眩~北斎の娘~|3人の絵師の生き方と情熱に圧倒される

眩~北斎の娘~

NHKの特集ドラマ「眩(くらら)~北斎の娘~」が放送されました。

鮮やかな色彩に溢れた映像、手の込んだ衣装、緊張感のあるストーリー。
いろんな意味で迫力のあるドラマでした。
画業に身を捧げる葛飾応為の半生を、宮崎あおいさんが熱演。
べらんめえ口調が新鮮でした^^

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

あらすじ

江戸の天才絵師・葛飾北斎の三女として生まれたお栄(後の葛飾応為:宮﨑あおい)は、町絵師と夫婦になったものの、箸を持つより絵筆を持つのが好きで、父であり、師である北斎(長塚京三)の元に嫁ぎ先から戻ってきた。そこから「超えられぬ高き壁・北斎」の絵の手伝いが始まった―。

そんな中、お栄は北斎の門人である絵師・善次郎(溪斎英泉:松田龍平)にだけは、苦しみや悩みを話すことができた。それは思うに任せない、「出戻りお栄」の密かな恋心であった。

北斎という絵に魅入られた男を尊敬し、影で支える絵師として働き続けるお栄。そして北斎の代表作である「富嶽三十六景」が完成した時にも、そばにはお栄がいた。父が高齢となり、思うがままに筆を動かせなくなってからも、お栄は父の「影」として北斎の絵を描き続ける。北斎は眩しい光、自分はその影でいい。そうしてお栄は絵を描き続ける。

やがて時は過ぎ、心の中で常によりどころであった善次郎そして、北斎もこの世を去る。60歳を過ぎたお栄は、一つの真実にたどり着く。「影が万事を形づけ、光がそれを浮かび上がらせる。この世は光と影でできている」――

感想

すごい迫力のドラマだった。
お栄、北斎、英泉の生き方、絵にかける情熱、そして絵が持つ力。
それらに圧倒されてしまって、見終わった後も心がザワザワしていました。

特に「三曲合奏図」と「富士越龍図」を描くところを再現したシーンが圧巻。
何もない空白に、線が描かれて、繋がって、やがて人や物になる……。
こちらまで、思わず息を止めて、筆先に見入ってしまう。

ちなみに「富士越龍図」に描かれている黒雲とともに昇天する龍は、北斎自身をなぞらえたものだそう。これを描いた3か月後に北斎は亡くなっていて、絶筆とも言われています。

お栄は、とても素直な女性だったんでしょうね。
これほど有名な父親のもとに生まれても、拗ねたり反発したり捻くれたりすることなく、まっすぐに絵に向かい、父・北斎を尊敬し支え、ひたすら絵を描き続けたのだから。

時代が違うと言われればそれまでだけど、こんな父娘は、相当珍しいと思う。
こういうまっすぐな生き方、憧れます。

英泉が、お栄の才能にひそかに嫉妬する場面も、すごく好きです。
松田龍平さんの複雑な表情が、英泉の気持ちをぜんぶ物語っていました。
まだ若い英泉が、もう絵は描かないと決めたのには、いろいろな思いがあったのだろうと。

一方北斎は、年老いてもなお筆を止めず、最後まで描き続けた人。
90歳、死ぬ間際になってもまだ「うまくなりてえ」と求める貪欲さと執念は、凄いのひと言です。あんな化け物みたいな人とずーっと一緒に暮らしていたお栄は、いったいどんな気持ちだったんだろう。

劇中、お栄が最後に描いていた「吉原格子先之図」を見た時、江戸時代に描かれたとは思えないほど現代的だなあと、私は感じました。光と影の描き方が幻想的で、たくさんの物語を、見る人に想像させる絵でした。

衣装や髪型も手が込んでいたし、美術も素晴らしかった。
全体的に、単発ドラマとは思えない出来でした。拍手。

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