どうも、夏蜜柑です。
BSジャパンの連続ドラマ「命売ります」第1話。
現代版ではあるけれど原作の三島由紀夫を意識してかクラシカルな作り。昭和の映像を見ているよう。BGMにも懐かしさを感じました。
以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。
この記事の目次
第1話「開業。命売ります」のあらすじ
- イケメンで仕事もできる山田羽仁男(中村蒼)は、ある日突然順風満帆な人生に嫌気が差す。自殺を図るも失敗し、途方に暮れた羽仁男は自分の命を売ることを思いつく。
- 羽仁男は古いビルの一室に移り、命を売る商売を始める。最初の客・岸(田中泯)は、自分の妻・るり子(橋本マナミ)と関係を持ち、不倫相手の李正道(大杉漣)に殺されてほしいと言う。
- 羽仁男はるり子に近づき関係を持つが、李は浮気現場の写真を撮り、羽仁男を生かして帰す。
- 後日、るり子が李に殺されたことがわかる。岸は「私の願いは叶った」と言い、羽仁男に金を払って帰っていく。
第1話の感想
作品全体を覆う暗さといい、妖艶さといい、昭和のテレビを思い出しますね。
地上波のドラマもこういう暗さを根こそぎ排除しないで、少しくらい残してくれればいいのに。
オープニングの映像が渋いです。人間椅子の主題歌も合ってます。
中村蒼さんの不気味な明るさ
中村蒼さん演じる主人公・羽仁男の壊れかけた明るさが不気味で、命を売り飛ばす軽さは田中泯さんの圧倒的な存在感と対照的だった。
中村蒼さんはこういう役がうまい。
そしてちょっと見ない間に、とてもいい顔つきになっていた。
ついこの間までは線の細い頼りない若者という感じだったのに、いつの間にやら大人の空気を漂わせる青年になっていて驚きました。
30くらいになったのかと思ったら、まだ26歳ですって?今後が楽しみ。
複雑な人間心理にゾクッとする
田中泯さん演じる岸の依頼内容は、「妻と一緒に殺されてほしい」というもの。
岸の望みは、自分を裏切った妻をただ殺すのではなく、不倫相手の李(大杉漣)に殺させることでした。
この複雑な心理、たぶん主人公は理解できないまま依頼を引き受けたんじゃないかな。
原作未読なので展開が読めず、最後はどうなるのかとヒヤヒヤしましたが、さすが三島由紀夫ですね。期待を裏切らないゾクッとする結末でした。
大杉漣さん演じる李(裏社会のボス)は、嫉妬深いにも関わらず、るり子と羽仁男の浮気現場を見ても羽仁男を殺しませんでした。
岸は、その理由を「嫉妬したからだ」と言います。
るり子を自分だけのものにしたかった。
羽仁男と2人であの世に行かせたくなかったのだと。
岸にはその気持ちがわかり、羽仁男には「わからない」。
なぜか死ねない主人公
妻が願い通り死んだことに満足し、岸は金を払って立ち去ります。羽仁男はまたしても死ぬことができませんでした。
こんなにも死を願っているのに、なかなか死ねない羽仁男。
自殺を認めちゃいけないのに、思わず応援してしまいそうになるおかしさもあり、同時にそこはかとない悲しみも感じます。
登場人物たちに現実味はないのに、一瞬一瞬がリアルなのも面白いです。
▼
次回のゲストは、前田旺志郎さん(依頼主)と酒井若菜さん(依頼主の母)。
ゲスト陣が毎回豪華なのがうれしい。
ほかの記事を読む?