「モンローが死んだ日」最終回|センセイがついた最大の嘘

NHKドラマ「モンローが死んだ日」

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どうも、夏蜜柑です。
BSプレミアムのドラマ「モンローが死んだ日」最終回。

ああ、いい終わり方だった。
そしていいドラマだった。

語られる言葉が詩のようでした。
映像も音楽も心に響く美しさでした。
トビーとシマが最高の癒やしでした。

幸福な時間でした。ありがとう。

最終回「モンローの真実」のあらすじ

  • 高橋(草刈正雄)の正体がわからなくなった鏡子(鈴木京香)は、花折クリニックの院長・宇津木(根岸季衣)に相談する。宇津木は高橋(草刈正雄)が横浜みどり医療センターの高橋智之医師の名前を騙った偽医者だと結論づける。
  • ネットで医師を募集した際に応募してきたのが高橋で、宇津木は医師免許の確認をしていなかった。宇津木は弁護士を通して対応すると言い、それまでこの件を公にしないでほしいと鏡子に頼む。
  • 鏡子は平井(宇崎竜童)の紹介で、川原まりりんの記事を書いた週刊サタデーの記者・駒田(中村靖日)と会う。駒田によると、まりりんの本名は高橋美緒。高橋は美緒の父・恭平だった。
  • 高橋と美緒はアパートを出て行方不明になっていた。鏡子は駒田と共に、美緒の元夫で、美緒が所属していた劇団「ファンキーモンキーベイビーズ」の主宰者・若宮温人(金井勇太)を訪ねる。
  • 美緒は若宮と結婚して一児をもうけ、幸せな家庭を築いていたが、病気で子供を亡くしてから過食を繰り返すようになった。太った体型を生かしてお笑い芸人になり、マリリン・モンローのものまねでブレイクした後も、心の病は癒えず、若宮は美緒を支えきれなくなったと言う。
  • 美緒が初花島行きのフェリーから転落し、死亡したという知らせが入る。鏡子は康代(麻生祐未)が止めるのもきかず初花島へ向かい、そこで高橋と再会する。高橋は美緒の治療費を稼ぐために、医師と偽って花折クリニックに応募し、治療を行っていたことを打ち明ける。
  • 鏡子は高橋のおかげで立ち直れたと語り、高橋もまた鏡子に救われたと語る。鏡子は高橋と別れ、帰宅する。高橋は医師免許がないのに医療行為を繰り返したとして、懲役1年執行猶予5か月の有罪判決を受ける。雪の降るある日、高橋を乗せたタクシーが鏡子の家の前に停まる。

最終回の感想

センセイがついた最大の嘘

鏡子さん、意外と行動力のある人でした。
「高橋智之」が別人だと知って、落ち込んで引きこもっているかと思いきや。

泣き寝入りせず、センセイの居場所を突き止めるべく大胆な行動に出ます。

まず花折クリニックの宇津木院長にアタック。
しかし、どうやら院長も何も知らなかったようで。

横浜みどり医療センターの高橋智之医師が別人だと知って、はじめてセンセイが偽医者だと気づいたようです。まさか医師という肩書まで嘘だったとは思わなかったわ。

ネットで医師を募集するという、そんなお手軽な方法で病院が医師を募っていたという事実にもびっくり。

背景には地方医療の人材不足問題があるようですが、医師免許を提示しなくても履歴書があれば雇ってもらえるんですねぇ。

センセイと美緒の関係

次に、鏡子は文学館の館長・平井さんのツテで、週刊サタデーの記者・駒田さんに会いに行きます。グイグイ攻めますねー。

そこでわかったのは、センセイの本名が「高橋恭平」だということ。
川原まりりんはセンセイの娘・美緒でした。

センセイは医師ではなく、横浜みどり医療センターの事務職員だった。
それもあって、美緒をその病院に入院させたようです。

2人はすでに住んでいたアパートを引き払った後で、どこへ行ったのかもわからない。
鏡子は駒田さんに連れられて、美緒の元夫・若宮に会いに行きます。

美緒の過去

子供の頃から心が不安定だった美緒ですが、所属していた劇団の主宰者・若宮と結婚し、幸せな生活を送った時期もありました。

けれど、乳幼児突然死症候群で子供を亡くして、再び心が不安定になってしまいます。

過食で太った体型を生かしてお笑い芸人「川原まりりん」として活躍するものの、その成功は病んだ心をさらに苦しめることになってしまった。

「あの頃の美緒は、心を魔物に奪われたかのようでした。俺は、逃げ出しました。俺ではとても無理だと思ってしまったんです。まだ若かったし。でもそんなの言い訳ですけどね」

若宮さんは「逃げた」と言っていたけど、ひとりで支えるのは大変だったと思う。
なんの知識もなかったら、なおさら。

「あの親子は、なんていうか、お互いの存在が苦しみなんですよ。でもその苦しみのためにお互いが存在しているというか。あの2人の間には、立ち入ることはできません。決して、誰であっても」

センセイと美緒は、依存し合っている状態だったのかもしれないですね。

美緒と若宮さんが離婚して、美緒の心に寄り添える人間は、またセンセイひとりになってしまいました。それもまた悲しい。

美緒の死と初花島

鏡子が駒田さんと行動を共にしているとき、あるニュースが入ってきます。

美緒が初花島行きのフェリーから身を投じ、自殺したのでした。

鏡子は、センセイの身を案じます。
もしかしたら美緒の後を追って、死のうとしているんじゃないかと。

初花島へ行くという鏡子を、心配して止めようとする康代さん。
言い争いになって、喧嘩してしまうふたり。

ここで康代さんが本音を打ち明けます。

「私だって、本当は人見知りで、接客とか付き合いとか、毎日疲れ果ててて、本当に嫌気がさしてる。沈黙が怖くてベラベラ喋って、また疲れて。私友達は鏡子さんしかいないのよ、悪かったわね」

孤独じゃない人なんかいない。
自分だけが淋しいわけじゃなかったと気づく鏡子。

鏡子は康代さんに留守番を任せて、初花島へ向かいます。
そこでセンセイと再会。

ようやく、センセイの口から真実が語られます。

センセイが語る真実

センセイの妻は、8歳の美緒を捨てて家を出ていった。
それ以来、美緒は心が不安定になってしまったと言います。

「僕は何があろうと娘の味方。最大の理解者でいようと決めたんです。
自分さえそばにいれば、娘は大丈夫だと信じていました。僕は、愚か極まりない父親でした」

だけど美緒の病状は進行し、治療費がかさんでお金が底をついてしまう。
センセイが精神科医になりすまして花折クリニックに来たのは、お金のためだったのです。

ずっと美緒のカウンセリングをしてきて、心の病についても勉強していたから、その知識を生かせると考えたらしいけど……それにしても大胆ですよねぇ。

ただ、やっぱり罪悪感でいたたまれなくなって、もう終わりにしようと思っていた。
そんなときに、鏡子と出会った。

互いに救われていた2人

たとえ偽医者だったとしても、鏡子がセンセイに救われたことは事実で。

「夫が亡くなって、死ぬまでずっとあの家で、ひとりぼっちで生きていくんだって、何の光も見えなくて。でも大丈夫。何も特別なことがなくても、静かに自分らしく生きていけばいいんだって、気づかせてくれたのは先生なんです」

そしてセンセイもまた、鏡子に救われていました。

「あなたが僕に話してくれた苦しみや、さみしさ、孤独は、どれも僕自身のことのようでした。あなたがいたから、僕の心にも光が射したんです。僕にとっては、人生の中で最も充実した掛け替えのない時間でした」

センセイが美緒に異常なまでに寄り添う背景には、何かしらの罪悪感があるのではないかと推測していたのですが、そこは言及しませんでしたね。

でも、妻を引き留められなかったことや、そのせいで美緒に辛い思いをさせたことを、負い目に感じていた可能性はあると思います。

あの海に沈む夢の話のように、美緒を抱いて死にたいと思うこともあったのでしょう。

別れと再会

鏡子はセンセイと別れ、ひとりで家に帰ってきました。
康代さんと、シマとトビーが待つ家へ。

月日が経ち、裁判が行われ、センセイには懲役1年執行猶予5か月の有罪判決が言い渡されました。

でも、証言台に立った、センセイの治療を受けた患者さんや、付き合いのあった製薬会社の人たちは、誰ひとりセンセイのことを悪く言う人はいなかった。「また彼に診てほしい」という人がたくさんいた。

医師免許を持ってなかったセンセイ。
嘘ばかりついていたセンセイ。

だけど、センセイがその患者さんたちを救っていたことは、紛れもない真実だと思います。

そして雪の降る寒い日、センセイが鏡子のもとに帰ってきます。
「まだ、あなたを愛していていいですか」と。

心に染みるラストシーンでした。
鈴木京香さんと草刈正雄さんのしっとりした演技がとてもよかった。

謎めいたストーリーも楽しめましたが、日常の風景描写が何より素晴らしくて、何気ないシーンが心に刺さった。

鏡子が言っていたように、「何も特別なことがなくても、静かに自分らしく生きている」そんな大人のドラマを、一年に一度でいいから作ってほしいと心から願います。

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