタジー営業部」のあらすじと感想です。

マジンガーZの格納庫作りに本気で挑んだ〈前田建設〉のサラリーマンたちの物語。実話をベースにした笑って泣ける最高のエンターテインメントでした。

最初はあまりのバカバカしさに笑いながら見ていたんですけど、だんだん前のめりになり、気がついたら夢中になって、最後は感動していた…という感じ。

架空の建設計画に本気で取り組むサラリーマンたちが、とにかく熱くてカッコよくて面白いです!

しかしマジンガーZが出てくるあのプールが汚水処理場だったとは…初めて知ったよ。

作品概要

  • 製作国:日本
  • 上映時間:115分
  • 公開日:2020年1月31日
  • 原作:前田建設工業株式会社『前田建設ファンタジー営業部1 「マジンガーZ」地下格納庫編』(幻冬舎文庫)/永井豪『マジンガーZ』
  • 脚本:上田誠(「サマータイムマシン・ブルース」「ペンギン・ハイウェイ」)
  • 監督:英勉(「ぐらんぶる」「映像研には手を出すな!」)
  • 音楽:坂本英城
  • 主題歌:氣志團「今日から俺たちは!!」

予告動画

原作について

前田建設ファンタジー営業部

この作品の原作1つめは、前田建設工業株式会社の『前田建設ファンタジー営業部1 「マジンガーZ」地下格納庫編』です。

実在の大手ゼネコンが「マジンガーZ地下格納庫一式工事」に真剣に取り組む過程を綴ったノンフィクション。第36回星雲賞ノンフィクション部門を受賞しています。

2013年には映画版の脚本を担当した上田誠さんの脚本・演出で舞台化もされました。

マジンガーZ

2つめは、永井豪さんの『マジンガーZ』。1972年~1974年に放送されたアニメ(同時進行で漫画も連載)。全92話、平均視聴率22.1%。

子供の頃大好きで、夢中で見てました。この映画を見る前に数十年ぶりに見てみたら(U-NEXTで全話配信されてます)意外と細かい部分まで覚えていたので、きっと再放送などで何度も見てたんだろうなぁ…と。

格納庫からマジンガーZが登場し、タイトル、そして水木一郎さんが歌う主題歌へと流れるオープニングの一連の場面は、何度も見てもワクワクさせられます。

マジンガーZに関する予備知識

マジンガーZ
全長18m、重量20tのスーパーロボット。Dr.ヘルの野望を阻むため、兜博士(主人公の祖父)が別荘の地下で密かに建造した。装甲は超合金Z(架空の合金)、動力は光子力エンジン。決め技はロケットパンチ、ブレストファイヤー、光子力ビームなど。

光子力研究所
光子力(架空のエネルギー)開発のために作られた研究所。初代所長は兜博士で、弓教授は二代目。マジンガーZを汚水処理場の地下に格納している。富士山麓・青木ヶ原近辺にあるという設定。

兜甲児
主人公。マジンガーZのパイロット。16歳の高校生。

弓さやか
ヒロイン。弓教授の一人娘。

兜十蔵博士
主人公の祖父。マジンガーZを建造するも、第1話で敵の襲撃を受けて死亡。

弓弦之助教授
光子力研究所の最高責任者。さやかの父で、兜博士の一番弟子。

Dr.ヘル
悪の天才科学者。古代ミケーネの遺跡に残されていたロボット技術をもとに機械獣軍団を作り、世界征服を狙う。

あしゅら男爵
Dr.ヘルが古代ミケーネ人の夫婦のミイラを一体化して作ったサイボーグ。右半身が女で左半身が男。

登場人物(キャスト)

土井航(高杉真宙)
総合企画部・広報グループに所属する冷静かつドライな若手社員。建設にもアニメにも興味がなく、熱くなっていくメンバーたちを冷めた目で見つめていたが…。

別所駿太(上地雄輔)
広報グループ主任。元土木設計部。浅川の企画から逃れようと画策するが、警備員の河野に期待を寄せられ、かつての熱い気持ちを蘇らせる。

江本千紗(岸井ゆきの)
広報グループに所属するやる気のない女性社員。土井同様、浅川の企画には消極的だったが、土質担当の山田と出会ったことで掘削の魅力にハマる。

近田博樹(本多力)
広報グループに所属するアニメ大好き部員。「マジンガーZ」のDVDを全巻揃えている。浅川の企画に最初から乗り気で、マジンガーZの格納庫について熱く語る。

浅川輝之(小木博明-おぎやはぎ-)
広報グループ長。面倒くさい熱血上司。ある日突然「前田建設ファンタジー営業部」と立ち上げ、土井たちをメンバーに引きずり込む。

山田純平(町田啓太)
土木研究所・土質担当。掘削にかける愛が半端なく、一般人は彼の会話についていくことができない。江本も最初は敬遠していたが…。

不破俊美(六角精児)
土木部・機械グループ担当部長。浅川にダム建設の全てを叩き込んだレジェンド。土井に格納庫の欠陥を教え、問題解決へと導く。

河野保(鈴木拓)
警備員。「マジンガーZ」の大ファン。影ながらファンタジー営業部を応援する。中盤、彼のある指摘によって大問題が発生する。

入江雄一郎(山田純大)
土木営業部・第一部課長。ファンタジー営業部の噂を聞きつけ、「営業に支障が出る」と別所を脅す。

田崎敏和(鶴見辰吾)
前田製作所の技術部・設計課課長。

堀部操(濱田マリ)
栗本鐵工所の鉄構事業部・企画開発部部長。

野宮稔明(高橋努)
Hitz日立造船の鉄都市施設エンジニアリング部係長。

デスラー総統(水上剣星)

永井豪(本人)

あらすじ

2003年。前田建設工業の広報グループに所属する土井(高杉真宙)は、ある日上司の浅川(小木博明)から「うちの技術でマジンガーZの格納庫を作れないか?」と持ちかけられる。

冗談だと思い適当に話を合わせる土井だったが、なんと浅川は本気だった。広報企画として〈ファンタジー営業部〉を設立し、“実際には作らない格納庫”の建設計画をウェブで連載するという。

浅川の無謀な企画に巻き込まれた土井、別所(上地雄輔)、江本(岸井ゆきの)は、なんとか諦めさせようとするが、アニメオタクの近田(本多力)だけはやる気満々。

当初は逃げ腰だった元土木設計部の別所も、偶然会話を聞いていた警備員の河野(鈴木拓)からファンの熱い思いをぶつけられ、企画に前向きになる。

さらに江本までもが土質担当の山田(町田啓太)の影響を受け、掘削オタクに変身。企画にのめり込んでいく。

アニメ「マジンガーZ」に登場する格納庫は汚水処理場の下に隠されていたが、現実世界の常識が通用しない構造や、あいまいで辻褄の合わない設定にメンバーたちは翻弄される。

ひとり熱くなれない土井は、機械グループ担当部長で“レジェンド”と呼ばれている不破(六角精児)に格納庫の致命的な欠陥を指摘される。問題解決のために資料を読みあさり、いつしか夢中になる土井。

さらに、河野がアニメの第69話に「マジンガーZが格納庫内で横移動する」場面があったことを思い出し、仕様が一からやり直しになるという大問題が発生。

横移動とジャッキアップを可能にするアイデアを思いつけず、八方塞がりの状態となったメンバーは、専門の機械メーカーに助言を求めることに。

前田製作所の田崎(鶴見辰吾)、栗本鐵工所の堀部(濱田マリ)、Hitz日立造船の野宮(高橋努)らが熱い思いに応え、協力を申し出る。

こうして〈マジンガーZ格納庫兼汚水処理施設構築工事〉の施工計画書が完成。工期6年5か月、工事金額72億円という結論が出る。

会議の途中に居眠りをした土井は、実際にミケーネ帝国が復活し、機械獣が襲ってくる夢を見る。夢の中でメンバーたちはアニメ世界の弓教授とやりとりをし、地球を救うために格納庫を完成させることを約束する。

広報企画はYahoo!で取り上げられ、前田建設工業のウェブサイトにアクセスが集中してサーバーがダウンする騒ぎとなる。第2弾への意欲を見せる浅川は、デスラー総統(水上剣星)から発注を受ける。

感想(ネタバレ有)

マジンガーZの格納庫を作れ!

マジンガーZの格納庫を設計し、工期も見積も出すけれど、実際には作らない。彼らが取り組むのは、あくまでウェブ上の広報企画として立ち上がった「架空の建設計画」です。

ファンタジー世界からの受注を実現させるために、“空想世界通信装置”なるものを作った…という設定まで用意しているのだから、恐れ入る。そこから舞い込んだ初めての受注が、弓教授からの「マジンガーZ格納庫建設依頼」だったというわけです。

そんな「意味がない」ことに本気で挑んだ会社員と技術者たちのドラマが、TBS日曜劇場もびっくりの熱量で描かれます。すっごくバカバカしいんだけど、これが不思議とグッときちゃうんです!

ひとりひとりの物語が生きている

アニメを現実に置き換え、具体的に進められるリアルな建設計画の面白さ。計画の進行とともにメンバーの心が変化していき、やがて一体となって最大の難題にぶつかるという展開も胸熱です。

メンバーひとりひとりの物語をしっかり描き、ストーリー展開に生かしているところにも好感が持てます。

かつては土木設計部のエースだった別所が、再び熱意を取り戻す復活劇。江本と山田の掘削ラブロマンス。クールな主人公・土井は、機械グループの“レジェンド”不破によって覚醒します。

「建設業は、まだまだ人をワクワクさせられる」という不破のセリフが土井の胸を熱くさせたとき、見ているわたしの胸も熱くなっていました。

ちなみに小木博明さんが演じた熱血上司・浅川は、前田建設の総合企画部・広報グループ長である岩坂照之さんがモデル。小木さんいわく「熱血でいかにも周りに慕われていそうな方で、人当たりもやわらかくていい感じの人」らしいです。

壮大でリアルなロケーション

実際に格納庫を作るわけではないので会議室が中心ですが、本物の社屋やトンネル、ダムなどのリアルな建造物が物語を盛り上げる要素になっていたのもポイント。

劇中の前田建設のオフィスは、実際に前田建設が以前本社を構えていた光ヶ丘のビルが使用されています。

掘削の場面では福島の広瀬トンネルが、ダムの場面では静岡の長島ダムが、いずれも前田建設が実際に手掛けた場所として、ロケ地に選ばれています。

後半登場する〈前田製作所〉は長野にある本社で、〈Hitz日立造船〉は千葉にある工場で、〈栗本鐵工所〉は東京にあるオフィスの一角で、それぞれ実際に赴いて撮影したそうです。

笑えるのに胸を打つクライマックス

最大の見どころはクライマックスの「横移動&ジャッキアップ」なのですが、格納庫の中でマジンガーが横移動するというとんでもない事実に気づくシーンが面白すぎて、何度見ても笑えます。

バカバカしさと真剣さのギャップが最大になる場面で、笑えるのに胸を打つという意味不明な感情に見舞われます。もう最高。そこから他者に協力を求める展開もエモーショナル。

巨大建築物にはさほど興味もなく知識もないわたしですが、「現実世界で建設するとなると、こんなにも大変なのか…」と感心しきりでした。

最後は現実とファンタジーが混ざり合い、ちょっと不思議な終わり方。それもまたよかったです。デスラー総統が直々に依頼されたのだから、ぜひ第2弾も作ってほしい。

でも何を依頼したんだろう??

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