みをつくし料理帖最終回|滋味滋養にこめられた思い

どうも、夏蜜柑です。
NHK土曜時代ドラマ「みをつくし料理帖」最終回(第8回)。

まだまだ続きがありそうな感じの終わり方でしたね~。
澪と小松原、源斉先生の三角関係が切実になってきて、ドキドキしてきたところなのに。
ぜひ続編をお願いしたいです!

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

最終回「寒鰆の昆布締め」あらすじ

澪(黒木華)は、小松原(森山未來)が御膳奉行の小野寺数馬だと永田源斉(永山絢斗)から聞かされ、動揺します。

その頃、江戸城では、将軍しか食べられない特別な食べ物を密かに市中の商人に横流しして、大金を得ている御膳奉行がいるという噂が持ち上がっていました。若年寄の坂梨志摩守(山崎一)は、当分の間勝手な行動を控えるよう、御膳奉行らに命じます。

半年後の師走、料理番付の版元が「つる家」を訪ねてきて、今年は「登龍楼」と「つる家」で入れ札が別れ、どっちが大関か決められないと言います。そこで同じ材料を用いた料理を店に出し、どっちが美味いか競い合うことに。

しかし、題材の「寒鰆」は、大坂では春に食べる魚。脂がのった冬の鰆は勝手が違う、と芳(安田成美)は澪を心配します。

澪が勝負を引き受けたのは、芳のためでした。もしも勝負に勝ち、番付で江戸一番になれば、行方不明の佐兵衛(柳下大)の耳にも入り、店に食べに来てくれるのでは……と考えたのです。

源斉は、鰆の卵を干してつくる「唐墨」という食べ物があることを澪に教えますが、残りの日数で作るのは無理でした。源斉は小松原のことを澪に尋ねますが、小松原はもう半年も「つる家」に姿を見せていませんでした。

市中に、御膳奉行の不正を載せた読売が出回ります。澪は小松原の身を案じるあまり、料理中に気をとられて自分の指を切ってしまいます。「登龍楼」との勝負は断ろう、と種市(小日向文世)は言います。

夜明け前、澪はひとりで稲荷神社に行きます。そこで偶然、小松原と会います。いつもの調子で軽口を叩く小松原に、澪は「それが久しぶりに会って言うことですか!」と思いをぶつけます。

「小松原様は、土圭の間の小野寺様なのでしょう?」
「なにゆえそれを……」
「ええんです。どのみち私には、どこから来てどこへ行くとも知れへんお侍様なのですから。そやのに読売の話を聞いて、勝手に小松原様のお身を案じて、その挙げ句、こないなことになって……」

「こんな阿保な私が、至らへん私が、登龍楼と腕くらべやなんて……江戸一番の料理人になろうやなんて、そんな大それたこと……夢みたいなこと……」

泣き出す澪に、小松原は初めて「澪」と名前を呼びます。

「澪標(みおつくし)の澪。それがお前の名だろう。それは、船路の道しるべとなるものだ。それを頼りに人は海に進んでいく。お前の澪標はなんだ」

澪の顔の前に、人差し指を立ててみせる小松原。

「いいか──。道は、ひとつだ」

澪は、芳や種市、おりょう(麻生祐未)やふき(蒔田彩珠)の前で頭を下げ、「腕競べをやらせてください」と言います。

澪を手伝うため、「翁屋」の料理番・又次(萩原聖人)が「つる家」にやってきます。「翁屋」の楼主・伝右衛門が、鱧のお返しにと計らってくれたのでした。

又次は、あさひ太夫(成海璃子)が澪のために大坂から取り寄せたという「おぼろ昆布」を澪に渡します。澪はその「おぼろ昆布」を使って、「寒鰆の昆布締め」を作ります。

源斉は、「澪が怪我をしたのは私のせいです」と打ち明けます。読売が出る前に、御前奉行の噂を父から聞いていた源斉は、小松原が不正に関わるような人間ではないことや、その噂のせいで小松原が「つる家」に来られないことを知っていましたが、澪に話さなかったのです。

「そのことを伝えていさえすれば、澪さんは怪我をしなくて済んだのです。私は卑怯者です」
「そんな……。そんなことでご自分のせいやなんて。それに、なんでそれが卑怯者になるんですか?」

源斉の気持ちに気づかない澪は、「おかしな源斉先生」と言って笑います。

いよいよ腕競べが始まります。唐墨などの豪華な料理を並べたてる「登龍楼」に比べ、「つる家」は昆布締めひとつで勝負に挑みます。

昆布締めを食べた清右衛門(木村祐一)は、澪に「滋味滋養」という言葉をおくります。

番付が売り出されますが、「つる家」は大関にはなれませんでした。しかし、「腑に落ちない」と結果に不満を抱く客が版元に押しかけているらしい、と種市は澪に教えます。

又次もまた「合点がいかない」とこぼしますが、あさひ太夫は「澪ちゃんは勝ち負けなんか考えて作ってへん。無心に精進を重ねてるだけや。そやさかい澪ちゃんの料理は、あないに人の体と心に染み渡るんやで」と言います。

小松原は「登龍楼」へ行き、料理を食べます。店主の采女宗馬(松尾スズキ)に、「唐墨は、公方様さえ虜にする珍味中の珍味。お前のことだ。この腕競べの話が来る前から、いろいろと試しておったのだろう?」と言います。

「唐墨がどういうものかを下手に知っておる分、行司役も勧進元も『登龍楼』を勝たせるほかはあるまい」
「これは……。まるで本来であれば、『つる家』の勝ちであったかのような物言いをなさる」

「そうは言うておらん。ただ、昆布締め一切れで『登龍楼』に真っ向勝負を挑んだ『つる家』の女料理人。大した度胸だと思ってな」

客足が途絶えた夜遅く、小松原は「つる家」を訪ね、寒鰆の昆布締めを食べます。その様子を嬉しそうに見守る澪。

節分の炒り豆を美味しそうに食べる小松原を見て、澪は「そんなにお好きなんですか?炒り豆が」と聞きます。

小松原は、「ああ、好きだ。この上なく、好きだ」と澪を見つめて答えます。

文化十二年の初夏、澪と芳は船に乗って川を下る佐兵衛を見つけます。澪は船を追いかけ、橋の上から「元飯田町のつる家!そこに、ご寮さんも一緒に!」と叫びます。

澪の声は、確かに佐兵衛に届いていました。
佐兵衛が生きていたとわかり、澪と芳は喜びます。

天満一兆庵を立て直すまで、身を尽くして精進します、と誓う澪。

江戸の豆知識

澪たちが生きていたこの時代は、文化十二年。
西暦で言うと1815年です。
江戸時代の後期、徳川家斉が将軍だった時代です。

当然、食文化も今とは大きく異なります。

“酪”とは?

御膳奉行が横流ししたという珍味「酪」。
おりょうも「酪ってなんだい?」と聞いていましたが、何かわかりましたか?

酪とは、簡単に言うと乳製品です。

日本における乳製品は、飛鳥時代~平安時代には医薬品として用いられていたようです。仏教が広まったり朝廷の勢力が衰えたりしたことで廃れ、乳製品はいったん姿を消しました。

ふたたび登場したのは、八代将軍・徳川吉宗が馬の治療用に作らせた「白牛酪」という乳製品です。製造方法は飛鳥時代と変わらず、牛乳を煮詰めて乾燥させ、団子に丸めたものだとか。バターよりチーズに近い食べ物らしいですね。

「白牛酪」は、滋養強壮の薬として代々の将軍の膳に供され、水戸黄門が常食したとの記録も残っています。

いずれにしても、当時は今とは違い、庶民が乳製品を口にする機会はなかったようです。

“滋味滋養”とは?

「寒鰆の昆布締め」を食べた清右衛門が、澪に言った言葉です。

【滋味】とは、ひとつは栄養のある食べ物のこと。もうひとつの意味は、物事に感じられる、豊かで深い精神的な味わいのことです。
【滋養】とは、からだの栄養となること、栄養となるものを指します。

このふたつの言葉を合わせた【滋味滋養】とは、栄養豊富な食べ物から滲み出る深い味わいとおいしさ……といった意味になります。

私は、【滋味】が料理にだけ使われる言葉ではないことから、澪の心配りに対しての評価も込めて、清右衛門が贈った最高の褒め言葉ではないかと思っています。

“みおつくし”とは?

漢字では「澪標」と書きます。
航路を示す、日本独自の標識です。

「澪」とは、河川や海で船が航行する水路のこと。
「澪標」は、その澪(航行可能な場所)と、土砂の堆積によって座礁の危険があるところ(航行不可能な場所)の境界に並べて設置される標識です。

古くから「水の都」と言われてきた大阪との関連が深く、大阪市では、この「澪標」を市章として採用しています。

和歌では、「澪標」と「身を尽くし」を掛けた「掛詞」として用いられることもあります。平安時代に詠まれた、元良親王の歌(小倉百人一首)が有名です。

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ

最終回「寒鰆の昆布締め」料理レシピ

澪の献立帖は、公式サイトで動画つきのレシピが見られます。

http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/miwotsukushi/html_miwotsukushi_recipes08.html

原作・高田郁先生のちょい足し料理帖はこちら↓

http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/miwotsukushi/html_miwotsukushi_sp08.html

最終回「寒鰆の昆布締め」感想

ここで終わるとは……(>_<。)
第一部完、って最後に入れて欲しいですよね!

小松原を想う澪と、澪を想う源斉先生が切ない回でした。
「私のせいで……」と、自分の嫉妬心から澪を傷つけてしまったことに落ち込む源斉先生に、心を鷲づかみされてしまいました。

炒り豆に例えて、澪に真顔で告白する小松原も男らしかったなぁ。
やっと、ふたりが自分の気持ちに正直になり始めた、そんな感じでした。

澪の笑顔と料理に、毎回ほっこりしたドラマでした。
ご寮さんや種市さんやふきちゃんやおりょうさん、又次さん、あさひ太夫……。
澪のまわりの人たちも、みんな生き生きしていて、見ていて心地よかったです。
意地悪で最低な采女宗馬もまた、良いスパイスでした。

佐兵衛の事件には黒幕がいるようだし、澪の恋の行方も気になります。
このまま終わるなんて、とんでもないです!
ぜひぜひ、続編を!!


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