いりびと-異邦人- |全話ネタバレ・感想・登場人物/キャスト

WOWOW「いりびと-異邦人-」あらすじキャスト

WOWOWの連続ドラマ「いりびと-異邦人- 」(全5話)についてまとめました。

美術界を舞台に、無名画家の出生の秘密や天才画家の死の真相を追う中で、人々の思惑が交錯するアートミステリードラマ。美術館の副館長で、類まれなる審美眼を持つ主人公を高畑充希さんが演じます。

原作は原田マハさんの美術小説「異邦人(いりびと)」。美しい京都の情景や幻想的な演出、モネの「睡蓮」など数々の名画がフィーチャーされる点も見どころ。

作品概要

  • 放送局:WOWOWプライム
  • 放送時間:2021年11月28日(日)から毎週日曜22:00~ほか
  • 原作:原田マハ「異邦人(いりびと)」
  • 脚本:関久代
  • 監督:萩原健太郎(「サヨナラまでの30分」「東京喰種 トーキョーグール」)
  • 音楽:audioforce

あらすじ

篁菜穂(高畑充希)は熱心な美術収集家で私設美術館まで設立した祖父から受け継いだ美術館の副館長を務めていた。夫・一輝(風間俊介)もまた銀座にある画廊の3代目だったが、彼がどんなに努力しても敵わない慧眼を菜穂は持っており、美術の世界に没頭する妻を愛しながらも時にその才能に嫉妬する。
身重の菜穂は、東京の喧騒を避け京都に長期滞在する中、ある1枚の絵に遭遇する。“青葉”を描いたその作品の作者は、言葉を発することのできない白根樹(SUMIRE)という無名の画家だった。その絵に吸い込まれるように強烈に惹かれた菜穂は、樹が京都画壇で影響力を持つ日本画家・志村照山(松重豊)によって自由を奪われていることを知り、声なき訴えを確信する。照山もまた、養女であり弟子の樹の才能を脅威に感じていた。樹の絵を追ううちに菜穂は、美の住人たちの欲望が交錯する世界へと誘われてゆき、運命を変えるようなある真実にたどり着く……。

WOWOW公式サイトより

原作について

このドラマの原作は、原田マハさんの小説『異邦人(いりびと)』(2015年刊行)です。

京都の四季を背景に、若き画家の才能をめぐる人々の「業」を描いた衝撃作。第6回京都本大賞を受賞。

登場人物(キャスト)

篁菜穂(高畑充希)
〈有吉美術館〉の副館長。美術収集家だった祖父から受け継いだ類まれな審美眼をもつ。妊娠中のため東京を離れ、京都に逗留している。夫・一輝と離れた生活を送る中、無名の新人画家・白根樹と運命的な出会いを果たす。

篁一輝(風間俊介)
菜穂の夫。〈たかむら画廊〉の三代目。社長である父・智昭を支え、実質的な経営を担う。妻・菜穂を愛すると同時に彼女の才能に嫉妬している。父が騙されたことで会社が倒産の危機に陥り、義母・克子に禁断の接近を試みる。

志村照山(松重豊)
京都画壇の大家。コンプレックスに苛まれる歪んだ精神の持ち主。樹の父・多川鳳声とは親友でありライバルでもあった。天涯孤独となった樹を引き取り養女として育てながらも、彼女の才能に嫉妬し、絵を封じ込める。

白根樹(SUMIRE)
志村照山の弟子。無名の新人だが才能に溢れ、その作品は一瞬で菜穂の心を奪う。照山の監視下におかれ、心身ともに自由を奪われている。父親は京都画壇の新星と謳われた多川鳳声。父の死にまつわる17年前の出来事がきっかけで、発声障害を患っている。

鷹野せん(梶芽衣子)
高名な書家。菜穂の祖父・喜三郎が書を習っていた縁から、身重の菜穂を預かることに。菜穂の心の師となり、静かに見守る。

美濃山俊吾(松尾貴史)
京都にある〈美のやま画廊〉の主人。白根樹の才能に目をつけている。樹に近づこうとする菜穂に難色を示す。

木戸正文(マキタスポーツ)
西陽新聞芸術部の記者。京都画壇に精通しており、菜穂も共感する感性の持ち主。樹に興味を持つ菜穂に深入りするなと忠告しつつ、有益な情報をもたらす。

有吉克子(森口瑤子)
菜穂の母。〈有吉美術館〉の館長。身重の菜穂を思い、京都で養生させることを決める。菜穂の夫・一輝とは取引相手として長年の付き合いで、あやしい秋波を送っている。

篁智昭(菅原大吉)
一輝の父。〈たかむら画廊〉の二代目。モネの「睡蓮」に関する大きな取引をまとめるが、ビジネスパートナーに裏切られ5億円を失ってしまう。画廊経営最大の危機を招き、息子・一輝の運命を狂わせることに。

立野政志(木場勝己)
〈タツノグループ〉の総裁。関西財界の大立者であり、日本屈指のコレクションを誇る立志堂美術館の創設者でもある。菜穂の祖父・喜三郎と付き合いがあった。

瀬島美幸(壮一帆)
鷹野せんの書道教室の生徒。老舗の香木店に嫁いでいる。菜穂の京都での良き友人となり、京都の習わしなどをさりげなく教える。

亀岡朝子(宮田圭子)
せんの家のお手伝い。長年鷹野家に仕え、訪れる客人たちをあたたかく迎え入れる。

財津有子(白羽ゆり)
たかむら画廊の社員。画廊で働く喜びを感じるも、ビジネスライクに割り切る一輝に対し、時に疑問を感じる。

有吉喜三郎(康すおん)
有吉美術館の創設者であり、菜穂の祖父。菜穂の透徹の審美眼にいち早く気付く。

多川鳳声(二階堂智)
天才と謳われた日本画家。樹の父親。48歳のとき不可解な死を遂げている。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

〈有吉美術館〉の副館長であり、〈たかむら画廊〉の三代目・篁一輝(風間俊介)の妻でもある篁菜穂(高畑充希)は、母・克子(森口瑤子)の勧めで京都に長逗留していた。
菜穂は一輝との子供を身ごもっていたため、東京の喧騒を避けた方がいいという母の計らいだったが、菜穂は慣れない地で異邦人のような心地に陥る。夫の一輝はそんな菜穂を気遣い、仕事の合間を縫って京都に通っていた。
ある日、菜穂は一輝と訪れた美術館でひとりの女性を見かけ、なぜか目を奪われてしまう。後日、菜穂は5年前に志村照山(松重豊)の絵を衝動買いした〈美のやま画廊〉を訪ね、部屋の奥に飾られていた一枚の無名画家の絵に心を打たれる。
菜穂は画廊の主人・美濃山俊吾(松尾貴史)に無理を言い、100万円でその絵を購入する。西陽新聞芸術部の記者・木戸正文(マキタスポーツ)は、絵の作者が照山の弟子・白根樹(SUMIRE)だと教え、「ここから先は入れ込まないほうがいい」と忠告する。
一方、一輝の父で〈たかむら画廊〉の社長である篁智昭(菅原大吉)は、ニューヨークのコレクターからモネの「睡蓮」を購入し、香港の資産家に売ろうとしていたが、ビジネスパートナーに騙され手付金の5億を失ってしまう。智昭は倒産を避けるため、〈有吉美術館〉が所有する「睡蓮」を穴埋めの売買に利用しようと考え、一輝に菜穂を説得してほしいと頼む。
だが一輝は菜穂に言い出すことができず、菜穂よりも長い付き合いの義母・有吉克子(森口瑤子)に掛け合うことを決める。
菜穂は再び〈美のやま画廊〉を訪れ、そこで志村照山と白根樹に会う。樹は菜穂が美術館で見かけた女性だった。彼女は発声障害を患っていたが、それは17年前に遭遇した事件が原因だった。
何も知らない菜穂は、樹に「アトリエを見せて欲しい」とメールを送る。樹は照山に怯えながらも、必死に「助けてください」と返信する。

樹から助けを求めるメッセージを受け取った菜穂は、美濃山に相談する。だが画壇のしきたりを重んじる美濃山は、師匠である照山を通さずに樹と会うのはよくないと戒める。
記者の木戸は「深入りするな」と菜穂に忠告しつつも、樹と照山の因縁について明かす。樹の父・多川鳳声は京都画壇に彗星のごとく現れた新星だったが、48歳の若さで急死していた。両親を亡くした樹は、父の親友でありライバルでもあった照山に引き取られ、養女として育てられたという。
菜穂は母・克子の勧めで、亡き祖父が書を習っていたという高名な書家・鷹野せん(梶芽衣子)の家に居候することに。せんの書に触れた菜穂は、深く心を動かされる。
一輝は菜穂に内緒で義母・克子と密会し、倒産寸前の〈たかむら画廊〉を救うため、〈有吉美術館〉が所有するモネの「睡蓮」を売ってほしいと頼む。克子は承諾する見返りに一輝との一夜を楽しむ。
菜穂は克子からの電話で「睡蓮」が売却されたことを知り、一輝が事情を一切話してくれなかったことに大きなショックを受ける。泣きじゃくる菜穂に、せんは「名画は縁あっていっとき誰かの元にあっても、役目を終えたらまた次の誰かのもとへいく。そうやって永遠を生きる」と諭す。
一方、菜穂に「大きな作品を描くべき」と助言された樹は、徹夜で睡蓮の絵を描き上げる。その絵を見た照山はがくぜんとする。

菜穂はせんとともに照山の自宅を訪れ、樹が描いた睡蓮の絵を見て圧倒される。樹の作品を世に出したいという思いに駆られた菜穂は、彼女のデビューについて照山に打診するが、樹の才能に嫉妬する照山は1回限りという条件を付ける。
菜穂は祇園祭の宵山に行われる屏風祭で、せんの書道教室の生徒・瀬島美幸の家に樹の絵を飾らせてもらい、人々に公開する。樹の絵が来客たちに絶賛されたことで、照山は怒りを募らせる。
一方、会社を救うために克子と関係を持ってしまった一輝は、「これ以上菜穂を傷つけることはできない」と克子の誘惑を拒む。京都に赴いた一輝は菜穂から樹の個展を〈たかむら画廊〉で開きたいと相談されるが、即答できない。
東京に戻った一輝は父・智昭とともに有吉家に呼び出され、菜穂の父母から美術館の閉館と全ての絵を売却するという報告を受ける。だが閉館の決定は副館長である菜穂には一切知らされておらず、克子は「あなたから菜穂に伝えてほしい」と一輝に告げる。
ある夜、菜穂はとつぜん照山に呼び出され、個展に出す作品を見せられるが、心が動かない。菜穂は樹の絵を封じ込めようとする照山に真っ向から立ち向かい、「私が彼女を世に出します」と宣言する。

一輝からの電話で有吉美術館の閉鎖を知らされた菜穂。一輝との隔絶が決定的になる中、菜穂は記者の木戸や書道家のせんに後押しされ、白根樹を照山から引き離してデビューさせるため動き出す。そして樹もまた、菜穂の言葉を信じて新作に取り組む。
その頃、有吉美術館の所蔵品売却を任された一輝と父・智昭は、美術館の目玉とも言える10点の絵画の所有者が菜穂であることを知る。そのことは克子ですら認識しておらず、調べると先代社長の喜三郎が生前に手を回し、10点の絵画が菜穂の手元に残るよう密かに計らっていたのだった。
菜穂は美濃山の仲介でタツノグループの総裁・立野政志(木場勝己)と面会する。立野は立志堂美術館の創設者でもあり、菜穂の祖父・喜三郎と付き合いがあった。
菜穂は自分の命にも等しい10点の絵画を立志堂美術館に譲りたいと持ちかけ、同時に白根樹の個展を開いてほしいと頼む。その結果、樹の個展が立志堂美術館と美のやま画廊の両方で開催されることが決定する。
克子から菜穂を東京に連れ帰るよう命じられた一輝は、京都へ向かう。だが菜穂は既に京都で出産することを決めていた。菜穂と樹の関係を誤解し、激怒する一輝に対し、菜穂は一輝が「睡蓮」の取引と引き換えに克子と関係した事実を突き付ける。
動揺する一輝に、菜穂は克子と喜一が自分の実の両親ではないことを告白する。

菜穂の実の父は、戸籍上の祖父・有吉喜三郎だった。亡き実母・真樹乃は祇園の芸妓で、喜三郎は真樹乃が産んだ子供を息子の喜一に引き取らせ、克子に育てさせたのだった。
菜穂から一方的に絶縁された一輝は、志村照山に東京での個展を持ちかける。その流れで樹の個展も自分が仕切り、菜穂から樹を奪って東京に連れ戻す算段だった。
一輝から話を聞いた克子は、京都を訪れ菜穂に会う。だが菜穂の気持ちは変わらず、娘と孫を一度に失ったことを悟った克子は、菜穂を遠ざけたことを後悔する。
生まれてくる子供と京都の地で生きていくことを決意した菜穂を、せんや立野、美濃山らが応援する。樹もまた、菜穂の言葉に背中を押され、照山の家を出る覚悟を決める。照山は樹を止めようと首に手をかけるが、樹は大きな声で叫び、「もうこれからは黙らない。誰かを消しても絵は殺せない」と告げて照山のもとを去る。
菜穂との待ち合わせ場所に向かった樹は、そこで初めて自分が菜穂の実の妹であることを打ち明ける。菜穂の母・真樹乃は菜穂を生んだ後、樹の父・多川鳳声と結婚していた。そして鳳声との間に生まれた子供が樹だった。真樹乃は樹を一人前の画家に育ててほしいと照山に頼み、病で亡くなっていた。
そのころ照山は個展のための新作に取り組んでいたが、右手の震えが止まらず、絵を描くことができなかった。照山はかつて親友でライバルだった多川鳳声が死んだ日のことを思い出す。泥酔して転倒し、頭から血を流して倒れている鳳声を、照山は雪の中に放置したのだった。
そしてその現場を目撃していた幼い樹に、「誰にもしゃべるな。しゃべったら死ぬことになる」と告げたのだった。照山は心不全を起こし、息を引き取る。照山の葬儀に参列した一輝は、樹がこの10年間毎晩のように照山の酒を作っていたと聞かされる。葬儀の帰り、一輝は偶然菜穂を見かけるが、声を掛けられず逃げるように立ち去る。
菜穂は京都で出産し、生まれた子供に菜樹(なつき)と名付ける。

感想(ネタバレ有)

美しかった……!!

その一言に尽きますね。京都の景観、絵画の数々、そして高畑充希さんの瞳。息をのむほど美しかったです。しかしストーリーはドロドロで、その対比がすごかった。

中盤以降は意表を突く展開の連続で、先が読めなくて面白かったです。ミステリとしても、最後まで謎が解けない部分もあって、想像を楽しむ余韻が残りました。

夫に裏切られ、両親にも裏切られた主人公の菜穂は、京都の“縁”に救われました。庶民のわたしから見ると「結局は金持ちの縁だよね」というひねくれた見方をしてしまう部分もなきにしもあらずですが、樹との出会いはまさに運命だったと言えるでしょうね。

わたしは菜穂のような天才ではないので、菜穂の周りにいる「才能を持って生まれることができなかった」人たちの気持ちのほうがわかりやすかった。

夫の一輝は「自分が持っていないもの」を持っている菜穂に劣等感を抱いていて、最後まで口には出さなかったけれど、自分でもそういう自分が嫌だったんじゃないかなーとか。

菜穂もちょっと一輝を見下している雰囲気があったよね。最終話の狂気じみた彼が哀れですらあって(だって菜穂は全く相手にしてないんだもの)、もちろん克子と一線を越えた一輝が悪いんだけど、最初からこの夫婦はすれ違っていたのかなーとも思う。

菜穂の母・克子にしても、まぁ酷いことにかわりはないけど、赤ん坊だった菜穂を育て上げるのに何の苦労もなかったわけないと思うんですよね。しかも他人の子供を。彼女なりに母親としての愛情はあったはず。

娘の夫を寝取る母親の気持ちなんてわからないけど、克子もまた、自分には与えられなかったものを持っている菜穂に、嫉妬していたのかもしれない。彼女の立場を想像すると、菜穂の妊娠も…ちょっと複雑だよね。

あの照山先生でさえも、「持って生まれることができなかった」人として描かれる。嫉妬に狂った彼は親友を見殺しにし、その娘の口を封じたけれど、今度は娘の才能に嫉妬することになる。因果だなぁ。

照山先生の死因は心不全だけど、樹が関わっている可能性も考えられる。10年もの間、彼のために水割りを作っていたのだから、酒の割合を多くすることもできたはず。

照山先生の家で酒をふるまわれた一輝が怪訝な表情で樹を見つめる場面があって、わたしは一輝が酒の濃さに気付いて怪しんだんじゃないかと思ってる。一緒に住んでいたのだから、彼女は照山の体調にも気付いていたはずだよね。

最後は菜穂の一人勝ち。長年虐げられていた樹が自由になれたことは嬉しいし、女性たちが幸せそうな絵は見ていてなごむけど、ここまで「持って生まれることができなかった」人たちが不幸になるのは…なんだかやりきれない。

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