海外ドラマ「警察実習生ブランカのデコダージュ捜査」(全12話)についてまとめました。
2021年イタリアRaiの最高視聴率を獲得したミステリードラマ。IMDbの評価は7.3。
舞台はイタリアの港町ジェノヴァ。幼い頃に視力を失った主人公ブランカがデコダージュ(優れた聴覚で録音データから情報を引き出す技術)を武器に、捜査に加わっていくというストーリー。
本作は人間の聴覚システムと同じように再生できる特殊な録音技術「ホロフォニー」を使用して作られた、世界初のシリーズ。また、盲目のテノール歌手アンドレア・ボチェッリの芸術的なアドバイスを受けて制作されたことも話題となりました。
Contents
作品概要
- 放送局:AXNミステリー
- 放送時間:2022年7月24日 (日) 16:00~
- 製作国:イタリア(2021年)
- 原題:Blanca
- 原案:パトリツィア・リナルディ
- 脚本:フランチェスコ・アルランチ
- 監督:ジャン・ミケリーニ/ジャコモ・マルテッリ
あらすじ
幼い頃に視力を失った主人公のブランカは、恋人の虐待で姉を亡くしたことをきっかけに、正義感を強く持ち、警察官を目指すことに。やがて実習生としてジェノヴァの警察署で働くことになった彼女は着任早々、上司や同僚からの不信感、男尊女卑でやや時代遅れの職場環境に直面することになる。視覚を失ったことで物事や人、状況の本質をより早く理解することができるブランカは、優れた聴覚で録音データから情報を引き出す技術“デコダージュ”を武器に、捜査に貢献できることを証明していく。
AXNミステリー公式サイトより
予告動画
登場人物(キャスト)
ブランカ・フェッランド(マリア・キアーラ・ジャンネッタ)
警察官を目指す新人実習生。幼い頃に視力を失っており、“デコダージュ”という技術を駆使して捜査に協力する。姉ベアトリーチェの殺害事件の呪縛から逃れられずにいる。
リンネオ
ブランカの飼い犬で、常に行動をともにする相棒。モロシア系の14歳。視力を失って出歩けなくなったブランカのために、父親が買い与えた。
ミケーレ・リグオーリ警部(ジュゼッペ・ゼーノ)
ブランカの同僚。ブランカの能力をいちはやく認め、捜査に参加させる。ブランカに惹かれていくも、踏み込めずに悩む。幼い頃に父親が自殺しており、トラウマを抱えている。
バチガルーポ(エンツォ・パーチ)
サン・テオドーロ署の署長で、県警副本部長。ブランカやリグオーリのボス。頑固で思い込みが激しい。実習生で盲人のブランカを面倒くさがり、半年間の期間限定でコーヒーとコピー係を命じる。
ステッラ(Federica Cacciola)
ブランカの親友。ブランカの日常生活をスマホを介してサポートしている。ブランカとリグオーリの恋を応援する。
ナンニ(ピエルパオロ・スポッロン)
料理人。ブランカがネットで酷評レビューを書いたのをきっかけに親しくなる。ブランカに好意を持っており、何かと世話を焼く。
ベアトリーチェ(Isabella Mottinelli)
ブランカの姉。通称ベア。15年前に火事で亡くなった。ブランカの目撃証言により、恋人のセバスティアーノが殺人の有罪判決を受けた。
セバスティアーノ・ルッソ
ベアの恋人。ベアを殺害したとして有罪判決を受けた。出所後、漁船から落ちて死亡している。
カルミネ・ルッソ(フィリッポ・ディーニ)
セバスティアーノの父。息子の無実を信じ、事件を調べ直している。ブランカの証言が不当だったと世間に訴える。
アルベルト(Antonio Zavatteri)
ブランカの伯父。判事。ブランカが警察官を目指すことに反対しつつ、渋々協力している。
ルチア(サラ・シオクカ)
被害者家族。母親を殺した容疑で逮捕された父ジャンニの無実を訴える(第1話・第2話)。事件解決後はブランカの友達になり、たびたび家や職場に遊びに来る。失業中で酒浸りの父親を心配している。
エドアルド・A・リグオーリ伯爵(アントニオ・サリネス)
リグオーリ警部の伯父。600年前に建てられた大きな屋敷の片隅にひとりで住んでいる。屋敷内で少年が殺された事件で、容疑者として逮捕される(第3話・第4話)。
ティンペーリ(サンドラ・チェカレッリ)
リグオーリの母親。敏腕弁護士。製油会社ピコイルの法律顧問をしている。リグオーリとはうまくいっていない。
マリネッラ・ファッブリ(フィオレンツァ・ピエーリ)
リグオーリの恋人。社会派ジャーナリストで、息子のガブリエーレと2人暮らし。過去に警察を誹謗中傷する記事を書いたことから、署長のバチガルーポとは犬猿の仲。ガブリエーレが誘拐され、パニックに陥る(第5話・第6話)。
ガブリエーレ(ロッコ・ゴットリープ)
マリネッラの息子。リグオーリを慕っている。戦場記者の父親を尊敬し、記者になりたいと思っている。
ジョルジョ・ピッカルド(Danilo Nigrelli)
製油会社ピコイル社の社長。リグオーリの母で顧問弁護士のティンペーリとは親密な関係。自身が使用するマンションの部屋で研究員のカテリーナが殺され、容疑をかけられる(第9話・第10話)。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
サン・テオドーロ署に目の見えない新人実習生ブランカが着任する。着任初日、ブランカは署の受付で順番待ちをしていた女性マルゲリータと出会う。だが彼女は一件の電話を受けたあと、混乱した様子で署を出ていく。
不機嫌なボスがブランカに与えた仕事は、コーヒーとコピー係だった。しかも半年間の期間限定。翌朝、ブランカが出勤すると高架橋で目をえぐられた女性の他殺体が見つかったという知らせが届く。被害者は昨日ブランカが署で会ったマルゲリータだった。
彼女は亡くなる直前、助けを求めて警察に通報していた。通報の音声を聞き直したブランカは、発信元は橋ではなく彼女が働いていた港だと判断するが、ボスとリグオーリ警部は聞く耳を持たず、マルゲリータの夫ジャンニを疑う。マルゲリータとジャンニの娘ルチアは、母親に愛人がいたことをブランカに告げる。
ブランカは強引にリグオーリの捜査に同行し、マルゲリータの雇い主であるマルチェナーロ夫妻が彼女を正規雇用に切り替えていたことを知る。ブランカは現場の音を聞いてマルゲリータが殺された場所を突き止める。
リグオーリは過去2年間に港で働いていた女性が4人も刺殺されていることから、連続殺人を疑い始める。マルゲリータが通報した付近にはザチント号が停泊しており、過去の殺人とザチント号の停泊期間が一致していることを突き止める。
やがてマルゲリータが妊娠3か月だったことが判明。雇い主のマルチェナーロが彼女に何十回も電話をかけていることから、2人の不倫関係が疑われたが、彼は事件の夜ほかの女性と一緒にいたと証言する。
マルチェナーロの妻リタは、1週間前にジャンニが職場に現れ、マルゲリータのお腹の子の父親がほかにいると思い込んで彼女に退職を迫っていたと話す。リタの証言によってジャンニが殺人容疑で逮捕される。
ジャンニの娘ルチアは父親が逮捕されたことにショックを受け、ブランカの家の窓ガラスが割る。ブランカはルチアをなだめ、事件の夜にジャンニが家にいたという証言を得る。
連続殺人を疑うブランカとリグオーリは、ブランカの伯父で判事のアルベルトの力を借りて、犯人が乗っていると思われる船の傍受捜査を行うことに。船長のダミアーニが女性と言い争う声を聞いたブランカは、リグオーリを船に乗り込ませるが、女性は彼の元妻で離婚問題で話し合っていただけだった。捜査が失敗に終わり、リグオーリを危険な目に遭わせたことで責任を感じ、落ち込むブランカ。
だがその直後、マルゲリータについていたのと同じバニラ香がマルチェナーロの息子アンドレアの船室から匂うことに気付き、彼が犯人だとわかる。ブランカはアンドレアの誘いに乗って出港パーティーに参加するも、確実な証拠を得ることはできなかった。
アンドレアは帰宅したブランカを部屋の中で待ち受け、彼女を殺そうとする。だが飼い犬リンネオとリグオーリに助けられ、アンドレアは逮捕される。逮捕されたアンドレアは4人の女性の殺害を認めるも、マルゲリータだけは殺していないと主張する。
マルゲリータを殺害したのはアンドレアの母リタだった。彼女は息子の犯行に気付いており、真実を知って警察に通報しようとしたマルゲリータを説得しようとした。だがマルゲリータが説得に応じなかったため、口封じのために殺したのだった。遺体の目をえぐったのは彼女に協力したダミアーニ船長の仕業で、偽装工作だった。
ジャンニは釈放され、娘ルチアのもとへ帰る。ブランカは恋人に殺された姉ベアトリーチェのことが忘れられず、姉と過ごした日々を思い出していた。
警察署に「ピエモンテ通り63番地を調べろ。昨夜悲鳴が聞こえた」という匿名通報が入る。その場所は、リグオーリ警部の伯父エドアルド・A・リグオーリ伯爵が住む屋敷だった。屋敷を調べに行ったリグオーリは、階段下で少年カミッロの遺体を発見。
カミッロは昨夜、幼なじみのバルトロメオとアリアンナの2人と一緒に広場にいたが、2人は別々に帰ったと証言し、屋敷には入っていないという。バチガルーポはカミッロがアリアンナに失恋して自殺したと判断するが、ブランカは2人が嘘をついていると見抜く。リグオーリは伯爵の家でカミッロの財布を見つけるが、彼をかばって財布を隠してしまう。
ブランカのもとに、姉ベアを殺して有罪判決を受けたセバスティアーノ・ルッソの父カルミネが現れる。彼は息子の無実を信じ、ブランカの目撃証言が不当だったと訴え、息子が自殺したのはブランカのせいだと責める。
やがて少年たちが広場で麻薬を広めていることが判明し、バチガルーポの元同僚であるアキッリ副本部長のチームが捜査に加わる。カミッロが数日前に「足を洗いたいから売人の名を教える」と話していたことがわかり、口封じのために殺された疑いも出てくる。
署で問いつめられたアリアンナは、事件の夜3人で屋敷に入り、伯爵に見つかって逃げる途中カミッロが階段から落ちたと証言する。リグオーリは屋敷で見つけたカミッロの財布を提出し、伯爵が逮捕される。
伯爵は「屋敷には幽霊がたくさんいる」「暗闇で赤い目を見た」と証言し精神障害を疑われるが、ブランカは「赤い目」の正体が煙草の火だと気付き、屋敷内にほかの誰かがいたことを確信する。
アリアンナは自分の偽証で無実の伯爵が捕まったことに罪悪感を感じ、ブランカに連絡して「犯人を知ってる」と話す。
ブランカはアリアンナとの待ち合わせ場所へ向かい、倒れている彼女を発見する。アリアンナはドラッグの過剰摂取で昏睡状態に陥り、危険な状態となる。ブランカとリグオーリは口封じのために襲われたと考えるが、バチガルーポは否定する。
ブランカは再捜査を訴えるカルミネのために、伯父のアルベルトからベアの事件の捜査資料を取り寄せる。セバスティアーノが有罪となったのは、ブランカの証言だけではなく確実な証拠があったからだとアルベルトは話す。さらに彼は自殺で死んだのではなく、出所後に漁船から落ちて事故死していたことがわかる。
ブランカは判事や弁護士、記者たちが集まる会見の場で、匿名通報の声を聞く。この中に犯人がいると確信したブランカは、バルトロメオに会い「真実を話して」と訴える。
バルトロメオは伯爵の屋敷に犯人を呼び出す。ブランカが傍受すると、現れたのは麻薬捜査をしているアキッリたちだった。彼らは没収した麻薬や金を伯爵の屋敷に隠しており、事件の夜に目撃したカミッロを殺害し、バルトロメオとアリアンナを買収して口を封じたのだ。伯爵が事件の夜に見た「赤い目」の正体はアキッリが吸っていた煙草の火で、カミッロの財布を置いたのも、「幽霊」の正体も彼らだった。彼らは伯爵を屋敷から追い出すために、さまざまな嫌がらせをしていたのだ。
ブランカとリグオーリはアキッリと親しいバチガルーポのことも疑っていたが、彼は「汚職など絶対にしない」と断言する。
ブランカが帰宅すると、カルミネが待っていた。判決は正当だと話すブランカに、カルミネは「真実を見つけ、君の間違いを正して息子への償いをさせる」と告げる。
リグオーリ警部と親しい社会派ジャーナリストのマリネッラは、息子のガブリエーレがいなくなったと警察署に駆け込む。ブランカはガブリエーレが残した留守電のメッセージを聞き、誘拐だと確信する。
防犯カメラの映像から、ガブリエーレを拉致したのはヴィットリオ・ピッタルーガという20歳の青年と判明。リグオーリとバチガルーポは彼の父親で魚介仲卸の大物マルツィオと母親のクレリアを逮捕するが、2人によると誘拐されたのはヴィットリオで、犯人から身代金100万ユーロを要求されているという。マルツィオは息子の狂言誘拐だと思い込み、支払いを断っていた。
警察に不信感を抱いたマリネッラは、息子の誘拐犯がヴィットリオだと暴露する記事を書き、警察がピッタルーガを恐れて捜査に尻込みしていると誹謗する。ブランカはピッタルーガ家に共犯者がいると感づくが、母親のクレリアが誘拐犯と繋がっているとは知るよしもなかった。
誘拐犯から身代金の支払いを催促する連絡が入り、会話を傍受したブランカは犯人がバイクに乗っていることに気付く。バイクを追跡するリグオーリに同行したブランカは、犯人との銃撃戦に巻き込まれ、そのさなか逃亡する犯人の車の中からガブリエーレの声を聞く。
あと一歩というところで犯人に逃げられてしまうリグオーリとブランカ。さらに犯人との銃撃戦でリンネオが瀕死の重傷を負い…。
リンネオが重傷を負い、ブランカは激しい自責の念に駆られる。一方、焦り始めた誘拐犯はクレリアに反発し、ヴィットリオの耳を切り落として身代金の催促状とともにマルツィオに送りつける。夫妻は警察には内緒で犯人の要求通りにしようと、金を用意する。
ブランカはピッタルーガ家に共犯者がいることを確かめるため、リグオーリとともにピッタルーガ家を訪ねる。犯人が捨てた携帯から登録されていた番号にかけると、クレリアのバッグに入っていたもう一台の携帯が鳴り、犯人との連絡に使用した携帯であることが判明する。
クレリアは事業に失敗して借金を抱える息子ヴィットリオのために、マルツィオから金を取ろうと考えたのだった。ヴィットリオは人工授精で産まれた子供で、血の繋がりがないマルツィオは彼に冷たく当たっていた。
だがガブリエーレが誘拐に巻き込まれたことでややこしくなり、さらにマルツィオが身代金を払わず警察の捜査が入ったことで、実行犯のイタロ・ドンディが暴走。手に負えなくなったと話す。
その頃、誘拐犯の2人組も関係が悪化。イタロはヴィットリオとガブリエーレを殺そうとし、止めようとしたもう一人の男と揉み合いになり、刺されて死んでしまう。パニックに陥った男は、2人と心中しようとする。
ヴィットリオとガブリエーレは持っていたアクションカメラで監禁場所を撮影し、クレリアに知らせる。映像を見たリグオーリたちは工業地区のシルヴェストリだと気付き、建物を包囲する。
ブランカは犯人の男を説得するため、ひとりで建物へ。ヴィットリオとガブリエーレの無事を確認すると、自暴自棄になっている男を説得して投降させる。
事件が無事に解決し、ブランカは警察を去ろうとするが、リグオーリに「警察にいるべきだ」と引き留められ残ることを決める。
数日後。友達ができず、遠足に行くことを拒んでいたルチアはブランカに励まされ、遠足へ行く。手術を受けたリンネオは動物病院で目を覚ます。
マリネッラはリグオーリに一緒に住まないかと誘うが、リグオーリは彼女との別れを選ぶ。
ブランカはナチス遺物の密売を調査中の検察官から、拠点となっているリグレ海岸のダイビング・スクールに普通の客として潜り込んで観察してほしいという依頼を受ける。スクールを経営するのはクラウディオとフルヴィアの父娘で、密売の中枢を担うのはフルヴィアの婚約者ロレンツォだった。父娘は彼の本性を知らないという。
ブランカは視覚障害者コースを受講し、地中海でのダイビングで限りない自由を体験する。さらに親切なロレンツォの人柄に触れて、彼が犯罪者であることに疑問を抱く。
数日後、ロレンツォの遺体が海岸に打ち上げられる。事故死と思われたがブランカが異臭に気付き、ボンベを調べると二酸化炭素が混入されていたことが判明。リグオーリがロレンツォの自宅を調べると1500ユーロの金が保管されており、部屋から逃げ去る金髪の女性を目撃する。
ブランカはスクールの倉庫でナチスの遺物を発見する。さらに、そこには正体不明の長方形の塊が大量に積まれていた。
警察署を訪ねたフルヴィアはそこで働くブランカと鉢合わせ、彼女が警察官だと知って憤る。捜査の目的を問われたブランカは、ロレンツォが殺されたことや、ナチスの遺物密売に関わっていたらしいことを話すが、フルヴィアは彼の無実を主張する。
リグオーリはロレンツォの部屋から逃げた女性カロリーナを見つけ出し、聴取する。彼女はロレンツォの元恋人で、資金援助してもらう予定だったと話す。
ブランカは動物病院の医師から、高齢のリンネオに補助犬の役目は難しいと指摘される。思い悩んだ末、ブランカはリンネオを手放すことを決め、引き取ってくれるという元訓練士のもとへ連れて行く。
ブランカはロレンツォの無実を証明するため、フルヴィアに協力を求める。彼女によると、ロレンツォは2か月前にスクールの海岸近くで妙な動きをする船があると言い、夜中に見に行ったという。
フルヴィアがその場所を調べると、海底にUボートの残骸が沈んでいた。ナチスの遺物はそこから持ち出され、スクールの倉庫に隠されていたのだ。その中には大量のTNT火薬もあり、ブランカが見つけた長方形の塊がそれだった。
バチガルーポはスクールを閉鎖させて家宅捜索を行うが、倉庫の中に保管されていたナチスの遺物はすべて持ち去られたあとだった。ブランカに裏切られたと感じたフルヴィアは、ひとりでロレンツォの無実を証明しようとするが、自動車事故で崖から落ち、重体に陥る。
自分のせいだと落ち込むブランカのもとに、リンネオが逃げたという知らせが。ブランカは森の中を捜してリンネオを見つけるが、リンネオはブランカのもとへ来ようとせず、森の奥へ逃げてしまう。自分を責めるブランカを見て、リグオーリは彼女を抱き締める。その様子を目撃したナンニは傷つき、ブランカから離れようとする。
リグオーリは姿を消したカロリーナを空港で逮捕する。カロリーナはロレンツォとの関係を続けていたことを明かし、三角関係でフルヴィアと揉めていたことや、フルヴィアの弟ベルナルドが密売に関わっていることを話す。
取り調べを受けたベルナルドは、小遣い稼ぎにナチスの遺物をギャングに売り、それを知ったロレンツォに口止め料を払ったと告白。フルヴィアは真相を知って警察に話そうとし、事故に遭ったという。ベルナルドはロレンツォ殺害を否定し、彼が死ぬ前の晩に倉庫から緑色のジャケットを来た男が出てくるのを見たと話す。
ブランカは黄色いジャケットを着ていたカロリーナが犯人だと気付く。緑色に見えたのは、夜間の青いライトのせいだった。ロレンツォはフルヴィアが妊娠したことを知って彼女を選び、カロリーナを捨てようとしたのだ。カロリーナはロレンツォの殺害を認める。
ブランカはリグオーリを家に誘うが、断られる。ナンニの店を訪ねたブランカは、傷つけたことを謝り、もう一度デートをしてほしいと頼む。ブランカの気持ちを受け入れる一方で、ナンニは彼女の部屋に隠しカメラを仕掛け、密かに監視していた。
リンネオはブランカのもとにもどり、再び一緒に暮らし始める。
ブランカはナンニとのデートを楽しむが、彼は密かにブランカの行動を監視し、彼女の飲み物に薬を混入していた。
ジェノヴァ大学で助手をしているというヴァレリオが署にやってくる。彼の恋人で工業化学科の研究員カテリーナが失踪したという。カテリーナは元船長の父親アンニーバレと暮らしていたが、彼は操船ミスで沈没事故を起こしたとして解雇され、自堕落な生活を送っていた。
ブランカはヴァレリオの案内で彼女の家を訪ね、部屋を見せてもらうことに。するとワードローブから石油臭のするプラスチックの部品が見つかる。ゴミ箱の中には、住所が書かれたメモが捨てられていた。
ヴァレリオとともにその住所を訪ねると、部屋の中でカテリーナが死んでいた。管理人によると、2日前の夜にバスク帽をかぶった男が部屋から出てきたという。部屋の所有者は不動産会社で、使用しているのは筆頭株主で製油会社ピコイルの社長、ジョルジョ・ピッカルドだった。
かつて彼の会社を捜査しようとして失敗し、サン・テオドーロ署に左遷させられたリグオーリは、ピッカルドに個人的な恨みを抱いていた。さらに、ピコイル社の法律顧問ティンペーリ弁護士は、リグオーリの実の母親でもあった。
任意出頭したピッカルドは、被害者のカテリーナが研究員として働いていたことを明かし、事件現場となった部屋を彼女に無料で提供していたと説明する。
捜査を進めると、カテリーナは父親の元勤務先である海上輸送会社で清掃員として働いていたことも判明。目的は父親の無実の証明だった。彼女がワードローブに隠していたプラスチックの塊は、事故調査の収集物で、沈没した船の分電盤の一部だった。
署にカテリーナのプライベート画像が届き、バチガルーポは彼女が自分の写真を売って金を稼いでいたのではと疑う。リグオーリは母の仕業だと考え、罵倒する。少年時代、リグオーリは母がピッカルドとキスをする現場を目撃していたのだった。
感情的になったリグオーリは怒りを抑えきれず、ピコイル社の駐車場で鉢合わせたピッカルドを激しく罵り、掴み合いになる。
翌日、ブランカは署に呼び出され、リグオーリの言動について説明を求められる。先に手を出したのはピッカルドだと主張するリグオーリに対し、ブランカはリグオーリが先に彼の胸を突いたと証言。それにより、リグオーリは捜査から外されてしまう。
ブランカはカテリーナと一緒に作業をしていた清掃員の女性たちから話を聞き、バスク帽を被る会計士のフォルナーリが彼女に言い寄っていたという情報を得る。フォルナーリは彼女と一夜を過ごす代わりに、船の積み荷リストを渡す約束をしたと証言。だが訪ねた部屋で彼女の死体を発見し、怖くなって逃げたと話す。
カテリーナは自分のプライベート画像を使ってフォルナーリを釣り、父親の冤罪を証明するための積み荷リストを手に入れようとしたのだった。沈没事故の証拠品である分電盤の一部には、事故で流出した物質が付着していたからだ。
ブランカに説得されたピッカルドは、真実を打ち明ける。彼はカテリーナとともに、自分の会社であるピコイル社を捜査していた。ピコイル社は輸送船に化学廃棄物を積み、沈没させていたのだ。ジェノヴァ大学のバルドゥッツィ教授も隠蔽に加担していた。ピッカルドはカテリーナからその事実を知らされ、手を貸し始めたという。
真犯人に気付いたブランカは、ジェノヴァ大学でヴァレリオに会う。彼は教授の汚職を知り、自らの保身のために恋人のカテリーナを殺したのだった。彼がカテリーナの部屋で見つけた住所のメモは、捜査を誘導するために彼自身が書き残したものだった。
カテリーナの葬儀が行われ、ブランカやリグオーリ、ピッカルドらも参列する。リグオーリはピコイル社の上層部の責任を検証するためピッカルドに協力を仰ぐが、彼はティンペーリ弁護士の助言を受け入れ、黙秘権を行使するという。
リグオーリは少年時代に母の浮気現場を目撃し、そのことを父親に話してしまったために彼を自殺に追い込んだのではないかと、今も過去から逃れられずにいた。
ナンニがブランカの部屋に泊まった夜、発信元不明の電話がかかってくる。電話は無言のまま切れ、翌日セバスティアーノの父親カルミネ・ルッソが半地下の部屋で遺体で発見される。現場の状況から自殺と見なされるが、ブランカは釈然としない。彼は息子の無実を信じ、ブランカの姉ベアトリーチェの事件を調査していたのだ。
防犯カメラの映像を確認したブランカは、銃声の後に革靴の足音を聞き取り、他殺だと確信。ひとりでカルミネの自宅を見に行くが、めまいを起こして階段から転落し、気を失う。
病院で目を覚ましたブランカは、医師から内耳の機能不全を指摘される。誘因になるのは感染症や炎症、薬の服用だったが、どれも心当たりがないブランカ。それらが原因でなければ神経腫瘍やメニエール病が疑われ、聴覚を失う可能性もあると言われる。
ブランカは発信元不明の電話がカルミネではないかと考え、リグオーリに携帯を調べて欲しいと頼むが、着信履歴は消えていた。カルミネの携帯にも記録はなく、ブランカの言葉は誰にも信じてもらえない。
ブランカは再度カルミネの家を訪ね、新聞記事の下から姉ベアトリーチェのイヤリングを見つける。カルミネの妻によると、イヤリングはセバスティアーノが持っていたもので、ベアトリーチェが別の男からもらったものだと話していたという。
何度もめまいを起こして倒れるブランカに、署長は2週間の自宅待機を命じる。体調不良の原因がナンニに盛られた薬のせいだとは思いもしないブランカは、病気で聴覚を失う恐怖に立ちすくみ、ナンニにすがって号泣する。
リグオーリはブランカの主張が正しかったのではと思い始め、保管庫からカルミネの携帯を持ち出して調べ直すことに。
ブランカは、カルミネの部屋にセバスティアーノの写真が1枚もなかったことに気付き、リグオーリに知らせようとするが、ナンニに殴られて気を失ってしまう。
ジェノヴァ市に大雨警報が発表される。ルチアは音楽学院の受験に臨むが、ブランカと連絡が取れず、心配のあまり受験会場を飛び出す。ブランカの家を訪ねるも応答はなく、犬のリンネオが吠える声が聞こえるばかり。
ルチアから事情を聞いたリグオーリはブランカの家へ行き、床に落ちている血痕を見つける。さらに、カルミネの携帯の発信データからブランカに電話していたことがわかり、履歴を消したのはナンニではないかと疑う。ナンニの家を調べると、壁の中から本物のナンニの身分証明書が見つかる。
その頃、ブランカは防音が施された監禁部屋で目を覚まし、“ナンニ”を名乗っていた人物から真実を告げられる。彼の正体はかつての姉の恋人セバスティアーノだった。
セバスティアーノは15年の刑期を終えて出所した後、漁船の船員として働いていた。同じ船には料理人のナンニが乗っており、ある日彼はセバスティアーノの財布を盗んで下船し、溺死体で見つかったという。だが遺体は水で膨れて見分けがつかず、持ち物からセバスティアーノと勘違いされたのだった。
カルミネはブランカを監視していて、一緒にいる男が息子のセバスティアーノだと気付いた。そのことをブランカに知らせようとして、あの夜、電話をかけてきたのだった。
だがセバスティアーノは、ベアトリーチェも父親も殺していないと無実を主張。ブランカを拘束したまま部屋を出ていくが、大雨により監禁部屋に大量の雨水が流れ込む。必死に脱出を試みるも、拘束が解けず水没していくブランカ。良心の呵責に苦しんだセバスティアーノは、リグオーリに電話して監禁場所を教える。ブランカは間一髪でリグオーリに救出される。
翌朝、回復したブランカはリグオーリとともに、カルミネが何度も電話していた男ドメニコ・マージのもとへ向かう。彼は15年前に海辺で監視員をしていて、駐車場で白いオフロード車を見たと話す。だが当時、検事局のある人物に脅され、口止めされたという。
ブランカは伯父のアルベルトが白いオフロード車に乗っていたことを思い出し、彼がマージの証言を握りつぶしたことに気付く。カルミネはその真実に気付き、彼に殺されたのだ。
セバスティアーノが岬へ向かっているという連絡が入り、ブランカとリグオーリは岬へ向かう。アルベルトもまた、彼を殺そうと追跡していた。
岬でアルベルトと遭遇したブランカは、真実を話してと訴える。アルベルトはベアを愛していたと言い、離れようとしたがセバスティアーノが現れて理性を失ったと打ち明ける。
ベアが小屋でセバスティアーノと会っているのを目撃したアルベルトは、彼が立ち去った後、小屋に押しかけてベアと口論になった。全部父親に話すと言われ、ベアの首を絞めて殺害した後、小屋に火をつけて死体ごと燃やしたのだった。
アルベルトは真実を公表するというブランカを崖から突き落とそうとするが、セバスティアーノがブランカを助ける。セバスティアーノを撃とうとしたアルベルトをリグオーリが撃ち、アルベルトはそのまま崖下へと転落する。間もなくバチガルーポたちが到着し、セバスティアーノを連行する。
感想(ネタバレ有)
イタリアの現代ドラマはあまり馴染みがありませんでしたが、すごく楽しめました。ジェノヴァの美しい町並みや、イタリアらしい明るいノリ、主人公ブランカのカラフルでセクシーな衣装なども新鮮でした。
あんまり期待してなかったけど、ストーリーも面白かった! ブランカの姉ベアの死をめぐる謎が縦糸になっていて、最終話に向けて少しずつ伏線が張られていくという仕掛け。とにかくセバスティアーノが怖かった。どんな理由があるにせよ、目が見えない人に薬を盛るなんて…ひどい。
でも、彼はいったい何がしたかったんだろう?? ブランカを監視したり、薬を持ったり、監禁したり…最終的にどうするつもりだったんだろうねぇ。復讐目的で近づいたけど、冷徹にはなりきれなかったというところでしょうか。
ドラマは15年前の事件の真相が明らかになった時点で終わりましたが、ほかにも気になることがいろいろ。
ひとつは、リグオーリのお父さんの自殺。リグオーリは自分が母親の浮気を話してしまったせいだと思ってるみたいだけど、本当にそうなのか、どうか。弁護士のお母さんとピッカルドは本当に浮気をしていたのか。リグオーリがあの手強そうなお母さんと和解する日は来るのでしょうか。
ルチアのその後も心配です。酒浸りで、幼い娘に平気で暴言を吐くお父さん…もう見ていられない。音楽学院の受験もしそこねちゃったし、これからどうするんだろう。
そして高齢のリンネオ。私も先月、20歳の愛猫を見送ったばかりなので、第6話~第8話はめちゃくちゃ辛かったです。今は動物が弱っているのを見るだけで号泣してしまう。ブランカと離れてほしくないけど、いつかは別れなきゃならないんだと思うと、本当に辛い…。
シーズン2の知らせは届いていませんが、あるといいなぁ。ブランカとリグオーリの関係がどうなるのかも見届けたいです。