WOWOW「今日、帰ります。」感想|幸せな人生について考える

ドラマW「今日、帰ります」感想

「今日、帰ります」

どうも、夏蜜柑です。

3月10日放送のWOWOW単発ドラマ「今日、帰ります。」(第1回WOWOW新人シナリオ大賞受賞作)の感想です。

ほっこりと心が温かくなるドラマでした。

ロケ地の自然の景色が美しいこともあって、映像がとてもきれいです。
音楽もわたし好みで、見ていて穏やかな気持ちになれました。

ストーリーはありきたりなんですが、家族のために変わろうとする不器用な主人公から目が離せなくなり、自然と引き込まれていきます。

木南晴夏さんの、田舎の景色に溶け込むようなナチュラルな演技がとてもよかった。
夏木マリさんはさすがの存在感。一見怖そうだけど優しい“都会の魔女”風おばあさんがぴったりでした。

番組概要

  • 脚本:圓岡由紀恵
  • 脚本協力:藤井道人
  • 監督:藤井道人(『オー!ファーザー』『青の帰り道』『デイアンドナイト』)
  • 音楽:岩本裕司(『青の帰り道』「日本ボロ宿紀行」)

あらすじ

安定した収入、安定した生活……。
東京の銀行で働く森田克博(伊藤淳史)は、家族のために毎日黙々と仕事に励んでいた。しかしある日突然、妻の千佳(木南晴夏)が息子を連れて家を出て、山梨にある千佳の実家へと帰ってしまう。それから別居生活1年。克博は山梨の家に月1回通っていたが、千佳からは「山梨で一緒に暮らしてほしい」と言われて困惑する。
そんな中、克博は、毎日何回も連絡してきては担当者を困らせることで有名な“厄介なおばあさん”、
近藤波子(夏木マリ)の担当に。克博の身の上を知った波子は、「離婚一歩手前だ」と克博にキツい言葉を浴びせるが、週末だけでも山梨で義父の田端恒三(西岡德馬)が営む農業を手伝うよう提案。さらに“エンディングノート”ならぬ“ビギニングノート”を克博に手渡す。ノートには、克博が“家族と一緒に暮らすためにやるべきこと”が書かれており、克博は半信半疑ながらも課題を一つずつクリアしていく。
(WOWOW公式サイトより)

キャスト

森田克博……伊藤淳史
森田千佳……木南晴夏
近藤波子……夏木マリ
田端恒三……西岡德馬
森田貴裕……小林未来
田端沙千子……河野うさぎ
勝俣涼平……笠松将
吉川喜一……戸田昌宏

感想

落ち着いた雰囲気の、優しいドラマでした。

結末も無理がなく自然でしたし、そこに至るまでの過程も(普通に考えると難しいのですが)、夏木マリさんの魔力?もあってかすんなり受け入れられました。

中身のない言葉でごまかす主人公

東京で銀行マンとして働く克博は、妻・千佳と息子と1年前から別居中。
本人は「合意の別居」と暢気に語りますが、夫婦仲がよさそうには見えません。

実は千佳が突然山梨の実家に帰ったのには事情があるのですが、克博はまったく気づいてない。「実家で腰が悪い父親の仕事(トマト栽培)を手伝う」という理由を信じ込んでいます。

克博は虫が大嫌いで、トマトはもちろん農作物にはなんの興味も持てない。田舎で暮らすなんてありえないと思っているのに、千佳に「こっちで一緒に暮らしてほしい」と言われ困惑するばかり。

克博役の伊藤淳史さんの演じわけが上手かったですね。
前半の克博が語る言葉は、うわべだけで中身がスカスカ。

家族に対しても、仕事のお客に対しても、本心からの言葉ではないことがありありとわかります。

波子が作ったビギニングノート

そんなとき、克博は“厄介なおばあさん”として有名な客・波子の担当になります。
なぜか波子に気に入られ、アレコレと用事を言いつけられる克博。

独り身の波子はエンディングノートをつけていて、自分の死後の財産管理を克博に依頼します。

さらに、克博が家族とうまくいっていないことを知ると、波子は克博のために「ビギニングノート」を作ります。

  • 反省すること
  • 妻の苦労を知ること
  • 苦手なものを克服すること
  • 必要なことを把握し、実践すること
  • 興味のなかったものに興味を持つこと
  • 山に登る
  • 今の仕事は疎かにしないこと

最初は渋々だったのに、虫を飼ったりトマトを育てたり、料理をしたりジョギングをしたりするうちに、だんだん楽しさに目覚めていく克博。

克博の変化に気づいた妻の千佳も、息子の貴博も、克博に心を開くようになります。

木南晴夏さんがホントいいんですよね。
ほとんど笑ってないのに、無表情じゃないんですよ。

その都度、千佳の言葉に出せない心情が伝わってきて、切なくなります。

「2011年3月11日」という日付

後半は泣ける要素が多いです。
息子とトランシーバーで会話するくだりとか、もうダメですね。泣けて泣けて。

波子おばあさんは、ひとり息子を震災で亡くしています。

その事実をセリフで直接的には語らず、波子の個人情報の中の「2011年3月11日死亡」という記述だけで伝えていたところも切なかった。

波子は克博に、亡くなった息子を重ねていたんですね。

幸せな人生とは

安定した収入、安定した仕事。
安定した生活こそが幸せな人生だと考えていた克博。

でも、それだけが幸せではないことに、克博は気づきます。

始まりに向けて準備すること。
そして終わりに向けて準備すること。

何が起きるかわからない世の中だからこそ、今目の前にある物事に、もっと一生懸命に向き合うこと。

いまこの時間を、わたしは大切に生きているのかな。
明日じゃなく今日できることをちゃんとやっているのかな。

平穏な暮らしに感謝して、心から楽しんで生きているのかな。

と、自問自答してしまいました。


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