NHKドラマ「フェイクニュース」後編|落ち着こう!息吸おう!

ドラマ「フェイクニュース」あらすじ感想

どうも、夏蜜柑です。
NHK土曜ドラマ「フェイクニュース」後編。

序盤から二転三転する忙しい展開。
夢中になって見ていました。

SNS拡散と炎上、アフィリエイト、まとめサイト、真実と虚構、表現の自由、言葉の暴力、差別、外国人、汚職、セクハラ、ネットメディアの意義……。

今どきのネタがてんこ盛りで、ついていくのに必死。
学んだり発見したり考え込んだり思い出したり……忙しかった。

樹自身が利用されていたとわかるシーンも、ズシッと響いたなぁ。

外にばかり目を向けていたら、身内に足をすくわれるっていうね。
わたしにも心当たりがあるから、なんとも言えない寂しい気持ちになりました。

夏蜜柑

最後はほのぼのと終わった。

ふぐ丸

青虫で始まり青虫で終わる。

以下、ネタバレを含みます。

後編のあらすじ

  • 猿滑(光石研)は妻と離婚し、家を出る。一連の騒動の黒幕を最上(杉本哲太)だと疑う樹(北川景子)は、2年前に入手した不正な金の流れを示す分配図を元同僚の西(永山絢斗)に渡す。
  • 樹は、フェイクニュースを作った張本人を探し出そうとする。ブログに虚偽の異物混入記事を上げていたのは広告収入目的の主婦で、彼女はフェイクニュースのURLをネットで見つけて猿滑に知らせただけだった。
  • 会社をクビになった猿滑は、「鶴亀屋食品」の社長・沖田(おかやまはじめ)に青虫を混入したのは元社員だと公表してほしいと懇願するが、沖田は拒否。猿滑は不法侵入者として警察に拘束されてしまう。
  • 樹は最上に直接会い、外国人労働者の不当な搾取について問いただす。最上はかつての過ちを認めるが、そのおかげでやり直すチャンスを手に入れたと言い、不正には関わっていないと断言する。
  • 不正を行っていたのは現職の福田(三田村賢二)だった。樹は、元同僚の西に利用されたことを知りショックを受ける。西は初めから福田をターゲットにしており、樹から2年前の資料を手に入れるために嘘をついたのだった。
  • だが西の記事は、「選挙結果に影響する記事は出せない」という理由で発行直前に差し代わる。樹はネットなら記事を出せる、と編集長の宇佐美(新井浩文)を説得。タレコミをした福田知事の運転手から不正の証拠となる音声を手に入れる。
  • 宇佐美は、フェイクニュースを作成した広告代理店を突き止め、フェイクニュースを発注したのが福田と関わりを持つ派遣会社だと知る。福田はフェイクニュースで「テイショーフーズ」の評判を落とし、最上を落選させようと仕組んだのだった。
  • 樹はそれらの証拠を元に記事を書き、すぐにネット上で公開する。街頭では投票日を翌日に控えた最上と福田の演説が白熱化し、その場に集まる人々も樹の記事を見て興奮し始める。
  • 猿滑は最上のマイクを奪い、「落ち着こう! 息吸おう! 深呼吸しましょう!」と叫ぶ。「誰かを罵倒する前に考えよう」と訴える猿滑だったが、そこへ難民問題を訴えるデモ集団が押し寄せる。誰の言葉も届かず、パニックと化す広場。
  • 1か月後。樹は「八ツ峰製菓」を取材する。猿滑がダメモトで出した手紙がもとで、ドバイのホテル王から援助を受けられることになったと言う。樹はその足でホームレス生活を送る猿滑のもとを訪ねる。
  • 不正は福田の秘書が全て被り、福田自身は任期継続となる。イーストポストには樹を応援するメッセージが届くようになり、樹をバッシングする記事は徐々に目立たなくなっていた。お互いに何かあったときは助けることを約束し、笑顔で握手をする樹と猿滑。
  • 樹が去った後、青空の下で「鶴亀うどん」を食べようとする猿滑。そこへ頭上の枝から青虫が落ちてくる。猿滑は驚きながらも青虫を取り除き、「ま、死なないか」とうどんをすする。

後編の感想

最後は強引に終わらせた感じもありますが、総じて楽しめました。

夏蜜柑

ドバイのホテル王がここで出てくるとは。

前後編(100分)でこれだけのメッセージを盛り込み、エンタメとしても楽しめる、見応えのあるドラマを見せてくれたことに、純粋に感動しています。

杉本哲太さん演じる元セクハラ官僚・最上や、現職の県知事・福田を100%悪としない結末もよかった。

離婚してホームレスになってしまった猿滑さんは気の毒だったけど、本人が意外と明るかったので救われました。

自分の間違いを認め、二度と間違わないようにするのって、簡単なようで難しい。
なんでも素直に受け入れるところは猿滑さんの弱点であると同時に、強さでもある。

俯瞰で見る・オフにする

前編は、犯人探しを軸に置いたミステリ仕立て。

後編は、それぞれの正義や善悪が入り乱れ、カオスな状態を視覚的に表現することで、視聴者を俯瞰的な立場へと誘う内容でした。

後編のラスト近く、パニックと化した演説広場は、ネットの炎上や対立、混乱をうまく表していました。

その中にいると、自分がどこにいるかわからないけれど、こんなふうに全体を見渡せることができれば、とてもわかりやすい。ネットでは難しいですけどね。

たとえば、炎上のそもそもの始まりを知りたいと思っても、わたしにはたぶんわからない。網島くんは、難なく突き止めていましたが。

猿滑の妻・睦子がやったように、オフにする(参加しない)のが正解なのでしょう。

ドラマの内容が濃いので、書きたいことも山盛りなのですが……。
キリがないので、心に刺さったセリフを順番に見ていきたいと思います。

表現の自由

表現の自由は、権力による規制から言論を守るために作られた条項です。
個人や弱者を叩くための自由じゃないし、何を言ってもいいってことじゃないんです。

樹がまとめサイトを作っている男性に言ったセリフ。
正論。でも、反論されてしまう。

あんたたちマスコミだって、人のプライバシー暴いたり好き勝手してるじゃないですか。

その通りなんだけど、「○○がやってるから」を理由にしていたら、世の中の秩序は保たれなくなってしまうよね。他人や周りがどうとかではなく、自分の中に基準を持つことが大事なのだと思う。

まぁ、この場合は単純に、痛いところを突かれたから反撃した、という程度のことなんだろうけど。

夏蜜柑

「みんなやってるから」を言い訳にしないこと。自戒も込めて。

本当のことなんて

みんな本当のことなんてどうでもいいんだよ。
自分にとって都合の悪い話は信じない。信じたいものだけを信じる。
だったら、こっちはバカが喜ぶニュースを流すまでだよ。

宇佐美編集長が樹に言ったセリフでもあり、フェイクニュースを作った鮫島が宇佐美に言ったセリフでもあります。

「みんな本当のことなんてどうでもいい」「信じたいものだけを信じる」は当たっているかもしれない。けど、それを理由にするのは責任逃れ。

っていうか、今は広告代理店がフェイクニュースを作る世の中なんだね。

夏蜜柑

なんだかなぁ……。

中にいるうちは気づかない

今の状況は、私たちが作ったのかもしれません。

ネットメディアが台頭する前から、新聞も、テレビも、少しずつ信頼を失ってた。
でも、中にいるうちは気づかない。というか、認められない。

樹が宇佐美編集長に言ったセリフ。

このドラマ、ネットメディアを描いているようで、実は問題の根っこはもっと深いところにある。

メディア全体が抱える問題のように思うんです。
それも、今に始まったことじゃない。

また少し話が逸れますが。

わたしは小さな地域情報紙の会社を辞めた後、池井戸潤さんの作品に出てくるような中小企業で広報の仕事をしていました。

マスコミ各社に送るプレスリリースを作ったり、PR用の自社製品を貸し出したり、取材の対応をしたりする仕事です。そこで初めて、「取材を受ける側」になったんですね。

そしたら、今まで自分が「有意義」で「正しい」と信じきっていた仕事の別の側面がハッキリと見えて、なんて傲慢だったんだろうと、恥ずかしくてたまらなくなりました。

仕事そのもののことではなく、自分の考え方、取材相手との接し方が、です。

外から見ると、こんなふうに見えるんだなと。
若くて無知だったせいもあるけど、その仕事をしているときは気づきもしなかった。

どんな仕事でも言えることかもしれませんが、中にいるうちは気づかないんですよね……。

誰もが感情から逃れられない

感情は厄介だ。誰もが感情から逃れられない。

元セクハラ官僚の最上が樹に言ったセリフです。

2年前、樹は最上の不正を暴こうとしてセクハラされ、思わず暴力をふるってしまったことで、イーストポストに出向するはめになりました。

だから、最上のこととなると平常心ではいられなかった。

そこを西につけ込まれたんですね。
西は、「最上がまた不正をしようとしている」と樹にウソを吹き込んで、利用したのです。

確かに、人は感情的になると冷静さを失います。
でも、感情そのものは悪じゃない。

その昔、「感情について書きなさい」という課題がありました。

わたしを含め、ほとんどの生徒はネガティブな言葉を並べ立てていました。
感情=厄介というイメージにとらわれていたんですね。

だけど、よく考えてみたら、感情そのものは善でも悪でもないんです。

もっとポジティブに捉えてもいいんじゃないか。
いつも悪者にしたら、“感情”が可哀想……とそのとき思ったんですよね。

だから、わたしは「厄介」だという理由で忌避したくはない。
感情そのものは大切にして、その扱い方・伝え方を学べばいいのだと思います。

猿滑さんが、「落ち着こう! 息吸おう! 深呼吸しましょう!」と言っていたように。

 

「フェイクニュース」は、U-NEXTで視聴可能です


ほかの記事を読む?

ドラマ「フェイクニュース」あらすじ感想 NHKドラマ「フェイクニュース」前編|誰もが加害者になりえる NHKドラマ「ぬけまいる」 NHKドラマ「ぬけまいる」登場人物(キャスト)・あらすじ・原作