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各話のあらすじ(ネタバレ有)
1868年5月。ギネス醸造所の創業者サー・ベンジャミン・リー・ギネスが亡くなる。彼の遺体が大聖堂へ向かう途中、フェニアン団による妨害が発生。彼らは英国支配に反対する急進的なアイルランド独立派であり、ギネス家をユニオニストの象徴として敵視していた。
フェニアン団の指導者パトリック・コクランは革命の好機と捉え、暴力による妨害を企てる。醸造所の現場監督ラファティは、労働者と共に武装して葬列を守り抜き、血まみれになりながらも遺体を大聖堂へと運ぶ。
ギネス家の長男アーサーと次男エドワードは、父の遺言書が開示される前に醸造所の経営権を巡る交渉を行う。アーサーは長男としての責任を感じつつも、商才のあるエドワードに経営を譲る代わりに、利益の35%を受け取ることで合意する。
長女アンは慈善活動の継続を誓い、女性としての影響力を主張する。末弟ベンジャミンは賭博による借金とアルコール依存に苦しみ、クリスティーンからの結婚提案を拒絶する。
フェニアン団婦人会のエレン・コクランは、兄パトリックの暴力的な計画に異を唱え、ギネス家の秘密を暴くことで権力を揺るがす策略を練る。彼女はギネス波止場に乗り込み、ギネス家の輸出業務と違法ビジネスに関わるボニー・チャンピオンから、ベンジャミンの賭博癖を聞き出す。
パトリックは妹の忠告を無視して製樽工場に火を放ち、ギネスの象徴である樽を焼き払うことで供給網を断とうとするが、雨により鎮火。ラファティは火災現場でエレンの姿を目撃する。
サー・ベンジャミン・リー・ギネスの遺言書が開示される。遺産は長男アーサーと次男エドワードの2人に平等に譲渡され、長女アンと末弟ベンジャミンにはほとんど何も与えられないという内容だった。
アンは夫の被後見人として土地や事業に関与できず、ベンジャミンは奨学金によるわずかな収入のみが保証される。この不公平な分配は家族内に波紋を呼び、兄妹たちはそれぞれの立場で葛藤を抱える。
一方、ギネス醸造所では火災の後始末が進む中、主任ラファティが従業員に対して裏門を開けた者を告発するよう求め、裏切り者を炙り出す。やがて3人の倉庫番を拘束し、拷問によってフェニアン団の関与を突き止める。
ラファティはパトリック・コクランを見つけ出すと、妹エレンの下宿先に火をつけると脅しをかけるが、実際には火はつけられていなかった。エレンは「ギネス家の調査をやめるように」と書かれたラファティからの手紙を受け取り、冷静に対応する。
エドワードはアンに、兄と自分の結婚相手を探してほしいと頼む。アンは戸惑いながらも、叔母のアグネスと共に候補者の選定に取り組む。アーサーは遺言によって事業から離れられないことを悟り、恋人マイケルに別れを告げる。
エドワードとラファティは、匿名の告発状を受け取ったことをアーサーに伝える。内容はアーサーが男性と関係を持っていたというもので、フェニアン団とボニー・チャンピオンが証言者として名を連ねていた。
激怒したアーサーは告発状を焼き捨てるが、エドワードは冷静に対応し、ボニーへの口止め料5000ポンドの支払いを決断する。さらに、フェニアン団の女性エレン・コクランとの直接交渉をラファティに命じる。
1868年8月。アンは領地調査のためゴールウェイ州へ向かうが、移動中に体調を崩し、クルーンブー村で流産してしまう。村人たちの助けで教会に運ばれ、スルタンと呼ばれる女性に看病される中、アンは飢饉による貧困の現実に触れ、領地の人々への支援を決意する。
一方、保守党議員としての立候補を控えるアーサーは、伯爵令嬢オリヴィアとの形式的な結婚に合意する。性的関係を結ばず、政治的なパートナーとしての役割を果たすことを約束し、彼女に年収1万5000ポンドを提示する。
エドワードは醸造所の改革に着手し、従業員に年金制度を導入することで支持を集める。さらに、ギネスの母とフェニアンの父を持つ婚外子バイロン・ヘッジスと手を組み、アメリカ進出の足がかりを築こうとする。
フェニアン団の女性活動家エレン・コクランは、抗議演説の末に逮捕されるが、ラファティの手引きでエドワードとの会談に臨む。エドワードはギネス家の結婚式に彼女を招待し、アイルランド独立への理解を示す姿勢を見せる。
ベンジャミンはクリスティーンからの結婚提案を断り、ポートベロー兵舎への入隊を決意する。遺産を得られなかった彼は、自らの力で父の評価を覆すことを誓う。
回復したアンは、再びクルーンブー村を訪れる。スルタンから飢饉の悲惨な体験を聞いた彼女は、人々の苦しみに寄り添う決意を新たにし、醸造業の利益の10%を貧困層の支援に充てるよう兄たちに提案する。
アンの手紙を読んだエドワードは提案に賛同し、利益の5%を慈善事業に充てると決める。アーサーは反発するが、最終的にアイルランドの象徴であるハープをギネスの新たな商標として採用することに同意する。
アーサーとオリヴィアの結婚式が盛大に執り行われる。エドワードは従姉妹のアデレイドを伴侶にと望んでいたが、彼女はその申し出をきっぱりと拒む。
ベンジャミンはクリスティーンとの結婚を許されず、叔母のアグネスに別の女性を選ぶようにと言われる。ベンジャミンはそれを受け入れる代わりに、新居の用意と収入の見直しを提案する。
アンは密かに関係を持っていたラファティに流産の事実を打ち明け、互いに別々の道を歩むことを確認し合う。
エドワードは兄アーサーの選挙戦においてフェニアン団の票を取り込もうと考え、結婚式にパトリックとエレンの兄妹を招待する。しかしその事実を知ったアーサーは激怒し、弟に裏切られたと感じて交渉を拒む。
一方、ニューヨークに渡ったバイロン・ヘッジスはフェニアン団の従兄弟と接触し、アイルランド系移民が直面する差別や暴力の現実を目の当たりにする。バイロンはギネス家の名を背負い、ビールを「魂の万能薬」として広める決意を語る。
それから2か月後、アンはアーサーが選挙で不正な手段を用いて票を集めていることを知り、エドワードに告げる。エドワードは隠れ家で恋人と過ごしていたアーサーを訪ね、選挙不正の真相を問いただす。アーサーは理想を掲げる弟に反発するが、最終的には家族の絆と現実の重みを受け止める姿勢を見せる。
翌朝、エドワードはアーサーの屋敷で夫妻と朝食を共にし、ギネス家が担うべき立場と役割について語り合う。オリヴィアは兄弟それぞれの違いを指摘する。エドワードは不正の責任を兄に託して屋敷を後にする。
アーサーは選挙に勝利するも、賄賂による不正が発覚し、裁判で議席を剥奪される。個人的な関与は証明されず無罪となるが、ギネス家の評判は大きく傷つく。ラファティはこの結果をアーサーの妻オリヴィアに伝え、彼女を慰める中で2人の関係は親密になる。
エドワードは醸造所の拡大記念式典を控え、事業の成功を誓う。彼のもとにはアデレイドが訪れ、ダブリンの貧民街を再開発する慈善住宅計画を提案する。エドワードはその構想に賛同し、資金提供を約束する。
ニューヨークの代理人バイロンから衝撃的な内容の手紙が届く。そこには、ギネスビールの売上の15%をフェニアン団に渡すという約束が記されていた。
バイロンはニューヨークでフェニアン団の幹部エイモン・ドッドと接触し、ギネス家の支援を武力闘争に転用する提案を進めていた。エドワードはこの事態を阻止すべく、エレン・コクランに助けを求める。2人は互いの感情を認め合い、一夜を共にする。
アーサーは波止場への立ち入りを禁じられ、孤独と屈辱に苛まれる。醸造所で倉庫番の青年パトリックと再会したアーサーは、彼との過去を思い出し、2人で一夜を過ごす。
翌日、醸造所の拡大記念式典が開催される。アーサーは弟エドワードの功績を讃え、ギネス醸造所の新時代の幕開けを宣言する。米国への出荷が始まり、ギネスは世界最大のブランドとしての地位を確立しつつあった。
アイビーハウスでは、ベンジャミンの結婚を知ったクリスティーンが自殺を試みるが、アグネスの説得により思いとどまり、女性たちによる慈善活動への参加を決意する。アンは東の棟で無事に子どもを出産する。
フェニアン団の指導者パトリック・コクランが警察に逮捕される。エレンは兄の釈放を求めてエドワードに助けを求める手紙を送る。
アーサーは弟エドワードがエレンと肉体関係を持ったことを知り激怒する。エドワードはエレンとの関係を「愛ではない」と否定しつつも、彼女との絆が自分の価値観を揺るがしたことを認める。
エドワードはアデレイドとともにアシュフォード城へ向かい、クルーンブー村の貧困の現場を目の当たりにする。病人のために氷や食料、毛布を運ばせ、自ら墓掘りを手伝うエドワードの姿を見て、アデレイドは彼の新たな一面を知る。2人は城で質素な食事をともにし、貧困層との距離を縮める姿勢を共有する。
エレンはインペリアル・ホテルでエドワードと再会し、兄パトリックの釈放とアメリカ移送の計画を聞かされる。エドワードは弁護士バットの仲介で、英国政府がフェニアン団員を米国へ送ることで米英間の緊張緩和を図ると説明する。エレンは兄のために汚れ仕事を引き受ける決意を固める。
パトリックはニューヨークへ送られ、バイロンと再会するが、ギネス家との取引に激怒し、暴力的に対峙する。バイロンはギネス社の代理人としての役割をパトリックに押し付けようとし、報酬か死かの選択を迫る。パトリックは屈辱と怒りの中で、ギネス家の影響力に翻弄される。
アーサーはパトリックと密会するため、ある場所へ向かう。だがそれは叔父ヘンリー・グラタン牧師が仕掛けた罠だった。ヘンリーはパトリックを脅してアーサーを呼び出させ、警察に逮捕させようと企んでいた。
アーサーはパトリックの助けで警察の手から逃れるが、彼が叔父ヘンリー・グラタンに脅されて陰謀に加担していたことを知り、別れを告げる。アーサーからの指示を受けたラファティはヘンリー・グラタンを脅迫し、ダブリンから去るよう命じる。
エドワードはアシュフォード城で水源の調査を行い、クルーンブー村への給水計画を進める。アデレイドとの距離は縮まりつつあるが、エドワードの心にはまだエレンの影が残っていた。
1869年、アデレイドが提案した貧民街の再開発“ギネス住宅計画”が始動。1年後には住宅が完成する。エドワードはアデレイドとの信頼関係を築きながらも、エレンとの関係を断ち切れずに揺れる。
アーサーは妻オリヴィアの政治的野心に押され、再び議員選挙への立候補を決意する。現実を受け入れる決意を固めたエドワードは、エレンに別れを告げる。傷ついたエレンは「あなたは自分に嘘をついてる。私から逃げたいだけ」と指摘しながらも、別れを受け入れる。
エドワードとアデレイドの結婚式が行われる。アーサーは妻オリヴィアがラファティの子どもを妊娠していることに気づき、選挙戦を前に苦悩する。ベンジャミンは再び酒に溺れ、妻との関係も破綻してしまうが、クリスティーンとの再会によって一時の安らぎを得る。
選挙戦が本格化する中、アーサーとエドワードは波止場のボニー・チャンピオンに退去を迫り、補償金を提示して交渉を進める。そんな中、バイロンがニューヨークから帰国し、アーサーの選挙運動の戦略を練る。アーサーとエドワードは互いの秘密をバイロンと共有し、ギネス家の未来に向けて一致団結する。
波止場はダイナマイトで取り壊され、ギネス社の新たな時代の幕開けが告げられる。
選挙が迫るダブリンに、かつてアメリカへ渡ったパトリック・コクランが帰還する。ギネス家に対する復讐を胸に秘めた彼は、妹エレンのもとを訪れ、彼女の過去の行動を責め立てる。エレンは兄の暴力的な思想に反発し、愛と大義は両立可能だと訴えるが、パトリックはフェニアンとしての使命を優先し、アーサーの暗殺をほのめかして立ち去る。
選挙集会まで時間がない中、ギネス家には不穏な空気が漂い始める。エレンはエドワードに兄の危険性を警告し、エドワードはラファティに調査を依頼する。ラファティはパトリックの存在を探るが、町では誰も彼の帰還を認めず、暗殺計画の可能性を示唆する。
エドワードはエレンの部屋を訪ね、彼女への想いを再確認するが、エレンは冷静に距離を取る。その後、エドワードは妻アデレイドと互いの愛と妥協について語り合い、「完璧じゃないけど共に生きてはいける」という彼女の言葉を受け入れて握手を交わす。
アンはベンとクリスティーンを呼び出し、ギネス家の名誉を守るため、クリスティーンを公式な愛人として認める条件を提示する。ギネス家は今やダブリンの象徴であり、分断されたアイルランドの架け橋となるべく、団結が求められていた。
ロンドンから戻ったオリヴィアは、子どもを堕ろした事実に傷つき、アーサーを責める。オリヴィアはラファティとの愛に慰めを見いだすが、アーサーに契約違反を責められ、関係の清算を迫られる。オリヴィアは契約変更を受け入れる姿勢を見せたうえで、ラファティとの関係を密かに続ける計画を立てる。
選挙集会当日、アーサーは演説台に立ち、ギネス家の未来を語る。群衆の中にはエレンもおり、兄パトリックの姿を見つけて危険を知らせる。ラファティと警備員が騒ぎに気を取られた隙に、パトリックはアーサーに狙いを定め、発砲する。
感想(ネタバレ有)
没入感を生む美術と物語の作り方
家族の絆や争い、権力の使い方、男女の立場の違い、社会のしくみなど、今の時代にも通じるテーマが描かれていて、とても見ごたえがありました。
特にすごいと感じたのが、世界観。ヴィクトリア朝時代の建物や服装が細かいところまで再現されていて、まるで昔のダブリンの街に入り込んだような感覚になります。見た目の美しさだけでなく、当時の身分制度や宗教、政治の緊張感などもていねいに描かれていて、物語の背景がしっかりと感じられました。
脚本を担当したスティーヴン・ナイトは、登場人物の内面や人間関係の変化を細かく描くことで知られています。このドラマでもその力が発揮されていて、兄妹たちがそれぞれどんな思いを抱えているのかがリアルに伝わってきます。
彼らの選択に一喜一憂しながら、自然と物語に引き込まれていきました。
姿を見せない父と「遺言」が動かす物語
このドラマの中心にあるのは、父ベンジャミン・ギネスが残した「遺言」です。
彼はすでに亡くなっていて、物語の中には姿を見せません。でも、その遺言が兄妹たちの人生を大きく動かしていきます。まるで「亡くなった人が生きている人を操っている」ように。
あえて父親の姿や性格を描かないことで、彼の「言葉」や「影響力」だけが強く印象に残る、という仕掛けでしょう。家族の過去がはっきりと語られない分、兄妹たちが亡き父をどう思っているのか、わたしたちは彼らの言葉や行動から感じ取り、想像する。
ベンジャミン・ギネスは実際にギネス醸造所をつくった人物で、その業績は歴史的にも興味深いものです。でもこのドラマでは、彼の成功や過去を詳しく描くのではなく、「残された家族がどう生きるか」に焦点を当てています。そのことで、兄妹たちの心の動きや関係の変化に、より深く入り込むことができるのです。
ぶつかり合う兄弟と、うまくいかない共同経営
アーサーとエドワードという兄弟の関係は、このドラマの大きな見どころのひとつ。性格も考え方もまったく違う2人が、父の遺言によって一緒にギネス醸造所を経営しなければならなくなるという設定は、とても緊張感がありました。
長男のアーサーは、「父のようになりたい」という気持ちと、「自分は父とは違う」という現実の間で心が揺れています。「ギネス家の名前を守りたい」という強い思いを持っているのに、自分の行動がかえって家族の評判を傷つけてしまうこともあり、その矛盾に苦しんでいる。
一方、弟のエドワードは、まじめで冷静な人物。醸造所で働く人々の待遇や街との関係を重視し、父の理念を守ろうとします。けれども、共同経営者である兄アーサーの強引なやり方や保守的な考えに反発を感じていて、うまく協力できずに悩んでいます。
ギネス醸造所のような大きな会社を、当時のダブリンという複雑な街で運営することの大変さも、物語の中でリアルに描かれています。政治や宗教、階級の違いなど、さまざまな問題がからんでくるからです。
兄弟の対立は、家族の中で自分がどんな役割を果たすべきか、どこまで責任を背負うべきか、そして「こうありたい」という気持ちと「現実とのギャップ」にどう向き合うかを問いかけてきます。
女性たちの姿から見える、家族と社会の変化
本作では、女性キャラクターの描き方がとても重要な役割を果たしています。歴史ドラマでは男性の視点が中心になりがちですが、この作品では女性たちの内面や選択がしっかりと描かれていました。
ギネス家は、父ベンジャミンの遺言によって支配されています。その内容は男性を優先するもので、女性はほとんど関わることができません。家業の継承も財産の分配も、兄たちが中心で進められます。
ですが、物語が進むにつれて、アン、エレン、オリヴィア、アデレイドといった女性たちが少しずつそのルールに関わり始めます。彼女たちは自分の考えや行動で、家族の中の力のバランスや価値観を変えていくのです。
中でも長女アンは、女性としての生きづらさや葛藤を象徴する存在として描かれています。
彼女は兄弟の対立をなだめ、家族のつながりを守ろうとします。その姿は一見「母性」的役割を押しつけられているようにも見えますが、彼女は自分の頭で考え、家族のためにどう動くべきかを選び取っています。これは、女性が決められた役割に従うだけでなく、自分の意思でその役割を変えていこうとする姿でもあります。
アンは病気を抱えていて、体は弱いかもしれません。でもその分、心の強さが際立っています。彼女の苦しみや迷いは、当時の女性たちが家族や社会の期待にしばられながらも、自分らしく生きようとした姿をよく表しています。
愛のない結婚と女性の苦しみ
このドラマでは、登場人物たちが「愛ではなく家のために結婚する」場面がいくつも描かれています。
長男アーサーは男性を愛する気持ちを持ちながらも、伯爵令嬢のオリヴィアと形式的な結婚をします。次男エドワードは革命活動をしているエレンを心から愛していましたが、彼女の思想的な立場や身分の低さを理由に別れ、家柄のいいアデレイドと結婚します。
三男ベンジャミンも、愛するクリスティーンとの結婚を許されず、家の都合でヘンリエッタを選ぶことを余儀なくされました。長女アンも同じように、ウィリアム・プランケットとの結婚生活に満足できず、現場監督のラファティと一時的な関係を持ってしまいます。こうした「家のための結婚」がもたらす結果として、傷つくのはいつも女性たちです。
アンはラファティの子どもを妊娠し、流産してしまいます。オリヴィアもまた彼の子どもを妊娠した結果、アーサーの命令で中絶手術を受けることになります。エレンは一方的な別れに傷つき、クリスティーンは自ら命を絶とうとします。
こうした出来事は、家族や社会の仕組みが、女性にどれだけ重い負担をかけているかをはっきりと示しています。彼女たちの体と心に残る傷は、見過ごしてはいけない現実として描かれているのです。
名前に縛られながら、自分を生きる
ギネス家の兄妹たちは、「ギネス」という大きな名前に翻弄されつつ、自分の役割や生き方を探し続けます。家族や社会から求められる期待にどう向き合うか、自分の気持ちや考えをどう守るか。
名前にしばられながらも、自分らしく生きようとする兄妹たちの姿は、悲しくも力強く感じられました。家族の物語でありながら、社会のしくみや人間の生き方についても深く考えさせてくれる作品でした。
物語は、過激派思想を持つパトリックが、演壇のアーサーを狙い撃つ場面で幕を閉じます。シーズン2の制作について正式な発表はまだありませんが、大きなクリフハンガーで終わっていることから、続編の構想があることは明らかです。
ギネス家の物語が、シーズン2でさらに掘り下げられることを期待しています。
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