どうも、夏蜜柑です。
NHK・BSプレミアムで放送された「黒蜥蜴 BLACK LIZARD」のあらすじと感想です。
いろんな意味で面白いドラマだったなぁ。
個人的には割と好きな世界観だったので、そこそこ楽しめました。
妖艶な大人の世界を想像していたんですけど、少年探偵団風でしたね。
この記事の目次
「黒蜥蜴」のあらすじ
大富豪・岩瀬庄兵衛(中村梅雀)が溺愛する18歳の娘・早苗(福本莉子)の帰国祝いが開かれる。
早苗には世界的な犯罪組織“黒蜥蜴”から誘拐予告が届いており、中村部長(佐野史郎)は本庁総動員の勢いで警備にあたっていた。
そんな中、庄兵衛が披露した世界最大級のルビーがすべて盗まれ、「それでは今晩零時に早苗さんを頂戴しに伺います」という黒蜥蜴の予告状が届く。
警察を信用できないと判断した庄兵衛は、探偵・明智小五郎(永山絢斗)に早苗の警護を依頼。怪盗二十面相(松尾貴史)を追っていた明智をヴェルドゥーラホテルに呼び寄せる。
ホテルのオーナー緑川婦人(りょう)は、早苗を隠し部屋に案内する。黒蜥蜴が予告した24時まで、明智と緑川婦人はトランプでポーカーをする。
互角の勝負を繰り広げる2人は、明智がこの誘拐事件の謎を解けるかどうか賭けることに。緑川婦人は所有するすべての宝石を、明智は探偵という職業を賭ける。
24時になり、早苗がいる隠し部屋を確認する明智。だが部屋の中には誰もいなかった。岩瀬は動揺するが、明智は助手の小林(佐久間由衣)と人型AIマリア(大鶴美仁音)のサポートで隠し部屋のトリックを暴く。
早苗を誘拐することに失敗した緑川婦人=黒蜥蜴(りょう)は、部下の雨宮潤一(吉村界人)と共に逃亡。ホテルは倒壊し、明智は10階の窓から飛び降りて危機を脱する。
明智は黒蜥蜴の腕に描かれていた紋章の下に、10年前に崩壊したシンバイオテックスの特殊GPSコードが隠されていることに気づく。
シンバイオテックスは新薬開発の研究所だったが、その裏でクローン人間を作っているという噂があった。明智は天馬博士の依頼で調査するも、研究所の爆破で真相は闇の中、天馬博士も失踪してしまっていた。
明智は10年前に天馬博士から預かった娘・葉子を迎えに行く。葉子は早苗に瓜二つだった。
屋敷にいる早苗のもとに、岩瀬から豪華なソファーが届く。ソファーは黒蜥蜴が送り込んだ“人間椅子”で、早苗は眠らされて椅子の中に取り込まれてしまう。
岩瀬家の女中頭・房子はソファーを返品すると言って屋敷から持ち出し、まんまと早苗を誘拐する。房子は黒蜥蜴の仲間だった。
その後、早苗を返してほしければ時価50億のダイヤモンド“エジプトの星”を指定の場所に持ってくるようにと黒蜥蜴からメッセージが届く。これだけは渡せないと渋る岩瀬を説得し、明智は“エジプトの星”を用意させる。
帝都スカイタワービルの展望台に現れた黒蜥蜴は、岩瀬が明智の変装だと見抜き、“エジプトの星”を持って逃亡。そのまま横浜港へ向かい、海上に浮上した潜水艦に乗り込む。明智は黒蜥蜴を追って海に飛び込む。
黒蜥蜴と仲間たちは、エジプトの星に埋め込まれたゲノム編集データを取り出して完璧な人間になろうとしていた。潜水艦の中には早苗もいたが、実は明智によってすり替えられた葉子だった。
松公に変装して潜水艦に潜り込んだ明智だったが、すぐに黒蜥蜴に見破られてしまう。明智は早苗だけでなく黒蜥蜴をも救いにきたというが、黒蜥蜴は人間に復讐するために生きているのだと主張する。
彼女はかつてシンバイオテックスで焼却されようとしていた欠陥クローンだった。10年前、仲間のクローンと協力して工場を爆破し、工場にいた仲間たちを逃がしたのだ。
黒蜥蜴は復讐などやめろという明智の説得に耳を貸さず、明智を“人間椅子”の中に閉じ込め、椅子ごと海に投げ込む。
警察も明智も当てにならないと考えた岩瀬は、自力で早苗と“エジプトの星”を取り戻すと決意。兵を率いて黒蜥蜴のアジトがある無人島へ向かう。
天馬博士を見つけ出した黒蜥蜴は、早苗を天馬博士の前に連れて行く。早苗は世界で唯一完璧なクローンだった。天馬は岩瀬が事故で亡くした一人娘のクローンを作るために雇われていたのだ。
黒蜥蜴は自分と仲間たちが早苗を生み出すための研究途中に生み出された失敗作であり、薬で制御しなければ細胞が死滅すること、長く生きられないことを明かす。
さらに、岩瀬が早苗のDNAを使って金儲けをしようと企んでいることを知り、ショックを受ける早苗。だがその早苗の首には自分と同様に黒い痣があり、黒蜥蜴は彼女が偽者であることに気づく。
早苗になりすましていた葉子は正体を明かし、10年前、明智がクローンたちを助けようとしたが葉子しか助けられなかったことを今も悔やんでると話す。
黒蜥蜴に脅された天馬博士は解除コードとパスワードを教えるが、“エジプトの星”に入っていたのはゲノム編集データではなくシンバイオテックスと岩瀬の犯罪記録だった。
黒蜥蜴は天馬博士の正体が明智小五郎だと気づく。本物の天馬博士は既に亡くなっており、明智は天馬からすべてを記した手紙を預かったと話す。
岩瀬が兵士を率いて無人島に上陸、黒蜥蜴の研究所を襲撃する。岩瀬の前に中村部長が現れ、逮捕者リストにはシンバイオテックスを裏で操っている岩瀬も入っていると明かす。
警察の援護を受けて逃げるクローンたち。明智と黒蜥蜴は岩瀬の兵に取り囲まれ、“エジプトの星”と早苗を渡すよう要求される。明智は天馬博士から預かった手紙を読み、早苗は珍しい遺伝子ゆえに普通のゲノム配列ではなく、彼女の細胞は誰とも合わないことを明かす。
早苗の細胞を分析しても完璧な人間にはなれないとわかり、打ちのめされる黒蜥蜴。明智は「あなたはそのままで完璧だ。人はこの世に生まれただけで完璧なんだ。誰にも否定する権利はない」と告げる。
葉子は岩瀬を殺そうとするが早苗に止められ、岩瀬は中村に逮捕される。黒蜥蜴はすべてを終わらせるため研究所を爆破する。黒蜥蜴は明智をかばって潤一に撃たれ、明智の腕の中で命を落とす。
早苗は「世界を見たい」と屋敷を出ていく。葉子は屋敷に残り、彼女のもとには生き残ったクローンたちが集まる。
岩瀬が心臓発作で死んだというニュースが流れる中、黒蜥蜴の死から立ち直れず部屋にこもる明智。そこへ怪人二十面相が現れたという知らせが入り、明智は部屋を飛び出していく。
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「黒蜥蜴」の感想
レトロな近未来設定
近未来なのにレトロ。
チープなのにスタイリッシュ。
なんだかよくわからない倒錯した世界を見せられた感じ。
でも嫌いじゃないです。むしろ好きです。
わたしは江戸川乱歩ファンでも林海象ファンでもなく、過去の映像作品も見たことがなかったので、フラットな目で見ることができました。
「鉄腕アトム」や「サイボーグ009」を思わせるレトロな近未来設定は、懐かしさもあって個人的には大いに楽しめました。
ハイテク要素を受け入れられるかどうかが鍵だったように思いますが、ギリギリOKだったかな~(かなり微妙なところ)。「名探偵コナン」をぶちこんできたのは、このハイテク要素の違和感をなくすためだったのかしら。
映像や音楽に助けられている部分が大きかったかもしれません。
りょうさんが完璧に着こなす美しい衣装にも目を奪われました。
禁断の恋よりも命の問題
ストーリー的には少しもったいなかったですね~。
特に「禁断の恋」要素がまったくものたりません!!
序盤、ホテルで明智と緑川婦人(黒蜥蜴)がポーカーの勝負をするくだりは最高に盛り上がったのに。ものすごくワクワクしたし、これからどうなるんだこのふたり~~!と期待が高まる素晴らしいシーンだったのに。
その後、どこで2人が恋に落ちたのかわからないままストーリーが進み、特に禁断の恋に苦しむ描写もなく、消化不良のまま終わってしまいました…。
でも普通に考えてみればそうだよね。
彼女は生きるか死ぬかという命に関わる深刻な問題を抱えていて、恋に悩んでいる場合ではないのよね。
クローン問題がシリアスすぎて、禁断の恋どころではなくなってしまったんだろうなぁ。
原作との違い
原作はサラッと読んだだけですが、もちろんクローン設定はありません。
葉子は明智が探し出した早苗の替え玉。黒蜥蜴が早苗を誘拐した目的は、剥製化してコレクションに加えるため。
“エジプトの星”の受け渡しが行われたのは大阪にある通天閣の展望台で、宝石を手に入れた黒蜥蜴は大阪の川口から貨物船に見せかけた汽船で東京湾へ入り、埋め立て地の廃工場の地下にある私設美術館へ向かいました。
この美術館には、黒蜥蜴が盗んだ数々の宝石や美術品とともに、剥製化した人間が陳列されていて、黒蜥蜴は剥製人形として美術館を飾るために早苗を誘拐してきたのです。
原作の黒蜥蜴は“美しいもの”に魅入られたサイコパスで、復讐要素はなし。
“人間椅子”は原作にも「ある小説家の作品に『人間椅子』というのがあります」という説明で登場します。
明智が人間椅子ごと海に投げ込まれる場面は、原作では明智ではなく最初から松公が入っていて、黒蜥蜴が明智だと思い込んでいた、というからくり。
黒蜥蜴は最後に毒を飲んで自殺。明智の腕の中で息を引き取ります。
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