Netflixで配信中のドラマ「今際の国のアリス」シーズン2(全8話)についてまとめました。
異世界に迷い込んだ青年アリスが、仲間たちと命懸けの〝GAME〟に挑むサバイバルアクションドラマの第2シーズン。IMDbの評価は7.7(2024年6月1日現在)。シーズン3の制作も決定しています。
3年ぶりにNetflixに加入して、遅ればせながらシーズン2を見ました。NEXT STAGEもすごかったです。あっという間に見終わりました(余韻に浸った後、また最初から見直した)。
ゲームの緊張感や映像の迫力に目を奪われながらも、登場人物たちの選択や葛藤に、ふと自分自身の価値観を重ねてしまう瞬間が何度もありました。
▼シーズン1はこちら

Contents
作品概要
- 製作国:日本(2022年)
- 原作:原作:麻生羽呂『今際の国のアリス』
- 脚本:佐藤信介/渡部辰城/倉光泰子
- 監督:監督:佐藤信介(「GANTZ」「いぬやしき」「キングダム」)
- 音楽:やまだ豊(「キングダム」「幽☆遊☆白書」)
あらすじ
渋谷スクランブル交差点でネクストステージが始まるのを待つアリス、ウサギ、クイナ、チシヤの4人。だが、1時間以上経っても何かが始まる気配さえない。
Netflix公式サイトより
予告動画
原作について
このドラマの原作は、麻生羽呂氏の漫画『今際の国のアリス』(全18巻)です。
2010年から2016年まで「週刊少年サンデーS」「週刊少年サンデー」にて連載されました。その後、2020年から2021年にかけて「今際の国のアリスRETRY」(全2巻)が刊行されています。
登場人物(キャスト)
※シーズン1のネタバレを含みます
主要人物
有栖良平(アリス)/山﨑賢人
数学が得意なニート青年。社会的地位のある父、優秀な弟と3人暮らし。大学を中退し、屈託を抱えながら家でゲームばかりしていたが、ある日突然異次元に迷い込む。ゲーム【かくれんぼ】で親友のカルベとチョータを失い、絶望的な状況に陥るが、2人のためにも生きて「今際の国」の謎を解明しようと奔走する。
宇佐木柚葉(ウサギ)/土屋太鳳
アリスがゲーム【おにごっこ】で出会ったロッククライマー。身体能力が高く、サバイバル術にも長けている。生きる希望を失ったアリスを救い、アリスとともに元の世界に戻る方法を探す。敬愛する登山家の父親が山で行方不明になっており、心に傷を抱えている。
苣屋駿太郎(チシヤ)/村上虹郎
アリスが2度目のゲーム【おにごっこ】で出会った青年。頭脳明晰で冷酷なエゴイスト。人の命に価値を見出せず、自身が生き残ることにも執着していないため、大胆な駆け引きと戦略でゲームに勝ち続ける。〈ビーチ〉では自分の目的を果たすためにアリスを利用して裏切った。
水鶏光(クイナ)/朝比奈彩
アリスが〈ビーチ〉で出会った関西弁の女性。病気の母親のためにもとの世界に戻ろうとしている。生物学的には男性で、少年時代に空手家の父親と喧嘩して家を出た。〈ビーチ〉崩壊後はアリスたちと行動をともにし、ネクストステージに挑む。
元〈ビーチ〉のメンバー
安梨鶴奈(アン)/三吉彩花
警視庁鑑識課に所属する鑑識官。〈ビーチ〉崩壊後のネクストステージでアリスたちを助けるも、途中ではぐれてしまう。その後は単独で行動し、「今際の国」の謎を解くために東京を離れる。
韮木傑(ニラギ)/桜田通
常にマシンガンを持ち歩く粗暴な男。学生時代にひどいイジメを受けた経験があり、夢や希望を信じていない。【まじょがり】でアグニとともに火の中に消えるも、再びアリスたちの前に姿を表す。
粟国杜園(アグニ)/青柳翔
アリスが2度目のゲーム【おにごっこ】で出会った自衛官。〈ビーチ〉では武闘派を率いるボスだった。親友のボーシヤを殺した罪悪感に耐えられず、〈ビーチ〉と心中しようとして大勢の人を虐殺した。その後、ニラギとともに火の中に消え、行方不明になっている。
弾間剛(ボーシヤ)/金子ノブアキ
〈ビーチ〉の創設者にして支配者。元の世界では歌舞伎町でホストをしていたが、その後、父親の帽子屋を継いだ。〈ビーチ〉で逆らう者を躊躇なく殺すなど暴走し、親友のアグニによって銃殺された。
九頭龍慧一(クズリュウ)/阿部力
〈ビーチ〉のナンバー2。元の世界では企業弁護士だった。
加納未来(ミラ)/仲里依紗
謎めいた女性。〈ビーチ〉の幹部だったが【まじょがり】が終わると姿を消し、特別国民放送でアリスたちに「NEXT STAGE」の開催を告げた。
そのほか
久間欣治(キューマ)/ 山下智久
クラブのキングを名乗る国民。ヌーディスト。元の世界ではミュージシャンだった。バンド仲間のシタラ、マキ、ゴーケン、ウタの4人とともにゲーム【すうとり】でアリスたちと対決する。
竜田康大(タツタ)/渡辺佑太朗
アリスが2度目のゲームで出会った青年。その後〈ビーチ〉で再会した。元の世界では自動車の整備工として働いており、車が大好き。〈ビーチ〉崩壊後はアリスたちと行動をともにし、ゲーム【すうとり】に挑む。
矢場旺希(ヤバ)/毎熊克哉
ゲーム【どくぼう】の参加者。傲慢で利己的なサディスト。
盤田素那斗(バンダ)/磯村勇斗
ゲーム【どくぼう】の参加者。元の世界では死刑囚だった。
松下苑治(マツシタ)/井之脇海
ゲーム【どくぼう】の参加者。バンダと行動をともにする陰気な男。
塀谷朱音(ヘイヤ)/恒松祐里
冷めた女子高生。元の世界では弓道部員で、今際の国ではアーチェリーを武器として使いこなす。最初に参加したゲーム【かまゆで】でただ1人生き残るも、片足を失う。
稚羅日勲(シーラビ)/谷田歩
神出鬼没のスペードのキング。対戦車用のライフルを使ってプレイヤーを無差別に撃ち殺す。元の世界では傭兵だった。
リサ/山本千尋
スペードのクイーンを名乗る国民。アリスたちにゲーム【ちぇっくめいと】を仕掛ける。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
アリス(山﨑賢人)とウサギ(土屋太鳳)、クイナ(朝比奈彩)、チシヤ(村上虹郎)の4人は、渋谷スクランブル交差点でネクストステージが始まるのを待つが、いっこうに始まる気配がない。〈ビーチ〉で生き残った人々も、ネクストステージが始まると聞いて渋谷に集まってくる。
そのとき突然銃声が鳴り響き、ライフルを持った男がその場にいた人々をつぎつぎと撃ち殺す。上空には「スペードのキング」を掲げた飛行船が現れる。何の説明もなく始まったゲームに戸惑いつつ、必死にスペードのキング(谷田歩)から逃げるアリスたち。
アリスとウサギ、クイナの3人はアン(三吉彩花)とタッタ(渡辺佑太朗)に助けられるが、チシヤとはぐれてしまう。さらに逃げる途中でアンともはぐれ、4人はビルの中に身を隠す。
アリスはトランプの絵柄ごとに1人ずつゲームマスターが配置されていて、全員倒せばネクストステージをクリアできるのではないかと推測する。
死んでいった親友カルベ(町田啓太)とチョータ(森永悠希)を思い出し、「必ず元の世界に戻る」と決意を新たにするアリス。だがそんなアリスに対し、ウサギは敬愛する父親を失った悲しみから、元の世界には戻りたくないと苦しい胸の内を明かす。
アリスはウサギを慰めようと共感を示すが、「そんな簡単にわかるわけない」とウサギに拒まれ、2人の関係はぎこちなくなってしまう。
翌朝、ビルの屋上に上がったアリスは、上空にそれぞれの絵札を掲げた飛行船が浮かんでいるのを見て、スペードのキングから逃げるために別のゲームに参加することを思いつく。
ほかの3人も同意し、アリスたちは「クラブのキング」がいる港へと向かう。だがそこで待っていたのは、〈ビーチ〉で死んだと思われたニラギ(桜田通)だった。エントリーの人数を満たすため、しかたなくニラギを受け入れるアリスたち。
ゲーム会場となっているコンテナ迷路の中から、クラブのキングを名乗る全裸の男キューマ(山下智久)が姿を現し、「俺たちはこの国の国民だ」と告げる。
キューマと4人のメンバーは、元の世界ではバンド仲間だった。絵札のゲームはすべて〝国民〟との生死を賭けた対戦ゲームだというキューマ。そしてアリスたちに、自分たちが作ったゲーム【すうとり】の説明をする。
会場は港に設置されたコンテナ迷路で、まず両チームに1万点ずつ与えられる。その点数を1人ずつに振り分け、「バトル」「アイテム」「じんち」の3つでポイントを奪い合う。制限時間2時間を超えた時点で点数が多いチームがゲームクリアとなり、敗北したチームは死ぬ。
アリスは「全てのゲームをクリアしたら、元の世界に戻れるのか?」と尋ねるが、キューマは答えをはぐらかし、「真実が知りたければ、まずは俺と真剣勝負しろ」と言う。
アリスたちは2人1組になって戦い、順調に点数を稼いでいく。そして6000点のリードを奪う。キューマたちは一発逆転を狙ってタッタが1人で守る「じんち」を襲い、シタラの命と引き換えに大量の点数を獲得する。
残り30分の時点で、アリスたちは1万2000点のリードを奪われてしまう。窮地に陥ったアリスたちは、相手の「じんち」を攻める作戦を実行する。ニラギは1万点獲得に成功するがクイナが失敗し、残り20分で3000点のリードを許す結果に。
ゲームの負けを覚悟したニラギとクイナはその場を離れ、ウサギは最後まで諦めたくないと「アイテム」を探しに行く。自棄になったニラギはウサギを襲おうとする。
制限時間まで残り10分となり、アリスはタッタに「おまえのおかげで元気づけられた」と感謝の言葉を告げ、敵の「じんち」へ向かう。
元の世界にいた頃、タッタは自動車の整備工場で働いていた。先輩の加藤から毎日きつく注意されるも、反省もせずふてくされてばかりいた。ある日、タッタの不手際から事故が起き、加藤は大怪我を負って仕事ができなくなってしまう。それ以来、上司や同僚から距離を置かれるようになっていた。
残り時間9分。アリスはニラギに襲われそうになっていたウサギを助ける。そして岸壁へ向かい、キューマと2人きりで話す。キューマの言葉で相手を思いやる気持ちが大切だと気付かされたアリスは、感謝の気持ちを伝えるため最後に握手したいと言う。
キューマは快く引き受け、アリスと握手する。だがその瞬間、キューマの持ち点は減り、アリスたちが500点リードする。不思議がるキューマに、アリスはタッタの腕輪を見せる。
キューマと会う前、アリスはタッタから「腕輪を外して隠し持ち、バトルを仕掛ける」作戦を打ち明けられていた。タッタは腕輪を外すためにコンテナの扉で手首を切断しようとし、アリスに協力を頼む。当初は「できない」と断ったアリスだったが、みんなを助けるためだというタッタの言葉に逆らえず、彼の手首を切断したのだった。
アリスがタッタの腕輪を持つことで、自分の点数に彼の持ち点1万100点が加わり、アリスはキューマに勝つことができたのだ。
ゲームに負けたキューマは、「生きる意味が見つかることを心から願う」とアリスに告げて死ぬ。アリスはタッタのもとへ戻るが、タッタは出血多量で息を引き取る。ニラギはタッタの墓に礼を言い、どこへともなく立ち去る。
一方、アリスたちとはぐれたチシヤは、ひとりでゲーム【どくぼう】に参加していた。ゲーム会場は刑務所で、参加者は20人。1時間ごとに、自分の首輪の後ろに現れたマークを当てるというゲームだった。
正しいマークが答えられなければゲームオーバーとなり、制限時間が0になった時点で首輪が爆発して死亡。参加者の中に潜んでいる「ハートのジャック」がゲームオーバーになるまで続けられるという。
参加者たちはいくつかのグループに分かれ、それぞれ首輪の後ろのマークを教え合うという方法を取るが、何度か繰り返されるうちに疑心暗鬼に陥るようになり、信頼関係が崩れていく。
自信家のヤバ(毎熊克哉)はコトコ(さとうほなみ)を支配下に置くことで服従関係を築き、謎めいた青年バンダ(磯村勇斗)は陰気で卑屈な青年マツシタ(井之脇海)とペアを組む。チシヤは優しい性格のイッペイ(森優作)とペアを組むが、イッペイは裏切り行為によって次々と死んでいく参加者を見て耐えられなくなり、自ら死を選ぶ。
残ったのはチシヤ、バンダ、マツシタ、ヤバ、コトコの5人。ペアがいなくなったチシヤは窮地に立たされる。
チシヤはマツシタに声をかけ、バンダは有名な連続殺人鬼だと教える。そして彼こそがハートのジャックであり、ジャックに嘘を教えられるのは君だけだと諭す。だがマツシタはチシヤを信用せず、嘘のマークを教える。
コトコはヤバに、マツシタはバンダに、それぞれ嘘のマークを教える。チシヤはマツシタの答えが嘘だと見抜き、最後は勘でマークを推測する。マツシタは勝利を確信するが、チシヤとバンダ、ヤバの3人は生き残っていた。
チシヤはマツシタが「ハートのジャック」だと考え、彼の行動を観察していた。そして彼が密かにコトコと繋がっていることに気づいた。ヤバとバンダは互いに相手を「信頼に足る対等なパートナー」だと確信し、手を組んでいたのだった。
ヤバとバンダはこの国の秘密を聞き出すため、マツシタを拷問にかける。だがマツシタは耐えきれず、わざとマークを間違えて死を選ぶ。ゲームに勝利したチシヤは刑務所を後にする。
クイナはアンとチシヤを捜すため、アリスたちと別行動を取ることを決める。再び2人になったアリスとウサギは、狩りの途中で「スペードのキング」に襲われた集落に遭遇。亀山海斗(松澤匠)という男が撮影した8ミリフィルムを見つける。
そこには、小さい頃に脳の手術をしたという女性が映っており、彼女は誰も覚えていない「ある光景」を覚えていると語っていた。それは、この世界に来る前に空に打ち上がった〝花火〟に関することだという。
だがスペードのキングの襲来により、彼女の証言は途切れてしまっていた。撮影した海斗を含め、集落の人々はひとり残らず撃ち殺された。
アリスとウサギもスペードのキングに襲われ、森の中に逃げ込む。アリスはウサギを助けるために囮になり、キングを引き付ける。狙い撃ちされそうになったアリスを救ったのは、弓を手にした少女と、〈ビーチ〉で死んだと思われたアグニ(青柳翔)だった。
死に場所を探すアグニは「スペードのキング」を仕留めることに没頭していた。アグニを慕うヘイヤ(恒松祐里)は、元の世界では高校生だった。浮気の末に事故死した母親を憎み、投げやりな人生を送っていた。
ヘイヤはこの世界に来て初めてのゲーム【かまゆで】で左足を負傷した。壊疽が進んだため、医師に体を売って切断手術を受け、現在は義足をつけて生き延びていた。
アグニの作戦により、スペードのキングに罠を張るアリスたち。だが防弾ベストを身に着けたキングは被弾しても死なず、激しい撃ち合いになる。アリスは爆発の衝撃で谷川に落ちてしまう。
ウサギはある民家でノゾミ(柳生みゆ)とコウタ(太田琉星)に出会う。生きる希望を見失っているコウタに、「両親は生きてほしいと願っているはず」と言うノゾミ。ウサギはコウタに自分を重ね、父の言葉を思い出す。
コウタを説得したウサギは、一緒にスペードのクイーンが開催するゲーム【ちぇっくめいと】に参加し、そこでアリスと再会する。
【ちぇっくめいと】はクイーンチーム4人と挑戦者チーム16人からスタートし、各チームのターン5分間の間に相手チームの背中のボタンを押して自チームに引き込み、最終的に人数の多かったチームが勝利するというものだった。
クイーンチームに捕まった挑戦者たちは、「クイーンチームが勝てば生き残れる。ここにいれば他のGAMEに参加しなくてもいい」という誘惑に負け、挑戦者チームを妨害し始める。
挑戦者チームはアリスとウサギとコウタの3人だけになってしまう。スペードのクイーンを名乗るリサ(山本千尋)は勝利を確信し、アリスをチームに引き込もうとするが、ウサギが立ちはだかる。
アリスとコウタを守るため、必死にリサに食らいつくウサギ。そんなウサギを偽善者だと罵るリサ。アリスとウサギは「一緒に元の世界に帰ろう」と寝返った挑戦者たちの心を揺さぶり、最終ターンまでに3人取り戻す。
アリスたちの作戦が成功し、最終ターンで挑戦者チームが反撃、クイーンチームに勝利してゲームをクリアする。アリスはリサたち「国民」がもともとはプレイヤーで、この国にとどまることを選んだのではないかと推測するが、リサは「全てのゲームをクリアしたときにだけ、その答えがわかる」と言い残して死ぬ。
単独行動を続けるチシヤは、最高裁判所を舞台に行われるゲーム【てんびん】に参加する。そこに登場したダイヤのキングは、かつて〈ビーチ〉でナンバー2の座にいたクズリュウ(阿部力)だった。
【てんびん】の参加者は全員で5人。それぞれ好きな数字を一つ選び、全員が選んだ数字の平均値の0.8倍に一番近い数字を選んでいた者が勝者。それ以外の者はマイナス1ポイントとなり、マイナス10ポイントになった者はゲームオーバー。最後まで生き残った1人のみがゲームクリア。
1回戦、2回戦もクズリュウが勝利し、ゲームを重ねれば重ねるほど数字が小さくなっていく。だがチシヤが100を選んだことで予想が狂い始める。チシヤとクズリュウを除く3人がゲームオーバーとなり、硫酸をかぶって死ぬ。
元の世界で優秀な弁護士だったクズリュウは、法の下では誰もが平等だと思っていた。だがそれは理想論にすぎず、現実世界で平等や公平などという言葉は通用しなかった。
「救われる命とそうじゃない命の差がわからない」というクズリュウに、チシヤは「結局すべては金で動く」と答える。
チシヤは元の世界で医師として働いていた頃のことを思い出す。院長の知り合いの孫だという理由で移植が優先され、代わりに死んでしまった子供のこと。それを「仕事」と割り切り、何度も目をつぶってきたこと。
チシヤは「この命に生きる価値があるか決めてくれ」と、クズリュウに選択を委ねる。クズリュウの脳裏に、これまで今際の国で出会ってきた人たちの姿が浮かぶ。クズリュウは「命の価値を自分では決めない」という答えを出し、チシヤを生かすことを決める。
クズリュウの死を見届け、チシヤは会場を後にする。
ゲーム【たーげっと】で再会したクイナとアンは、協力してゲームを勝ち抜いていく。アリスは植物に覆われ変わり果てた渋谷スクランブル交差点へ行き、チシヤとニラギに遭遇する。
ニラギはチシヤを撃ち、「最後に殺し合いのゲームをやろう」と持ちかけるが、アリスは放棄する。そこへウサギが現れ、チシヤはウサギをかばってニラギの銃弾を受ける。アリスはニラギを撃つ。
チシヤはこれまで真面目な人間をバカにしていたこと、善意を疎ましく思っていたことをアリスに打ち明け、だが本当は自分にないものを持っている連中が羨ましかったと告げる。
スペードのキングが渋谷に現れ、アリスとウサギは逃げてきたクイナとアン、キングを追ってきたアグニたちと合流する。アリスはチシヤが作った爆弾でドラッグストアを爆発させ、キングを仕留める計画を立る。
アリスがドラッグストアへ行き、スプレーを充満させている間に、ほかのメンバーはキングを路地に誘い込んで死闘を繰り広げる。ヘイヤはアグニを守ろうとしてキングの銃弾を浴び、アンも撃たれてしまう。ウサギは両足を刺され、クイナもめった刺しにされる。
アリスはキングをドラッグストアに誘導し、アグニがキングに体当りして店内に押し込む。アリスとアグニは窓を突き破って脱出し、アリスは店の中に爆弾を投げ込んで爆発を起こす。
アグニは瓦礫の中から瀕死のキングを見つける。キングはかつて瀕死の仲間にとどめをさした過去を思い出し、「あんなふうにしか救ってやれなかった。すまなかった」と謝る。アグニは差し出された銃を受け取り、キングを撃つ。アグニは拳銃自殺を図ろうとするが、ボーシヤの幻が現れたことで思いとどまる。
アリスは怪我をしたウサギと一緒に「ハートのクイーン」が待つ最後のゲームへと向かう。ビルの屋上で2人を待っていたのはミラ(仲里依紗)だった。
ミラが仕掛ける最後のゲームは【クロッケー】。クロッケーを3セット、途中棄権せずにやり終えることができれば、たとえゲームに勝たなくてもゲームクリアだという。
アリスは重傷を負っているウサギのために、早くゲームを終わらせようとするが、ミラはわざとゲームを引き伸ばすばかりか、途中で中断してお茶を飲もうと言い出す。
アリスは元の世界に戻る方法をミラから聞き出そうとするが、彼女は答えをはぐらかし、「この世界は仮想現実で、あなたたちはゲームに没入してそれを忘れてる」と言ったり、「異星人が人間を捕獲して記憶を抹消し、数々のゲームに放り込んで行動実験を行っている」と言ったり、「核戦争で地上は人が住めない場所になり、地下に住む大富豪たちが人工記憶を持つアンドロイドに地上でゲームをさせて賭け事にしている」などと嘘をついて、アリスをもてあそぶ。
さらに、ミラはアリスがカルベとチョータを失ったゲーム【かくれんぼ】を作ったことを告白。怒りに駆られて銃を手にするアリスだったが、ミラの挑発に乗るまいと必死に耐える。
そんなアリスに、ミラは「この世界は現実ではなく幻覚」だと告げる。現実世界でカルベとチョータを亡くしたアリスは、ショックで記憶を失ったのだという。そしてミラはアリスの主治医であり、ウサギは彼女の患者のひとりだという。
ミラの言葉を信じたアリスは絶望し、生きる希望を失って幻覚の中に取り込まれてしまう。そしてミラに言われるがまま、ゲームを途中棄権しようとする。
ウサギはアリスの目を覚まさせるため、自らの手首を切る。そして「戻ってきて。生きる意味なんてあってもなくてもいい。ずっと迷いながら一緒に歩いてきたじゃない」と訴える。
正気を取り戻したアリスはウサギとともに生きることを選び、ゲームを続けることを宣言する。2人の姿に感動したミラは素直にゲームをやり遂げ、レーザーで撃ち抜かれて死ぬ。
すべてのゲームが終了し、空に大量の花火が打ち上がる。そして生き残ったプレイヤー全員に、「この国の国民となる永住権を手にするか、手にしないか」の2つの選択権が与えられる。
アグニとヘイヤは「手にしない」と答える。クイナも「手にしない」と答え、倒れているアンの手を握って「一緒に帰ろう」とつぶやく。チシヤとニラギも「手にしない」と告げる。アリスとウサギも永住権を放棄する。
あの日の渋谷スクランブル交差点。アリスはカルベとチョータを呼び出して会っていた。その近くにはウサギ、チシヤ、クイナ、ニラギ、アグニとボーシヤ、タッタ、アン、ヘイヤもいた。
花火が打ち上がった直後、空から隕石が落下し、渋谷の街は一瞬で吹き飛ぶ。アリスは路上で倒れているところをレスキュー隊に発見され、病院に搬送される。
カルベとチョータが死に、自分だけが生き残ったことに苦しむアリス。見舞いに来た弟によると、アリスは1分間だけ心肺停止状態だったらしい。それを聞いて「どこか遠いところに行ってたみたいな気がする」とつぶやくアリス。
チシヤとニラギもまた心肺停止から蘇生し、隣同士のベッドで寝ていた。左足を失ったヘイヤは、集中治療室にいるアグニを見て自分も頑張ろうと決意する。手術室ではアンの心肺蘇生が行われ、一命を取り留める。クイナは病院で両親と再会し、疎遠だった父親と和解する。
アリスは病院の自販機の前でウサギと会い、「どこかで会ったことありましたっけ」と声をかけるが、ウサギは「さあ」と答えるだけだった。どうしても彼女が気になるアリスは中庭の散歩に誘い、ウサギは笑顔でそれに応える。