どうも、夏蜜柑です。
連続ドラマW「イノセント・デイズ」最終話。
覚悟はしていましたが、辛い結末でした。ようやく幸乃との面会を果たし、慎一は自分が犯した罪を幸乃に打ち明けます。幸乃が選んだ“幸せ”は、あまりにもやるせなくて悲しい。脳裏に焼きつくショッキングな最終回でした。
以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。
最終話のあらすじ
- 慎一(妻夫木聡)は幸乃(竹内結子)と面会し、自分が犯した過去の罪を告白する。中学生の時、慎一はいじめを受け、金を脅し取られていた。慎一は金を工面するために書店で盗んだ本を古本屋に売っていたが、そのうち古本屋のレジの金を盗むようになる。
- 幸乃が理子と一緒に古本屋を訪ねたのはそんな時で、慎一が金を盗んだせいで幸乃が疑われ、結果的に理子が起こした傷害事件の罪を肩代わりすることになった。慎一は現場ですべてを目撃していたが、自分の罪が明るみに出ることを恐れて黙っていたのだった。
- 幸乃は笑って「そんな昔のこと」と言い、慎一の説得も聞き入れず、死刑を受け入れてこの世から消え去ることを望む。
- 幸乃の死刑執行が迫る中、慎一と翔(新井浩文)は、放火事件のあったアパートの管理人・草部(石橋蓮司)が、事件の直前に公園で騒いでいた不良グループを注意していたことを知る。その不良グループの中には、目撃証言をした江藤(草村礼子)の孫・浩明がいた。
- 慎一は、浩明(遠藤健慎)が草部を逆恨みし、草部の表札がかかっていた井上家に間違えて放火したのではないかと推測するが、浩明は既にバイク事故で亡くなっていた。慎一は、引っ越して行方のわからなくなっている江藤を探し、ようやく見つけ出す。
- 死刑執行の日、幸乃は慎一が送った桜の花びらをポケットに忍ばせて処刑場へ向かう。幸乃が発作を起こせば執行が停止されると知った瞳(芳根京子)は、わざと幸乃の心を掻き乱すようなことを言うが、幸乃は必死に堪える。
- 幸乃は瞳に「もし私を必要としてくれる人がいるんだとしたら、その人に見捨てられるのが怖い」と告げ、処刑場へ連れていかれる。幸乃が最後に思い浮かべた光景は、丘の桜の木の下で遊ぶ幼少時の光景だった。
- 幸乃の死刑が執行されてから3か月後。翔は、再審請求することを決める。幸乃の荷物を整理していた慎一は、スケッチブックに描かれた「丘の探検隊」の絵を破り捨てる。
最終話の感想
最後まで重く、やるせない結末でした。
最後の瞬間、幸乃は慎一たちと丘の上で遊んでいた子供の頃を思い出し、笑いながら旅立ちます。
彼女が心から幸福を感じられたのは、本当に、あの頃だけだったんですね……。
幸乃は瞳に、「もし、本当に私のことを必要としてくれる誰かがいるんだとしたら、もうその人に見捨てられるのが怖い。それは、ここで死ぬことよりずっと怖いことなんです」と言いました。
わたしにはその気持ちを理解することはできないけど、想像しただけで悲しくなります。
生きていられないほどの深い悲しみを抱えた人に、生きろというのは、酷なことなのでしょうか……。
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慎一は、やはり中学生時代にあの古本屋でお金を盗んでいました。
古本屋のおばあさんは、たびたびレジのお金がなくなっていることに気づき、幸乃を疑っていた。あの日、たまたま幸乃とおそろいの服を着ていた理子を、泥棒と間違えて警察に突き出そうとしたんですね。
理子はおばあさんに怪我を負わせて逃げ、結局、理子と慎一の罪を幸乃がひとりで被ることになってしまった……。
自分の罪が明るみに出ることを恐れた慎一は、幸乃が犯人ではないことを知っていたのに、本当のことが言えなかった。
それでずっと、幸乃に対して負い目を感じると同時に、今回の事件も幸乃が犯人ではないと、信じることができたのだと思います。
裁判で死刑判決を受けたとき、幸乃が傍聴席にいる慎一を見て微笑んだ理由は、わからないままでした。
もしかしたら、幸乃は昔から慎一の優しさと弱さを知っていて、守ろうとしたのかもしれない……と、わたしは思っています。
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真犯人は、河原を溜まり場にしていた不良グループのひとりでした。
アパートの管理人・草部に注意されたことで、逆恨みをして、草部の家に放火しようとしたんですね。
でも、そのとき草部は、幸乃のストーカー行為に怯える井上の気持ちを考慮し、表札を入れ替えていました。
「事件の夜、あの女を見た」という目撃証言をしたおばあさんは、孫が事件の犯人であることを知っていて、幸乃に罪を被せようとしたと思われます。
慎一が幸乃のために動き始めてから5年(あれから5年も経っていたんですね)。
ようやく辿り着いた真犯人でした。
普通なら、ここで幸乃の死刑執行命令は停止され、やがて幸乃が犯人ではないことが証明され、無罪となって釈放されるはず。
でも、そうはなりませんでした。
無情にも、幸乃の死刑は執行されてしまいます。
幸乃が望んだとおりに。
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処刑場に連れていかれる途中、瞳は「本当はやってないんでしょう?」と言います。
「あなたのことを必要としている人は確かにいるのに、それでも死にあらがおうとしないのは傲慢だ!」
瞳は、わざと幸乃を興奮させるようなことを言って、死刑執行を阻止しようとする。
幸乃が持病の発作を起こして気を失えば、その日の死刑執行は停止されるからです。
わたしはずっと、この幸乃の持病(興奮すると気絶する)が何を意味するのか、わかりませんでした。
物語の展開において、特に必要とは思えなかったからです。
でも、ここでようやくそれがわかりました。
瞳は、発作を起こした幸乃を見て、「あなたほんとは生きたいんでしょう!」と叫びます。
必死に発作を抑え、意識を保とうとする幸乃。
それは、自分の中に存在する「生きたい」という思い、死に抗おうとする気持ちを、殺すことです。
このシーンの竹内結子さんの演技は鬼気迫るものがあり、凄絶でした。
幸乃の“幸福のための死”に向かう凄まじい執念が、全身からあふれ出していました。
幸乃は発作を抑え、処刑場へ向かいます。
幸乃の覚悟を見て取った瞳(芳根京子さん)が、なすすべもなく見送る表情もよかったです。
その後の処刑場でのシーンは、かなり衝撃的でした。
死刑執行の様子を、ここまでリアルに、細部まで生々しく再現したドラマは初めて見ました。
この一連のシーンは、しばらくわたしの脳裏に焼きついて消えないと思います。
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とても重い内容、重い結末でしたが、見応えのあるドラマでした。
最後には、幸乃の無垢な心が救われる結末であってほしいと願っていましたが、それは偽善かもしれない……。そんなことを考えさせる、深い作品でした。
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