風雲児たち~蘭学革命篇~|解体新書に隠された人間ドラマ

風雲児たち~蘭学革命篇~

どうも、夏蜜柑です。
あけましておめでとうございます。

2018年1月1日に放送された、NHK正月時代劇「風雲児たち~蘭学革命篇~」。

「真田丸」の三谷幸喜さん脚本の単発ドラマです。
前野良沢と杉田玄白という、なかなか渋いところを突いてきましたねー。

「解体新書」に、翻訳者・前野良沢の名前がないのは何故なのか?
予想を裏切る内容で、とても面白かったです。

「風雲児たち」のあらすじ

  • 蘭方医の前野良沢(片岡愛之助)と杉田玄白(新納慎也)は、オランダ語で書かれた解剖学書「ターヘル・アナトミア」に衝撃を受ける。
  • 2人は同じく蘭方医の中川淳庵(村上新悟)や桂川甫周(迫田孝也)らと共に「ターヘル・アナトミア」の翻訳に取りかかるが、辞書もないこの時代、作業は難航を極める。
  • 医学のために一刻も早く出版しようと考える玄白と、完璧な翻訳を追求する良沢は、やがて決裂。良沢は自分の名前を記さないことを条件に、出版を許す。
  • 出版された「解体新書」は大反響で、玄白の名はたちまち全国に知れ渡る。18年後、再会した良沢と玄白は、涙を流し熱い抱擁を交わす。

「風雲児たち」の感想

わたしは“言葉”が大好きなので、こういうのを見ると感動しちゃいますね。

辞書がない時代の翻訳作業は、ほとんど暗号解読です。前後の文から想像したり、その単語が使われる複数の文章から読み解いたり。

当時の日本の医者は、体の見える部分だけで病気を判断していたので、人の体内がどうなっているかなんて全く知らなかったんですよ。

そんな人たちが、こんな難しい医学書の翻訳に挑むんだから凄い!(ところが、実はターヘル・アナトミアは初心者向けの医学書だったらしい……)

玄白さんは後に、「櫂や舵の無い船で大海に乗り出したよう」と表したそうです。そうでしょうねぇ……ご苦労お察しします。

わたしの「解体新書」に関する知識って、教科書に出てくるのをなんだかよくわからないまま覚えた程度だったので、目からウロコでした。

今ではごく普通に使っている「神経」「十二指腸」という言葉、ドラマでは、良沢が命名していました。ほかにも、この本で「軟骨」「動脈」「処女膜」などの訳語が作られたとか。は~興味深いわー。

そして、翻訳作業に没頭するあまり、本来の目的を見失ってしまう良沢さん。それもちょっとわかるわー。わたしも些細なことが気になってしまうタチなので。

でも、決してイヤイヤやってるわけじゃなく。細かい所にこだわるのが、われを忘れるほど楽しいんですよ。凝り性なんだろうね、たぶん。良沢さんも。

だけど、これ、ほんと気をつけないと本末転倒だからね……。

神経質で細かい部分にまでこだわる良沢さんと、いいかげんで適当に済ませる玄白さん。三谷さんの脚本は、そんな対照的な2人を面白おかしく描いていました。

だけど、2人の「この国の医術のために」という思いは、同じ。このへんのシリアスとコメディのバランスも良かったなー。

玄白さんを演じたのは新納慎也(にいろしんや)さんという方で、わたしは初めて知ったんですけど、「真田丸」に出ていた方なんですね(見てないんでわかんない)。島津氏庶流の新納忠元の末裔らしいです。凄いな。

ほかにも平賀源内役の山本耕史さんとか、田沼意次役の草刈正雄さんとか、良沢の次女・峰子役の岸井ゆきのさんとか、豪華な顔ぶれ。

ちょっとしか出てこなかった人も多かった。高嶋政伸さんは一瞬だったな。良沢さんと中津藩・奥平昌鹿公の関係も、もう少しじっくり見たかった。

原作のマンガは幕末編まで続いてるようなので、ぜひドラマも続けてほしいです。

解体新書とは?

ドイツ人医師クルムスによる解剖学書のオランダ語版「ターヘル・アナトミア」の翻訳書。……と思われてますけど、実はほかにも数多くの西洋書が参考にされているんです(わたしも初めて知った)。

扉絵は「ワルエルダ解剖書」から採用。全4巻。

ちなみに玄白らは、「ターヘル・アナトミア」の原書がドイツ語だとは知らず、もともとオランダ語で書かれた本だと思っていたらしい。

  • 3年半の歳月と11回の改稿を重ね、1774年(安永3年)に刊行された
  • 日本初の本格的な西洋医学の翻訳書である
  • 杉田玄白、前野良沢、中川淳庵、桂川甫周らが翻訳・編纂した
  • 単純な翻訳ではなく、実用的な解剖学書として再構成されている
  • 翻訳の苦労は、杉田玄白『蘭学事始』で知られる
  • 本書によってオランダ語の理解が進み、蘭学が発展するきっかけを与えた

原作は?

このドラマの原作は、みなもと太郎さんの「風雲児たち」です。江戸時代を通して、時代の発展に関わった人たちを描く大河ドラマ漫画。

もともとは幕末の群像を描く予定だったらしいのですが、幕末の動乱の原因はそもそも江戸幕府の成立にあるという作者の見解から、関ヶ原の戦いより執筆を開始されたとか。

わたしは未読ですが、幕末好きとしては非常にそそられる本ですね。

1979年(昭和54年)から連載開始。全212話。外伝あり。
2001年(平成13年)から、続編「風雲児たち 幕末編」を連載中。

 

そのほかの記事を読む?

NHK大河ドラマ「西郷どん」 西郷どん第14回|子供騙しの将軍擁立計画 みをつくし料理帖第1回|東西の食文化の違い