NHKドラマ「フェイクニュース」前編|誰もが加害者になりえる

ドラマ「フェイクニュース」あらすじ感想

どうも、夏蜜柑です。
NHK土曜ドラマ「フェイクニュース」前編。

すごいドラマだった。
見る前から「覚悟して見なければ」と思っていましたが、想像以上に攻めてましたね。

徐々に謎が明らかになっていく過程は、純粋にドラマとして面白かった。

だけど、毎日ブログやTwitterを利用している身としては、ヒヤッとする場面も多く、わたしがこのドラマの感想を書くことは許されるのだろうか……と真剣に考えてしまいました。

夏蜜柑

身につまされる。

ふぐ丸

でも面白かった。

以下、ネタバレを含みます。

前編のあらすじ

  • 東日本新聞社からネットメディア「イーストポスト」に出向してきた東雲樹(北川景子)は、インスタント食品「鶴亀うどん」の青虫混入事件について取材する。
  • 樹は、SNSに青虫混入の投稿をした〈木から落ちない日本猿〉(光石研)に直接会って話を聞き、「鶴亀うどん」の製造元である「鶴亀屋食品」にも取材をした結果、青虫混入はウソではないかという印象を抱く。
  • 樹は「青虫うどん事件に見る企業対応の難しさ」というタイトルで記事を書くが、編集長の宇佐美(新井浩文)は「青虫うどんの真相! 愉快犯の仕業?」というタイトルに変えて掲載してしまう。
  • 樹の記事は50万PVを稼ぎ、勝手なタイトル変更に怒っていた樹も反論を飲み込む。その後、「鶴亀屋食品」の親会社である「テイショーフーズ」の奴隷労働を暴く米CSSの記事が拡散されるが、それは巧妙に仕掛けられたフェイクニュースだった。
  • 〈木から落ちない日本猿〉の正体が、老舗菓子メーカー「八ツ峰製菓」の商品開発部部長・猿滑昇太であることを突き止めた樹は、猿滑の会社を訪ね面会を求める。だが猿滑は密かに会社を抜け出し、「イーストポストの女記者が圧力をかけてきた。消される」とSNSに投稿。
  • 猿滑の投稿をきっかけに、樹の個人情報や、樹が過去にある人物にテコンドーの技を決めて病院送りにしたことなどが、たちまち拡散される。その中には全くのデタラメもあり、辟易する樹。
  • 「テイショーフーズ」の広報部長・松村(神保悟志)は記者会見を開き、SNSで「鶴亀屋食品」と「テイショーフーズ」への誹謗中傷を繰り返していた人物が八ツ峰の社員であることを公表。ライバル企業の評判を落とすために仕組まれた卑劣な行為だと断罪する。
  • 猿滑の個人情報が拡散され、会社にはマスコミが殺到。自宅にも野次馬が集まる。パニックに陥った猿滑は、イーストポストに駆け込み樹を責め立てる。猿滑は、自分の会社がコンペを争っていたのが「テイショーフーズ」だとは知らず、青虫混入もウソじゃないと叫ぶ。
  • その頃、「鶴亀屋食品」の社長・沖田(おかやまはじめ)のもとに、元社員の春田(駒木根隆介)から罪を告白する手紙が届く。青虫を混入したのは春田だった。先輩に怒られ、ほんの出来心だったという。
  • 樹は、元同僚の西(永山絢斗)から、かつて自分がセクハラを受けて病院送りにした元官僚・最上(杉本哲太)が県知事選に立候補しており、経済政策の目玉として「テイショーフーズ」を誘致、大規模な開発計画をもくろんでいる事実を知らされる。
  • 樹は、猿滑の何気ない投稿が、最上の政治活動に利用されたのではないかと疑う。

前編の感想

ぎっしり詰まった密度の濃い50分でした。

猿滑を演じた光石さんがすごかったねぇ。
もう終始猿滑にクギヅケでした。

〈木から落ちない日本猿〉の正体

猿滑は、〈木から落ちない日本猿〉というアカウント名で投稿してまして。

このふざけたアカウント名が絶妙だったと思うんですよ。
ちょっとアブナイ感じがしません?

それでいて、「猿滑」という本名が明らかになると、一気に笑いに転換されるという。

余談ですが、サルスベリ(猿滑/百日紅)という植物は、実際には簡単に猿が上れる樹木らしいです。見たことないけど。

ブラインドを下ろした真っ暗な部屋でパソコンに向かう猿滑。
オーソドックスな演出に、まんまと騙されてしまいました。

彼が登場するたびに、少しずつ化けの皮が剥がされていくのが面白かったです。
以下、わたしの猿滑の印象を時系列に並べてみました。

「なんで南海ホークスの帽子?」
「クレーマー? なんか面倒臭そうな人」

「なに食べてんのこの人。ブキミ」
「ああ~怒らせちゃった。ヤバいって」

「反撃始まった。コワッ」
「何者だよ?」

「???竹取の里???」

「あれっ……なんか可哀想な人?」
「あれっ……どこにでもいる人?」

「普通のおっちゃん……」

結局、猿滑はアブナイ人でも異常なクレーマーでもなかった。
どこにでもいる閑職のサラリーマンだった。
しかも、ネットやパソコンに精通していない素人だった。

うどんに青虫が混入していたのは本当で、それをなんとなくつぶやいたらバズってしまった。
それで調子に乗って、製造元や親会社を叩く投稿を重ねたという流れ。

本人は「ものづくりの心を大切にしてほしかった」と言っていたけど。

後編があるので、まだわからないですけどね。
ドンデン返しがあるかもしれない。

でも、ラストシーンの猿滑の様子を見る限り、ウソをついているようには見えなかった。

何の気なしにつぶやいた一言が、結果的に自分を破滅に追い込んでしまう。
SNS利用者のひとりとして、他人事とは思えませんでした。

ひとりひとりは罪の意識がない拡散

猿滑の「青虫混入」の投稿は、あっという間に拡散。

わたしはTwitterが苦手なのであまり積極的に使ってないけど、リツイートにしろ「いいね」にしろ、気軽にやってしまうんですよね。さほど深く考えもせず。

その罪の意識がない行為が連なって増幅して、記事がどんどん拡散されていく。
少し前に見たドラマ「乱反射」を思い出しました。

デマかどうかを見極める目を養うことも大事だと思いますが、真実ならいいというものでもない。
その判断が難しい。

自分の中にしっかりした基準があればいいとも思うのだけど、ネットの世界では、それも日々更新していかなきゃならない。

わたしなんてほとんど素人なので、こういうドラマを見ると焦ります。
知らないことばかりだよ……(T_T)

思考停止に陥らないように。
想像することを怠らないように。

自分が加害者になりえることを忘れず、気を引き締めていかねば。

何を書くべきか

読者が求める(読まれる)ものを書くべきか。
自分が書きたい(読んでほしい)ものを書くべきか。

このジレンマ自体は、昔から存在するものです。
たぶん、表現する仕事をしている人なら、誰もが悩むことだと思います。

だけど今は、媒体の形態が多様になっているので、悩みも複雑化しているでしょうね。
ネットの場合は「検索して読む」ことが前提となるので、どうしても「読者寄り」になってしまう。

ドラマとは少し話が逸れますが。
わたしは20年ほど前、小さな地域情報紙を作る会社にいました。

紙媒体しか扱っていなかったその会社が、時流に押されてネットメディアを立ち上げることになり、急遽スタッフとして参加することになったんですね。

とにかく何もかも手探り状態の中、いちばん困ったのは、「紙媒体のルール」が通用しないということでした。

わたしたちスタッフは、毎日仕事をしているうちに、だんだんそのことに気づき始めるのですが、社内の他部署の人間には全くわからない。共通認識を得られないことは、仕事をする上で大きな障害になりました。

それは、取材先にも言えることで。

まず最初に「紙媒体ではない」ということを理解してもらうのが、大変だった。ネットメディアだとわかったとたん、断られることも多々ありました。

新井浩文さん演じる宇佐美編集長が求めるものも、一概に間違っているとは言えなくて。
紙媒体の常識をそのままネットに持ち込んでも、うまくいかないというのはよくわかる。

それに、読んでもらえなかったら、書く意味がない。プロなのだから。

でも、読者が求めるものを提供することだけがメディアの仕事ではない、という樹の記者としての矜恃もわかるんですよね。

わたしのような個人ブログでも、多少は悩みます。
悩んだあげく、基本的には自分が書きたいものを書く、という結論にはなっているけど。

読者が求めるもの=自分が書きたいもの、だったらいいんですけどね。

黒幕は最上なのか?

前編のラストで、猿滑が事件の黒幕ではないことが判明しました。

今のところ、仕掛け人は杉本哲太さん演じる最上が有力。
だけど、フェイクニュースをばらまくリスクが高すぎる気もします。

まだ何か、事件の裏に隠されているものがあるのかもしれません。
来週の後編が待ち遠しいです。

 

「フェイクニュース」は、U-NEXTで視聴可能です


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