「レ・ミゼラブル 終わりなき旅路」面白かった!違和感のない日本版「ああ無情」

ドラマ「レ・ミゼラブル 終わりなき旅路」

どうも、夏蜜柑です。
フジテレビ開局60周年特別企画スペシャルドラマ「レ・ミゼラブル 終わりなき旅路」

面白かったです!

舞台をフランスから日本へ、19世紀から現代へと変更して作られた、完全日本版ストーリーでしたが、大きな違和感はなく、意外なほどしっくりハマっていました。

夏蜜柑

3時間は長いはずなのに、短く感じてしまった。

個人的に「モンテ・クリスト伯」からの流れで、見る前から「これは間違いない」と信じていましたし、「原作のことはいったん忘れてヨシ」とも思っていたので、余計なフィルターをかけずに最初からスッと入り込めたのが大きかったのかも。

ディーン・フジオカさんは、海外古典ものの主人公がなぜにこうもドハマリするんでしょうね。毎シーズンやってほしいくらいです。

あらすじと感想

第1幕~若者たちの「ああ無情」

1994年(平成6年)、神戸。

弟の手術費用を稼ぐため、アルバイトに明け暮れていた若き日のジャン・バルジャンもとい馬場純(吉沢亮さん)。

しかし母親が投資詐欺にひっかかり、手術費用として貯めたお金を根こそぎ奪われてしまいます。

純はお金を取り戻すため母親を騙した「斎藤クリーニング」を訪れるのですが、ここのオヤジ(寺脇康文さん)がかなりヤバイ男で。

マジで殺しそうな勢いで攻撃してくるワケですよ。
そりゃ身を守るために必死に抵抗しますよ。殺されそうなんだもん。

で、はずみで倒れて後頭部打って、オヤジ死んでしまいます。

夏蜜柑

どう見ても正当防衛なんだけどなぁ……それでも罪になるのかぁ。

この最低オヤジの息子が、純の天敵となるジャヴェール警部もとい斎藤涼介(清水尋也さん)。彼はどうやら、両親が詐欺行為を働いていることを知っていたらしい。

純は逮捕され、母・結子は駅のホームから落ちて亡くなります。
しかし、純は少年刑務所で入院中の弟が危ないと聞いて脱走。

弟の哲は肝臓移植をしないと助からず、同じRH-O型の純が18歳になった時、ドナーになるはずでした。

しかし間に合わず。弟は死んでいまい、絶望して自殺しようとした純を助けたのがミリエル司教もとい徳田(奥田瑛二さん)。

原作だと主人公を改心させたミリエル司教の存在が大きいのですが、今回のドラマでは徳田よりも拓海のほうが印象に残る役でしたね。

拓海を演じた村上虹郎さんもすごくよかった。
一瞬「関西圏の人だっけ?」と思ったくらい神戸言葉がお上手でした。

拓海も徳田も、純が脱獄犯だと知っても態度を変えず、警察にもウソをついて純を匿います。どうしてと尋ねる純に、徳田は「人は結局、誰を信じて誰を守るか」だと言いました。

「どっちの道に行ったらええか迷ったとき、ちょっとしたヒントがある。知りたいか? 難しい方を選ぶ。無理やと思うた方を選ぶ。まぁそれがだいたい正解や」

この言葉、わたしは岡本太郎さんが語っていたのを本で読みました。
実際に人生の岐路で「無理」だと思う方を選ぶって、めちゃくちゃ難しいですよね……。

年が明け、1995年1月。
神戸の町を阪神大震災が襲います。

がれきの下敷きになった拓海を、必死に助けようとする純。
余震と火の手が迫る中、拓海は純に財布を渡して「俺になれ」と言う。

前科もなく親もいない。入れ替わっても誰にもわからん、と。
「約束やぞ。俺の分まで生きろ」という拓海。純は拓海を置き去りにして逃げます。

このシーン、3時間の中でいちばんの見どころでした。
大きな揺れのあと何度も余震があったなぁって当時のことを思い出したり。

わたしはたまたま大事な人を失うことはなかったけど、こういう場面を経験した人はたくさんいたでしょうし、今も心や体に傷を抱えている人はたくさんいると思います。

純は、震災のどさくさに紛れて「渡辺拓海」にすり替わることに成功。
涼介は「刑務所脱走の少年 震災巻き込まれ死亡」という新聞記事を目にします。

第2幕~愛する人のために

2004年(平成16年)、東京。

オレオレ詐欺が多発し、「冬のソナタ」が大ブームになった年。
梨沙子が「すごかったよ」と言っていた六本木ヒルズは、2003年4月に開業しています。

純はディーン・フジオカさんに、涼介は井浦新さんに成長。

純は拓海の夢を受け継いで弁護士になり、東京で弁護士事務所をかまえていました。拓海が言っていた「声を上げられない人の代わりになる」ため、キツくても無料相談を続ける純。

ここで第2幕の重要人物・ファンテーヌもとい不破唯(山本美月さん)登場。
ミュージカル版ではわたしが2番目に好きな登場人物で、山本さんはイメージどおりでした。

夏蜜柑

「夢やぶれて」を脳内BGMでリフレインしておりました。

唯はシングルマザーで借金を抱え、家賃を滞納して強制退去させられそうになっていました。純は天涯孤独な唯に共鳴し、唯とひとり娘の梢を助けようとします。

唯がコゼットもとい梢を預けている無認可の保育所が、またひっどい所なんですね(原作どおり)

保育所を営んでいるテナルディエ夫婦もとい田辺夫婦、めっちゃ雰囲気出てました。
長谷川京子さんと金子ノブアキさん、最強すぎん? カンペキ。文句なし。

夏蜜柑

真澄が警察に追われて自転車で逃げるとことか、ホント最高だった。

一方、涼介は新宿南署の刑事として、純の前に現れます。
お互いの素性を知らないまま、酒を飲んで信頼関係を築くふたり。

唯は保育所の延滞料金を滞納し、田辺夫婦に半ば脅される形でデリヘルの仕事を始めるのですが、顔色悪いし鼻血出てるし、もう明らかに具合悪そうで。

唯は急性白血病であっという間に亡くなってしまいます。
彼女から梢を託された純は、保育所を告発。拉致同然に梢を連れ出す。

ここが第2幕のクライマックス。

梢を残して死んでいく唯と、彼女の想いを受け取って必死に梢を救い出そうとする純の姿に泣けた。唯と純の間には、どんな形であれ愛情が通っていたと思う。

このときにはもう、涼介は拓海の正体が純だと気づいていまして。

父親を殺した犯人が実は生きているとわかり、めらめらと憎悪の炎を燃やすワケです。純が拓海を殺して入れ替わったと勝手に思い込んだりしてね。

冷酷なまでに法に忠実だったジャベール警部とは違い、涼介は私情に駆られて動いている……というところが原作とドラマの大きな違いでした。

そしてもうひとり、第2幕で控えめながらも大きな存在となっていたのが、梨沙子(香里奈さん)です。

純の弁護士事務所があるビルで「キッチンはな」を経営しながら、純の仕事のフォローもしていた彼女。実は死んだ拓海が結婚の約束をしていた恋人で、純が拓海になりすまして生きていることを知っていました。

最初は純を許せなかったけれど、拓海の夢を叶えて弁護士になり、拓海の分まで必死に生きようとする純を見て、彼の人生を否定できなくなった梨紗子。彼女の複雑な気持ちが伝わってくる場面でした。

夏蜜柑

梨紗子が涼介に語るセリフで全部説明されるんですけど、時間があればそのあたりもじっくり見たかった~。

第3幕~偶然の巡り合わせ

2018年(平成30年)、福島・会津。

逃げるように東京を離れた純と梢は、会津でりんご園を営みながら暮らしていました。
20歳になった梢を演じるのは清原果耶さん。

モンテ・クリスト伯」では瀬戸と内海(葉山奨之さん&高杉真宙さん)が活躍し、今回は樫村さん(清原果耶さん)が登場。「セトウツミ」メンバーのリレーを喜ぶわたし。

梢はマリユスもとい碓氷慎(松下洸平さん)と出会って恋に落ち、純に内緒で付き合い始めます。
が、もうひとり、密かに慎を想っている女性がいまして。

それがエポニーヌもとい瑛里華(福田麻由子さん)。
あの極悪非道な田辺夫婦のひとり娘です。わたしがミュージカル版でいっちばん好きな登場人物です。

夏蜜柑

あんな親に育てられたのに、いい子なんですよねー。

ドラマでは梢と慎を別れさせようとしていたけど、ミュージカル版では2人の仲をとりもち、最後はマリユスをかばって銃弾に倒れ死ぬのです。

余談ですがわたしのエポニーヌは島田歌穂さんで、一時期彼女が歌う「On My Own」をよく聴いていました。

が、残念ながらドラマでは、いまいち存在感が薄かったですね。
やはり彼女を魅せるにはバリケードが必要不可欠なのか……。

慎は東日本大震災のときに親友を目の前で亡くし、親友に恥じない生き方をしたいと純に語ります。
自分と同じ経験をした慎に、不思議な巡り合わせを感じる純。

純が2人の結婚を許そうと決めた直後、慎が劇症肝炎に侵されていることが発覚します。治療には肝臓移植が必要でしたが、彼はRH-O型という珍しい血液型の持ち主でした。

ここで思い出されるのは、第1幕で、肝臓移植が必要な弟・哲のために、純がドナーになろうとしていたことです。哲はRH-O型で、純もまた同じ血液型でした。

純は「今まで生き延びてきた意味がわかった」と慎のためにドナーになることを決意します。

一方、田辺夫婦は福島でも相変わらずあくどいことをして金を稼いでいまして。
瑛里華から純と梢が福島にいることを知り、金を脅し取ろうとしていました。

そこへ涼介ら警察が乗り込むのですが、涼介は田辺夫に撃たれて生き埋めにされそうになり、純に助けられます。涼介は、慎のために肝臓を提供しようとする純を前に良心の呵責に苛まれ、捕まえることができませんでした。

手術が成功した後、純は梢に自分の過去を綴った置き手紙を残して立ち去ります。

純が向かった先は、涼介が待つ神戸でした。
馬場純に戻り、罪を償うことを決めたのです。

最後に

ジャン・バルジャンもジャベール警部もエポニーヌも死んでしまう「ああ無情」なラストは避けられました。

後半は少し盛り上がりに欠けてしまったかな……。

原作の六月暴動を現代に置き換えるのは難しいですね。
60~70年代ならうまくハマったような気がします(「民衆の歌」も聞こてきそう)

違和感が全くないと言えばウソになりますが、想像以上にうまくできていたと思います。キャスティングもよかったし、大満足の3時間でした。

不満があるとすれば「もったいない」に尽きるかなぁ。
あの人もこの人も、もっとたくさん絡みを見たかった。省略された場面の数々も。

この「海外古典文学」路線、フジテレビでシリーズ化してほしい。
そして次回は連ドラでお願いしたい。じっくり見たいです。

このドラマは、FODプレミアムで視聴可能です。

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