ネタバレ有「特別捜査部Q」全話あらすじ・感想・登場人物(キャスト)一覧・ロケ地|ユーモアと冷酷さの絶妙なバランス

Netflix「特捜部Q」あらすじキャスト

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主任警部のカール・マークは、リース・パークの事件現場で待ち伏せ攻撃に遭い、頭部を撃たれて負傷する。銃撃を受けた相棒のハーディは下半身まひで歩けなくなり、アンダーソン巡査は殉死する。
職場復帰したカールは、上司のモイラに未解決事件を担当する新しい部署を任される。モイラは警察のイメージ向上のための新設部署を形式的なものと考え、カールに押し付けて厄介払いしようとしていた。新部署の予算は彼女が使い、カールは地下のシャワー室に追いやられる。
カールの助手として現れたのは、総務部でITを担当していたシリア出身のアクラム・サリムだった。アクラムはシリアで警官をしていたと明かし、カールの代わりに大量の捜査資料に目を通すと、4年前に失踪した検事メリット・リンガードの事件を選び出す。
メリットは4年前にグレアム・フィンチの裁判を担当した後、発話障害がある弟ウィリアムとともに故郷のモル島へ向かう途中、フェリーの上で忽然と姿を消していた。
カールは死亡している可能性が高いと言うが、アクラムは「そうは思わない」と断言する。

カールとアクラムは、4年前に失踪した検事メリット・リンガードの事件を再捜査することに決める。当時の担当者ファーガス・ダンバーは、メリットが海に転落した可能性を考えて海底や海岸線を捜索したが遺体は見つからず、目撃者もいなかったと話す。
フェリーの防犯カメラには、メリットが姿を消す直前に弟のウィリアムと揉み合う姿が映っていた。カールとアクラムはウィリアムがいる治療施設エグリー・ハウスを訪れるが、院長のフィオナ・ウォレス医師に面会を断られてしまう。彼女はウィリアムの法的後見人でもあった。
カールたちは、長い間ウィリアムの世話をしていた家政婦のクレアに会いに行く。彼女は今でもウィリアムに会うため、週に1回エグリー・ハウスを訪れていた。クレアはウィリアムがメリットを突き落とした可能性も、メリットが自殺した可能性も否定し、メリットは誰よりも弟を愛していたと話す。
カールはセラピーを受けるが、担当医のレイチェルに心を開いて話そうとしない。家では17歳の継息子ジャスパーが学校へ行かず、カールとの会話も拒んでいた。
モイラは記者会見を開き、新部署創設を発表。カールはメリット・リンガードの事件を再捜査することを告げて情報提供を呼び掛けるが、フラッシュバックに襲われ、パニックになる。
エグリー・ハウスで記者会見を見たウィリアムは、テレビを窓に投げつけて施設から脱走する。
そのころ、メリットは狭い高圧室の中に監禁されていた。犯人たちは、メリットの罪を彼女自身に思い出させようとする。メリットはフィンチ裁判の証言者になるはずだったカースティのことを思い出し、彼女を裏切ってしまったことを謝罪する。だが犯人はカースティとは無関係だった。

カールとアクラムはモル島行きのフェリーに乗り、事件当時の状況を再現してみる。メリットとウィリアムの喧嘩の原因は、ウィリアムが海に投げた帽子だった。
だがカールが実際に帽子を飛ばしてみると、帽子は風にあおられて舞い上がり、フェリーの駐車スペースに落下する。2人はその場所こそメリットが拉致された現場だと推測する。
モル島に到着した2人は、地元警察のジョン・カニンガム巡査に会う。彼によると、ウィリアムの発話障害は16歳のときに強盗に殴られたことが原因だった。強盗犯は近所に住む少年ハリー・ジェニングスで、逃亡中にフェリーから飛び降りて死んだという。
メリットの父ジェイミーは、亡き妻ライラの形見のネックレスをメリットが盗んだことを根に持ち、「嫌な女」と罵る。彼は12年ぶりに娘が帰省しようとした理由も知らず、失踪したメリットを捜そうともしていなかった。
ローズは2年間のデスクワークに嫌気がさし、捜査への復帰を望んで「新しい部署に入れてほしい」とカールに懇願する。カールはしぶしぶ彼女を受け入れ、メリットの周辺を調査するよう命じる。
カールとアクラムはクレアの家の庭に隠れていたウィリアムを見つけ出す。ウィリアムは自分が描いた鳥のロゴマークの絵をカールに見せ、4年前にそのロゴマークが付いた帽子を被っていた男を自宅の庭とフェリーで見た、と必死に伝える。
エグリー・ハウスに戻ったウィリアムは、帽子の男の顔を思い出そうと何度も絵を描くが、どうしても思い出せない。
カールはセラピーを拒み、上司のモイラに注意される。担当医のレイチェルは記者会見でパニック発作を起こしたカールを心配していた。レイチェルは結婚に失敗した自身の過去を語り、カールの心を開かせようとする。
メリットは高圧室の内側の壁に貼られている鳥のロゴマークの紙をはがす。すると、その下に刻まれいた「L H なぜここに?」という文字が現れる。

カールが撃たれたリース・パークの事件から4か月経つが、捜査は進展していなかった。カールは捜査を担当するブルース主任警部に、「犯人は2人いた可能性が高い」と助言する。
ローズはカールの指示でモル島へ向かい、カニンガム巡査と会う。彼によると強盗犯のハリーは短気な性格で、しょっちゅう揉め事を起こしていたらしい。だがメリットは、そんな彼と親しかったという。
ローズは巡査の息子で同じく警官のコリンに案内してもらい、ハリーの母親アルサを訪ねる。彼女は夫の死後、荒れ果てた敷地内に1人で住んでいるという。だがアルサは不在で、会うことはできなかった。
カールの元妻ヴィクトリアが訪ねてくる。ジャスパーとの関係に悩むカールに、「あの子はあなたを崇拝してる」と告げるヴィクトリア。そしてカールが撃たれたとき、ジャスパーが病院で怯えていたことを明かす。
メリットの周辺を調べていたカールたちは、彼女に「S」という恋人がいたことを知る。秘書のサブリンによると、メリットは同僚のリアム・テイラーと仲が良かったという。だが彼は既婚者だった。
カールはリアムを問い詰め、2人が1か月間だけ不倫関係にあったことを聞き出す。関係を終わらせたのはメリットのほうで、失踪する1年前だったという。
カールたちは、メリットが密会場所に使っていたプリンスガーデンホテルを訪れ、過去の宿泊記録を手に入れる。メリットは母親ライラの名前を使ってリアムと密会していたが、最後に泊まったときの相手はサム・ヘイグという人物だった。

カールはサム・ヘイグが通っていたクライミング施設を訪ねる。彼はスコットランド通信の記者だったが、4年前のメリット失踪前日に岩山から転落して亡くなっていた。
遺体を発見したのはサムのコーチだったポールで、「彼は孤独だった」と話す。アクラムは駐車場に停まっていたサムの車の鍵が見つかっていないことに違和感を覚える。
スコットランド通信を訪れたカールは、記者のデニス・パイパーに銃撃事件についてのコメントを求められ、突き飛ばしてしまう。翌日、新聞には「俺が死ぬべきだった」という見出しとカールの写真が掲載される。
ハーディはメリットの信託口座を見つけ、誘拐の動機はカネではないかと推測する。カールたちはエグリー・ハウスへ行き、ウィリアムの法的後見人であるウォレス医師を問い詰める。彼女がウィリアムの後見人となったのは、財産を横取りするためだった。カールたちは薬漬けにされていたウィリアムを救出し、クレアのもとへ連れていく。
ローズはメリットが失踪する1週間前に立ち寄ったクリーニング店に注目する。店を訪ねると、経営者はカースティの母シャーリー・アトキンスだった。ローズとアクラムはカースティが移送された刑務所へ行き、彼女が刑務所内で襲われて片目を失う大怪我をしたことを知る。
カースティはメリットが担当したグレアム・フィンチの裁判で証言をするはずだったが、急にメリットの気が変わり、「証言はできない」と言い出したという。カースティが女性シェルターで出会ったフィンチの妻アンドレアの話をすれば、フィンチにとって不利になることは間違いなかった。
その後、メリットと取引していることが刑務所内で噂になり、カースティは命を狙われることに。メリットに助けを求めたが、「力になれない」と見捨てられたという。
だがカースティが襲われて重傷を負ったとき、メリットは病院に駆けつけていた。検察庁の汚職を疑った彼女は、記者のサム・ヘイグに連絡を取っていた。

4年前。メリットは記者のサム・ヘイグに会い、検察庁の腐敗を調べてほしいと頼む。後日、サムはメリットを呼び出し、2人はプリンスガーデンホテルに泊まって関係を持つ。
リース・パークの銃撃事件の容疑者が確保される。面通しを前に、再び事件現場に足を踏み入れたカールは、犯人の本当の目的は“警官殺し”であり、現場で刺殺されていたアーチー・アレンとアンダーソン巡査には接点があったのではないか、と考える。
4年前にメリットの捜査をしていたファーガス・ダンバーが襲われる。さらに、カールと待ち合わせをしていたジャスパーが不審な男に脅される。激怒したカールは公衆の面前で男を殴りつけ、その動画がSNSで拡散される。
ハーディはメリット失踪前後のニュースを調べ、法務長官スティーブン・バーンズの娘ジュリアが交通事故を起こした記事を見つける。そしてその事故をネタに、フィンチがスティーブンを脅していたのではないかと推測する。
ローズはジャスパーを脅した男が乗り込んだBMWの持ち主を突き止め、アクラムとともに会いに行く。アクラムは男を階段から突き落として骨折させ、拷問して雇い主を吐かせる。
カールは銃撃事件の容疑者の面通しに協力するが、別人だった。

スティーブンとフィンチが繋がっていると考えたカールは、それぞれのもとを訪ね関係を問いただすが、彼らは認めようとしない。フィンチの弁護士は、裁判に来ていたサム・ヘイグから、カースティが証言することを聞いたと話す。
スコットランド通信の記者で、サムの同僚だったデニス・パイパーから、ある動画が送られてくる。それは17歳のサムがゴッドヘイブン少年院である少年を殺しかけ、事情聴取を受けている様子を撮影したものだった。
デニスはサムの死後に彼のパソコンをハッキングし、映像を入手したという。さらに、サムは亡くなる前の数か月間、ゴッドヘイブン少年院に通って記事を書いていたらしい。
ハーディは退院し、自宅でリハビリを続けることに。ローズはサムの遺体を発見したポールの証言に疑問を抱き、クライミング施設を訪れる。
問い詰められたポールは、サムが亡くなる2日前、妻のクロエがホテル「スパイビー・エン」でサムと関係を持ったことを明かす。だがその日は、メリットがサムと「プリンスガーデンホテル」に泊まった日だった。
高圧室に監禁されているメリットは、化膿した歯の治療をしたいと訴えるが、彼女に届けられたのはペンチだった。ペンチで歯を抜いた後、メリットはそれを使って中からハッチの装置を壊す。
ハッチを開けた犯人の女は爆風で飛ばされ、気を失う。メリットは必死に逃げようとするが、高圧に慣れた体は思うように動かない。女が落とした携帯を拾って緊急通報するも、もうひとりの犯人の男に見つかり、顔面を蹴り飛ばされてしまう。

犯人の男は、意識を失ったメリットを再び高圧室に運ぶ。「心から愛してる」とメリットに告げ、彼女が身に着けていた形見のネックレスを奪う男。意識を取り戻したメリットはネックレスがないことに気づき、返してほしいと訴える。
12年前。メリットとハリーは一緒に島を出る計画を立て、メリットの母親の遺品であるダイヤの指輪を売って資金にしようとたくらむ。指輪を盗もうとするハリーを、メリットは「状況が悪化する」と言って止め、計画は白紙になる。
現在。犯人の男はメリットにネックレスを返し、「最後に俺たちが会ったのは葬式だった」と告げる。その一言で、ハリーの葬式を思い出すメリット。女は「お前が私の息子を殺した」と罵倒する。メリットは犯人がハリーの母アルサと、弟ライルだと気づく。だが高圧室の窓の向こうに現れたライルの顔は、サム・ヘイグだった。
カールとアクラムは、メリットが会った“サム・ヘイグ”が別人だと考え、ゴッドヘイブン少年院を訪れる。そこには少年時代のサムをよく知る教官テリーがいた。
テリーによると、サムは4年前、少年院での経験を執筆しようとしていたという。そして自分が17歳のときに殴った少年を捜していた。その少年は、ハリーの弟ライル・ジェニングスだった。

カールたちは、少年院で撮影されたライルの動画を見る。ライルは幼い頃、母アルサから日常的に虐待を受けていたことを語っていた。アルサはハリーとライルを自宅の敷地内にある高圧室に閉じ込め、そのまま放置するという罰を何度も与えていた。
ライルは10年前に出所し、精神病院へ移った後、行方がわからなくなっていた。ローズは“L・ジェニングス”という人物がフェリーで働いていたことを突き止める。
カニンガム巡査はアルサの家を訪ね、様子がおかしいことに気づく。ひそかに敷地内を調べた彼は、高圧室に閉じ込められているメリットを発見する。彼は、「メリットは海に落ちて死んだ」という4年前のライルの言葉を信じ、これまで隠ぺいに協力してきたのだった。驚いた巡査はライルを問い詰め、殴り殺されてしまう。
カールはウィリアムを呼び出し、12年前の夜に何があったか尋ねる。その夜、ウィリアムは1人で家にいた。泥棒に入ったのがハリーだとは気づかず、とっさにホッケーのスティックで彼の頭を殴った。
すぐにハリーだと気づいて事情を聞こうとしたが、そこへライルが現れ、ハリーが止めるまでウィリアムを殴り続けたのだった。ライルはハリーがメリットと一緒に島を出るつもりだと気づき、止めに来たのだ。ハリーはウィリアムを放置したまま、ライルを家に連れて帰る。
ウィリアムは、12年前に自分を襲ったのはハリーではなくライルであること、4年前に乗ったフェリーの上でライルを見たこと、あの鳥のロゴマークの帽子の男はライルであることをカールたちに伝える。
メリットが失踪する前に会っていたのは、記者サム・ヘイグになりすましたライルだった。ライルはサムの訪問を受けて彼になりすますことを思いつき、岩山で殺害。事故死に見えるよう遺体に細工し、岩山の上から落としたのだった。
高圧室の圧力は上昇していき、室内の温度は上がり続ける。ライルとアルサは圧力以外の電源を切り、メリットを置き去りにして逃げる準備をする。ライルは「罪を犯した者は罰を免れられない」というメリットの過去の言葉を彼女に言い残し、立ち去る。
カールとアクラムはモル島へ向かう。ハーディとローズはライルの少年院の記録を手に入れ、彼が同級生をストーキングしたり高圧室に閉じ込めたりしていたことを知る。彼の母アルサは、たびたび精神科に入院していた。
ハーディはライルの父クライヴが経営していた“ジョアバード・オーシャン・システムズ”についてネットで調べ、会社のロゴが例の鳥のロゴマークだと知る。
モル島に到着したカールとアクラムは、ジェニングス家の敷地内に「立ち入り禁止」と書かれた古い建物があることに気づき、その中を調べる。そしてカニンガム巡査の遺体と、高圧室に閉じ込められているメリットを発見する。
ハーディはカールに電話し、高圧室の扉を開ければメリットが死ぬ、と伝える。気圧の上昇を止めるため、カールは圧力を安定させるためのレバーを探す。
そこへライルが銃を持って現れ、カールを撃つ。倒れたカールにとどめをさそうとするライルだったが、メリットが叫んで気をそらさせ、アクラムが銃を奪ってライルを撃つ。
カールは負傷しながらもレバーを見つけ、高圧室の圧力を安定させることに成功。メリットは高圧担架で救出される。アルサはフェリーで島を脱出するが、船着き場で待ち伏せていた警察を見て、拳銃自殺を図る。
カールが治療を終えて帰宅すると、レイチェルがいた。また撃たれたと知って心配するジャスパーに、「久しぶりに警官の仕事をした」と話すカール。
3か月後。カールはスティーブンに会い、通報しない代わりに予算を倍にし、アクラムを警部に昇格させるよう脅す。
メリットは感謝を伝えるため警察署へ足を運び、地下にある特別捜査部のオフィスを訪ねるが、誰もいなかった。帰り際、カールとすれ違うが、メリットは彼に気づかない。
ハーディは杖をついて出勤する。モイラは彼に、「落ち着いたら見てほしいものがある」と告げる。

感想(ネタバレなし)

原作も映画も見ておらず、なんならその存在すら知らず、まったくなんの知識もなく見ました。かなり面白かったです。

スコット・フランク監督は、2020年に話題になったドラマ「クイーンズ・ギャンビット」の脚本と監督も手がけている方。どおりで…と納得です。刑事ドラマの王道を踏襲しつつ、キャラクターの深い心理描写を前面に押し出し、ユーモアと冷酷さを絶妙に対比させた見応えのある作品でした。

主演のマシュー・グードは、その冷たい魅力を最大限に発揮しながらも、ふとした瞬間に人間らしさを見せる演技が光っていました。アレクセイ・メンヴェロフは知性と静かな存在感で、アクラムという謎めいたキャラクターの知的な落ち着きをみごとに表現していました。

不機嫌な男が率いる未解決事件専門の部署

主人公は、エディンバラ警察に所属する主任警部カール・マーク。短気で皮肉屋な彼は、誰に対しても辛辣な態度を崩さない“不愉快”な人物。

周囲との折り合いも悪く、過去の銃撃事件による精神的な傷も抱えています。そんなカールが配属(ほぼ左遷)されたのが、未解決事件を扱う新設部署。

しかし、部下も予算もほぼゼロ。与えられたオフィスは警察署の地下にある薄暗い元シャワー室で、なんとむき出しの便器が並んでいる!

最初はこの仕事に乗り気ではなく、適当にやりすごそうとしていたカール。けれど、シリア出身の亡命者アクラム・サリムとの出会いが、カールの視点を変えていくことになります。

メリット・リンガード失踪事件

カールたちが捜査するのは、4年前に失踪した検事メリット・リンガードの事件。メリットは優秀な検事でありながら敵が多く、服役中の犯罪者カースティ、かつての恋人リアム、汚職疑惑のある上司スティーブンといった人物たちが浮上します。

カールとアクラムが事件を追う中で、わたしたち視聴者には、メリットが謎の金属製の密室に監禁されていることが知らされ、彼女の過去が明らかになっていきます。捜査とメリットの物語が交差し、真相へと迫っていく展開は、とてもスリリングでドキドキしました。

計算された映像美 × 緻密なキャラクター描写

単なる未解決事件の捜査だけではなく、登場人物の複雑な人間関係と心理的な葛藤を緻密に描いている点も良かったです。特にカールは、最初こそ典型的な「嫌な刑事」だけど、物語が進むにつれ彼の孤独や不器用な人間関係が見えてきて、しだいに心をつかまれていくんですよね。

カールとアクラムの関係が少しずつ変化していくところも見どころのひとつ。短気で皮肉屋のカールとは対照的に、アクラムは冷静で論理的なキャラクターとして描かれます。シリアからの亡命者という謎めいた背景も、彼の魅力を引き立てていました。

映像美も秀逸でした。エディンバラの霧がかった街並み、陰鬱な色調、薄暗い地下室の雰囲気は、北欧ミステリーの持つ冷たさをうまく継承していたように思います。スコットランドの壮大な風景と密室の閉塞感が交互に使われることで、視覚的にも緊張感が高まる構成になっていました。

長すぎる

ひとつ気になるとすれば、全9話(7時間超)というボリュームでしょうか。ミステリーとしての緊張感を維持するには、もう少しコンパクトな脚本のほうが良かったかも。

捜査以外のカールのプライベートな部分(ジャスパー、マーティン、レイチェルとの関係)があまり進展しないので、見る人によってはまどろっこしく感じてしまうかもしれません。個人的には途中で飽きることはなかったし、捜査以外の部分も楽しめました。

また、原作・映画ファンにとっては、舞台がデンマークからスコットランドに変わったことが違和感を生む可能性も。

シーズン2の可能性は?

2025年6月13日時点では、シーズン2の情報は正式には発表されていません。

ただ、Netflixが本作をエミー賞の「ドラマシリーズ部門」にエントリーしているので、続編制作の可能性は高そうです。主演のマシュー・グードをはじめ、キャスト陣も続編に前向きな姿勢を示しているそう。

原作も既刊がたくさんあるし、ぜひシリーズ化してほしいです。続きが見たい。

ロケ地について

本作はスコットランドの首都エディンバラを中心に、周辺地域やロンドンでも撮影が行われました。

エディンバラは、火山丘陵にそびえる壮麗な建築とドラマチックな景観が特徴の街です。中世の趣を残す旧市街と、ジョージ王朝様式の優雅な新市街に分かれ、いずれもユネスコ世界遺産に登録されています。

ロケ地は以下のとおり。

ロイヤル・マイル
エディンバラ城とホリールード宮殿をつなぐ約1.6kmの石畳の通り。歴史的な建物やパブ、ショップが並び、街の中心的な観光エリアです。

エディンバラ市庁舎
ロイヤル・マイルに位置し、セント・ジャイルズ大聖堂の真向かいにあります。ドラマではフィンチの裁判が行われた場所であり、カールが法務長官スティーブン・バーンズと会った場所。

モートンホール火葬場の礼拝堂
エディンバラ市内にあります。ドラマでは、カールが前任者ファーガス・ダンバーに会うため訪れています。

ダブルツリー バイ ヒルトン エディンバラ – クイーンズフェリー クロッシング
ドラマでは「プリンスガーデンホテル」として使用されました。メリットが密会場所に使っていたホテルです。

エディンバラ・インターナショナル・クライミング・アリーナ
ヨーロッパ最大の屋内クライミングアリーナです。サム・ヘイグが通っていたクライミング施設として使用されました。

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