「ボディガード-守るべきもの-」全話あらすじ・感想・キャスト

海外ドラマ「ボディガード-守るべきもの-」

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Netflixの海外ドラマ「ボディガード-守るべきもの-」(全6話)についてまとめました。

イギリスBBC One製作の政治スリラードラマ。2018年8月から9月にかけて本国イギリスで放送され、BBCドラマとしては過去10年間で最も高い視聴率を記録。

全6話なのに、見終わった後「サクッと見た」という印象にはなりません。主人公の苦悩、政治的背景、暗躍する陰謀、ミステリー要素、すべてにおいて濃密で見応えたっぷり。高視聴率も頷けます。

PTSDに苦しむ退役軍人の主人公をリチャード・マッデンが演じ、第76回ゴールデングローブ賞ドラマシリーズ部門男優賞を受賞しています。

作品概要

  • 製作国:イギリス(2018年)
  • 原題:Bodyguard
  • 原案・脚本:ジェド・マーキュリオ
  • 製作総指揮:ジェド・マーキュリオ

あらすじ

テロ攻撃を阻止した功績を評価され、女性閣僚の警護を任命された退役軍人の警察官。だが、守るべきその要人は、彼が抱いている葛藤を生み出す政策の推進者だった。

Netflix公式サイトより

予告動画

登場人物(キャスト)

主要人物

デイビッド・バッド(リチャード・マッデン)
ロンドン警視庁の巡査部長。アフガニスタンからの帰還兵で、密かにPTSDに苦しめられている。非番中に遭遇した自爆テロを阻止し、内務大臣の警護担当に任命される。妻ビッキーとの間に2人の子どもがいるが別居中。

ジュリア・モンタギュー(キーリー・ホーズ)
デイビッドが警護することになった内務大臣。治安維持のために調査権限法を強化した新法案RIPA18を推し進める強硬派。次期首相の座を狙っているという噂もある。コードネームは“ラベンダー”。

ロンドン警視庁

アン・サンプソン(ジーナ・マッキー)
ロンドン警視庁テロ対策司令部(SO15)の最高責任者。保安部(MI5)に肩入れするジュリアを危険視し、デイビッドに監視させて彼女の企みを暴こうとする。

ロレイン・クラドック(ピッパ・ヘイウッド)
ロンドン警視庁要人警護部のトップで、デイビッドの上司。警視正。自爆テロを阻止したデイビッドをジュリアの警護担当に昇格させる。

シャルマ(アシュ・タンダン)
ロンドン警視庁対テロリズム組織SO15の一員。刑事部長。一連のテロ事件の捜査にあたり、事件の現場に居合わせたデイビッドを怪しむ。

レイバーン(ニナ・トゥーサン・ホワイト)
ロンドン警視庁対テロリズム組織SO15の一員。巡査部長。シャルマのもと、一連のテロ事件の捜査にあたる。デイビッドに協力を持ちかける。

内務省

ロブ・マクドナルド(ポール・レディ)
内務省特別顧問。ジュリアに私的な感情を抱いている。

マイク・トラヴィス(ヴィンセント・フランクリン)
テロ対策担当大臣。

タヒール・マハムード(シャブハム・サラフ)
ジュリアがシャネルの代わりに雇ったアジア系の広報スタッフ。

シャネル・ダイソン(ステファニー・ハイアム)
ジュリアの補佐だったが解雇される。ジュリアを社会病質者の危険人物だとして記者にネタを売ろうとするが…。

そのほか

スティーヴン・ハンター=ダン(スチュアート・ボウマン)
情報局保安部(MI5)長官。ジュリアと密会し、ある情報が保存されたタブレットを提供する。

ビッキー・バッド(ソフィー・ランドル)
デイビッドの別居中の妻。病院勤務。PTSDと向き合わないデイビッドと夫婦関係を築くことが困難だと判断し、距離を取っている。付き合っている男性がいる。

アンディ・アプステッド(トム・ブルック)
デイビッドの戦友。退役軍人平和の会の代表者。戦場で負傷して顔に傷痕が残り、家庭も壊れた。自分たちを戦場へ送った政治家たちに恨みを抱いている。

ロジャー・ペンハリゴン(ニコラス・グリーヴス)
ジュリアの元夫。下院幹事長。首相派に属しジュリアと対立する。

リチャード・ロングクロス(マイケル・シェーファー)
ジュリアにタブレットを渡した謎の男。

ルーク・エイキンズ(マット・ストーキー)
シャネルと行動をともにしている犯罪組織の大物。

ナディア・アリ(アンジー・モハインドラ)
イスラム教徒の女性。夫に強要されて列車自爆テロを遂行しようとするが、デイビッドに説得されて投降した。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

ロンドン警視庁の巡査部長デイビッド・バッドは、非番の日にたまたま乗り合わせた列車で自爆テロ事件に遭遇。爆弾を巻き付けたイスラム教徒の女性ナディアを説得し、テロを阻止する。
その功績により、デイビッドは内務大臣ジュリア・モンタギューの警護担当に昇格。ジュリアは強硬派で知られ、テロ防止のために国民のプライバシーを侵害する新法案RIPA18を推し進めていた。
彼女がイラク・アフガン派遣を支持していたことがわかり、複雑な思いを抱くデイビッド。アフガンからの帰還兵であるデイビッドは、PTSDに悩まされていたが向き合おうとせず、妻や2人の子どもとは別居中だった。
デイビッドが10.1事件(列車自爆テロ事件)を阻止した警官だと知り、信頼を置くようになるジュリア。かつて法廷弁護士だった彼女は、犯罪の原因が生い立ちや社会環境に深く根ざすものであることを知り、その原因を変えるために政治家になったことを明かす。
ジュリアに解雇された補佐のシャネルは、内務省で騒ぎを起こしてデイビッドに連れ出される。シャネルはジュリアを社会病質者だと訴えて記者にネタを売ろうとするが、よくある逆恨みと判断されてしまう。
デイビッドは退役軍人平和の会に足を運び、戦友のアンディと再会する。自分たちを戦場に送り込んだ政治家を警護するデイビッドに、アンディは苦言を呈する。

情報局保安部(MI5)長官のスティーヴン・ハンター=ダンは、デイビッドの子どもが通ってる学校がテロの標的になっているという極秘情報をジュリアに伝える。警官内部に内通者がいる可能性があるとして、公にはせず密かに学校の周囲を警備させるジュリア。
その後、警視庁テロ対策司令部(SO15)が、監視中のテロ組織に動きがあったことを報告。ヒースバンク小学校へ突っ込もうとした大型トラックを武装パトカーが手前で阻止するも、トラックは爆発して容疑者2人と警官3人が死亡する。
デイビッドの上司ロレイン・クラドックは、テロ組織の報復と見てデイビッドの家族を安全な場所へ移動させ、デイビッド自身にもデスクワークを命じる。ジュリアは警察の対応を非難し、10.1事件の爆破犯の尋問を警察から保安部に移す。
デイビッドはジュリアの手回しで警護に復帰。息子チャーリーも特別支援教育を受けられることになり、ジュリアに感謝する。
移動中、ジュリアを乗せた車が狙撃される。デイビッドは狙撃犯がいる建物の屋上へ向かい、狙撃手が戦友のアンディであることを知る。追い詰められたアンディはデイビッドの目前で自らを撃ち抜き、命を絶つ。
ジュリアは安全のためホテルに保護される。武装パトカーが現場に到着するのが遅れたことに対し、疑問をぶつけるジュリア。デイビッドは恐怖で取り乱すジュリアを慰め、2人は一夜をともにする。
上司のロレインとテロ対策司令部(SO15)部長のアン・サンプソンは、ジュリアが保安部長官のスティーブンと頻繁に会っていることを怪しみ、デイビッドにジュリアの行動を監視するよう命じる。
ジュリアが警護担当者に親切にするのは、秘密を守らせるためだと言うロレイン。アンもまた、小学校がテロの標的になっていることを保安部は事前に掴んでいたにもかかわらず、ジュリアとスティーヴンはその事実を隠していたと明かす。
デイビッドはジュリアを監視するため、彼女が保護されているホテルの部屋の隣室を与えられる。ジュリアは続き部屋の扉を開けてデイビッドを迎え入れ、2人は性的な関係を続ける。

デイビッドはジュリアとスティーヴンの会話を盗聴し、ジュリアが保安部から極秘資料を手に入れようとしていることを知る。その後、リチャード・ロングクロスと名乗る人物がジュリアの部屋を訪れ、暴露情報が保存されたタブレットを手渡していたことが判明する。
警察のデータベースで調べるも、ロングクロスの名前は出てこない。デイビッドは隙を見てタブレットを盗み、内容を確認。ロレインにはジュリアがリチャード・ロングクロスに会っていたとだけ報告する。
SO15のシャルマとレイバーンは、狙撃手が自殺したときの状況に疑念を抱き、デイビッドを聴取する。現場の防犯カメラには2人が会話する様子が映っており、何を話していたか聞かれるが、デイビッドは嘘をついてやりすごす。
デイビッドは寝ている自分を起こそうとしたジュリアを反射的に殺そうとする。デイビッドが深刻な問題を抱えていることに気付くとともに、公私混同を恐れたジュリアは、警護担当を交代したほうがいいとデイビッドに告げる。
ジュリアはセント・マシューズ大での講演に向かうが、特別顧問のロブは同行せず、新任のタヒールに資料が入ったブリーフケースを手渡す。
講演が始まると同時に怪しい人影に気付くデイビッド。その人影はタヒールだったが、ブリーフケースの中身に問題はなかった。しかしその後タヒールが舞台袖に現れ、異変を察知したキムとデイビッドが舞台へ駆け寄る間もなく爆弾が爆発する。

爆発により、タヒールと警護担当のキムが死亡。デイビッドの自宅も家宅捜査され、シャルマとレイバーンから聴取を受ける。2人はタヒールが持っていたブリーフケースが爆発したと考えていたが、デイビッドはタヒールにもブリーフケースにも怪しいところはなかったと証言する。
デイビッドは病院でジュリアの手術が終わるのを待つが、彼女は亡くなってしまう。自宅の天井裏に隠していた拳銃で自殺を図ろうとするも、なぜか空砲だった。デイビッドは何者かが部屋に侵入し、弾をすり替えたことに気付く。
テロ組織に繋がる情報を得るため、デイビッドはナディアの聴取に立ち合うことに。ナディアは夫を恐れて何も話そうとしなかったが、デイビッドに対して徐々に心を開く。夫に虐げられていた彼女は、一度だけ夫が駐車場で誰かと会うのを見たと話す。
ホテルの防犯カメラを調べたデイビッドは、ロングクロスが映っているはずの映像がすべて削除されていることに気付く。レイバーンに「保安部が水面下で動いている」と告げるが、関わらない方がいいと釘を刺されるデイビッド。シャルマはそんなデイビッドを怪しむ。

科捜研からの報告で、爆弾はブリーフケースではなく、あらかじめ舞台の下に仕掛けられていたことが判明する。レイバーンは爆破前夜の防犯カメラの映像を調べるが1時間以上消えていることがわかり、デイビッドの話を信用する。
リチャード・ロングクロスの写真を見たナディアは、夫が駐車場で会っていたのはこの男だと証言。しかしシャルマは証拠にならないと言い、デイビッドは保安部やロングクロスを調べようとしないシャルマに不満をぶつける。
ネットカフェへ行き、ジュリアが見ていたタブレットのネタを検索するデイビッド。そこから行き着いたのは首相だった。まもなくネットカフェの前にロングクロスが現れ、デイビッドはロングクロスの車のナンバーを警察のデータベースで車両検索するが、情報は開示されていなかった。
デイビッドは上司のロレインとSO15の最高責任者アンに会い、ジュリアが亡くなる数日前、ロングクロスから暗号化された端末を預かっていたこと、そこには性的暴行、薬物依存、資金操作などの首相に繋がる暴露ネタが保存されており、ジュリアはそれをネタに首相を脅して大幅な内閣改造を狙っていたのではないかと報告する。
ネットで検索した途端にロングクロスが現れたのは、彼らが検索のキーワードをネットで監視しているからで、保安部は関わりがバレるのを恐れていた。ジュリアが死んで得をするのは、首相とその派閥であるロジャー・ペンハリゴン、マイク・トラヴィスだと告げるデイビッド。
デイビッドに脅された特別顧問のロブは警察に出頭し、ジュリアに党首選への出馬を諦めさせるため、政治的におとしめようとしたことを明かす。指示したのはロジャー・ペンハリゴンで、意図的に不正確な情報をスピーチに入れて恥をかかせるつもりだったと話す。
デイビッドはロレインに呼び出され、ジュリアとの関係を問い詰められる。告発したのは保安部だった。デイビッドはビッキーと会い、ジュリアと関係を持っていたことを打ち明けるが、ロングクロスは既にビッキーに接触し、そのことを匂わせていた。ビッキーの話から、彼らがタブレットを探していることを知るデイビッド。
デイビッドは銃の売人と会い、アフガンから持ち帰ったマカロフと「犯罪歴はないが足がつくPSLライフル」を交換したいと持ちかける。カフェでデイビッドに声をかけたのはシャネルだった。彼女は複数の犯罪組織の幹部であるルーク・エイキンズと行動をともにしていた。
デイビッドはカウンセリングを断り続け、自殺未遂を図った件で、ロレインに無期限の休職を命じられる。レイバーンが告げ口したと勘違いしたデイビッドは、単独で捜査を続けることを決意。ジュリアの部屋に侵入し、写真立ての中に隠されていたタブレットを見つける。

シャネルに呼び出されたデイビッドの前に、ルーク・エイキンズが現れる。アンディにPSLライフルを渡したのも、デイビッドの部屋に侵入して銃の弾をすり替えたのもルークの仕業だった。ルークの部下に殴られ拘束されるデイビッド。
シャルマとレイバーンは、狙撃手のアプステッドとデイビッドに接点があることを突き止め、デイビッドをジュリア殺害の容疑者として指名手配する。
意識を取り戻したデイビッドだったが、体には爆弾が装着されており、起爆装置は左手の親指にデープで巻き付けられていた。警察に助けを求めるも、レイバーンたちはデイビッドがテロ事件の実行犯だと思い込み、話を聞こうとしない。
武装警官たちに銃口を向けられ、無線越しに状況を説明するデイビッド。ロレインはデイビッドが説得に応じないと判断し、SO15に委ねて立ち去ってしまう。
デイビッドはアフガンから持ち帰った銃を餌に罠を仕掛け、ルーク・エイキンズをおびき出してアンディのライフル入手先を突き止めたが、彼らに襲われて爆弾を装着されたと説明。自宅には彼らの指紋が付着した空砲があり、さらにジュリアの部屋で見つけたタブレットも隠してあると話す。
無線を傍受していた保安部長官のスティーヴンはすぐさまロングクロスをデイビッドの自宅に向かわせるが、それはデイビッドの罠だった。デイビッドは別のチャンネルでシャルマに指示を出し、ロングクロスを逮捕させる。
アパートの外に埋めていたタブレットをシャルマに渡したデイビッドは、爆弾処理班の遠隔指示で爆弾を解除して逃亡。シャネルを脅してルークをおびき出し、尾行する。ルークが会いに行ったのは、デイビッドの上司ロレインだった。
逮捕されたロレインは、数年にわたってルークに機密情報を漏らし、セント・マシューズ大の爆破事件では当日のジュリアの行動予定や警備の計画をリークしていたことを告白する。デイビッドを主席警護に任命したのも、犯人に仕立てるためだった。
暗殺事件から10日が過ぎ、テロ対策司令部は複数の容疑者を一斉逮捕する。デイビッドが着せられていた爆破装置からはナディアのDNAと指紋が検出される。爆弾を製造したのはナディアだった。ナディアは聴取で「私は虐げられた可哀想なイスラムの女じゃない」と告げ、デイビッドの子どもたちの情報を刑務所から組織に伝えたことを明かす。
デイビッドはカウンセリングを受け、心の傷と向き合おうとする。ビッキーはデイビッドの変化を受け入れ、子どもたちと一緒に家族4人で休日の外出を楽しむ。

感想と解説

手に汗握る展開と、全編に漂う緊張感

面白かった…。第1話の冒頭からいきなりクライマックスかと思うような大事件が起き、その後も手に汗握る展開がずっと続く。主人公の危うさも相まって、全編に漂う緊張感がたまらなかったです。

主人公デイビッドを演じたリチャード・マッデンがいい! ジュリアを守るときの“強くて完璧なボディーガード”としてのデイビッドと、PTSDに苦しむ帰還兵としてのデイビッド。そして妻や子どもにすがる“弱い夫・父親”であるデイビッド。激しく揺れ動く彼の精神状態を見事に演じきっています。デイビッドの多面性がストーリーをさらに面白くしていることは間違いない。

ここから先は結末のネタバレを含みます。ご注意ください。

戦争がもたらした痛み

デイビッドが警護するのは、強硬派の内務大臣ジュリア。彼女はイラク・アフガン派遣を支持し、現在もその正当性を訴えて過去への謝罪は必要ないと言い切ります。

デイビッドたちが派遣されたアフガニスタン紛争(2001年~)について、少しだけ説明すると…。

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を受けて、イギリスはアメリカとともに対テロ戦争に参戦しました。タリバンが支配していたアフガニスタンに地上部隊を送り込み、2014年に撤退するまで激しい戦闘が繰り広げられ、イギリス軍は計453名の戦死者を出しています。

2005年7月7日に起きたロンドン同時爆破事件(ロンドン地下鉄3か所と2階建てバスが同時に爆破され、自爆犯4人を含む56人の死者と約700人の負傷者を出した)は、アルカイダ系イスラム過激派組織による犯行の可能性が高いと見られています。

デイビッドやアンディたち帰還兵にとって、ジュリアは自分たちを戦地に送り込んだ張本人。体にも心にも深い傷が残り、家庭は崩壊し、今なお苦しんでいる彼ら。

「戦場で言ってたろう。もし俺たちを戦場に送りこんだクソ野郎がすぐ横にいたら、引き金を引いてやるのにってな。あいつらがいなければ顔も家庭も守れた」

にもかかわらず、デイビッドは彼女がときおり見せる優しさや人間らしい一面に徐々に惹かれていく。そして狙撃犯に襲撃されて取り乱す彼女を慰めようとしたのをきっかけに、2人は禁断の関係に陥ってしまいます。

暗躍する怪しい影

ジュリアとの危険な関係を軸に物語が進むのかとおもったら、なんと第4話でジュリアがあっさり死亡。これにはびっくり。まさか死ぬとは思わんかった。

事件に巻き込まれる直前、ジュリアはデイビッドが深刻な問題を抱えていることに気付き、警護担当を交代したほうがいいと提案していました。同時に「任務とは別にそばにいてほしい」とも言っていたので、個人的な関係は続けたかったのかもしれない。

ジュリアを守れなかったことで自分を責め、隠していた銃で自殺を試みるデイビッド。しかし何者かが実弾を空砲にすり替えていたため、こめかみに怪我をしただけですみます。

このあたりから裏で暗躍する怪しい影がちらほら見え始め、デイビッドは事件の黒幕を突き止めるため奔走するのですが、視聴者にはデイビッドが何をしようとしているのかわからなくてハラハラします。

テロ事件の真相

一連の事件には、複数の組織・複数の思惑が関与していたことが最終話で判明。いちばんの衝撃はナディアですね。完全に騙されました。

彼女が言った「私は虐げられた可哀想なイスラムの女じゃない」というセリフが印象的だった。アフガニスタンをよく知るはずのデイビッドが(だからこそ、なのか)先入観に囚われていたというのが皮肉ですよね。

ここからは順番に整理しながら、事件を紐解いていきたいと思います。まずは前半に起きた3つの事件について。

列車自爆テロ事件
第1話。実行犯はナディア。夫に命じられて…とか言ってましたが、全部ウソ。恐怖に震えていたのも演技。爆弾を作ったのは彼女でした。このときデイビッドが子どもの写真を見せて名前を教えたりしたので、これが次の事件(小学校爆破事件)に繋がることに。

ヒースバンク小学校爆破事件
第2話。実行犯はナディアが所属するテロ組織。ナディアが刑務所から何らかの手段でデイビッドの子どもの情報を組織に伝え、チャーリーが通う小学校を標的にした。
保安部(MI5)は事前に情報を掴みジュリアに報告するも、内通者がいることを予測して公にはせず、密かに武装パトカーに警備させていた。

ソートン広場狙撃事件
第2話。実行犯はデイビッドの戦友アンドリュー(アンディ)・アプステッド。犯罪組織の大物ルーク・エイキンスがライフル銃を提供し、組織の子会社を利用して貿易商としてパスコエ・ハウスに潜入させ、屋上から狙撃させた。

セント・マシューズ大爆破事件
第3話。実行犯はルーク・エイキンス。爆弾を提供したのはナディア。デイビッドの上司ロレイン・クラドックがルークに情報を漏らして警備をかいくぐらせた。タヒール・マハムードは無関係。

政治にまつわる動き

テロ事件と同時に政治的な動きも絡んでいたので、ややこしかったですね。今度はそちらを見ていきます。

◎ジュリアの企み
本人が死んでしまったので真相はわかりませんが、大幅な内閣改造をもくろんでいたようです。MI5から取り寄せていたタブレットには、首相が揉み消してきた数々のスキャンダル(暴露ネタ)が保存されていました。そのネタで首相を脅していたんですね。

◎首相派の企み
首相派のマイク・トラヴィス、ロジャー・ペンハリゴン、ロブ・マクドナルドは、暗殺事件とは無関係。彼らの目的はジュリアの失脚で、スピーチの原稿に手を加えて恥をかかせる計画を立てていました。ロブがタヒールに渡したブリーフケースの原稿がそれ。
タヒールは利用されただけで、おそらく何も知らなかったと思われます。ロブはジュリアに私的な感情を抱くも袖にされ、プライドを傷つけられて彼女に仕返ししようとしたようです。

◎保安部(MI5)の動き
ジュリアに情報提供する見返りに、RIPA18法案を通過させて保安部の権限強化を狙っていたようです。しかしジュリアが死んでタブレットの行方がわからなくなり、関与がバレるのを恐れて必死にタブレットを探していました。デイビッドを監視していたのはタブレットの情報を得るため。ロングクロスはスティーヴンの指示で動いていた工作員で、暗殺事件には関与していません。

登場人物たちの動き

登場人物のそれぞれの動きも見ていきましょう。

デイビッド
自宅に銃を隠すなど、何かと怪しい動きを見せていましたが事件には一切関わっていません。嘘をついたのは保安部を恐れて誰も信用できなかったため。

アン・サンプソン
ルークと繋がっているようなミスリードがありましたが、シロでした。彼女が率いるSO15のシャルマとレイバーンもシロ。

ロレイン・クラドック
デイビッドの上司。犯罪組織と繋がり、警察の機密情報を数年にわたってリークしていた内通者でした。デイビッドをジュリアの警護担当にしたのも、暗殺犯に仕立て上げるため。ひどい。

ルーク・エイキンス
犯罪組織の大物。テロ組織と組んでジュリアを暗殺した犯人。ジュリアを殺したのは、①RIPA18が成立すれば電話やEメールが監視される、②保安部の権限強化は脅威となる、という理由から。
当初からデイビッドとアンディを暗殺犯に仕立て上げる計画を立てており、デイビッドの銃に細工して自殺を阻止したのはそのため。

シャネル
ルークと繋がっていました。どういう経緯で知り合ったのかは不明。

ナディア
爆破テロの爆弾はすべて彼女が製造。第1話の自爆テロで逮捕されてからずっと「夫に命じられただけ」という被害者を演じ、デイビッドや警察関係者を騙していた。夫とロングクロスが面会していたという証言も作り話。
ルークの犯罪組織と組んだ理由は「もっと爆弾を製造し、銃を買うための金が必要だったから」。

シーズン2はある?

デイビッドはPTSDに苦しみながらも、心の傷に向き合おうとしません。妻のビッキーからも、ジュリアからも、同僚のレイバーンからも「あなたには助けが必要」と言われているのに、聞く耳を持たないデイビッド。

自殺未遂で頭部を負傷してからは、周囲の人々はみんな気付いているのに、捜査に没頭する彼を誰も止めることができない。要人警護部の後輩フェントンは見かねて上司のロレインに相談するほどでした。

事件が終息した後、ようやくカウンセラーを訪ねたデイビッドは、泣きながら「私には助けが必要です」と訴えます。彼が心の傷と向き合う覚悟を決めたことで、妻ビッキーとの関係にも変化が。

バラバラだった家族4人が休日に再会し、デイビッドが運転する車で一緒に出かけるラストシーン。希望を予感させる結末に安堵しました。

シーズン2はまだ正式に決定していませんが、製作総指揮を務めたジェド・マーキュリオがBBCと交渉中であることを明かしているので、そのうち発表があるかもしれません。