フィクサー Season3全話ネタバレ･感想･キャスト一覧｜都知事選の行方と誘拐事件の真相

都議会議長・黒羽真二郎（石坂浩二）の政界40周年を祝うパーティーが催される。黒羽は都議会の約4割を握る、都議会史上最大の権力者と言われていた。黒羽は次期都知事に民自党推薦の政治評論家・川本栄太（徳重聡）を推すと見られていたが、そのパーティーで元保育士の四方田正美（高島礼子）を推すことを宣言する。
設楽拳一（唐沢寿明）は都知事選出馬を決めた渡辺達哉（町田啓太）を連れて黒羽のパーティーに乗り込み、渡辺を黒羽に会わせる。設楽の出現に不安を覚えた黒羽は、渡辺についてよく調べるよう部下に命じる。
設楽は政界を去った元総理大臣の殿村茂（永島敏行）に協力を頼み、渡辺の支援者を集める。テレビ局を退職しフリージャーナリストとなった沢村玲子（内田有紀）は、渡辺の知名度を上げるため、自身のWEBメディアで彼のインタビューを配信する。
そんな中、1兆円規模の東京湾埋立事業を進める浜潮建設の社長・氏原巧巳（加藤雅也）の娘・早紀（大友花恋）が誘拐される事件が発生する。犯人はインターネットで犯行声明を公開。早紀を助けたければ、東京湾埋立事業の中止を19日以内に発表しろと要求する。
氏原は警察の捜査に協力する一方で、ひそかに携帯メールで犯人と連絡を取り合っていた。氏原からその事実を知らされた須崎は、設楽に相談を持ちかける。警察には知らせずに事件を解決したいという２人の意図を汲み取った設楽は、犯人との交渉役を買って出る。
設楽は捜査一課の刑事・板倉晃司（小泉孝太郎）を呼び出し、メールの送信元から犯人の居場所を特定してほしいと頼む。
設楽は代理人「Ｋ」を名乗り、犯人に「あなたの考えに賛同している」という内容のメールを送る。そして人質の交換を提案する。

都知事選に向けて奮闘する渡辺達哉だったが、黒羽が推す四方田陣営からの妨害を受け、支援者たちは次々と離脱する。玲子は渡辺の知名度が低いことを懸念する。
誘拐犯と交渉を続ける設楽は、渡辺の知名度と信頼度を上げるため、彼を人質の身代わりにしようと企てる。渡辺には設楽自身が身代わりになると告げて彼の同情と正義感を煽り、渡辺本人から身代わりを志願するよう仕向ける。
警視庁の板倉は、設楽から人質交換について打ち明けられ、警察の動きを見張るスパイ役を依頼される。だが看過することはできず、設楽を裏切って捜査本部に情報を流す。
人質交換に指定された場所は、佃埠頭の新佃橋。東京湾の埋立候補地をのぞむ場所だった。警察がひそかに張り込む中、新佃橋で待つ渡辺のもとに一台の車が到着する。車内を確認した渡辺は、合図を送って「人質だ」と叫ぶ。警察は一斉に犯人の車を追跡し確保するが、人質は乗っておらず、運転手はかつて設楽の秘書だった丸岡慎之介（要潤）だった。
その頃、渡辺は設楽の指示で犯人のアジトへ向かい、小岩井俊（白洲迅）と対面していた。まもなく人質の氏原早紀が開放され、無事に保護される。
板倉は設楽に利用されたことに気づく。設楽は人質交換の批判の矛先が渡辺ではなく、警察に向くよう仕組んだのだ。渡辺を危険な目に遭わせても飄々としている設楽に、板倉は怒りを覚える。
警察は犯人を取り逃がした失態を隠すため、渡辺が自ら犯人と接触し、人質の身代わりを申し出たと発表する。その直後から、ＳＮＳには渡辺を称賛する声があふれ、四方田陣営や川本陣営は焦り始める。
設楽は自分が交渉した犯人は単なる実行犯で、黒幕がいるはずだと須崎に伝える。人質となり拘束された渡辺は、小岩井を説得しようと試みるが、そこへ浜潮建設の本部長、大貫英一（古田新太）が現れる。

人質となった渡辺の前に、浜潮建設の本部長・大貫が現れる。「なぜこんな犯行を」と尋ねる渡辺に、大貫は「海が好きだからだ」と答える。
設楽はメールの相手が変わったことに気づく。渡辺は事前に設楽から指示されていた通り、実行犯の小岩井に理解を示し、説得を試みる。
達哉の母・響子は、ジャーナリストの玲子を呼び出し、達哉が身代わりを申し出たのは設楽がそう仕向けたからではないかと問い詰める。響子は設楽が都知事選のことだけを考えているのではなく、その先を見越して動いていると考えていた。
マスコミの連日の報道もあり、世間では達哉の支持率が急上昇する。黒羽は設楽が裏で糸を引いていると考え、浜潮建設の社長・氏原に圧力をかけ、「娘の命を売名行為に利用されて迷惑だ」と発言させる。
氏原の発言によって、一時は売名行為だと渡辺を非難する声が上がるが、すぐに同情が上回り、その結果、埋立事業への風当たりも強くなる。設楽は黒羽と２人きりで会い、渡辺の妨害をやめるよう忠告する。
設楽に脅された黒羽は、須崎と密会する。須崎は設楽が例の音声データを持っていることを明かし、「ヤツは飼いならすしかない」と告げる。しかし黒羽は、設楽を処分するべきだと須崎をけしかける。
大貫への不信感が募り、不安になった小岩井は、設楽に「俺を自由にすることができるか」とメールを送る。間もなく渡辺は解放され、設楽に連絡する。
設楽は警察よりも先に主犯が誰かを突き止めるため、犯人逮捕につながる情報は一切出すなと渡辺に指示する。

人質から解放された渡辺達哉は、記者会見を開いて東京湾埋め立て事業には反対だと公言する。
設楽は実行犯の小岩井と密会し、主犯について聞き出そうとするが、小岩井も何者かは知らないという。浜潮建設を脅せば一生遊んで暮らせる金が手に入ると誘われ、氏原早紀を誘拐したと話す。設楽は小岩井に金を渡して逃亡を助ける。
警察は監禁場所を捜査するが犯人の手がかりは見つからず、事情聴取を受けた渡辺も「犯人の顔を見ていない」と話す。板倉は設楽が犯人と取引をしたと疑っており、都知事選で勝つために設楽の言いなりになっている渡辺を非難する。
渡辺の母・響子は、設楽が目的のために息子を道具にしているのではないかと心配していた。だが渡辺は、父子の関係とは別に、設楽が目指しているものを知りたいと言う。
四方田正美を推す黒羽は、対立候補・川本栄太の学歴詐称をリークし、週刊誌に記事を書かせる。たちまち川本の支持率は急降下し、四方田と渡辺の一騎打ちとなる。
須崎が渡辺の後ろ盾になったのは、川本を落選させる当て馬にするためで、端から渡辺を当選させる気はなかった。須崎と決裂した設楽は身の危険を感じ、政界を揺るがす密約音声データを玲子に託す。
ところが須崎のもとに、「隠蔽の事実を公にされたくなければ東京湾埋め立て事業の中止を発表しろ」という脅迫メールが届く。須崎はかつて、埋め立て事業に不都合な調査報告書を、大貫に処分させたことを思い出す。
調査では、現計画で埋め立てを行えば、佃島周辺の海域で海洋汚染を引き起こす可能性が８割以上と予測されていた。埋立に使用する土砂に、基準値を大幅に超えるエキソメタシンが含まれていることが判明したのだ。
だがその場で報告を聞いた須崎と黒羽は、埋め立て事業で生まれる雇用と経済効果を重視し、データを処分するよう大貫に指示したのだった。
須崎は設楽に電話し、「また頼みたいことができた」と告げる。
設楽は誘拐事件の主犯を大貫だと推測し、板倉に情報提供する。板倉は仕事帰りの大貫を尾行し、彼の車に氏原早紀が乗り込むところを目撃する。誘拐事件は大貫と早紀が仕組んだ偽装誘拐だった。

須崎は埋め立て事業が抱える問題を隠蔽した件で、脅迫を受ける。相談を持ちかけられた設楽は、一連の事件の黒幕が大貫であることを確信する。
設楽は氏原早紀を通じて失踪した大貫と連絡を取ることに成功するが、大貫は「あなたを信用できない」と言って電話を切ってしまう。
設楽は黒羽と須崎を呼び出し、取引を持ちかける。それは渡辺達哉を都知事選から降ろすことを条件に、当選した四方田正美の記者会見で「埋め立て中止を検討する」と発言させるというものだった。
渡辺は誘拐事件の人質の身代わりになったことで支持率が上がり、四方田を抜いてトップに立っていた。だが渡辺本人はそのことに引け目も感じており、設楽はその心理を利用して渡辺を挑発する。
渡辺は選挙特番に出演し、「私に投票しないでください」と異例の訴えをする。その結果、渡辺を支持する声は減少し、四方田が都知事選に当選する。そして約束通り、四方田は記者会見の場で「東京湾埋め立て事業の見直しを議会に諮ります」と発言する。
設楽が黒羽と取引したことを知った渡辺は憤り、あなたの目的はいったい何なんですかと設楽を問い詰めるが、設楽は笑って答えようとしなかった。呆れ果てた渡辺は設楽のもとを去る。
設楽が取引の際、黒羽に呑ませた条件にはもうひとつあった。それは副知事に沢村玲子を就任させることだった。設楽は玲子を黒羽のもとへ送り込む。
四方田の発言を聞いた大貫は、設楽の求めに応じて２人きりで会い、礼を言う。大貫は埋め立て事業のために何年も前から佃島に通い、住民との折衝を続ける中で、ある店の夫婦と親子のような付き合いをするようになったという。当時小学生だった早紀は大貫に懐いており、夏休みの自由研究に佃島の歴史を調べたいと頼まれ、店に連れて行ったこともあった。
黒羽や須崎が調査結果を無視して計画を続行させると決めたとき、早紀から「最近パパがおかしい」と泣かれ、大貫はやむなく彼女に隠蔽の事実を告げた。
私にも協力させてほしいという早紀の訴えを聞いて、大貫は偽装誘拐を企てたが、彼女を巻き込んだことは後悔していると告げる。大貫は埋め立てによる海洋汚染のデータを設楽に託し、警察に出頭する。
渡辺が設楽の部屋を訪ねると、丸岡が現れる。丸岡は設楽が海外へ行ったことを告げ、預かっていた手紙を渡辺に手渡す。そこには、設楽が語ることのなかった彼の目的と本心が綴られていた。
設楽が渡辺を助け、政治に誘ったのは、いずれ渡辺を総理の座に就かせたいと考えているためだった。設楽は渡辺の「表舞台に立てる誠実さ」を見込んでおり、世の中を変えるには表に立つ人間と、裏を知り尽くした人間が手を組まなければならないと考えていた。そして渡辺を総理大臣に導く筋書きはすでに頭の中にできていると明かす。手紙の最後には「いいか達哉、日本を乗りこなすんだ」と書かれていた。