今回は、実話をもとに作られた映画を紹介します。
なるべく最近のもの(2010年以降)で、勇気や元気をもらえる作品を中心に集めました。
黄金のアデーレ 名画の帰還
ナチス政権に奪われたクリムトの名画「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」をめぐる裁判の顛末を描いた映画。絵の相続人であるマリア・アルトマン(アデーレの姪)の実体験が基になっています。
マリアがなぜオーストリアを離れなければならなくなったのか、彼女の人生と絵画をめぐる数奇な物語が胸を打ちます。
ドリーム・ホース
ウェールズの小さな村で育てられた競走馬「ドリームアライアンス」の実話を映画化。
退屈な毎日を送る平凡な主婦が「胸の高鳴り(ホウィル)」を求めて馬を買い、家族や村の人々とともに奇跡を起こすサクセス・ストーリー。疾走感あふれるレースが見もの。
42 世界を変えた男
史上初の黒人メジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの半生を描いた作品。
当然のように行使される差別や誹謗中傷に耐え抜き、プレーに徹する主人公の姿に感動します。アメリカの野球映画らしい明るさで、暗い気持ちにはなりません。
ロスト・キング 500年越しの運命
英国王リチャード3世の遺骨を発見し、英国王室の歴史を揺るがしたフィリッパ・ラングレーの実話をもとにしたヒューマンドラマ。
周囲から理解されずとも、自らの直感と信念に従って行動し、真実を見極めようとする彼女の姿に心打たれます。悪名高きリチャード3世の〝名誉回復〟をめぐる物語でもあり、歴史が好きな人はワクワクするはず。
SHE SAID シー・セッド その名を暴け
ハーヴェイ・ワインスタインによる性的暴行事件を追求した2人の女性記者による回顧録を映画化した社会派ドラマ。
告発に踏み切った被害女性たちの葛藤と勇気、そして正義のために奔走する記者たちの姿がスリリングに描かれ、終始目が離せませんでした。
グリーンブック
実話をもとにしたヒューマンドラマ。1960年代のアメリカ南部を舞台に、知的で裕福な黒人のジャズピアニストと、彼に雇われた粗野なイタリア系白人運転手が、演奏ツアーの旅を通じて友情を深めていく物語。
「グリーンブック」は黒人用旅行ガイドのこと。人種差別を扱いながらもユーモアに満ち、見終わった後は幸せな気持ちになります。
レディ・マエストロ
女性指揮者の先駆者アントニア・ブリコの半生を描いた伝記映画。
女性が指揮者になることが許されなかった時代に、オランダからの移民である主人公が音楽界にはびこる偏見と差別に毅然と立ち向かい、夢を実現させるというストーリー。波乱万丈の人生にドキドキさせられました。
フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて
イギリス南西部・コーンウォール地方の現役漁師たちによって結成されたコーラスバンド「フィッシャーマンズ・フレンズ」の実話をもとに映画化。イギリスで観客動員数100万人を超えるヒットを記録した作品。
彼らが歌う素朴な民謡や舟歌をバックに、心温まるストーリーが展開されます。コーンウォール地方の美しい風景も見どころ。
グランド・ジャーニー
気象学者であり鳥類愛好家でもあるクリスチャン・ムレクの実話を基に描いた冒険ドラマ。
超軽量飛行機を使って鳥とともに空を飛ぶという、奇跡のように美しい映像が満載です。ストーリーも面白く、随所にワクワクするシーンが盛り込まれていて、見終わった後は温かい気持ちになれます。自然を愛する人はハマること間違いなし。
あの日のオルガン
太平洋戦争末期に、日本で初めて園児を連れて集団疎開を敢行した保母たちの実話を映画化。
比較的明るめのトーンでユーモラスに描かれていますが、大変な日々だっただろうことを想像させる余白があり、余韻の深かった作品。この映画で、園児の集団疎開があったことを初めて知りました。
シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢
ひとりの郵便配達員が33年もの歳月をかけて完成させた手作りの宮殿「シュヴァルの理想宮」の誕生秘話を映画化。
寡黙で不器用な主人公が、さまざまな人生の出来事を乗り越えながら、ひたむきに宮殿づくりに没頭する姿が静かな感動を与えます。フランス南東部の美しい風景も見どころ。
ドリーム
1960年代にNASAで活躍した黒人女性たちの姿を描いた実話ドラマ。
ずば抜けた才能を持ちながら、“黒人”であり“女性”であるという理由で真価を認められずにいたキャサリンたち。彼女たちが持ち前の頭脳を発揮し、徐々に周囲の人々を動かしていくさまが爽快。
ゴヤの名画と優しい泥棒
1961年にロンドンのナショナル・ギャラリーで実際に起こったゴヤの名画盗難事件。その事件の裏に隠された真相をユーモラスに描いたコメディ映画です。
とても実話とは思えなくて、見終わった後に思わずググって確認してしまったほど驚きの真相でした。製作総指揮のクリストファー・バントンが、事件の犯人ケンプトン・バントンの孫というのもすごい。
スポットライト 世紀のスクープ
カトリック教会のスキャンダルを暴き、ピューリッツァー賞に輝いたボストン・グローブ紙の調査報道チームの軌跡を映画化。
社会派の作品ながらスリルとサスペンスに満ち、エンタメとしても面白く、見応えがあります。「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」と合わせて見てほしい。
リンドグレーン
「やかまし村の子どもたち」「長くつ下のピッピ」などの名作で知られる児童文学作家アストリッド・リンドグレーンの若き日々を描いた伝記ドラマ。
10代で妊娠し未婚の母となった彼女の苦悩と葛藤、家族との確執、愛する息子と離れて暮らす悲しみなどが丁寧に描かれています。主演のアルバ・アウグストの演技に引き込まれました。
ウーマン・トーキング 私たちの選択
南米ボリビアで実際にあった事件をもとに執筆された小説を映画化。
孤立した宗教コミュニティで、女性たちへの性暴力が日常的に行われていたことが発覚。被害に遭った女性たちは、自分たちの未来のために「何をすべきか」話し合うことに。
納屋での会話劇がメインですが、キャストの演技や映像美に圧倒されます。想像力を要する作品なので、事件の概要を調べてから見ることをおすすめします。
Winny
金子勇が開発したファイル共有ソフト「Winny」をめぐる冤罪事件を描いた法廷劇。
この映画を見て、「Winny」とその開発者に対する自分の認識(危険なソフト、怪しい人物)が間違っていたことを知り、衝撃を受けました。事件の経緯も興味深く、引き込まれました。人間ドラマとしてもとても面白かったです。
13人の命
こちらはAmazonオリジナル映画。2018年にタイ北部の洞窟で起きた少年たちの遭難と救出劇を描いた作品。
当時はニュースで報道されたわずかな情報しか知ることができませんでしたが、これほど過酷な状況だったのか…と驚きました。衝撃の救出方法も含め、ぜひ見てほしい。洞窟の中がものすごくリアルなので、閉所恐怖症の方は要注意。
レスキュードッグ・ルビー
こちらはNetflix映画。エリート揃いの警察犬部隊に入ることを夢見る主人公と、居場所のない保護犬ルビーが出会い、いくつもの試練を乗り越えて共に成長していく物語。
やんちゃすぎて誰にも引き取ってもらえないルビーが主人公との絆を深め、たくましい警察犬へと成長していく姿にほろりとさせられます。
ナイアド その決意は海を越える
こちらもNetflix映画。64歳でフロリダ海峡を泳いで渡るという偉業を成し遂げたスイマー、ダイアナ・ナイアドの実話を映画化。180キロにも及ぶ外洋を、53時間ぶっ通しで泳ぎ切るという挑戦が予想を超えてすごすぎました。
主人公のナイアド役をアネット・ベニング、彼女を支える親友でありコーチでもあるボニー役をジョディ・フォスターが演じていて、この2人のバディ感が胸熱で爽やかで楽しい。
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