WOWOWの連続ドラマ「ギバーテイカー」(全5話)についてまとめました。
娘を惨殺された元教師の刑事が、かつて娘の命を奪った猟奇殺人犯を追うクライムサスペンス。原作は漫画家すえのぶけいこ氏による衝撃作『ライフ2 ギバーテイカー』。
娘を殺した犯人を許せず刑事になった主人公を中谷美紀さんが、主人公の娘を惨殺した猟奇殺人犯を菊池風磨さんが演じています。
Contents
作品概要
- 放送局:WOWOW
- 放送時間:2023年1月22日(日)から毎週日曜22:00~ほか
- 原作:すえのぶけいこ『ライフ2 ギバーテイカー』
- 脚本:小峯裕之
- 監督:鈴木浩介
- 音楽:林ゆうき/奥野大樹
あらすじ
元小学校教諭の刑事である倉澤樹(中谷美紀)は12年前、当時小学6年生だった教え子・貴志ルオト(菊池風磨)に、愛する娘を惨殺された過去を持つ。事件当時12歳という犯人の幼さも相まって、この猟奇殺人事件は日本中に大きな衝撃をもたらした。倉澤は被害者遺族として絶望を味わい、その経験から生まれた“自分と同じように苦しむ人をひとりでも多く救いたい”という想いのもと、刑事になった。
WOWOW公式サイトより
その強い信念に突き動かされ、事件解決に奔走する日々を送ること12年、倉澤は娘の命日を目前にルオトが医療少年院を退院することを知る。そして、ルオトが「完全に更生した」という話を聞くも、被害者遺族として疑心を抱かずにはいられない彼女のもとに、ある日、不審なメッセージが届く。「あなたの大事なものを、もう一度奪います」――それは、再び日本中を震撼させる新たな事件の始まりだった……。
原作について
このドラマの原作は、すえのぶけいこ氏の漫画『ライフ2 ギバーテイカー』(2016年~2018年連載)です。
漫画雑誌「アフタヌーン」にて、2016年8月号から2018年12月号まで連載されました。単行本は全6巻。
ドラマでは、主人公は「12年前に娘を殺された元教師」という設定ですが、原作における主人公は「高校生だった6年前に妹を殺された」という設定になっています。
登場人物(キャスト)
※第1話のネタバレを含みます
警察
倉澤樹(中谷美紀)
神奈川県都筑中央署の刑事。階級は巡査部長。元小学校教諭。12年前、愛する娘・穂乃花を当時12歳だった教え子・貴志ルオトに惨殺された。自宅に脅迫文が届き、ルオトが新たな事件に関与しているのではないかと疑う。
今井要(池内博之)
神奈川県都筑中央署の刑事。階級は警部補。刑事課長の仁科から樹の監視役を命じられ、冷静かつ客観的な視点で樹をサポートする。
椿理子(深川麻衣)
神奈川県都筑中央署・生活安全課少年係の刑事。階級は巡査部長。樹とは警察学校の同期であり、親友。刑事として少年犯罪者の更生を信じている。樹に頼まれ、現在の貴志ルオトについて調べ始める。
宇賀神敏一(袴田吉彦)
神奈川県警本部・管理官。階級は警視。厳格な性格で感情の起伏が激しく、単独行動に走ることが多い樹に対して厳しく接する。
仁科昌裕(遠山俊也)
神奈川県都筑中央署・刑事課長。階級は 警部。樹の上司。自身の危険を顧みずに行動する樹を陰ながら心配している。
湊靖久(池田鉄洋)
足柄警察署・上河原交番に勤務する警察官。階級は巡査部長。樹が異動した勤務先の上司。篝の元部下。
事件の関係者
小野塚穂乃花(松岡夏輝)
樹と優一の娘。小学3年生。12年前の風鈴祭りの夜、貴志ルオトに殺害されて境内で遺体が発見された。「アマリリス」という曲が好きで、ピアノでよく演奏していた。
貴志ルオト(菊池風磨)
猟奇殺人犯。小学6年生のときに樹の娘・穂乃花を惨殺した。医療少年院を退院後、小林一真という偽名でベーカリー〈幸せの穂〉に住み込みで働き始める。“幸せは奪うもの”という異常な価値観を持ち、虐げられている従業員の聡美を洗脳する。
貴志茉莉絵(斉藤由貴)
ルオトの母親。12年前の事件が原因で、当時の記憶が抜け落ちている。息子であるはずのルオトの存在を認識しているのかも曖昧な状態。「アマリリス」という曲に異常に怯える。
有坂弥生(桜田ひより)
〈有坂マート〉店長強盗殺人事件の被害者遺族。店長だった父親が万引き犯に刺殺され、その事件のショックにより言葉が発しづらくなり、入院していた。同じ境遇の樹に心を開き、捜査に協力する。
金田佑(櫻井健人)
〈有坂マート〉店長強盗殺人事件の容疑者。また、樹の家に風鈴と脅迫文を届けた人物でもある。逃走後、橋の下で首を吊った状態で遺体が発見される。
そのほか
小野塚優一(吉沢悠)
樹の元夫。中学校教員。12年前の事件の後、樹が刑事になることに反対し、離婚を選択した。現在は再婚相手との間に子供をもうけ、新たな生活を送っている。いつまでも過去に囚われ続ける樹を心配する。
津山聡美(馬場ふみか)
ベーカリー〈幸せの穂〉従業員。児童養護施設出身。施設にいたころ店主の津山と出会い、彼の養子になった。津山から性的虐待を受けている。
津山善行(吉田ウーロン太)
ベーカリー〈幸せの穂〉店主。従業員である聡美の養父。表面的には穏やかで優しい人物だが、実は差別主義者で高圧的な男。聡美を脅して性的な関係を続けている。
篝伸哉(平山祐介)
〈Bar K’s Pick〉店主。元刑事。12年前、樹の娘・穂乃花が殺された猟奇殺人事件を担当した。樹から相談を受け、捜査に協力する。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
小学校で教師をしている倉澤樹(中谷美紀)は、夫の優一(吉沢悠)、小学3年生の娘・穂乃花(松岡夏輝)と幸せな日々を送っていた。ある日、隣家に12歳の少年・貴志ルオト(志水透哉)と母親の茉莉絵(斉藤由貴)が引っ越してくる。
ルオトは樹が勤務する小学校に通い、年の近い穂乃花と仲良くなる。仲睦まじい2人の姿を見て、微笑ましく思う樹。だが風鈴祭りの日、穂乃花が遺体で発見される。殺害したのはルオトだった。ルオトは「人を殺してみたかった」と容疑を認め、医療少年院に送られる。
12年後。樹は離婚して刑事になり、都筑中央署に勤務していた。元夫である優一から「貴志ルオトが医療少年院から出た」という知らせを受け、動揺する樹。その数日後、樹の家に「あなたの大事なものをもう一度奪います」と書かれたキャンディーの包み紙と風鈴が届く。ルオトの仕業だと考えた樹は、同期で少年係の椿理子(深川麻衣)に頼んで調べてもらうことに。
同じ頃、コンビニ店長の有坂洋介が万引き犯に刺殺される事件が発生する。樹は犯人を目撃したと思われる洋介の娘・弥生(桜田ひより)から情報を聞き出すよう命じられ、入院中の彼女に会いにいく。弥生は事件のショックで言葉を話せなくなっていたが、樹の過去を聞いて心を開き、自分のせいで父親が殺されたのだと号泣する。
樹のもとに届いた風鈴とメモから、犯罪歴のある金田佑(櫻井健人)の指紋が検出される。同時に、弥生の供述をもとに作成された万引き犯の似顔絵が、金田にそっくりだと判明する。
樹は単独で金田の住所を訪ねるが、彼は樹を見て逃走。その後、所持品の中から自殺の名所として知られる円鏡橋の写真が見つかり、樹は同僚の今井(池内博之)と円鏡橋へ向かう。そして橋の下で首を吊った状態の金田の遺体を発見する。橋には大きな文字で「GIVER OR TAKER?」と落書きされていた。
医療少年院を出た貴志ルオトは、「小林一真」という偽名を使い、津山(吉田ウーロン太)が営むベーカリー〈幸せの穂〉で住み込みで働き始める。店には児童養護施設出身の聡美(馬場ふみか)も働いていたが、彼女は養父である津山から性的虐待を受けていた。
そのことを知ったルオトは、「僕たちみたいな人間は、幸せは奪い取らなきゃ手に入らない。奪う方と与える方、どっちがいい?」と尋ねる。
樹は金田が持っていた円鏡橋の写真の裏に、「よくできました」の赤いスタンプが捺されていることに気づく。それは12年前、教師だった樹がルオトの手に捺したスタンプと同じだった。
検死の結果、金田は自殺と判断される。容疑者を死なせてしまった樹は、県警本部の管理官・宇賀神(袴田吉彦)から厳しく叱責される。樹は今回の事件に貴志ルオトが絡んでいると考え、同じく自殺に疑念を抱く今井とともに捜査を進める。
樹は12年前の事件を担当した元刑事・篝(平山祐介)を訪ね、ルオトの母・茉莉絵(斉藤由貴)の居場所を聞き出す。だが再会した彼女は精神を病み、12年前の記憶を失っていた。
少年係の理子はルオトの保護司から情報を得て、彼が勤務するベーカリー〈幸せの穂〉を訪ねる。澄んだ目で働くルオトを見て、更生を確信する理子。だが理子からルオトが焼いたパンの名前が“アマリリス”だと聞かされた樹は、パニックに陥る。「アマリリス」は死んだ穂乃花が好きで、よくピアノで弾いていた曲だったからだ。
そんな中、金田の周辺を調査していた篝から連絡が入る。金田が出入りしていたクラブの防犯カメラに、彼とルオトが一緒にいるところが映っていたという。証拠映像を手に入れた樹は、任意での事情聴取をさせてほしいと上司の仁科(遠山俊也)に頼み込む。
一方、聡美と津山の関係を知ったルオトは、現状を変えるために行動に出るよう聡美を説得する。だが津山は聡美の弱みにつけ込んで脅し、ルオトにも暴力をふるう。津山に痛めつけられ、「僕がアイツを殺す」と告げるルオトを見て、決意を固める聡美。津山に襲いかかる聡美を見て、ルオトはほくそ笑む。そして歯向かう津山をナイフで刺し殺す。
理子は職場を無断欠席し、再びベーカリー〈幸せの穂〉を訪れる。そこに津山の姿はなく、ルオトと聡美が2人で営業していた。ルオトは理子に声をかけ、彼女の携帯の着信画面に“倉澤樹”の名前が表示されるのを見て、笑みを浮かべる。
捜査継続の了承は得られたものの、ルオトとの接触を禁じられた樹。「力を貸して欲しい」と樹に頼まれた理子は、ルオトの更生を信じつつも彼を調べ始める。
理子を味方につけようと考えたルオトは、彼女の前では誠実に振る舞い、被害者遺族である樹に償う方法がわからず苦しんでいることを打ち明ける。
今井と捜査を続ける樹のもとに、ルオトから電話が入る。ルオトは理子と一緒に12年前の事件現場にいると言い、今すぐひとりで来るよう告げる。急いで神社へ向かった樹だったがルオトと理子の姿はなく、風鈴と「17時15分天明岬」というメッセージが残されていた。
理子の身を案じ、必死に天明岬を目指す樹。だがそこにいたのはルオトひとりだった。「また間に合わなかったね」とあざ笑うルオト。崖下の海面に靴が浮かんでいるのを見て、ルオトが理子を突き落としたと思い込んだ樹は、その場で彼を逮捕する。
しかし、警察署で聴取を受けたルオトは、まったく異なる証言をする。理子と一緒に事件現場にいたのは花を供えるためで、樹に電話したのは謝罪するためだったという。だが樹に「絶対に許さない」と言われ、絶望して自殺を図ろうと天明岬へ行き、樹に手錠を掛けられたと話す。
警察署にいた理子も彼の証言が事実だと主張し、樹の証言はすべて虚構だと告げる。神社の風鈴もメッセージも、崖下の靴も見つからず、仁科は樹が興奮状態に陥って妄執にとらわれたと判断する。
管理官の宇賀神はルオトを釈放し、誤認逮捕に関する謝罪会見を開く。この一件で樹は巡査に降格させられ、足柄警察署勤務を命じられる。
辞職を決意する樹だったが、今井はルオトに協力者がいた可能性を指摘し、最後まで刑事として戦うべきだと励ます。樹は今井とともに聞き取りを行い、神社の周辺で若い女性を見たという目撃者の証言を得る。
一方、ルオトの周辺を調べていた元刑事の篝は、パン屋の店長・津山が失踪中であることを樹に知らせる。篝から詳しい話を聞くため彼のバーを訪れた樹は、カウンターの中で血を流して倒れている篝を発見する。
遺体の第一発見者となり、都筑中央署で聴取を受ける樹。ルオトの犯行を確信する樹は、殺された篝が津山の行方を追っていたことを伝え、ルオトが津山と篝を殺した可能性があると訴える。
だが篝の殺害に銃が用いられたことや、聡美がルオトのアリバイを証言したことから、捜査班はルオトを容疑者から外してしまう。今井はルオトが犯行現場に風鈴やアメの包み紙を残していることから、樹にだけ何かを伝えようとしているのではと推測する。
ルオトの標的は初めから自分だったのではないか…と考え始める樹。樹の移動先の上司で篝の元部下だった湊(池田鉄洋)は、「ここにいていいのか?」と樹の背中を押す。
今井はパン屋を訪ね、ルオトと聡美に対して揺さぶりをかける。「あいつ嫌い」というルオトの言葉を聞いた聡美は、今井を尾行する。それを知ったルオトは「殺す気もないのに後をつけたの?」と怒りをあらわにする。
樹はかつての職場である高比良小学校を訪ね、元同僚と再会する。彼女によると、ルオトは12年前、「きれいなものは壊れやすそうだから好き」と話していたという。
篝のメモからルオトに妹がいることを知った樹は、再びルオトの母・茉莉絵に会いに行く。ルオトの妹・リリについて訪ねると、彼女は当時の記憶を取り戻して絶叫する。リリをベランダから突き落として殺したのはルオトだった。
今井は再びパン屋を訪れ、失踪した津山の手がかりを得るため部屋を調べる。聡美はルオトの力になりたいという一心で、帰宅途中の今井を背後から襲う。今井から「聡美に刺された」と電話で知らされた樹は、警察に通報して聡美のもとへ向かう。
帰宅した聡美は、ルオトの部屋の壁に樹の写真が大量に貼られているのを見て動揺する。そこへルオトから電話が入り、「もう君に用はないの。だから死んで」と告げられる。聡美は樹の写真に火を付けて焼身自殺を図ろうとするが、駆けつけた樹に阻止される。
樹は自殺しようとした聡美に、「あなたは利用されただけ」とルオトの本性を告げる。聡美の供述により津山の遺体が発見され、ルオトは一連の事件の容疑者として指名手配される。ルオトの更生を信じていた理子は愕然とする。
宇賀神はこれまでのことを謝罪し、樹に力を貸してほしいと頼む。ルオトの目的が自分から大事なものを奪い、苦しめることだと知った樹は、元夫・優一と彼の家族への警備を強化する。
一命を取り留めた今井は、ルオトが優一をターゲットから外し、樹自身を狙っているのではないかと宇賀神に伝える。
樹の携帯にルオトから「もうすぐ同窓会が始まるよ」という連絡が入る。高比良小学校の音楽室には、同窓会の招待状を受け取った人々が何も知らずに集まっていた。
ルオトは違法に入手した拳銃で職員の1人を撃ち、樹にあてて「屋上で待ってる」というメッセージを残して教室を去る。いちはやく小学校に駆けつけた樹は、待機しろという宇賀神の命令を無視して校舎に入っていく。
樹が屋上にたどり着くと、拳銃を手にしたルオトが待っていた。ルオトは穂乃花をひとめ見た時から壊したいと思い、その前に飼育小屋のうさぎで実験しようとしたことを話す。
だがうさぎを抱いているところを当時教師だった樹に見つかり、とっさに「具合が悪そうだったから」と嘘をついた。その言葉を信じた樹は「よくできました」というスタンプを彼の手に押したのだった。
「上手にごましたことを褒められた気がして、嬉しかった」と語るルオト。そしてその後の自分の行動を樹に決めてもらおうと、右手にアメを、左手にナイフを握り、樹の前に差し出した。樹は右を選び、ルオトの手にはナイフが残った。
ルオトは「樹先生が僕の背中を押してくれたんだ」と言い、その夜きれいな音がする風鈴祭りで穂乃花を殺し、命が消えるときの音を聞いたという。そして穂乃花の遺体を見た樹が絶叫したことに対して、「あんなきれいな音楽は聞いたこともない」と話す。
ルオトが樹を追い込んだり、人を殺したりしたのは、もう一度あのときの樹の叫び声を聞くためだった。
宇賀神は樹が復讐心に駆られてルオトを銃殺するのではないかと危惧し、屋上に機動隊を突入させようとするが、入院先から駆けつけた今井が「彼女を信じましょう」と止める。
樹はルオトの挑発に激しく感情を揺さぶられるが、頭上に向けて発砲し、ルオトに手錠をかける。どうして、と問うルオトに、「撃てばあなたからも赤い血が流れる。そんなことは望まない」と答える樹。
ルオトは女の子が欲しかった母親に女の子の服を着せられ、「リリ」と呼ばれて育てられた。そして実際に女の子が生まれると、その子はリリと名付けられ、ルオトは母親の視界から消えたのだった。
ルオトは面会に来た樹に、「僕はどうすればよかったんだろう」と質問を投げかける。樹は「自分が出した被害と犯した罪に向き合いなさい。そして法で裁かれなさい」と告げる。樹が立ち去った後、笑いながら涙をこぼすルオト。
都筑中央署に戻った樹のもとに、犯罪被害者の弥生から近況を知らせる手紙と写真が届く。事件の一報を受けて現場へ向かう樹を、今井が追いかける。
感想(ネタバレ有)
シリアルキラーを扱った犯罪ドラマは、最後まで見ても答えが見つからないので、なんとも言えない気持ちになります。ルオトの「僕はどうすればよかったんだろう」というセリフに、答えられる人はいるのかな…。
ストーリー自体はそんなに複雑ではなく、こうなるだろうなと思ったとおりの展開で、着地点も予想通りでした。なので、この作品の見どころはストーリー以外の部分にあるのだろうと思うのですが、それがあまり伝わってこなかった(心を揺さぶられなかった)のが残念です。
篝にしても湊にしても、思わせぶりな存在として登場した割には、たいした見せ場もなくあっさりと退場してしまった感じ。ルオトの描き方も、もう一歩踏み込んでほしかった気がする。原作を読んでいないので、ドラマ化で省かれた部分があるのかもしれませんが。
ルオトは医療少年院でも別人を演じて専門家を騙し、退院した後も周囲の人間や警察官を完璧に騙していたので、そうとう狡猾で頭のいい人物なのだと思います。そんな彼が、なぜここまでの危険を冒して樹に執着し続けたのか。
後半の彼の行動は行き当たりばったりで、早く捕まえてくれと言わんばかりの粗っぽさでした。最終話で樹と対峙したときも、彼女に殺されることを願って挑発したんですよね?
そのあたりが、なんだかしっくりこない。最終話のルオト自身の告白と、樹がさらっと語った彼の生い立ちの話だけでは、“モンスター”である彼が自分を犠牲にする理由としては弱い気がするんですよね。
だから最後に彼が流した涙にも、違和感を覚えました。むしろ徹底的に「理解できない」存在として振り切ったほうが、逆に納得できたかもしれない。
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