ネタバレ解説「SHOGUN 将軍」全話あらすじと感想|第1話に散りばめられた伏線

「SHOGUN 将軍」伏線解説 全話あらすじ 感想 続編決定

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世界中で社会現象を巻き起こしているドラマ「SHOGUN 将軍」の全話あらすじと感想(ネタバレ有)です。

海外製の時代劇に見られる違和感はほぼなく、ロケーション、衣装や小道具、立ち居振る舞い、日本語のセリフ回しなど、画面のすみずみまでこだわった精緻な描写に圧倒されます。

全10話なんですけど、正直もっと見ていたかった。正統派の時代劇なのに新しく感じる、類を見ない世界観に震えました。

この作品が世界中で高く評価されていることに、日本人としてとても嬉しく、誇りに思います。

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各話のあらすじ(ネタバレ有)

1600年。オランダ船エラスムス号が、網代の漁村に漂着する。網代領主の樫木央海(金井浩人)は、生き残ったイギリス人航海士ジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャーヴィス)ら12人の船員を捕らえる。央海は知るよしもなかったが、プロテスタント教徒であるブラックソーンらの目的は、敵国ポルトガルのカトリック教徒から日本の所有権を奪うことだった。
一方、関東領主で五大老のひとり吉井虎永(真田広之)は、石堂和成(平岳大)ら他の大老たちに呼び出され、大坂城に入城する。
統治者である太閤の死後、「争うことなく権勢を分かち合うように」という太閤の遺言と、残された幼い世継ぎ・八重千代を守ってきた五大老だったが、石堂と3人の大老は虎永を排除すべく結束を固めていた。
石堂らは、虎永が不当に領土を拡大し、八重千代の母である落葉の方(二階堂ふみ)を人質として江戸に留め置いていると糾弾し、落葉の方を大坂に返すよう厳しく迫る。
虎永の家臣・宇佐美忠義(高尾悠希)は石堂のやり方に耐えかね、その場で異議を申し立てる。石堂は忠義の振る舞いを“乱行”とみなし、7日以内に落葉の方を江戸から解放するよう命じ、そののちに評決において虎永の処遇を決定すると宣告する。
伊豆の領主・樫木藪重(浅野忠信)は、甥の央海に呼ばれて網代を訪れ、ブラックソーンと面会する。藪重は大坂でとらわれの身となった虎永を見限り、いずれキリシタン大名たちと対峙する日のためエラスムス号と積み荷の武器を手に入れようと考えていた。
そこへ、虎永が差し向けた忠臣・戸田広松(西岡德馬)が現れる。広松は船と積み荷を押収し、藪重とブラックソーンを連れて大坂へと向かう。
その航海の中で、ブラックソーンはスペイン人でポルトガル船の船乗りだったロドリゲスと出会い、彼に日誌を見られてしまう。ポルトガルとスペインの貿易を妨害するというブラックソーンの真の目的を知ったロドリゲスは、大坂のポルトガル人に日誌を渡すと明言する。
宇佐美家には御家断絶の沙汰が下り、忠義は切腹、妻・藤(穂志もえか)が生んだ赤子も命を奪われる。藤の悲しみに寄り添うキリシタンの戸田鞠子(アンナ・サワイ)は、自身の辛い過去を思い出し、神に救いを求める。

スペイン人船乗りのロドリゲスは、大坂のポルトガル人たちに按針(=ブラックソーン)の日誌を渡し、注意するよう忠告する。日誌を見たマルティン・アルヴィト司祭(トミー・バストウ)は、按針らがカトリックの拠点を襲撃し、略奪や殺人など極悪非道な行為を繰り返したことを知る。
アルヴィト司祭は大坂城にいる虎永に呼び出され、戸田鞠子が同席する場で按針の通詞をすることに。ポルトガル人であるアルヴィト司祭を警戒する按針だったが、彼は按針の「ポルトガルとイギリスは宗派をめぐって争っている」「自分はプロテスタントでカトリックではない」という言葉をそのまま虎永に伝える。虎永は異端者である按針を牢送りにする。
その夜、虎永は鞠子を呼び出し、按針についてどう思うか尋ねる。虎永は五大老のうち2人がキリシタン大名であることを利用し、按針を使って彼らの結束にひびを入れようと考えていた。
虎永の断罪を望む石堂だったが、キリシタンである木山(井田裕基)と大野(黒川武)は按針の処刑が先だと主張。2人の強弁に押し切られ、石堂はやむをえず按針の処刑を命じる。だが樫木藪重が密かに按針を助け、虎永のもとへ連れて行く。
再び虎永と面会した按針は、鞠子の通訳を通して、マカオに鉄砲の密輸に関わるポルトガル人の隠し砦があることや、その砦に日本人が雇われていること、ポルトガルは70年前から日本をポルトガル領だと主張しており、いずれキリシタンの統治者をすえるつもりだと伝える。
アルヴィト司祭は黒船の出港許可を得るため虎永と面会するが、虎永は按針から隠し砦について聞かされたことを明示し、しばらく出港は見合わせると告げる。
その夜、虎永は按針を西の丸の自分の寝所に泊まらせる。女中に扮した刺客が虎永を襲うが、その場所は按針が泊まるはずだった客間であり、刺客が狙ったのは自分ではなく按針だと虎永は見抜く。

虎永は藪重を呼び出し、按針と桐の方(洞口依子)の身を守るため、網代の漁村に連れ帰るよう命じる。しかし出発直前に石堂が現れ、部下を護衛につけるよう強要する。そのさなか、按針と鞠子は、桐の方が密かに籠から抜け出し、虎永とすり替わるのを目撃する。
石堂の護衛とともに港へ向かう途中、一行は木山率いるキリシタンの襲撃を受ける。鞠子と按針は虎永を助けて敵から逃れ、港に停泊している船へ乗り込むが、追手を食い止めていた鞠子の夫・文太郎(阿部進之介)が港に取り残されてしまう。
さらに、沖には木山が手配したキリシタンたちが待ち構えており、虎永の船で突破することは難しいと思われた。按針は停泊しているポルトガル船に助けを求めるよう助言し、虎永はポルトガル船の船長・フェレイラとアルヴィト司祭に取引を持ちかける。
フェレイラは取引に応じるが、虎永たちを護送する条件として、按針を大坂に残すよう要求する。虎永らは按針を残してポルトガル船に乗り込み、大坂を出ることに成功する。また虎永の船に残された按針も自力で突破し、虎永らと合流する。
虎永はアルヴィト司祭から渡されたエラスムス号の日誌を読み、按針らが行ってきた海賊行為を知る。だが虎永は按針を罰するどころか旗本に任じ、隊に西洋の戦術を仕込むよう命じる。
大坂城に残った虎永の臣下・戸田広松は、石堂ら四人の大老のもとへ赴き、虎永が大老職を辞すると記した書状を届ける。

大坂を脱出した虎永たちは、藪重の領地である網代の小さな漁村に到着する。大坂で夫と息子を失った藤は、按針の妻になるよう命じられ、半年という条件で渋々承諾する。
虎永は網代に上陸したのもつかの間、大砲隊の鍛錬を息子・長門(倉悠貴)に託し、江戸へと出立する。按針はエラスムス号と船員たちを返してほしいと訴えるが聞き入れられず、与えられた屋敷で藤と鞠子とともに暮らすよう強いられる。
不満をあらわにし、「妻など必要ない」と藤を追い払おうとする按針に、鞠子は心の中に築く壁「八重垣」について語る。そして耳ではなく心で聴く修行をするよう助言する。
西洋の戦術を教えるよう命じられた按針は、海戦の知識を頼りに大砲のデモンストレーションを行い、藪重らを驚嘆させる。ところがある日、石堂の臣下である根原丞善(ノブヤ・シマモト)が到着し、大坂に戻って詮議を受けるよう藪重に通達する。
命令に逆らえば謀反人とみなされ、大坂に戻れば間違いなく切腹と、逃げ場を失ってしまった藪重。甥の央海は藪重を救うため、ある策を思いつく。その夜、央海は長門の自尊心を揺さぶり、彼が行動を起こすよう巧みに誘導する。
按針は藤への態度を改め、感謝の印として鉄砲を贈る。藤はお礼に亡き父の形見の刀を按針に手渡す。鞠子は按針と話すうちに心を許すようになり、一夜をともにする。
翌日、藪重らは丞善の前で大砲の演習を行おうとする。しかし長門は大砲を使って丞善らを攻撃し、皆殺しにしてしまう。

網代の人々が丞善らの遺体を片付けていると、虎永が軍勢を率いてやってくる。その傍らには大坂で戦死したはずの文太郎の姿もあり、鞠子は動揺する。
丞善の死を知った虎永は、央海の策略にはまって浅はかな行動に出た息子・長門を厳しく諌め、大砲隊の指揮権を取り上げる。その一方で、敵を誘い出す妙案を編み出した褒美として、央海に大砲隊の采配を任せる。
その頃、大坂城では大老会議が開かれていたが、意見がまとまらず、大老衆に亀裂が生じ始める。そんな中、石堂のもとに網代から丞善の首が届く。
生還した文太郎は、鞠子とともに按針の屋敷に逗留するよう命じられる。按針に確執を抱く文太郎は、鞠子が主殺しの逆臣の娘であり、一族もろとも処刑されたことを鞠子自身に語らせる。さらに酒に酔って鞠子に暴力をふるい、按針を怒らせる。
鞠子を案じる按針は、残忍な文太郎のもとを去り、自由になるべきだと告げる。だが鞠子は、自由を求めれば永遠に自分にとらわれたままだと反論する。
藪重が間者を探し回っていることを知った虎永は、村長の村次(竹嶋康成)のもとを訪れ、このまま間者の役目を続けるよう命じる。村次の正体は虎永の家臣・殿本顕直だった。
按針は虎永から贈られたキジを軒先に吊るし、「鳥に触るな。触ったら死ぬ」と家の者に命じる。放置されたキジは腐って悪臭を放ち、困り果てた村人たちは話し合いの末、鳥を捨てることに。庭師の植次郎(ジュンイチ・タジリ)がその役目を果たし、彼は按針の命令に背いたとして死を選ぶ。
それを知った按針は、意味のないしきたりにとらわれて命を粗末にする人々に憤り、日本を離れることを決意。虎永に船を返してほしいと直談判する。その直後、大きな地震が発生し、虎永は地滑りに飲み込まれてしまう。
虎永は按針によって救出されるが、巨大地震に見舞われた網代の村は壊滅状態となる。村次は死んだ植次郎を間者に仕立て上げ、藪重の目をごまかす。

22年前。明智仁斎(ユタカ・タケウチ)は黒田信久(尾崎英二郎)の家臣となり、幼い娘・鞠子を連れて安土城へ赴く。鞠子は黒田の娘・瑠璃姫と親しくなるが、やがて仁斎と黒田の関係に亀裂が生じ始める。黒田の残虐な振る舞いに我慢がならず、憤る仁斎。彼を必死に押し止めたのは虎永だった。その後、成長した鞠子は、父の意向で戸田文太郎のもとへ嫁ぐことになる。
網代で起きた巨大地震は数千もの死者を出し、虎永は多くの兵を失うことに。按針は虎永の命を救った褒美として、大砲隊と関東水軍の大将に任ぜられる。納得がいかない按針はエラスムス号の返還を要求するが、虎永は聞き入れようとしなかった。
石堂は大老衆を人質に取り、大坂城を封鎖する。ひとり脱出して網代にたどり着いた広松は、今こそ紅天の時だと虎永に進言する。それは一気呵成に大坂城に攻め入り、これまでの大老会議を廃して虎永ひとりを大老とする体制を作り上げることを意味していたが、虎永は「将軍の位など望まぬ」と言い放ち、戦を回避する方法を探る。
文太郎は按針と鞠子の関係に疑いを抱き、虎永に胸の内を吐露する。虎永は按針を一晩茶屋で遊ばせ、鞠子に通詞として付き添うよう命じる。遊女のお菊は、茶屋にやってきた鞠子と按針を見て2人の関係を察しつつも、按針と一夜をともにする。
鞠子は虎永から、父・仁斎が自分を戸田家に嫁がせた本当の理由を知らされる。仁斎は鞠子を戦から遠ざけて守り、いずれ鞠子が自分の戦を受け継ぎ全うすることを望んでいたのだった。虎永は「そなたの戦はまだ終わってはおらぬ」と鞠子に告げる。
石堂と落葉の方は結託し、虎永の後釜の大老に伊藤輝鈍(篠井英介)を推薦するが、杉山に拒否される。落葉の方は、かつて瑠璃姫と呼ばれていた頃に、安土城で虎永のはかりごとをずっと見てきたと石堂に語る。父・黒田信久の死についても、裏で糸を引いていたのは虎永だと。
杉山と家族らは大坂城から脱出をはかるが、待ち伏せしていた石堂に皆殺しにされる。その報せを受けた虎永は「時は来た」と告げ、大坂城に攻め上る決意を口にする。

石堂らと戦う決意をした虎永は、疎遠になっていた異母弟の佐伯信辰(奥野瑛太)と同盟を結ぶため久々の再会を果たす。2人は互いに再会を喜び、虎永は佐伯のために遊女を買い、豪華な宴会を催す。
だが宴会の最中、佐伯の大軍が網代を包囲する。佐伯は五大老のひとりに選ばれており、石堂の使者として、虎永に降伏して大坂城に出向き切腹するよう伝えに来たのだった。
退路を断たれた虎永のもとに、茶屋の主・吟(宮本裕子)が現れる。虎永に策略があることを見抜いた吟は、新しい江戸の都に遊女たちを集めた町を造るという夢を語り、そのために土地を分け与えてほしいと申し出るのだった。
文太郎は按針への嫉妬を募らせ、死ぬ前に按針の首をとらせてほしいと虎永に願い出る。虎永に按針との関係を問い詰められた鞠子は、自害させてほしいと懇願するが、虎永は許さなかった。
虎永は降伏して大坂へ行くことを決める。その決定に納得できない長門は、その夜、お菊の手引で茶屋に忍び込み、佐伯を襲撃する。だが逃げる佐伯に斬りかかろうとして足をすべらせ、転倒して石で頭を打ち、命を落としてしまう。

佐伯の軍勢が包囲する中、虎永らは長門の弔いのため江戸に向かう。消沈し体調を崩した虎永は葬儀にも現れず、家臣たちの間に不安が広がる。
広松と鞠子は虎永と面会するが、憔悴した虎永は石堂に降伏する意向を変えようとはせず、「これ以上血を流すつもりはない」と断言する。
死を覚悟した文太郎は、鞠子に「共に死のう」と伝える。だが鞠子は文太郎の思いを受け入れず、そのような死に方をするくらいなら千年生かされたほうがましだと言い捨てる。
任を解かれた按針はエラスムス号で故郷に帰ろうと、江戸にいる仲間たちに会いに行く。だが再会した仲間は酒浸りの生活を送っており、野心を優先した按針を罵り、帰郷の誘いを断るのだった。
船を取り戻したい按針は、藪重のもとを訪れ手を組もうと持ちかけるが、藪重は虎永を裏切ることはできないと断る。
吟は虎永から与えられた土地を見に行き、遊女の町を造るという長年の夢を思い描く。アルヴィト司祭もまた虎永から新しいキリシタン教会を造る許しを得るが、隣人が遊女たちだと知って複雑な思いを抱く。
虎永は家臣たちを集め、降伏すると誓う書状に署名するよう命じる。だが一部の家臣たちは異を唱え、署名を拒む。それを見た広松は虎永に向かい、考えを変えないのであれば切腹すると宣言。虎永は断固として譲らず、広松はその場で切腹する。
その夜、鞠子は虎永のもとを訪れ、広松の切腹が虎永の企てを隠すための手段だったことを知らされる。広松は虎永の意を汲み、大坂に降伏を信じ込ませるために命をかけて務めを果たしたのだった。
「そなたは己の務めを果たす覚悟はできておるか?」と虎永に問われた鞠子は、「できておりまする」と答え、藪重と按針が乗る船に同乗し、大坂へ向かう。

14年前。鞠子の父・明智仁斎が謀反を起こし、一族は鞠子を残して全員この世を去る。生きる望みを失った鞠子は何度も自ら命を絶とうとするが、そのたびに捕まって連れ戻され、生きることを強いられる。そんな彼女に救いの手を伸ばしたのが宣教師のアルヴィト司祭だった。
現在。鞠子は藪重や按針らとともに大坂に到着する。藪重は石堂に気に入られようと按針を貢ぎ物として差し出すが、すげなく拒まれてしまう。鞠子は幼馴染の落葉の方と久しぶりに再会するも、反抗的な態度を取り、石堂の怒りを買う。虎永は鞠子に、桐の方らを伴って江戸に戻るよう命じていたのだ。石堂は詮議を待てと告げるが、鞠子は主君の命に従うと言い張り、翌朝出立しようとする。
しかし石堂の配下が門の前に立ちふさがり、一行が出ていくことを阻止しようとする。護衛の兵たちがひとり残らず殺され、自身も薙刀をふりかざし敵に立ち向かう鞠子だったが、たやすく打ち負かされてしまう。鞠子は日没に自害すると告げ、同じキリシタンである木山に介錯を頼む。
五大老の詮議が行われる中、落葉の方は「これは鞠子殿の仇討ちじゃ」とつぶやく。もし鞠子を死なせれば大坂の者たちが黙っておらず、かといって城を出ていくことを許せば他の人質も同じことを要求する、と。
落葉の方と面会した鞠子は、「この争いを終わらせることができるのはそなただけ」と告げる。だが落葉の方は「私にそのような力はない」と言い、幼なじみの鞠子と敵対せねばならなくなった運命に涙を流す。
按針は鞠子を説得して自害をやめさせようと試みるが、鞠子は「父が私を生かしておいたのはこのため」だと言い、決心を翻そうとはしなかった。
木山は鞠子のもとに現れず、按針が代わりに介錯を名乗り出る。鞠子が心臓を貫こうとしたとき石堂が現れ、城を出る許可状を渡す。死を免れた鞠子は按針と一夜をともにするが、石堂との取引に応じた藪重の手引で忍びの者たちが潜入し、鞠子を拉致しようとする。
按針は鞠子や桐の方たちを助け、土蔵に逃げ込む。しかし鞠子は死をもって石堂の襲撃に抗議することを決意し、爆薬が仕掛けられた扉の前に立ち、爆死する。

爆発に巻き込まれた鞠子は無惨な死を遂げる。土蔵の中で鞠子の遺体を見つけた按針は慟哭し、彼女のために最後の祈りを唱える。
大阪城内に鞠子殺害の報が広まり、人質は解放される。虎永は五大老に抗議の書状を送り、もはや降伏はせず、戦争の準備をすると宣言する。石堂は、襲撃は大老衆の間に亀裂を生じさせようとした虎永の悪知恵だとうそぶき、大老衆の同意を得て虎永を討つべく出陣を決定する。
石堂は藪重に大老の座を約束し、伊豆に戻って指示を待つよう命じるが、藪重は鞠子を死なせた罪悪感に打ちひしがれ、正気を失ってしまう。
按針は木山の配下とアルヴィト司祭に護送され、藪重の船に乗り込む。按針が殺されずに済んだのは、鞠子が彼の命を救ってほしいと頼んでいたからだった。それを知った按針は、鞠子を思って涙を流す。
網代に戻った按針は、エラスムス号が破壊されたことを知らされる。虎永はキリシタンによる仕業だと考え、手を貸した者を見つけ出すべく村人たちを処罰していた。
そのことに胸を痛めた按針は、船を壊したのは鞠子だと明かし、自分の命を救うために取引したのだろうと虎永に話す。そしてもはやカトリックと戦う必要はないと告げ、村人への処罰をやめないのであれば自分が腹を切る、と訴える。虎永は切腹しようとした按針を止め、船を建て直して水軍を作るよう命じる。
藪重は大坂城で襲撃を手引したことが露呈し、虎永に領地を没収されたうえ切腹を命じられる。虎永に介錯を頼んだ藪重は、最後に虎永の企みがどんなものであったかを聞く。虎永は按針を試すためにエラスムス号を破壊したことを明かし、紅天はすでに終わっていると告げる。
虎永が鞠子を大坂に送り込んだのは、落葉の方の心を動かすためだった。鞠子はその務めをみごとに果たし、落葉の方は秘密裏に虎永に文を送り、世継ぎの軍を戦場には出さないと誓ったのだった。
虎永の目には、関ヶ原で敵と対峙するひと月後の未来が見えていた。そのとき石堂には掲げる御旗がなく、大老衆は石堂に背を向けるだろう、と。
藪重は、虎永もまた他の者と同じように将軍の地位を望んでいたのではないか、と本心を問うが、虎永は「死人に先々の話をして何とする?」と告げ、刀を振り上げる。それを見た藪重は自ら腹を刺し、虎永に首を切り落とされる。
藤は虎永から尼になる許しを得て、按針のもとを去ることに。夫と息子の遺灰を手放せずにいる藤のために、按針は海に散骨することを提案する。藤は按針とともに船に乗り、海に遺灰をまく。按針もまた前を向く決意をし、鞠子の形見である十字架を海に沈める。
按針は村人たちの力を借りて、壊れたエラスムス号を引き揚げる。そこに文太郎も加わる。皆で力を合わせて船を引き揚げるさまを、虎永が離れた場所から見守る。

感想(ネタバレ無)

すごい作品でした!

最終話を見終わって数日経ちましたが、未だに強い余韻が胸に残っていて、いわゆるロス状態です。本当にすごかった。

恐ろしいほど緻密で、豪華で、美しい、芸術的とも言える時代劇でした。そのうえでエンタメとしても心から楽しめる。ここまでのものを作ってくれてありがとう、と心から感謝したいです。

主演とプロデューサーを兼任された真田広之さんは、この作品について

日本でも時代劇は多様化していますが、そうしたトレンドに乗るのではなく、かと言って西洋化するわけではなく、世界の人々が観たがっている“本物”を追求したのです。ウエストナイズ(西洋化)されない、モダナイズ(現代化)されない、そして流行を追わない。時代劇の王道が世界に通じることを信じ、舞台となる1600年の日本を検証することから遡って、作品に取り組んだわけです。

Saffari Onlineより

と語られていました。

まさに王道、直球勝負の時代劇でした。

でも、時代劇を見慣れているわたしたち日本人が見ても新鮮で、むしろ国内の時代劇を見慣れているからこそ、ハリウッドとの視点やセンス(そしてもちろん予算)の違いを感じることができて面白かったです。

最初にまず目に留まったのが衣装の豪華さ。こんなに重厚できらびやかな時代劇の衣装を見たのは初めてです。

衣装デザインを担当したのは、フランス出身のカルロス・ロサリオ氏。

制作された衣装は2300着という脅威のこだわり。「ここまでディテールを重視したのは初めてです」とコメントされていました。

撮影はバンクーバーで行われたとのことですが、真田さんが「日本よりも日本らしいかもしれない」と言われていたように、1600年当時の網代の漁村や大坂の街が違和感なく再現されていて、どのシーンも“日本”らしかった。

物語はイギリス人航海士ジョン・ブラックソーン(按針)の漂着から始まり、

  • 戦国時代の日本に降り立ったジョンの試練
    ジョンの視点を通して当時の日本と日本文化が客観的に描かれる(異文化の衝突)
  • ジョンと虎永の出会い
    ジョンが虎永と出会うことで、政治情勢に大きな影響を与える
  • 鞠子とジョンの恋愛
    ジョンが鞠子との恋愛を通じて日本の文化や風習に触れると同時に、政治的な陰謀や駆け引きに巻き込まれる
  • 虎永の策略が完成

という流れで展開していきます。

これだけ見ると本当に王道のストーリー展開なんですけどね。

いくつも仕掛けがあって、心理戦やどんでん返しもあって、めっっちゃくちゃ面白いんですよね。登場人物も全員魅力的で、必ず誰かにハマります。間違いなし。

それでは第1話から順番に、感想をまじえて解説していきたいと思います。

ここから先はネタバレを含みます。ご注意ください。

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