ネタバレ解説「自由研究には向かない殺人」ドラマと原作の違い

Netflix「自由研究には向かない殺人」ネタバレ解説・原作との違い

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Netflixで配信中の英国ドラマ「自由研究には向かない殺人」のネタバレ解説です。

小さな町の女子高校生が自由研究の題材に5年前の殺人事件を選び、真犯人を捜して奔走するサスペンスドラマ。

今回は、ドラマと原作の違いについてまとめました。ドラマでは説明がなかった部分についても補足しています。

本記事は、ドラマを見ていることを前提に書いています。結末・犯人・原作のネタバレを含みますのでご注意ください。

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ピップの動機

ドラマと原作とでは、ピップが事件の調査に乗り出す動機が違っています。

ドラマでは、5年前の自分の行動に対する「罪悪感」がピップの大きな動機になっていました。

5年前の事件の日、ピップはアンディの居場所をサルに教え、そのせいでアンディが殺されたのではないか…という疑念をずっと抱えていたからです。

サルの無実を証明することは、ピップが抱える罪悪感を解消することに繋がっていました。

原作には、このシーンはありません。ピップが調査に乗り出したのは、サルが彼女の「ヒーロー」だったからです。

ピップは幼い頃、継父のヴィクターがナイジェリア人だという理由で、学校の男の子たちにいじめられたことがありました。そのとき助けてくれたのがサルだったのです。

このことは、原作の最初のほうで、ピップがラヴィに「なぜ事件を自由研究の題材に選んだのか」という質問に答える形で語られています。

二面性

ドラマでは、人間や物事の「二面性」を描くことに重点が置かれています。

サルを殺して罪を着せた犯人がエリオットだとわかったとき、「先生は悪魔よ」と言ったピップに対するエリオットの言葉は、原作にはありません。

「そうかもね。もしくはその小さな種が諸悪の根源かも。誰の心の中にも悪の種があるんじゃないかな。ピップ、君の中にもね。環境さえ整えば発芽する」

ドラマでは、登場人物たちが「悪い人」や「いい人」に断定されないよう、工夫されていました。

たとえば、アンディとベッカの父親ジェイソン・ベル。原作では、妻と娘2人に対して日常的に暴言を吐くなど精神的な虐待を行い、自尊心を奪っていました。

アンディとベッカの仲が悪いのも、父親が競争心をあおってわざと姉妹を対立させていたからです。

原作ではアンディとベッカの隠された攻撃性が徐々に暴かれていき、その原因を作ったのが父親からの虐待だったという構造になっています。

しかしドラマでは、最終話で父親の別の一面がジェスによって明かされます。父親はカラミティ(災厄)・パーティーの危険性を知っていて、姉妹を心配していたから支配的になったのだと。

これは原作にはないシーンです。

ロマンチックな恋人たち

全体的に原作よりもロマンス要素が強めで、恋人たちが美しく描かれていました。

ピップとラヴィは、ドラマでは早い段階からロマンスの雰囲気を漂わせていましたが、原作の2人は幼くて無邪気な印象で、ラストシーンでキスをするまでは、そういう雰囲気にはなっていません。

さらに、サルとアンディの関係は原作とは少し違っています。原作では、サルはアンディに愛想を尽かし、別れる決意をしていました。

原作のアンディはドラッグを売っていたこと以外にも、いろいろとひどいことをしていて(同級生をいじめの標的にしたり、教師を脅迫したりしていた)、評判通りの人ではなかったんです。

ドラマでは「二面性」を意識して、アンディを「悪い人」にしないよう気配りされていました。

ドラマの最終話で描かれた真実(アンディが家出を決意し、サルがそれを応援していたこと)も、原作にはありません。

ジェシーの正体

カラミティ・パーティーでピップを助けた女性ジェスは、最終話まで謎の存在でした。

ドラマでは、最終話でピップに重要な情報を与える役として登場し、そこで初めて彼女がベッカの友達だとわかります。

原作では、彼女は物語の前半に、ピップが電話で取材した「ベッカの友人ジェス・ウォーカー」として登場します。

ジェスとの会話で、アンディとベッカの姉妹が父親から虐待を受けていたことや、ベッカがカラミティ・パーティーへ行って誰かと肉体関係を持ったらしいこと、アンディとマックスが仲がよかったことなどが明らかになります。

原作では電話取材だけで、ピップが彼女に会うことはありませんでした。

ピップの自由研究に反対する母

ピップの母リアムは、原作とは違うキャラクターになっていました。

原作のリアムは細かいことにこだわらないキャラクターで、ピップの自由研究にも、ラヴィと会うことにも反対しませんでした。

むしろ、ラヴィが家に来るたびに歓迎していましたし、終盤にはラヴィの家族と事件解決を喜び合う場面もありました。

ヴィクターの浮気疑惑は、原作にはないオリジナルのエピソード。原作では、ピップの家族は「ほっこりさせる存在」で、あまりストーリーに絡んできません。

ピップが大学進学に悩み、母親に相談するシーンも、原作にはないドラマのオリジナルです。

屋根裏に監禁されていた女性

エリオットは昔住んでいたバーナーズ通りの家に、アイラという女性を監禁していました。

ドラマでは、エリオットが家出少女だったアイラを偶然見かけて連れ帰り、彼女に殺人の罪を告白してしまったために監禁するしかなくなった…という流れでした。

しかし原作では、その女性はアンディにそっくりで、エリオットは本気で彼女を「アンディ」だと思い込んで監禁していました。

エリオット本人は監禁とは思ってなかったようで、「彼女は快適に暮らしている」と信じていたようですが。

バーニーは誰に殺された?

ドラマでは、犬のバーニーが誰の手でどのように殺されたのかが明らかになっていませんでしたが、誘拐したのはベッカです。

ピップを脅迫した人物(=犯人)は2人いました。

最初の脅迫(ピップがキャンプに行ったときに寝袋に入っていたメモ)は、エリオット。携帯に届いたメッセージはベッカです。

原作では、ベッカはバーニーを誘拐し、ピップを脅して捜査資料が入ったパソコンを破壊させたあと、バーニーを放しました。

しかし混乱したバーニーは夜の川に落ち、溺死してしまったのです。

バーニーの死にショックを受けたピップは、ラヴィの身を守るために「調査をやめる」と宣言し、彼を怒らせてしまいますが、このシーンはドラマでは省かれていました。

サルの告白文は誰が書いた?

サルを犯人とする有力な証拠のひとつが、サル自身が携帯に打ち込んだとされる「告白文」でした。

ドラマではこの告白文を誰が仕込んだのか明かされませんでしたが、エリオットです。

エリオットはサルを森の中に連れていき、睡眠薬を飲ませて殺したあと、彼の携帯を使って「告白文」を打ち込み、父親あてに送ったのでした。

さらに原作では、アンディの血をサルの爪に付着させるという偽装工作もしています。

マックスはアンディの写真をどうやって手に入れた?

マックスが隠し持っていたアンディの下着姿の写真。彼は「学校の教室で拾った」と言っていました。

アイヴィー・ハウス・ホテルのバスルームで撮影されたこの写真、実は、アンディがエリオットを脅迫するために使ったものでした。

ドラマでは、アンディの方からエリオットに別れを告げたことになっていましたが、原作では2人の関係を終わらせようとしたのはエリオットです。

アンディは激怒し、自分の写真を教室の中に隠して「誰かに見つかる前に見つけろ」とエリオットを脅して関係を続けようとしました。

おそらくマックスはその写真を教室で偶然見つけ、隠し持っていたのだと思います。

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