英国ドラマ「ペイシェンスとビー ヨーク警察文書係の事件録」(全6話)についてまとめました。
フランスの人気ドラマ「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」の英国リメイク版。IMDbの評価は7.4。
歴史ある街ヨークを舞台に、自閉症のペイシェンスと刑事ビーがチームを組み、複雑極まりない殺人事件に挑むサスペンスドラマです。
ペイシェンスを演じるのは、英国の名門演劇学校LAMDA出身で、自身も自閉症を持つ21歳のエラ・メイシー・パーヴィス。
Contents
作品概要
- 放送局:ミステリーチャンネル
- 放送時間:2025年5月25日(日)16:00から全6話一挙放送
- 製作国:英国(2024年)
- 原題:Patience
- 脚本:マット・ベイカー ほか
- 監督:マールテン・ムールケルケ
あらすじ
自閉症のペイシェンス・エヴァンスは、ヨーク警察の地下で捜査記録の整理をする仕事に就いている。独学で犯罪学を学んだ彼女は、他の人には見えない手がかりを見つけることができるが、彼女の才能はまだ誰にも気づかれていなかった。
ミステリーチャンネル公式サイトより
そんな時、刑事ビーとの偶然の出会いが、ペイシェンスにとってまったく新しい世界への扉を開く。ビーは、ペイシェンスと彼女の生来の推理力に可能性を見いだし、彼女自身の息子との共通点も見いだす。
ビーとペイシェンスは、複雑極まりない殺人事件を解決するため、ありそうでなかったが見事なチームを結成していく。
予告動画
物語の舞台ヨークについて
このドラマの舞台は、イギリス北部に位置する歴史ある都市ヨークです。
中世の面影を色濃く残す街で、ローマ時代から続く城壁に囲まれた旧市街には、石畳の道や趣のある建物が並びます。作中では、ペイシェンスやビーたちがこの美しい街を背景に、数々の難事件を解決していきます。
実際には、以下の場所が撮影に使用されました。
シャンブルズ
中世の雰囲気が残る細い路地。ハリー・ポッターシリーズのダイアゴン横丁のモデルとも言われています。現在はカフェやショップが並び、観光客に人気のスポットになっています。
レンダル橋
1863年に建設された、ウーズ川に架かるゴシック様式の鉄橋。橋の欄干には、ヨークの白いバラ、ヨーク教区の十字キー、イングランドのライオンが描かれています。
ホテル「ザ グランド ヨーク」
1906年に建てられた旧ノースイースタン鉄道の本社を利用した5つ星ホテル。ドラマの中では、第1話でビーが聞き込みに訪れる「レールウェイ・ホテル」として登場しました。
ヨーク・ミンスター
イギリス最大級のゴシック様式の大聖堂で、13世紀に完成しました。壮麗なステンドグラスや荘厳なアーチ建築が見どころです。近くのプレセンターズ・コート内の物件のひとつが、主人公ペイシェンスと名付け親ギルモアが暮らす家の外観に使用されました。
ちなみに、ヨーク警察の建物や、ペイシェンスの部屋(屋根裏部屋)は、ベルギーで撮影されました。
登場人物(キャスト)一覧
ペイシェンス・エヴァンス(エラ・メイシー・パーヴィス)
ヨーク警察の地下にある犯罪記録管理室で、捜査記録の整理をする仕事に就いている。自閉症。独学で犯罪学を学び、他の人には見えない手がかりを見つけることができる。パズルと動物が好き。折り畳み傘を常に2本持ち歩いている。
ビアトリス・メトカーフ(ローラ・フレイザー)
ヨーク警察の警部補。“ビー”と呼ばれている。ペイシェンスの才能に気づき、周囲の反対を押し切って捜査に参加させる。離婚した夫デイヴィッドとの間にもうけた息子アルフィのことで悩んでいる。
カルヴィン・バクスター(マーク・ベントン)
ヨーク警察の警部。ビーの上司。
ジェイク・ハンター(ネイサン・ウェルッシュ)
ヨーク警察の刑事。ビーの部下。
ウィル・アクバリ(Ali Ariaie)
ヨーク警察の刑事。ビーの部下。
ロレッタ・パーソンズ(リザ・サドヴィー)
法医学者。
エリオット・スコット(トム・ルイス)
現場責任者。ペイシェンスに好意を抱く。
ジョージ・エヴァンス(ジェイミー・マクラクラン)
ペイシェンスの父。警察官だったが、勤務中の自動車事故で亡くなった。幼いペイシェンスが興味を持ったことから、捜査資料を見せるようになった。
ダグラス・ギルモア(エイドリアン・ローリンズ)
ペイシェンスの父ジョージの友人。元警部。ペイシェンスの名付け親でもある。ジョージの死後、ペイシェンスと一緒に住んでいる。
アルフィ・メトカーフ・ヘインズ(マックスウェル・ホワイトロック)
ビーの息子。学校でたびたび問題行動を起こす。父親のデイヴィッドと教師の勧めでADHD検査を受けることに。
ビリー・トンプソン(コナー・カレン)
ペイシェンスの友人。“自閉症者の会”の主催者。趣味はマウンテンバイクとカフェのポイントカード集め。ハッカーの恋人がいる。
ポール・トンプソン(マーク・クワートリー)
ビリーの兄。食品加工会社「AFT」に勤務している。パーティーの最中に倒れ、帰らぬ人に。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
精神科医のチョプラが駐車場で焼身自殺を図った。ヨーク警察のビアトリス・メトカーフ、通称“ビー”警部補は、事件性がないか捜査することに。被害者は亡くなる直前に銀行で8000ポンドの金を下ろしていたが、その金はどこにも見当たらない。
ビーは数年前にホテルで自殺した精神科医ニール・ジェイミソンを思い出し、彼の資料を請求する。資料を届けたのは犯罪記録管理室のペイシェンス・エヴァンスだったが、彼女が用意したのは自殺した児童精神科医ブレンダン・クラークの資料だった。
ペイシェンスは3人の医師がみな死ぬ前に現金を下ろし、4日の金曜日に亡くなっているという共通点を指摘する。さらに、被害者たちが“ゾンビドラッグ”と呼ばれる麻薬スコポラミンを盛られたのではないかと推測していた。
捜査会議に立ち会ったペイシェンスは途中で具合が悪くなり、出て行ってしまう。彼女のことが気になったビーは後をつけ、“自閉症者の会”にたどりつく。ペイシェンスが自閉症だと知ると同時に、ビーは学校で問題行動を起こしてばかりの息子のアルフィについて思いを巡らす。
上司のバクスター警部や部下のジェイクは、一般人であるペイシェンスを捜査に参加させることに対して批判的な意見を口にする。だが彼女の才能を信じるビーは耳を貸さない。
ビーとジェイクはジェイミソンが自殺した「レールウェイ・ホテル」を訪ね、遺体を発見した清掃係のユマヤ・バスケスから話を聞こうとするが、外国人の彼女は怯えて逃げ出してしまう。ビーはジェイミソンの妻に会い、彼がセックス依存症だったことを聞き出す。
チョプラの自殺現場のカメラにペイシェンスが映っていたことがわかり、バクスターとジェイクは彼女を取り調べることに。自殺した3人のうちの1人クラークは、ペイシェンスが幼い頃に診断を受けた医師だった。
クラークはペイシェンスを統合失調症と誤診し、強い薬を飲ませたうえ、入院させるよう父親に圧力をかけていた。ジェイクは「彼女には動機がある」と言い、バクスターもペイシェンスがこの事件に執着するのは自身が関与しているからではないかと疑う。
ペイシェンスが取り調べを受けることになり、名づけ親のダグラス・ギルモア元警部がヨーク警察に駆け込んでくる。口をつぐんでいたペイシェンスは、駐車場にいた理由をビーに話し始める。
ペイシェンスは、ジェイミソンの自殺現場とクラークの診療所に「コックスコーム」という銘柄の葉巻があったことに気づき、チョプラの自殺現場にも同じ葉巻があるのではないかと考え、探していたという。
ビーとジェイクはチョプラの車を調べ、排気口から「コックスコーム」の葉巻を見つけ出す。バクスターは3人の自殺に事件性があると見て捜査チームを立ち上げ、ビーをリーダーに任命。ビーはペイシェンスを助手として参加させるため、ギルモアに許可を取りに行く。
ギルモアは、ペイシェンスが6歳のときに母親が失踪したこと、幼い頃から警察官の父ジョージが持ち帰る捜査資料に興味を示していたことをビーに話す。
ペイシェンスは、スコポラミンを含有する植物コダチチョウセンアサガオが自生する国ベリーズに注目する。被害者3人は2016年10月に、ベリーズで開催された会議に出席していた。
ビーとペイシェンスは会議を主催した製薬会社の担当者ジェームズ・クーパーを訪ねるが、彼は捜査に非協力的だった。
ペイシェンスから話を聞いた友人ビリーは、ハッカーの恋人の手を借りて、会議の出席者リストと、ベリーズでの船のチャーター確認書を入手する。
ビーとジェイクはすぐさまクーパーの自宅へ向かうが、彼は2人の目の前で屋上から飛び降り、意識不明の重体に。クーパーの自宅からは、レールウェイ・ホテルの清掃係ユマヤの指紋が見つかる。
ビーとジェイクは「カフェ・カラコル」でユマヤを見つけ、逮捕する。彼女の部屋にはサンテリア教の火の神チャンゴを祀る祭壇があり、捧げ物の葉巻が供えられていた。チャンゴは女性を傷つけた男に報復してくれる神で、金曜と4という数字に特別な意味があるという。
取り調べに応じたユマヤは、3人の医師とクーパーを手にかけたことを認める。2016年10月、ユマヤの17歳の妹ヴィオレッタは、彼らから船で酒を出すよう頼まれ、留学費用欲しさに承諾。それきり行方不明になっていた。
妹を探して船内を調べたユマヤは、血の付いたレールウェイ・ホテルのマッチを見つけ、妹が彼らに殺されたことを確信。渡英してマッチを手掛かりに男たちを見つけ出し、復讐のため殺害したのだった。
ペイシェンスとビーは、警察署の食堂で一緒に食事をする。世間話は苦手だというペイシェンスに、ビーは彼女のパズルの才能を評価する。ビーは息子のアルフィが簡単に解けた「9点パズル」の解き方に気づき、喜ぶ。
博物館で職員のエミリー・バレットが遺体で発見される。ペイシェンスは遺体に溺死の形跡があることに気づくが、身体も服も床もカラカラに乾いていた。
エミリーは化石密輸人の恋人ピーターに利用され、化石の密輸で起訴された過去があった。部屋を調べると本物の恐竜の骨が見つかり、事件当夜、ピーターが博物館を訪れていたことも判明する。
取り調べを受けたピーターは、事件当日エミリーに呼び出されて博物館へ行ったが、応答がなかったため中に入らずに帰ったと説明する。
ペイシェンスは、エミリーの腕のタトゥーがダーウィンの「生命の樹」だと気づく。だがそこには、本来ないはずの新たな枝が加えられていた。博物館の館長レイモンド・スターは、「新たな系統の発見を表すものかも」と話す。
エミリーの死因は肺水腫で、二次溺水だったことがわかる。彼女は採石跡湖で溺れた後、なんとか岸に上がり、タクシーを拾って博物館に戻ってきたのだ。ペイシェンスは同時刻にレイモンドが採石跡湖近くでスピード違反を起こしていることから、彼の犯行だと推測する。
取り調べを受けたレイモンドは、エミリーの論文を自分の名前で提出したことを告白する。採石跡湖でエミリーを説得しようとしたが非難され、彼女は動画を撮って脅してきた。携帯を奪おうとしてもみ合いになり、彼女が湖に落ちたが、助けなかったと語る。
ペイシェンスはビーに頼まれて、彼女の息子アルフィを迎えに行き、彼が学校でいじめられていることを知る。ペイシェンスはアルフィを仕事場に連れていき、飼っているネズミを見せて彼と心を通わせる。
ビーは元夫デイヴィッドから、アルフィにADHD検査を受けさせることを提案される。葛藤するビーだったが、アルフィのために両親で方針を合わせなければと考え、同意書にサインする。
“フォートナムの週末”シリーズで知られる犯罪小説家ハリー・フランクリンが、密室で謎の死を遂げる。ハリーの小説のファンであるペイシェンスは興奮し、捜査に前のめりになる。
出版社によれば、ハリーは回顧録を出す予定で、「世間や文学界が驚くことを明かす」と約束していたという。だが肝心の原稿はどこにも見当たらなかった。
ハリーの部屋にあったグラスからHCN(シアン化水素)が検出される。ペイシェンスは何者かが毒を混ぜた氷を作り、ハリーのグラスに入れたのだと推測する。
ハリーは過去に山小屋の火事で死にかけたことがあり、その際に友人のリサを失っていた。火事のとき一緒にいた純文学作家のエドムンド・レノックスは、リサが山小屋の所有者オルダス・テイトに言い寄られて怖がっていたと話す。ハリーが死ぬ前にタイプしていた手紙は、リサの双子の姉妹ロッティに宛てたものだった。
ペイシェンスはレノックスの著作『アダムの島』を読み、文体などからハリーが書いたものだと確信する。本人を問い詰めると、「ハリーも承知のうえで、あとで明かすつもりだった」と話す。
だが実際には、『アダムの島』も“フォートナム”シリーズも、書いたのはハリーではなくレノックスだった。そのことに気づいたペイシェンスは、ビーとともに“フォートナム”シリーズの第1作目を出した出版社を訪れ、そのときの原稿を見せてもらう。
ハリーは火事による負傷で左手で打つキーの字が弱かったが、“フォートナム”第1作の原稿は左手も右手も同じ強さで打っていた。
山中でオルダス・テイトの遺体が発見される。彼の車のトランクには、ハリーの回顧録の原稿が入っていた。ジェイクとバクスター警部は、テイトがリサ殺しの罪を隠すためにハリーを殺して回顧録を奪ったと考えるが、ビーとペイシェンスは回顧録のタイプ文字を見てレノックスによる偽装工作だと確信する。
逮捕されたレノックスは、金のために“フォートナム”シリーズを書き、ハリーの名前で出版していたことを認める。
出版社からハリーが回顧録を出すと聞いたレノックスは、リサを刺殺して山小屋に放火したことを暴露されると思い、ハリーを自殺に見せかけて殺害。テイトを毒殺して偽の回顧録を車に置き、彼に罪を着せようとしたのだった。
だが、出版社に届いた手紙によると、ハリーは真実に気づいておらず、リサを殺したのはテイトだと思い込んでいた。彼が回顧録で暴露しようとしたのは、レノックスの作品を代筆していた件と、テイトが犯した罪についてだった。
ペイシェンスは自分の部屋にビーを招き、6歳のときに出ていった母マチルドについて話す。ペイシェンスは母が置いていったパズルボックスを大切に保管していたが、箱を開けようと試したことはなく、彼女に連絡を取ろうとしたこともなかった。
ビリーのもとに兄のポールが亡くなったという知らせが届く。ペイシェンスは彼と一緒に遺体安置所を訪れて遺体を確認するが、翌日、ポールの遺体が消えたという連絡が入る。
遺体保全師のフランクによると、防腐処理を始め、お茶を入れている間に消えたと言う。ビリーは兄が生き返ったと信じ、ペイシェンスとともにポールの部屋へ。そこで血を流して倒れている男を発見する。
男の腕には、昨夜ビリーが遺体保全師に渡したポールのネクタイが巻かれ、止血が施されていた。ペイシェンスは救急車を呼ぶが、ネクタイの件は警察には黙っていてほしい、とビリーに頼まれる。
警察の調べで、男はポールと同じ食品加工会社「AFT」の重役補佐サシャ・デイヴィッドソンと判明。AFTは子どもが問題行動を起こす原因となる添加物を使い続けたとして、複数の家族から訴えられていた。ポールが亡くなったのは、AFTが裁判に勝訴し、それ祝うパーティーの最中だった。
ペイシェンスはネクタイのことをビーに打ち明け、遺体保全師のフランクが嘘をついていることを指摘する。フランクは酒に酔っていたことを隠すため、遺体が消えた時間を数時間ずらして報告し、目と口の縫合もしていなかった。
ポールの婚約者オフィリアの証言で、ポールが裁判に不利な情報を掴んでいたらしいことがわかる。ビーたちは、AFTがポールの口を封じるために殺害したのではないかと疑う。
ペイシェンスはポールが刺身を好んでいたことから、毒処理されていないフグを食べて仮死状態に陥ったのではないかと推測する。そして遺体安置所で防腐処理をされた際に、防腐剤に含まれていた活性炭が毒素を除去し、蘇生に至ったのだと考える。
パーティーで配られた弁当の容器からフグの毒テトロドトキシンが検出され、ビーたちはシェフのメイソン・ジェンナーを逮捕する。ジェンナーはAFFのCEOと性的関係を持っていた。
ペイシェンスはビリーからポールの居場所を聞き出し、ポールを説得しにいく。そこへ釈放されたジェンナーが銃を持って現れ、「USBを渡せ」とペイシェンスに銃を向ける。駆けつけたビーがジェンナーを撃ち、ペイシェンスを助ける。
ポールはサシャ・デイヴィッドソンを刺したことを認めるが、罪を免れる。ペイシェンスとビーは、遺体安置所の洗濯機の中からUSBメモリを見つけ出す。
ペイシェンスはビーの誕生日パーティーに招かれ、贈り物を持ってパブへ行く。そこで現場責任者のエリオットからデートに誘われる。
ペイシェンスがビーに贈ったのは、金色の“指ぬき”だった。それを見たジェイクは笑い出し、傷ついたペイシェンスは帰ってしまう。
ビーのもとには、アルフィのADHD検査の結果通知が届く。
バスの中で男性が血を吐いて死亡する事件が発生。結核による出血性ショックと思われたが、検査を行うと陰性だった。男性は指紋が薬品で消され、所持品も少なく、身元の照合は難航する。
携帯電話に保存されていた動画から、男性は「気候防衛隊(CDF)」というテロ組織のメンバーと判明。CDFの創設者ジーン・クリックは、5年前に食肉加工工場を閉鎖させようと放火を指示し、故殺罪で終身刑を言い渡されていた。
だが放火事件の資料はテロ対策部が制限をかけ、閲覧禁止になっていた。テロ対策部のザラ・ブラックウッドは捜査をやめるよう命じるが、ビーはひそかに捜査を続行する。
ペイシェンスは犯罪記録管理室に保管されている資料から、5年前の放火事件で工場の従業員ローランド・ミッチェルが行方不明になっていることや、ジーンのラボから412グラムの病原体が押収されていることを突き止め、CDFが食肉関連施設に炭疽菌をまこうとしていたのではないか、と推測する。
バスで死んだ男がローランド・ミッチェルだと判明し、ビーは彼の家を訪ねる。そこにはジーンの妹クリックと、ローランドとジーンの息子ノアがいた。さらに、バスの乗客だったサム・フィンチャーもいて、彼はジーンの指示でローランドとノアを警護していたと明かす。
命令に背いて捜査を続けたビーは、停職処分を受ける。ジェイクはローランドの母に会いに行き、バスで死んだ男がローランドの名を騙った別人であることを知る。
ジェイクに助けを求められたペイシェンスは、バスの車載カメラの映像を見て、被害者が吸っている電子タバコに炭疽菌が仕込まれていた可能性に思い至る。乗客全員に感染のリスクがあると気づいたペイシェンスは、急いでビーの家へ行き、血を吐いて倒れているビーを発見する。
ペイシェンスはエリオットから、法医学者のパーソンズならば閲覧禁止の資料を見られるはずだと聞かされる。喜んだペイシェンスは、エリオットにキスをする。パーソンズの協力で、ペイシェンスは放火事件の資料を手に入れることに成功する。
真相にたどりついたペイシェンスとジェイクは、バクスター警部に説明する。バスで死んだ男性は、CDFに潜入していた捜査員タイラー・ローズだった。彼は捜査対象のジーンと恋に落ち、任務を放棄して彼女と生きる道を選んだ。
食肉工場に就職したタイラーは、ジーンと共謀して5年前に放火を実行。その際、工場の従業員ローランドがその火事に巻き込まれて亡くなってしまった。タイラーは彼の遺体を燃やして自分の指輪を仕込み、テロ対策部に自分が死んだように思わせ、ローランドとして生きていたのだ。
彼を殺害したのは、テロ対策部のザラ・ブラックウッドだった。ザラとタイラーは周囲に内緒で結婚していたが、子どもはいなかった。4か月前、タイラーの裏切りを知った彼女は、夫への復讐を決意。ジーンのラボから押収した炭疽菌をタイラーが愛用している電子タバコに仕込み、殺害したのだった。
ペイシェンスは回復したビーを部屋に招く。ビーはアルフィの検査結果を受け、薬物療法を始めたことを話す。ペイシェンスは母が残したパズルボックスを開けるが、中には何も入っていなかった。
だが、箱に貼られていたシールを剥がすと、裏に数字が書かれていた。
感想(ネタバレ有)
ヨークの歴史的な美しい街並みが独特の雰囲気を生み出していて、英国らしいクールな作品に仕上がっていました。
各話のストーリーは、原作であるフランス版「アストリッドとラファエル」とほぼ同じ。原作の第1話を2回にわけ、第4話、第5話、第8話、第7話の順にリメイクされていました。
リアリティを重視したためか、あまり大きな出来事は起こらず、原作の7話~8話(最終話)で描かれた衝撃的な展開はすべて省かれていましたね。
主人公のペイシェンスを演じたエラ・メイシー・パーヴィスの演技は、彼女自身が自閉症スペクトラムを持つということもあり、フランス版とはまた違う迫真性を感じました。自閉症と言っても一律ではなく、いろいろな人がいるはずだから、同じにならなくてもいいと思います。
ビーがADHDの傾向がある息子を持つ母親として描かれているのも、英国版のキャラクターとしてのオリジナリティがあり、評価できる点でした。
たぶん、原作のフランス版を見ていなければ、素直に良い作品だと思えたはずです。
でも、やはりどうしても原作と比べてしまいます。原作の良かったところ、個人的に好きなシーンがほとんどスルーされている点。人間関係があっさりしている点。ユーモアがなくなり、主要キャラクターの魅力が薄れてしまっている点。
原作では長い時間をかけて積み上げるように丁寧に描かれる主人公の変化が、あっけなく描かれている点。
改変には理由があるのでしょう。国が違うのだから、違ってあたりまえだとも思います。だから、英国版ならではの素敵なオリジナルシーンがもっと見たかった。
おそらく続き(シーズン2)があると思うので、今後に期待したいと思います。
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