「埋もれる殺意~39年目の真実~」感想|罪を免れても苦しみからは逃れられない

「埋もれる殺意~39年目の真実~」

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どうも、夏蜜柑です。
海外ドラマ「埋もれる殺意~39年目の真実~」(全6話)の感想です。

2015年に全英で放送された「埋もれる殺意」シリーズの第1弾。

登場人物の年齢層は高めで、落ち着いた雰囲気のドラマです。
派手さはありませんが味わいと見応えのある作品。

被害者は1976年に失踪した青年、ジミー・サリヴァン。
失踪から39年目に、白骨遺体となって発見されました。

結末はかなり衝撃的でしたね……。
犯人があの人だとは全く予想できませんでした。

※以下、ネタバレを含みます

最終話のあらすじ

  • ジミーとニコラスを殺した罪で起訴されたエリック・スレイターは、「2人を殺した犯人はクレアだ」と告白する。エリックはゲイで、クレアと結婚した後も男性を求める気持ちを止められず、夜遊びを止められなかったという。
  • 心を病んでいたクレアは、エリックがジミーと〝アーリンガム・ハウス〟の地下室で性行為に及んでいるところを目撃し、激怒。その場に落ちていた金槌でジミーの頭を殴り、即死させたのだった。エリックはクレアを連れ帰り、再び現場に戻ってジミーの遺体をその場に埋めた。
  • 2人目の息子が生まれた後、エリックは再び夜遊びを始め、ニコラスとの行為中にクレアに見つかってしまう。クレアはニコラスを殺害。エリックは自宅の庭にニコラスの遺体を埋め、2週間後に車で木に突っ込んで自殺を図るが死ねなかった。その事故がもとで車いす生活を送ることになった。
  • キャシーはクレアに自白させようとするが、クレアはジミーの写真を見ても何も思い出せなかった。クレアは保護観察処分となり、施設へ送られる。次男のマットは頻繁に施設を訪ね、密かにクレアを虐げる。
  • フィリップは人を雇って自分を脅したフェンウィックを始末するが、息子ジョシュが警察に通報。警察で全てを告白し、罪を認める。ジョシュとベラに感謝の言葉を伝えた後、公判前に独房で首を吊って自殺する。
  • 川に身を投げるも命を取り留めたリジーは、夫レイやカーティスと和解。サッカーチームの少年たちとも信頼関係を取り戻す。ロバートはジョジョの娘セアの仲立ちで家族と和解し、エリーの結婚式に出席する。

感想

まさかの真犯人

第5話の時点でエリックが起訴され、犯人はエリックかと思われましたが、ミスリードでした。真犯人はエリックの妻クレア。

クレアは認知症が悪化しており、事件については何も思い出せませんでした。
彼女は罪に問われることはなく、保護観察処分となって施設へ。

ですが、クレアに幸福な余生が待っているとは思えません。
法的には罪を免れても、クレアは死ぬまで苦しみから逃れられないような気がします。

次男のマットはクレアを責め、面会するふりをして施設を訪れては苛めている様子。第1話では、施設に入ってほしいという長男のレスに反対して、両親の思いを尊重しようとしていたのに……。

なぜマットが態度を豹変させたのかは、はっきりとはわかりません。
もともと両親の世話はレスに任せていたみたいだし、情が薄かったのかもしれません。

なんとなく不気味で、後味の悪さを残す結末でした。

ジミーの秘密

殺されたジミーの状況がわかるにつれ、哀れでなりませんでした。

ジミーは当時ジョジョと付き合っていたのですが、ジョジョから妊娠を告げられ、堕胎手術のための費用50ポンドをフェンウィック家から借りることに。

これが厄災の始まりでした。

リジーとアースキンにそのお金を根こそぎ奪われ、困ったジミーは売春を始めます。

当時フェンウィック家に雇われて借金の取り立てをしていたフィリップは、ジミーに酷い暴力行為をふるっていたと思われます。遺体の手の骨に穴があいていたことも、それは明らか。

マフィアに借金返済を迫られ、恋人からは手術代を要求され、体を売るしか稼ぐ方法がなかったジミー。そしてジミーを金で買ったエリックの妻クレアに殺されてしまう。

災難というか不運というか。
そもそも、ジョジョが妊娠したのはロバートの子供なんですよ……やりきれません。

エリックの罪

差別主義者だと思われたエリックは、ゲイでした。
彼はそのことをずっと隠して生きてきたんですね。

今とは違い、エリックの若い頃は同性との性行為は違法でした。クレアのことを愛しながらも、男性を求める気持ちを抑えることができなかったエリックは、クレアに隠れて男性と関係を持つようになります。

心を病んでいたクレアは、それを許すことができなかった。

この数十年、エリックは罪悪感と羞恥心に苛まれ、苦しんでいたと思います。
自分の性的指向がクレアを殺人者にしてしまったのだと。

もしも遺体が発見されなかったら、この秘密を墓場まで持っていくつもりだったのかもしれません。

真実を打ち明けることにしたのは、息子たちのためだったのでしょうか。
いずれにしても、残された家族の辛さは相当なものだと思いますが……。

それぞれの結末

ロバート牧師

この人もたいがいでしたね。
ジミーがジョジョと付き合う前、ロバートはジョジョと関係を持っていました。

ジョジョは当時15歳の少女で、ロバートは28歳の青年牧師。
しかもグレースと結婚したばかり。

それだけでも大人としての常識を疑ってしまいます。

ロバートの子供を妊娠したジョジョは、ジミーの子だと偽ってジミーに堕胎手術のための費用を工面させようとしましたが、ジミーが失踪(殺された)してしまったため、やむなくロバートに相談。

ジョジョはロバートの支援を得て子供を出産し、ひそかにロバートと家庭を築いていました。

ロバートが教会のお金を使い込んでいたのは、ジョジョの出産費用や娘の養育費が必要だったから。使途不明金について問い詰められると、彼は妻グレースの大切な宝石を密かに売って返済に充てたのです。

グレースと娘たちは、ジョジョの存在も隠し子の存在も一切知りませんでした。父親が自分たちよりも愛人や隠し子と頻繁に会っていたことを知った彼女たちのショックは、相当なものだったと思います。

ロバートはいったんは妻と娘から拒絶されますが、ジョジョの娘セアが間に入り、最終的には元の鞘に収まった様子。エリーの結婚式にも出席していましたしね。

わたしが家族だったらそう簡単には許せないかも……。

サー・フィリップ

地位と名声にあぐらを掻いているような人物でしたが、とんでもない悪人でした。

若い頃、貧しい生活から抜け出すためにフェンウィック家(マフィア)の仕事を手伝っていたフィリップ。

借金の回収を任されていた彼は、ジミーたち債務者に相当酷いことをしていたようです。フィリップは過去の黒歴史を隠蔽するために、元仲間のトーマス・ピニオンに口止め料を払っていました。

ジミー殺害の犯人として容疑をかけられそうになったフィリップは、脅しをかけてきたゴードン・フェンウィックを人を雇って殺害させ、難を逃れようとしましたが……。

フィリップの妻は彼の裏の顔を知っていたようだけど、息子のジョシュと娘のベラは父親の罪を見過ごすことができなかった。

ジョシュに通報されて逮捕されたフィリップは、警察にすべてを打ち明け、独房で首を吊って自殺しました。

リジー

若い頃は人種差別主義者で、数々の犯罪を犯していたリジー。
今は過去を悔い改め、その事実をひた隠しにして生きていました。

しかしジミーの事件をきっかけに、夫のレイやサッカーチームの少年たちに過去を知られ、拒絶されてしまいます。リジーは川に身を投げて自殺を図りますが、幸い一命を取り留めました。

夫のレイも、息子のように愛情を注いでいたカーティスも、リジーを赦し受け入れます。カーティスのロッカーに「中等教育課程 修了証」が貼られていたので、試験にも受かったみたいですね。

サッカーチームの少年たちとも信頼関係を取り戻せてよかったです。

キャシーとマーティン

キャシーは父親のマーティンから、亡くなった母親が不倫をしていたことを知らされました。

マーティンが部屋を片付けているときに、不倫相手からの手紙が入った箱を見つけてしまったのです。そのことをずっとキャシーに言えず、マーティンはひとりで苦しんでいました。

愛する人が過去に犯した罪を知った時、家族はどう受け止めればいいのか。
この作品が投げかける問いに、正解はありません。

マーティンは過去と訣別し、これからの人生に楽しみを見つけることを決意。
キャシーはそんな父親を応援します。

年齢を重ねたからと言って、悟りを開いたように人生と向き合えるわけではない、ということをしみじみ感じました。「四十にして惑わず」なんて嘘っぱちで、わたしはどの年齢にも迷いや苦しみはあると思っています。

主人公のキャシーはとりわけ美人でもないし若くもないけれど、ストーリーといい登場人物たちを彩るドラマといい、滋味あふれる作品でした。

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