「家族の旅路」最終回|感動のラストシーンに涙

大人の土ドラ「家族の旅路」

どうも、夏蜜柑です。
大人の土ドラ「家族の旅路」最終回(第8話)。

素晴らしい最終回でした。原作がよく出来ているのでしょうが、脚本、キャスト、演出、音楽、すべてにおいて良かったです。今どきの軽さも斬新さも飾り気もないけれど、心を揺さぶる見応えのあるドラマでした。

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

最終回のあらすじ

  • 柳瀬(遠藤憲一)からの手紙を読んだあかね(横山めぐみ)は、亡き夫・真二(小林タカ鹿)が阿佐ヶ谷事件の犯人であることを知りながら、娘・礼菜(谷村美月)のために柳瀬に罪を被せたことを祐介(滝沢秀明)に打ち明ける。さらにあかねは、喧嘩で重傷を負った真二を石で殴打し、殺したことを告白する。
  • 祐介と澤田(片岡鶴太郎)は記者会見を開き、柳瀬の無実と死刑執行命令の撤回を訴えるが、5日目の朝になっても連絡はない。絶望した祐介は弁護士を辞めようとする。だが柳瀬が刑場へ向かった直後、死刑執行命令が撤回される。
  • 柳瀬の供述によって赤ん坊の祐介の遺体が発見される。再審請求が通り、無実が証明された柳瀬は、ようやく拘置所を出て息子である祐介を力いっぱい抱き締める。
  • 祐介の養父母は柳瀬を許し、これからは家族になろうと柳瀬に語りかける。初めて同じ屋根の下で寝床についた祐介と柳瀬は、互いの胸の内を語り合う。祐介は父である柳瀬に「生きていてくれてありがとう。僕を愛してくれてありがとう」と伝える。
  • 祐介と柳瀬はかつて暮らしていた甲府を訪れ、再び2人で夕日に染まる富士山を見る。

最終回の感想

ああ、もう何から書けばいいのか……。
このドラマに対する熱い思いが溢れてきて、言葉になりません。

でも、なんとか冷静になってまとめなければ。
ひとりでも多くの人に、このドラマの良さを伝えたいです。

親が子を思う気持ちを真っ正面から描いた、今どき珍しい正当派のドラマでした。

親が子供を虐待したり、子供が親を殺したりする事件が毎日のように報じられる今、ともすれば噓臭くなってしまう“無償の愛”という題材を、緻密に設定された登場人物と30年前の事件を解き明かすというサスペンスで、決して表面的ではない見応えのあるストーリーに仕上げていたと思います。

最終回は、前半部分を柳瀬の死刑を阻止できるかどうかという緊迫感で盛り上げ、後半で事件の収束とそれぞれの心の置き方を丁寧に描いていて、充実した内容でした。

序盤から散りばめられたすべての伏線を回収し、全員が前を向く結末に繋げたところは感動的。最後まで物語に引きこまれました。

あかねは、やはり礼菜のために事件の真相を隠していたんですね。

わたしは真二が事件を起こした直後に知ったのでは?と予想してましたが、実際には3年後でした。もし事件直後に知っていたら、あかねはすぐに警察に通報していたかも。礼菜が生まれる前だったなら、そうしたかもしれません。

真二を殺したのは、あかねでした。

真二が犯人だということを知りながら柳瀬に罪を被せ、自分が真二を殺したことを胸に秘めながら、たったひとりで礼菜を育ててきたあかね。

そんな凄絶な過去を背負っていたなんて……彼女が投げやりな人生を送っていた理由が、やっと腑に落ちました。彼女もまた、運命に翻弄されたひとりだったんですね。

ただ、法律的には時効になっても、彼女が犯した罪は消えません。余命宣告された彼女にできることは、償いの気持ちをもって柳瀬や祐介や礼菜と真摯に向き合うことだったのだろうと思います。

柳瀬を演じた遠藤憲一さんには、毎回泣かされました。
そして滝沢秀明さん演じる息子・祐介との接見シーンは、心に残る名場面でした。

柳瀬に対する印象が、回を重ねるごとに変わっていくんですよね。

最初は殺人犯として、祐介の家族を殺した酷い男。
やがて息子のために無実の罪を被る、無敵の父親。
自分のエゴで周りの人間の運命を狂わせた、自分勝手な人。
現実と向き合うことを恐れ、死に逃れようとした狡い人。

そして30年前の柳瀬は、常に自信が持てず、身を小さくして生きていた青年でした。彼が取った行動は、ただただ彼の自信のなさや若さに起因しているのだと、最終回で初めてわかりました。

柳瀬は、いい父親だったかもしれないけど、弱い人間だったんです。
だから、罪を犯したのでしょう。

第1話から、柳瀬が拘置所で富士山を描くシーンが繰り返されてきました。
あの富士山の絵は、柳瀬の心そのものだったんですね。

刑場に向かうため独房を出る直前、柳瀬が富士山の絵を見つめるシーンがありました。
そこには、柳瀬の本心が現れていたのだと思います。いつか、光男と2人でもう一度あの富士山を見たい、という。

彼は自分の心の奥底に隠されたその“願い”に、気づいたように見えました。

柳瀬の心情を表情だけで演じきった遠藤さんの存在の大きさは、このドラマの核と言ってもいいほどでした。本当に見事でした。

拘置所から出た後、おそるおそる祐介に近づいて抱き締めるシーンは、ようやく解き放たれた柳瀬の光男に対する愛情の深さを語っていて、胸を打ちました。

これから先、どうやって生きていけばいいのかと不安を口にする柳瀬に、息子である祐介が「僕を愛してくれてありがとう」と言う。たったそれだけで、柳瀬は救われたと思います。

そして、今度こそ前を向いて生きていけると思います。

柳瀬も、あかねも、あかねの父親も、祐介の養父母である孝信と由美子も、決して素晴らしい人間ではありません。みんな何かしら弱い部分を持っていて、それゆえに間違いを犯してしまう。

子供は親に「完璧」を求めてしまうけれど、そんなのは幻想でしかなくて。
自信がなくて迷うこともある。間違えることもある。愛していながら、子供を傷つけてしまうことも。

そういう親の罪を受け入れることが、本当の意味で「大人になる」ということなのかもしれない……と考えさせられました。

親に振り回される人生を恨んでいた礼菜や祐介が、最終的に親の罪を受け入れて逞しく成長していく過程もよかったです。

夕日に映える富士山を、祐介と柳瀬が30年ぶりに一緒に見るラストシーンは、瞼が熱くなりました。それぞれの孤独な旅が終わり、家族と紡ぐ新たな旅がここから始まるんですね。

新しいか古いかと言えば、古いのでしょう。
目を引くような斬新さは、このドラマにはありません。

目新しさに走らず、真摯に、そして丁寧にこのドラマを作り上げ、視聴者に届けてくれた作り手の姿勢には好感度しかありません。

遠藤さんはじめ、片岡鶴太郎さん、横山めぐみさん、谷村美月さんなど配役もよかったです。

真面目で誠実な主人公・祐介を演じた滝沢さんは、この役がとても似合っていました。ラストシーンで流れる主題歌「記憶のカケラ」も、ドラマの雰囲気にぴったりの名曲でした。

ツッコミどころはそれなりにあるけれど、些細なことはどうでもよくなるくらい、久しぶりに物語そのものに夢中にさせられたドラマでした。

このドラマを届けてくれた出演者とスタッフの皆さんに感謝します。
ありがとうございました。そしてお疲れさまでした。


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