海外ドラマ「探偵ミス・スカーレット」(全6話)についてまとめました。
英国のクライム・ミステリー専門放送局alibiで2020年に放送されたミステリードラマ。
男性優位の19世紀ロンドンを舞台に、亡き父の跡を継いで探偵となったミス・スカーレットが幼なじみの刑事ウィリアムの協力を得て事件に挑みます。
「ダウントン・アビー」でメアリー王女を演じたケイト・フィリップスが、ミス・スカーレットを演じています。
Contents
作品概要
- 放送局:AXNミステリー
- 放送時間:2021年1月17日(日)16:00~一挙放送
- 製作国:イギリス(2020年)
- 原題:Miss Scarlet&The Duke
- 脚本:レイチェル・ニュー
- 監督:デクラン・オデュワイヤー
あらすじ
舞台は19世紀のロンドン。イライザ・スカーレットは聡明で美しいが、周りを困らせるほどお転婆なところがある快活なお嬢様。ある日、探偵社を営んでいた父が急逝してしまう。家計を支えるため、依頼人には父が他界したことを内緒にし、父のもとに来た調査依頼を引き継ぐが・・・。父から譲り受けた探偵に必要な知識と洞察力、そして、持ち前の行動力と機転で、幼馴染でハンサムな刑事ウィリアムと事件を解決していく!
AXNミステリー公式サイトより
予告動画
登場人物(キャスト)
イライザ・スカーレット(ケイト・フィリップス)
幼い頃に母を亡くし、探偵事務所を営む父ヘンリーと2人で暮らしていたが、ある日突然父が他界。借金を抱え、生活のために父の名前を掲げたまま探偵事務所を続けることを決める。
ウィリアム・“ザ・デューク”・ウェリントン(スチュアート・マーティン)
ロンドン警視庁に勤める警部補。イライザの幼なじみ。イライザが探偵事務所を続けることに難色を示し、事件への介入を拒む。
ヘンリー・スカーレット(ケヴィン・ドイル)
イライザの父。警察を辞めて探偵事務所を経営していたが、路上で倒れているところを発見され、帰らぬ人となる。幼くして母を亡くしたイライザに捜査の基本を教えた。
アイヴィ(キャシー・ベルトン)
スカーレット家の使用人。イライザがひとりで外出するたびにやきもきしている。ヘンリーの死後もスカーレット家に残り、イライザを支える。
ルパート・パーカー(アンドリュー・ガワー)
大富豪。母親にイライザとの結婚をお膳立てされるが本人は望まず、イライザと密談のうえ「断られた」ことにする。代わりに探偵事務所の援助を申し出るなど、イライザを支えるよき友人となる。
フレドリック・スターリング(ニック・ダニング)
警視。ウィリアムの上司。ことあるごとにウィリアムに昇進をちらつかせ、都合良く扱う。元軍人で、仲間意識が強い。
フランク・ジェンキンス(ダニー・ミッドウィンター)
ウィリアムの同僚。捜査に口を出すイライザを疎ましく思っている。
モーゼズ(アンス・カビア)
売春宿の用心棒。イライザのせいで売春宿をクビになり、報復しない代わりに父親の形見を探してほしいとイライザに頼む。窃盗や詐欺などの犯罪歴がある。
ポッツ(Simon Ludders)
死体安置所の役人。信心深く、死者の前での言葉遣いに厳しい。女性が安置所に立ち入ることも禁止しており、たびたび侵入するイライザに手を焼く。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
19世紀のロンドン。幼い頃に母を亡くしたイライザは、探偵事務所を営む父ヘンリーの仕事を手伝おうと積極的に事件現場に足を運んでいた。だがある日、父は路上で倒れているところを医師に発見され、帰らぬ人となってしまう。
父の借金で家計が逼迫していることを知ったイライザは、たまたま現れた依頼人アルフレッド・ウィンターズに父の死を隠し、彼の姪であるクララ・シムズの捜索を引き受けることに。
イライザは売春宿でクララを見つけるものの、警察の取り締まりに出くわし、売春婦と間違われてしまう。幼なじみでロンドン警視庁の警部補でもあるデュークことウィリアム・ウェリントンのおかげで難を逃れるが、イライザが探偵業に乗り出すことに反対するウィリアムは、彼女を牢に閉じ込めてしまう。
翌朝、解放されたイライザはウィンターズとクララを引き合わせる。だが本物のウィンターズは既に死亡しており、ウィンターズと名乗っていたのはクララの夫シムズだった。シムズはクララを精神科病院に入院させ、正式な相続人としておじの遺産を手に入れる。
イライザはシムズが死んだと主張する前妻ビアトリスがまだ生きており、クララとの婚姻が無効であることを突き止める。イライザを絞め殺そうとするシムズだったが、イライザは父に仕込まれた知識でシムズに微量の毒を盛り、危機を逃れる。
イライザは父の父の名前の看板を掲げたまま、探偵事務所の経営を続けることを決める。
イライザが探偵業を始めて6週間が経過していたが、仕事の依頼は少なく、ルパートへの返済も滞ってしまう。さらにルパートの母親から借家の契約更新料を請求され、困り果てたイライザは警察を訪れ、多忙を極めるウィリアムの代わりに殺人事件の現場へ向かう。
被害者はセバスチャン・リドリー。警察は彼の会計士として働いていたエドワード・バトラーを逮捕するが、妻タビサは夫の無罪を訴え、イライザに捜査を依頼する。
イライザはリドリーのサロンを訪ね、売春宿の用心棒モーゼズと再会。モーゼズは売春宿をクビになり、リドリーに雇われていたのだった。モーゼズは金庫の中身をタビサが盗んだと証言。父親の形見の嗅ぎタバコ入れを取り戻してほしいと訴える。
殺人現場を調べたイライザは、被害者リドリーの鞄の中から嗅ぎタバコ入れと手紙を発見。手紙の内容からリドリーとタビサの不倫関係を疑うが、ルパートはリドリーの腕のタトゥーが同性愛者の印であることを教える。
ルパートもまた同性愛者であることをイライザに打ち明け、水曜日に彼のサロンで仲間の集まりがあったことを話す。手紙の送り主はバトラーで、リドリーとは恋人同士だった。リドリーは病気を患い余命宣告を受けており、自ら首を切って自死したのだ。
イライザはウィリアムに真相を話し、リドリーの遺書を隠して不貞を働いた夫を犯人に仕立てた妻タビサを捜す。タビサは夫の死を見届けるべく、処刑場にいた。タビサを説得して遺書を受け取ったイライザは、バトラーの処刑を中止させる。
事件を解決したイライザはパーカー夫人に更新料を支払い、アイヴィに未払いの給料を払う。そして職を失ったモーゼズを借金の取り立て人として雇う。
ウィリアムから仕事を頼まれたイライザは、女性参政権を求めて活動する団体に密偵として潜入。団体の会長を務めるマーガレット・フェアファックスと出会う。
マーガレットに誘われて次の集会にも顔を出したイライザだったが、彼女は現れず、ウィリアムによると殺人容疑で警察に追われているという。イライザはモーゼズに調査させ、彼女が偽名を使っていたことや、不仲の兄がいることを突き止める。
ウィリアムが紳士クラブでマーガレットの兄から話を聞いている間、イライザは逃亡中のマーガレットと探偵事務所で密会する。マーガレットは身を守るために男を殺したと語り、議会前広場でデモを行うと告げて立ち去る。
イライザとウィリアムはマーガレットがかつて通っていた大学を訪れ、殺された男性がギル博士だと知る。ギル博士の自宅には爆弾製造のための薬品が揃っており、イライザはマーガレットが爆破計画を立てていることに気づく。
マーガレットはメイドとして紳士クラブに潜入し、暖炉に爆弾を仕掛けようとするが、駆けつけたウィリアムに逮捕される。ギル博士に乱暴されたから殺したというのは嘘だった。ギル博士はマーガレットから大金を受け取って爆弾を製造したが、恐くなって警察に通報すると彼女を脅したのだった。
殺人を咎めるイライザに、マーガレットは「私は変化を求めて戦った。でもあんたは自分のことばかり」と避難する。
帰宅したイライザは、使用人のアイヴィに文字を教える。
新聞にイライザが解決した事件の記事が掲載されるが、イライザのことは書かれておらず、すべてウィリアムの手柄になっていた。
イライザはヒルデガルド氏を介して仕事の依頼を受ける。遺体写真家のジェームス・ヘンダーソンのもとに、加工された不快な写真が届くという。写真には去年亡くなったジェームスの妻キャサリンが幽霊のように写っていた。
ウィリアムは上司であるスターリング警視の命令で、ポリス・ニュース紙の取材を受けることに。警部への昇進のため、記者が喜ぶ“衝撃的な事件”を探していたウィリアムは、イライザに共同捜査を持ちかける。
ジェームズの撮影助手であり娘の家庭教師でもあるアメリア・エヴァンスは、彼に求婚された翌日から写真が届き始めたと言い、キャサリンの復讐だと怯えていた。彼女にそう思い込ませていたのは、結婚に反対する母イーディスだった。
イライザは写真を届けていたのがジェームスの娘だと気づく。亡くなった妻キャサリンは夫とアメリアの不倫に気づき、死ぬ前に復讐の計画を立てたのだ。娘は母に言われたとおり、中身を知らずに写真を届けていたのだった。
事件は解決し、ポリス・ニュース紙での連載も決まるが、スターリング警視は戦友の息子を昇進させ、ウィリアムの昇進は見送られてしまう。ウィリアムは急遽記事の差し替えを依頼し、ポリス・ニュース紙にはイライザの活躍の一部始終と事務所の住所が掲載される。
警視庁の幹部との宴会に出席するよう、スターリング警視に命じられたウィリアム。準備をしているとアイヴィが駆け込んできて、イライザが行方不明になったと訴える。
探偵事務所にはページが破り取られた手帳が残されており、文字の痕跡から「ウールウィッチ監獄 99号室」と書かれていたことがわかる。ウールウィッチ監獄は天然痘の流行で2年前に閉鎖されていた。
監獄を訪れたウィリアムは、98号室に閉じ込められているイライザを発見する。問題の99号室は存在せず、調べていたら突然扉が閉まったという。鍵をこじ開けようとするがうまくいかず、ついには口論になってしまう2人。
ウィリアムはイライザを置き去りにしてその場を離れるが、ナイフを持った男に襲われて怪我を負う。イライザは自力で扉を開け、ウィリアムの怪我を手当てする。
ウィリアムを襲った男は、イライザの父ヘンリーの遺体を運び込んだ男だった。ヘンリーが事件に巻き込まれて死んだことを確信したイライザとウィリアムは、男が持っていた99号室の鍵を奪って逃げる。
建物の中を歩き回っているうちに「助けてくれ」という声が聞こえ、声のする方へ行ってみると99号室が見つかる。部屋の中に監禁されていたのは手形の偽造を専門とするプロの偽造犯ナサニエル・ケインだった。
ナサニエルは男たちに脅されて偽造手形を作っていたことを明かし、ヘンリーを知っていると話す。そこへガスマスクをつけた謎の人物が現れ、ナサニエルを撃って逃亡する。
ナサニエルは病院に運ばれ助かるが、何者かに暗殺されてしまう。フランクはナサニエルが「モーゼズ」の名を口にしていたとウィリアムに報告する。
その頃、イライザはモーゼズを呼び出し、ナサニエルに関する情報を集めてほしいと頼んでいた。
ナサニエルが殺され、ウィリアムはモーゼズを疑う。モーゼズの自宅を捜索すると大量の偽造手形が見つかり、ウィリアムは彼がヘンリーの事件に関わっている可能性がある、とイライザに忠告する。
警護のためイライザの家に泊まるウィリアム。イライザはウィリアムが眠っている間にモーゼズと会い、ナサニエルの弟ベンジャミンが警察に脅されて口止めされていたことを聞く。
ウィリアムはベンジャミンを見つけ出し、スターリングに殴られて脅されたという話を聞き出す。その直後、警視庁の資料室でボヤが起き、過去半年の失踪者リストが燃えてしまう。
銀行の支店長の証言で、偽造手形を使って換金したのはカートライト兄弟だと判明。彼らの隠れ家と思われるバーモンジーの建物で、スターリングの遺体が発見される。嫌われ者の上司スターリングがいなくなり、フランクたちはバーで乾杯する。
ウィリアムは酔い潰れたフランクを家に送り、クローゼットの中から犯人がつけていたガスマスクを見つける。ナサニエルに偽造手形を作らせ、犯行に気づいたヘンリーを殺害し、スターリングに罪を被せて抹殺したのはフランクだった。
犯人に気づいたイライザが部屋に駆けつけるが、ウィリアムとともにフランクに銃を向けられる。そこへモーゼズが現れ、フランクを殴って2人を救う。
モーゼズの部屋に偽造手形を仕込んだのもフランクだった。イライザに促され、しぶしぶモーゼズに礼を言うウィリアム。イライザはウィリアムからディナーに誘われ、2人で一緒に出かける。
感想(ネタバレ有)
たくましく、しなやかな主人公
19世紀のロンドンという設定に惹かれて見たのですが、面白いドラマでした。おてんばな主人公イライザをはじめ、登場人物が全員魅力的で好きになりました。
父親が不慮の死を遂げ、借金返済のために探偵事務所を継いだイライザ。女性が自立するだけでも大変な時代なのに、その仕事が「探偵」なのだから世間の風当たりは並大抵ではないはず。
でもイライザは悲観することなく、偏見を持った男性たちと対等に渡り合い、父親譲りの無鉄砲さと知識を武器に「自分の仕事」をやり抜こうとします。
これはどんな時にもあてはまるような気がする。悲観しても状況は変わらないのだから、とりあえず自分が持っているものをフル活用して前に進むっていう。
わたしは根がネガティブなので見習いたいです。
ところどころ笑える場面もあって、わたしのお気に入りは死体安置所のポッツ氏との攻防でした。あと毎回デュークの言いつけを破って牢に放り込まれるところ。
イライザは捜査のためなら手段を選ばないので、ことあるごとに違法行為で逮捕されるんですが、ぜんっぜんめげないんですよね。たくましいというか、しなやかというか。
デュークとイライザの恋の行方
イライザと幼なじみのデュークが繰り広げるケンカも毎回微笑ましくて面白かったです。
2人は10代のときに一度だけキスした仲。それもイライザに言わせると「弱みにつけ込んだ」不純なキスらしい(飼い犬が死んで落ち込んだ時だった)。
どっちも意地っ張りで引かないから、ちょっとしたことですぐ口論になってしまう。でもデュークはイライザに惚れてますよね。モーゼズに嫉妬してたし。
デュークを演じているのはスコットランド出身の俳優スチュアート・マーティンという方です。わたしは今回が初でした。ヒュー・ジャックマンに似てますよね~お顔も体型も。
2人の恋の行方も気になるところですが、わたしは今のままの「進展しそうでしない」感じが続いてもいいかな、って思ってます。ラブコメっぽくて。