「犯罪症候群」と原作「誘拐症候群」の相違点【その1】

オトナの土ドラ 犯罪症候群

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現在放送中のドラマ「犯罪症候群」Season1の原作との相違点について、まとめてみました。

Season1の原作は、「誘拐症候群」と「失踪症候群」の2作品です。
第3話において「誘拐症候群」が終わったようなので、まずは「誘拐症候群」における相違点をあげてみます。

原作について

このドラマの原作は、貫井徳郎さんの小説「失踪症候群」「誘拐症候群」「殺人症候群」の3部作です。
現在放送されているSeason1は、「失踪症候群」「誘拐症候群」にあたります。

作者の貫井徳郎さんは、1968年東京都渋谷区生まれ。
早稲田大学商学部卒業で、妻は推理作家の加納朋子さんです。
失業期間に書いたという「慟哭」が第4回鮎川哲也賞の最終候補に残り、1993年に同作でデビューしました。
最近では「愚行録」が映画化され、話題を集めています。

ドラマ「犯罪症候群」と原作「誘拐症候群」の違いは?

ストーリーもですが、登場人物たちの設定も、ドラマと原作では大きく異なります。
原作では、環が指示を出す“影の特殊工作チーム”は3人いて、チームで協力して捜査します。

武藤はそのうちのひとり。
ドラマでは、武藤ひとりで進めている感じですね。

武藤の過去についてもドラマの方が大きく取り上げられているので、感情移入しやすくなっているし、全体的にわかりやすい構成になっていると思います。

武藤が胸の内に<獣>を飼っていたり、環が手段を選ばない冷徹な人間だったり、物語のコアになる部分は原作と同じです。

以下、ネタバレになりますのでご注意ください。

【その1】主人公・武藤隆の職業

ドラマでは、元捜査一課の刑事。現在は探偵事務所の調査員。
原作では、元警視庁第七機動隊の警察官。現在は托鉢僧。

【その2】武藤が警察を辞めた理由

ドラマでは、実の妹を未成年者に殺され、犯人を本気で殺したいと思ったため。
原作では、デモ行進を解散させるために出動した際、本気で暴力を楽しみ人を殺そうとしたため。

【その3】武藤が関わる誘拐事件

ドラマでは環から依頼を受けた「小口誘拐」。捜査をする中で、田村公平や磯村咲子、後藤俊和らと接触します。

原作では、托鉢僧として知り合った友人の子供が誘拐され、その身代金運搬役に指定されて引き受けたことから。
武藤は犯人を捕まえることに失敗し、友人の子供は殺害されます。
田村公平や後藤俊和と接触するのはチームのほかの2人で、磯村咲子を最初に疑って接触するのは田村公平です。武藤は「小口誘拐」には直接関わりません。

【その4】後藤俊和の正体

ドラマでは、ジーニアスの弟。
原作では、ジーニアスの大学時代の友人で小口誘拐の共犯者・後藤拓己の弟。

【その5】ジーニアスの正体

ドラマでは、後藤拓己。頭脳明晰で大衆を“愚民”と見下していますが、自身は社会になじめない引きこもり。

原作では、官庁に勤めるエリート。愚民たちが牛耳る日本社会に心底絶望しています。名前は明らかになっていませんが、「ごくごく平凡な名前」。
外見は、背が低く痩せぎすで貧相な体格。顔もいたって平凡で、物語のラストでジーニアスを見た磯村咲子は「貧相で平凡な小男が<ジーニアス>だとは、とても信じたくなかった」と言い、長い夢から覚めた心地になります。

【その6】ジーニアス逮捕に至る経緯

ドラマでは、警察が自宅に押しかけ、連行しました。

原作では、環の策略で、職場に彼が誘拐犯だというビラを撒き、マスコミに噂を流し、ジーニアスの社会的地位を失墜させてじわじわと追いつめました。
さらに彼のパソコンを盗み出し、磯村咲子と交わしたチャットの記録を入れて証拠をでっち上げました。

【その7】環と武藤の関係

ドラマでは、環は武藤に裏の仕事を依頼し、武藤が断ると武藤の家族をたてにとって任務を強要します。武藤は環を軽蔑しますが、家族のために仕方なく引き受けます。

原作では、環と武藤はあくまでも上司と部下という関係です。
武藤は「影の特殊工作チーム」の一員として環のやり方を無条件に受け入れ、環の指示どおり忠実に任務を遂行していましたが、誘拐事件の後、環の捜査方法に初めて疑問を感じるようになります。

ひとこと

原作では、2つの異なる誘拐事件の捜査が同時進行で行われますが、武藤が関わる誘拐事件のほうが残酷です。

一応犯人は逮捕されるものの、子供は殺され、武藤は責任を感じて苦しみ、被害者の夫婦にはさらに過酷な運命が待っています。ドラマでこれを見るのはかなり辛かったかもしれません。

原作の武藤は、人と深く関わることを恐れて孤独な生き方を選んでいますが、ホームレスに対しても色眼鏡をかけることなく平等に接することができる、優しい人物です。

そういうところは、ドラマで玉山鉄二さんが演じる武藤も同じですね。

追記:ドラマは、誘拐事件1⇒失踪事件⇒誘拐事件2 という運びのようです。
原作で武藤が関わった誘拐事件は、後半に描かれることが判明しました。

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