
「弟の夫」(C)NHK
どうも、夏蜜柑です。
プレミアムドラマ「弟の夫」最終回(第3回)。
しみじみと始まり、しみじみと終わった。たった3話と短かったけれど、ゆったりと流れる静かな時間の中で、たくさんのものをわたしの心に残してくれました。出演者の皆さん、スタッフの皆さんの思いが伝わってくる、素晴らしい作品でした。
以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。
最終回のあらすじ
- 涼二(佐藤隆太)の高校時代の親友・カトやん(野間口徹)は、自分がゲイであること、涼二に片想いをしていたことをマイク(把瑠都)に打ち明ける。
- 夏菜(根本真陽)の担任教師・横山(大倉孝二)は、夏菜が教室で同性婚の叔父の話をすることについて「いじめに繋がるのでは」と懸念を示す。弥一は、「その時はいじめる子を注意してほしい」と横山に意見する。
- 弥一はマイクから涼二の写真を見せてもらう。マイクは、涼二が結婚式の後「いつか必ず一緒に日本に行って、兄貴に紹介する」と話していたことを明かす。マイクが日本に来たのは、弥一と家族になるためだった。
- 弥一はマイクと一緒に両親の墓参りに行く。マイクはカナダに帰ることを決め、弥一と夏菜に別れを告げる。
- 1年後、マイクが家族を連れてふたたび折口家を訪ねてくる。
最終回の感想
やわらかな冬の光を感じさせる映像が、まるで昔の写真を見ているように懐かしく、心に染みました。LGBTという繊細な題材を扱うドラマでしたが、誰の心にも届く家族の物語だったと思います。
野間口さん演じるカトやんは、涼二のことが好きだったんですね。
カトやんもゲイだけど、涼二のようにカミングアウトすることを望まず、慎重に生きている人。そういう人もいる、ってことなんだろう。何が幸せかは、本人が決めることだから。
そしてやっと、マイクのことを「弟の夫」と言えた弥一。
夏菜の担任の横山先生も、たぶん悪気なんてなかったんだろうね。本当に夏菜のことを心配していたのかもしれない。でも、自分のクラスで厄介ごとが起きたら困る、という気持ちも、どこかにあったかもしれない。
もし夏菜がいじめられた時は、いじめる子を注意してほしい、という弥一の言葉が頼もしかった。そのとおりだ。
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マイクが日本に来たのは、弥一と家族になるためでした。
それが、涼二との約束だったから。
「その約束果たせたね。もうとっくになってるよ、家族に」
人と人の気持ちが通じ合うシーンって、なぜこうも心を温めてくれるんだろうね。夜の静けさが2人の言葉を深く響かせているようで、なおさら染みわたりました。
わかり合える人、愛し合える人に出会えることは幸せだ。それは、ゲイであろうがなかろうが関係ない。
同時に、もし自分が弥一の立場だったら……身近に理解を求めて苦しむ人がいたら、どうすればいいのだろうと、いろいろ考えてしまいました。
でも、弥一の「本人が望むなら見守り、幸せなら祝福する」という言葉を聞いたとき、さっとモヤモヤが晴れました。
たったそれだけのことなんですね。
知識はないよりあった方がいいけど、あまりアレコレ難しく考えすぎるのもよくないのかもしれない。弥一のこの言葉は、胸に刻み込んでおこうと思います。
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絶対にまた会おう、と言う夏菜に、マイクは「絶対の約束はできない」と言いました。涼二が死んでから、できなくなったと。
子供に対しても決して嘘をつかないマイク。マイクの正直な心、誰に対しても思いやりを持つ優しい心が、このドラマ全体を温かい雰囲気で包みこんでくれていたと思います。
マイクとの別れは悲しく、広い家にポツンと残された2人が思いのほか淋しくて、参ってしまいました。1年後に再会できて本当によかった。マイクの家族と弥一の家族が楽しそうに笑い合うシーンを見て、うれしくて、涙がこみ上げてきました。
全3話でしたが本当に素敵なシーンばかりで、たくさんの思いで心が豊かになる素晴らしいドラマでした。
今後は、母国エストニアで国会議員を目指すとのこと。
「若者が田舎に戻ってくるような環境をつくりたい。みんなが幸せになるように、大統領になりたい」と語った把瑠都さん。
彼の決断と夢への挑戦を心より応援したいと思います。
最後に素敵な作品を日本に残してくれてありがとう。
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