
「小河ドラマ 龍馬がくる」
どうも、夏蜜柑です。
時代劇専門チャンネルで放送された「小河ドラマ 龍馬がくる」(全4話)を見ました。
めちゃくちゃ面白かったです!
前作の「小河ドラマ 織田信長」も面白かったけど、今年は全4話になった分ストーリーに厚みが出て内容も濃くなって、パワーアップしてました。コメディなので基本ふざけてるんだけど、最後は感動。泣けた。
武田鉄矢さんの演技じゃない龍馬愛がビシビシ伝わってくるんですよね……。
金八世代はじーんと来てしまったよ。龍馬の暗殺シーンはガチの大河ドラマを見ているようでした。

あらすじとキャスト
あらすじ
- 石井P(山崎銀之丞)に指名され、「大型連続時代劇 坂本龍馬」の主役を務めることになった武田鉄矢(本人)。これが人生最後の龍馬役だと意気込む武田だったが、おりょうを演じる相手役・箭内夢菜(本人)は本読みで「龍馬」を「りゅうま」と読み、石井Pは「赤いきつね」の龍馬をイメージしていることがわかり、気勢をそがれる。
- 武田の前に、本物の坂本龍馬(三宅弘城)が過去からタイムスリップしてやってくる。感激した武田は龍馬から話を聞き、「真実の坂本龍馬」をドラマで演じようとする。しかしそれは「幕末のカリスマ」とはかけ離れた、恰好悪い坂本龍馬だった。
- 突然の改変にキレた脚本家は降板、武田自身が脚本を書くことに。スケールの小さな龍馬の物語「小河ドラマ」は炎上、良くも悪くも話題を集めることに。武田のマネージャーになった龍馬はあっというまに2018年に順応し、ハンドスピナーやTikTokを使いこなすほどに。
- 龍馬が何もしていないとわかり、「俺が知ってる龍馬じゃない」と怒りを露わにする武田。武田の失望をくみ取った龍馬は、西郷との劇的な出会いを語って聞かせる。すると、西郷の弟・信吾や桂小五郎、勝海舟までタイムスリップしてくる。
- 3人は口を揃えて「坂本はわしらの周りをウロチョロしていたが何もしていない」と話す。龍馬は自分の伝記本を読むうちに偉人になった気分になり、本の中の自分を演じてしまったと言う。武田の前から姿を消す龍馬。龍馬がいなくなり、武田は初めて龍馬がドラマのスタッフや共演者たちに慕われていたことを知る。
- 武田は龍馬に「あんたは潤滑油だったんだ。時代を回した時代のローションだ」と話す。ドラマはついに最終回を迎える。近江屋での暗殺事件をやりたくない武田はハッピーエンドで終わらせようとするが、龍馬は「嘘の龍馬で終わったらいかん」と進言する。
- 「わしが死ぬことも潤滑油じゃ」という龍馬の言葉を受け入れ、武田は龍馬の最期を演じきる。クランクアップの直後、龍馬と写真を撮る武田。その瞬間、龍馬はいなくなってしまう。
- 小河ドラマはハリウッドでリメイクされることになり、英語のセリフを覚える武田。そこへ、龍馬の幻の手紙が発見されたというニュースが入る。「新金八策」と題するそれは、龍馬から坂本へのメッセージだった。
キャスト
坂本龍馬……三宅弘城
武田鉄矢……武田鉄矢
箭内夢菜……箭内夢菜
皆川猿時……皆川猿時
マネージャー田沼……稲葉友
石井プロデューサー……山崎銀之丞
感想
チャラい龍馬に苛立つ武田鉄矢
コメディだと思って笑いながら見ていたら、最後は前屈みでおふたりの演技にのめり込んでいました。
武田さんと三宅さんの演技が上手いのはもちろんなんですが、ずーっと龍馬に憧れていた武田さんが語ると、どのセリフも本心のように聞こえて、グッときちゃうんですよね……。
ドラマなのに、武田さんが龍馬に会ってむせび泣くシーンには思わず「よかったねぇ、よかったねぇ」と一緒になって喜んでしまうわたし(笑)
最終回の近江屋のシーンは、コメディであることを忘れてクギヅケになりました。
ドラマといえども龍馬が殺されるところは見たくないのですが……。
武田さんの龍馬は最後に笑ってくれたから、ほんの少しだけ救われたかな。
“現代にタイムスリップしてきた坂本龍馬”を演じたのは、三宅弘城さん。
顔は全然龍馬に似てないし、やってることは「チャラい大学生」そのものだけど、ふとした拍子に龍馬っぽさが現れる(順応性の高さだったり、人たらしだったり)。
真面目な武田さんがチャラい龍馬に苛立てば苛立つほど、見ているほうはだんだん「実際の龍馬もこんな感じだったかも?」という気持ちになるんですよね(笑)

坂本龍馬は時代のローションだった
ドラマの中で、武田さんは龍馬のことを「あんたは潤滑油だったんだ。時代を回した時代のローションだ」と表現していました。
「あんたは日本を変えてないかもしれない。大政奉還も薩長同盟もあんたがやったことじゃないかもしれない。でもあんたはそこにいた。日本のために何の役に立ったか、そんなことはよくわからないけど、でもあんたがいないとダメだったんだ」
このセリフ、説得力がありましたねぇ。
西郷の弟は「確かに坂本どんはわしらの周りをウロチョロしておりましたが、いくら思い出してもこんな話(立ちション)しかないでごわす」と言っていました(まぁ実際はそんなことはないだろうけど)。
目に見えることを何もしていないのに、「あいつがいたからうまくいった」と言われる存在。そこにいるだけで時代を動かせる人って、そんな空気みたいな人なのかもしれませんね。
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」
わたしも武田鉄矢さんと同じく、高校時代に司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」を読んで感動しました。
わたしが抱いている龍馬のイメージ(おそらく世間一般の龍馬像と同じだと思うのですが)は、「竜馬がゆく」の坂本竜馬なんですよね。
「もう坂本龍馬にこだわるのはやめるぜよ。日本にはもっとすごい偉人がたくさんおるぜよ」
「昔さ、あんたとおんなじことを言ってくれた偉い小説家の先生がいたよ。でもやっぱり、俺は言いたい。坂本龍馬は偉大な男だった」
ドラマの中での、龍馬と武田さんの会話。
この「偉い小説家の先生」は司馬遼太郎さんのことでしょう。
昔、なにかの番組で武田さん自身が語っていたのを、聞いたことがあります。
その当時の武田さんが何歳だったのかわかりませんが、司馬さんは「ひとりの偉人に縛られず、もっと広い視野を持て」と言いたかったのかなぁ。
今思うと「竜馬がゆく」の坂本竜馬は、ちょっとカッコよすぎるんですよね。
司馬さんが「盛った」部分が多分にあったのかもしれません。小説だしね。
このタイミングでの「このままじゃ教科書から消えちゃいますよ、あなた」という武田さんのセリフもリアルでした。
▼
小河ドラマシリーズの監督をしている細川徹さんは、映画「オケ老人!」やアニメ「深夜!天才バカボン」で監督・脚本を務めた人。「歴史には極端に疎い」そうですが、第3弾もありますよね?

ほかの記事を読む?