WOWOW連続ドラマW「怪物」第1話~第5話のあらすじと感想、登場人物をまとめました。
2021年に韓国で放送され、高い評価を得た傑作ドラマ「怪物(괴물)」を世界初リメイク。複雑な過去を抱える2人の警察官が手を組み、猟奇的殺人事件の真相を暴く心理サスペンスです。
25年前の未解決事件と、現在進行形の不可解な事件――その間に潜む“怪物”とは何者なのか?
原作(全16話)の緻密なストーリーと心理戦をどのように描くのか、楽しみです。
作品概要
- 放送局:WOWOW
- 放送時間:2025年7月6日(日)から毎週日曜22:00ほか
- 原作:韓国ドラマ「怪物(괴물)」( 制作・著作:SLL JOONGANG Co.,Ltd 脚本:キム・スジン作家 )
- 脚本:前川洋一
- 音楽:大間々昂、斎木達彦
- 監督:鈴木浩介、池澤辰也
あらすじ
羽多野町に住む女子大生の富樫琴音(糸瀬七葉)が、自宅の庭に指の第1関節だけ残して失踪するという事件が発生。その事件は未解決のまま25年が過ぎる。琴音の双子の兄である富樫浩之(安田顕)は警察官になり、羽多野署生活安全課に勤務している。そこにキャリア警察官の八代真人(水上恒司)が異動してくる。気の合わない2人だが、課長の森平(光石研)の命令でペアを組むことに。そしてパトロール中に通報を受け認知症の老人の捜索へ行くのだが…。
WOWOW公式サイトより
予告動画
原作について
このドラマの原作は、2021年に制作された韓国ドラマ「怪物」です。
2021年2月19日から4月10日までJTBCで放送されたドラマ。秘密を抱える2人の刑事が、連続殺人事件の真相を追いながら、事件の裏に隠された人間の多面性を暴いていきます。
特に印象的なのは、恋愛要素を一切排除し、純粋に人間の欲望、正義、罪、そして“怪物”とは何かを問いかける構成です。閉鎖的な田舎町を舞台に、過去の失踪事件と現在の連続殺人が交錯し、登場人物たちの過去と現在が複雑に絡み合っていきます。
第57回百想芸術大賞で「ドラマ作品賞」「ドラマ脚本賞」「男性最優秀演技賞」の三冠を達成し、高い評価を受けました。
私はまだ観ていないので(前から気にはなってた)、これから観ます!
追記
全話視聴しました。短めの感想を残しておきますが、ネタバレを含みますのでご注意ください。
評判どおりの傑作で、心の奥底を揺さぶる作品でした。疑念から始まったドンシクとジュウォンの関係は、幾重にも重なる事件と対話を通して、次第に強い信頼と理解へと変化していく。
最終話、ともに真相に辿り着いた2人が、それぞれの正義と罪と向き合う姿に胸を打たれました。ジュウォンが苦しみながらもドンシクの両手に手錠をかける場面は、二人の絆と贖罪の象徴であり、「怪物」とは他者ではなく自分自身かもしれないという問いを残します。
登場人物(キャスト)一覧
※第4話までのネタバレを含みます
羽多野署
富樫浩之(安田顕)
生活安全課の警察官。周囲から「変わり者」と見なされている。25年前に双子の妹が失踪し、その容疑者として逮捕された過去を持つ。事件の直後に父親を亡くしており、正気を失った母・紀子は現在老人ホームに入っている。
八代真人(水上恒司)
志願して羽多野署に異動してきたキャリア警察官。潔癖症の完璧主義者。連続殺人事件の犯人として富樫に疑いの目を向けており、証拠をつかもうと目を光らせている。8か月前に独断でおとり捜査を行い、不法滞在の女性を死なせている。
遠藤優(入江甚儀)
生活安全課。翔子の弟。富樫のことを慕っている。美緒が失踪する直前、帰宅途中の彼女を目撃している。
粕谷(坪倉由幸)
生活安全課。富樫や真人の同僚。皮肉屋。
森平三郎(光石研)
生活安全課の課長。富樫の上司。秋山とともに25年前の事件を担当し、富樫を逮捕した過去を持つ。
秋山(利重剛)
羽多野署の署長。25年前、森平とともに事件を担当した。諂上欺下な人物でもある。
田所幹男(藤森慎吾)
警務課の班長。富樫や翔子の幼なじみ。母親の加代は地元の有力者で、何かと介入されて煩わしく思っている。富樫の無罪を信じており、25年前に彼のアリバイを証言した。
事件の被害者
富樫琴音(糸瀬七葉)
富樫の双子の妹。25年前、自宅の庭に指の第1関節より上だけ残して失踪した。現在も未解決で、犯人は捕まっていない。
阿部香織(岡本玲)
25年前に殺害された女性。富樫が通う喫茶店の店長だった。葦原で発見された遺体は両手両足を縛られ、指先が第一関節から切断されていた。
ソフィア(高橋ユウ)
風俗店で働く不法滞在者。数か月前、真人が独断で行ったおとり捜査に協力し、犯人に接触したと思われる。その直後に失踪し、葦原で白骨遺体となって発見される。真人が与えた“飛ばし携帯”は芦曳山で発見された。
柳美緒(久保史緒里)
柳辰夫の娘。大学生。派手な性格で、父に反抗的な態度を取る。叔父のような存在である富樫のことを慕っている。自宅の酒店の店先に切断された指先だけを残し、失踪する。
そのほか
遠藤翔子(真飛聖)
県警本部捜査第一課の刑事。富樫や田所の幼なじみ。捜査本部の一員として一連の猟奇的殺人事件を追う。
八代正義(渡部篤郎)
警察庁次長。真人の父親。次期警察庁⻑官の座を狙っている。キャリアのためならどんな犠牲も厭わない冷徹な策略家。自身の出世のため、真人の罪を隠蔽しようと画策する。
五十嵐(早乙女太一)
検事。12年前、真人の家庭教師として八代家に雇われた。現在は正義に服従し、都合よく使われている。たびたび頼ってくる真人に何かと協力してしまう。
松田凛子(剛力彩芽)
羽多野署御用達の焼肉店「炎炎亭」を切り盛りしている。10年前に母が謎の失踪を遂げ、今も行方を捜している。
柳辰夫(小手伸也)
羽多野町にある小さな酒店の店主。富樫らの幼なじみ。一人娘の美緒を溺愛している。富樫の両親に恩を感じており、紀子がいる老人ホームをひんぱんに訪れている。温厚な性格で、羽多野町の町民から慕われている。
田所加代(高畑淳子)
県議会議員。幹男の母。羽多野町の再開発を計画し、次期県知事を⽬指す野⼼家。一人息子の幹男を溺愛している。過去の事件から富樫のことを冷ややかな目で見ている。
中橋陽平(橋本じゅん)
「中橋建設」の社長。翔子の元夫。加代と共に羽多野町の再開発計画を進めている。一連の猟奇的殺人事件により羽多野町のイメージが下がることを気にする。
第1話~第5話のあらすじ(ネタバレ有)
25年前。羽多野町の葦原で、喫茶店の店主・阿部香織(岡本玲)の遺体が発見される。遺体は両手両足を縛られ、指先が第一関節から切断されていた。
さらに、将来を嘱望されていた女子大生・富樫琴音(糸瀬七葉)が、切断された指だけを残して失踪する。琴音の双子の兄・浩之(SHIGETORA)は香織の店に出入りしており、遺体発見現場からは浩之のものと思われるギターピックが見つかる。
2025年。羽多野署の生活安全課で刑事として働く富樫浩之(安田顕)は、警察庁次長・八代正義(渡部篤郎)を父に持つキャリア警察官・八代真人(水上恒司)とコンビを組むことになる。真人は1年間の約束で羽多野署に異動してきた。
羽多野署御用達の焼肉店「炎炎亭」で真人の歓迎会が開かれ、生活安全課の課長・森平三郎(光石研)、粕谷(坪倉由幸)、遠藤優(入江甚儀)、警務課の田所幹男(藤森慎吾)、そして優の姉で県警捜査課の刑事・遠藤翔子(真飛聖)らが集まる。富樫、田所、翔子の3人は幼なじみだった。
8か月前、栃木県警に所属していた真人は、女性を狙った連続殺人事件を捜査していた。その犯行手口は25年前の事件と酷似しており、同一犯の可能性を疑っていた。25年前の事件で容疑者として逮捕されたのは、富樫浩之だった。
真人は富樫が連続殺人の犯人ではないかと疑い、彼の周辺を探り始める。かつて富樫を逮捕した森平は、遺体発見現場に富樫のギターピックが落ちていたこと、被害者の阿部香織と揉めていたという目撃証言があったことを語る。証拠不十分で不起訴となり釈放されたが、それ以降、富樫は変わってしまったという。
富樫、優、真人の3人は、認知症の老人を捜索するため葦原へ向かう。その老人は25年前の被害者・阿部香織の父親だった。捜索中、優が地中に埋まった白骨遺体を発見。駆けつけた真人は、遺体の指にある指輪を見て後ずさりする。富樫は、真人が遺体の身元に心当たりがあることに気づく。
富樫は、発見された白骨遺体の身元について真人を問い詰めるが、真人は「知らない」と嘘をつく。遺体が25年前と同じ場所で見つかったことで、事件はメディアに大きく取り上げられ、町は騒然となる。
次期県知事を目指す田所加代(高畑淳子)は、進行中の再開発計画への影響を懸念し、署長の秋山(利重剛)に事件の早期解決を強く要請する。
真人は父・八代正義と面会し、発見された遺体が自分がかつておとり捜査に利用していた不法滞在の女性であることを告白する。正義は自身の出世への影響を恐れ、事件を模倣犯によるものとして処理し、未解決のまま終わらせようとする。
真人は警務課を訪れ、25年前の事件の捜査資料を確認しようとするが、ファイルの中身は空だった。問い詰められた田所幹男は「わからない」と言い張る。
富樫は幼なじみで酒店の店主・柳辰夫(小手伸也)から、娘・美緒(久保史緒里)が帰宅していないと聞く。富樫はクラブで酔いつぶれていた美緒を見つけて自宅へ連れ帰るが、美緒は地下室で殺人事件の写真や資料を見つけてしまい、恐怖から家を飛び出す。
富樫は仲間たちが集まる焼肉店「炎炎亭」に遅れて合流する。様子がおかしい富樫に気づいた幹男は、富樫の家を訪ねて真相を探ろうとするが、富樫は何も語らない。幹男は25年前の捜査資料が消えていたことだけを告げて帰っていく。
翌朝、富樫が家を出ると真人が待っていた。町を案内すると言い、富樫は真人を柳の店へ連れていく。そこで富樫は、店の前のテーブルに美緒の指が並べられているのを目にし、泣き崩れる。しかし、その指を並べたのは、昨夜の富樫自身だった。
酒店の店先で美緒の指を発見した富樫と真人は、参考人として事情聴取を受ける。富樫は平然と当日のアリバイを語るが、その態度に真人は強い不信感を抱く。
富樫は自宅地下室に保管していた25年前の事件資料を、田所幹男の協力を得て、ひそかに署の資料室へ戻す。富樫の行動を怪しんだ真人は、父・正義に頼んで防犯カメラ映像を入手しようとするが、映像は何者かによって消去されていた。
翔子は富樫が何かを隠していると疑い始める。さらに、25年前の事件で幹男が富樫のアリバイをすぐに証言しなかったことにも、ずっと違和感を抱いていた。
芦曳山で美緒の痕跡を追っていた警察犬が、通話履歴のない“飛ばし携帯”を発見。メール送信履歴は3通のみで、いずれも真人宛だった。翔子に問い詰められた真人は「身に覚えがない」と否定する。
その携帯は、真人が独断で行ったおとり捜査で、不法滞在の女性・ソフィアに渡したものだった。彼女には、富樫の写真を見せ、「この男が客だったら“1”とだけ打って送信するように」と指示していた。ソフィアが失踪した当日、真人の携帯には「1」とだけ書かれたメールが3通届いていた。
携帯から検出されたDNAは、葦原で発見された女性の遺体と一致。真人は無関係を装いながらも、容疑が晴れるまで休職を申し出る。そして芦曳山の防犯カメラ映像を確認し、そこに富樫の姿が映っていることを突き止める。
富樫の自宅に侵入した真人は、地下室の床に血痕を発見。それを受けて翔子たちは富樫宅を強制捜査し、富樫は警察に連行される。
メディアが集まる中、富樫はカメラの前に堂々と姿を現し、不遜な態度で世間を挑発する。
富樫の自宅地下室から、美緒の血痕が発見される。翔子は富樫を拘束するが、殺害の証拠は見つからず、富樫も自供を拒否。さらに、警務課の田所幹男が失踪当日の富樫のアリバイを証言したことで、富樫は釈放される。
富樫は後輩・優の行動に疑念を抱き、問い詰める。優は、美緒が失踪した夜に幹男と一緒に帰る姿を偶然目撃していたと語る。富樫は「誰にも言うな」と口止めするが、その会話を真人が密かに聞いていた。
田所加代と「中橋建設」の社長・中橋陽平(橋本じゅん)は、事件によって羽多野町の再開発が中断されることを懸念し、八代正義を呼び出して警察の協力を要請する。さらに、美緒の父・柳辰夫をイベントに利用しようとするが、富樫が激高して現場に乗り込み、騒動を起こす。
真人は検事・五十嵐に幹男の調査を依頼。25年前、幹男は富樫の妹・琴音の失踪直後にアメリカ留学したとされていたが、実際には県内の精神科病院に3年間入院していたことが判明する。真人は富樫を問い詰めるが、富樫は幹男をかばった理由や、事件への関与については沈黙を貫く。
辰夫は真人に捜査を直々に依頼。富樫と真人は柳家を訪れ、事件当日の詳細を聞き出す。辰夫は、美緒が使っていた緑色のタオルがなくなっていることに気づく。そのタオルは、凛子が美緒に贈ったものだった。
富樫と真人は焼肉店「炎炎亭」を訪れ、凛子にタオルのことを確認する。そこへ辰夫が現れ、「洗濯したのを忘れていた」と緑色のタオルを持参し、凛子の首にかけて「形見に受け取ってほしい」と告げる。
富樫が店を出た直後、辰夫の携帯に美緒からのメッセージが届く——「お父さん、私を出して」
3年前、富樫は捜査中の無謀な行動によって相棒・室井を失うという過ちを犯す。室井の遺体は見つからないまま、富樫の心には深い傷が残る。
2025年。美緒からのメールに激しく動揺する柳辰夫。だがそのメールは、富樫が美緒の携帯を使って送ったものだった。富樫は、美緒を殺した犯人が辰夫であることをすでに知っていた。
美緒が失踪した夜、富樫は彼女が忘れていった鍵を返すため柳の留守宅を訪れ、そこで切断された指先と、葦原で発見された白骨遺体の持ち物と思われる携帯を発見する。しかし、遺体が見つからない限り辰夫を立件できないと判断した富樫は、指先を持ち去り、黙って「炎炎亭」の食事会に参加。その夜、指先を柳の店先に並べたのだった。
再開発計画への影響を懸念する中橋は、八代正義に事件の早期解決を要請。正義は「誰でもいいから犯人が捕まればいい」と冷淡に答える。その結果、美緒を自宅まで送り届けた田所幹男が参考人として事情聴取を受けることに。幹男は富樫にだけ「鹿の夢ばかり見る」と不安を打ち明けるのだった。
辰夫の携帯に再び美緒から「お父さん、痛いよ。私を出して」というメールが届く。富樫が隠していた美緒の携帯を確認すると、携帯は消えており、代わりに「芦曳山神社」と書かれたメモが残されていた。
芦曳山神社で富樫を待っていた凛子は、富樫がメールを送ったこと、美緒の殺害犯が辰夫であることに気づいていた。彼女は「私にも協力させて」と訴える。10年前に行方不明になった母・良江も、辰夫に殺された可能性があるからだ。
辰夫は「炎炎亭」を訪れ、凛子に緑色のタオルを手渡す。その中には、良江が失踪時につけていた髪飾りと、「葦原の石柱の横 早くお母さんを出してあげて」と書かれたメモが入っていた。
真人は辰夫が犯人だと確信し、富樫が幼なじみの辰夫をかばって事件を隠していると誤解する。富樫を逮捕しようとするが、凛子が葦原に向かっていると知った富樫は、「彼女を助けたい」と見逃しを懇願する。
凛子は葦原の石柱の下を掘り始める。そこへ懐中電灯を持った幹男が現れる。一方、辰夫は店の床下に隠していた美緒の遺体を取り出そうとし、真人と富樫に現行犯逮捕される。
前半の感想(ネタバレ有)
日本版のリメイクとしての完成度
原作の骨太な構成とテーマ性をしっかりと受け継ぎながら、日本という舞台に合わせて繊細に再構築された、非常に完成度の高いドラマでした(まだ半分ですけれども)。
原作は全16話で、じっくりと人物描写や伏線回収が行われていましたが、日本版ではその枝葉をそぎ落とし、より濃密で引き締まった印象を受けました。
省略されたシーンは確かにあるけれど、物語の骨格はしっかりと保たれていて、混乱することはなかったです。むしろ、原作でやや分かりづらかった部分が整理され、ストーリーに集中しやすくなっていると感じました。
また、映像のトーンや演技のニュアンスも、日本の視聴者に馴染みやすいよう調整されていました。例えば、韓国版では登場人物の感情が激しくぶつかり合う場面が多く見られましたが、日本版では抑制された演技が多く、静かな緊張感が漂っています。
リメイク作品は、原作の魅力を損なわずに新しい文脈を与えることが求められますが、日本版『怪物』はその点では十分成功していると言えるのでは。原作ファンにも、新規視聴者にも、それぞれの視点で楽しめる作品になっていると思います。
“韓国ドラマあるある”の難しさ
韓国ドラマには、みなさんご存じのとおり、独特の“文法”があります。
偶然が重なりすぎる展開、繰り返されるミスリード、複雑に絡み合った人間関係、そして時に大胆すぎるアイデア。これらは韓国ドラマの魅力であると同時に、リアリティの面で賛否が分かれる要素でもあると思います。
日本版『怪物』では、こうした“韓国的な演出”を日本の文脈に合わせて丁寧に調整しています。特にリアリティの面では、舞台設定や職業描写に細やかな工夫が見られます。
たとえば、富樫と真人の勤務先は、原作では「派出所」でしたが、日本版では「警察署」に変更されています。韓国の派出所と日本の交番・駐在所では、規模や機能が大きく異なるからです。
また、韓国ではよくある「地下室」も、日本では一般的ではないため、富樫の家の地下室は妹・琴音がピアノの練習をするための「地下防音室」という設定になっています(これらはWOWOW公式noteで言及されています)。
こうした細部への配慮が、日本版『怪物』を“ただの翻訳”ではなく、“再創造”として成立させているのだと思います。
第1話〜第5話の展開と注目ポイント
物語は、茨城県羽多野町で起きた連続殺人事件を軸に進行します。第1話では、刑事・富樫と、異動してきた若手刑事・真人の出会いから始まり、互いに疑念を抱きながらも事件の真相に迫っていく様子が描かれます。
第2話から第4話にかけては、過去の失踪事件と現在の殺人事件が交錯し、登場人物たちの過去が徐々に明かされていきます。そして常に「富樫浩之は犯人なのか?」という疑問がつきまといます。
第5話では、ついに連続殺人事件の犯人が判明します。富樫の怪しい行動の理由も明かされました。でも、ここで終わりではないんですよね。むしろ、ここからが本当の“怪物”の正体に迫る道程の始まりなのです。
この前半の5話は、事件の表層を描くだけでなく、登場人物たちの心理や関係性の変化を丁寧に描いています。特に富樫と真人の関係性は、物語の軸として非常に重要です。
互いに過去を抱え、信じきれない相手と手を組まざるを得ない状況の中で、今後少しずつ築かれていく信頼は、サスペンスの緊張感とはまた違った人間ドラマの深みを感じさせてくれると思います。
残された謎と今後の展望
第5話で犯人が判明したとはいえ、物語の謎はまだ多く残されています。以下に、現時点で残されている主な謎を整理してみましょう。
- 柳辰夫はなぜ娘・美緒を殺害したのか?
- 富樫の妹・琴音や、他の被害者たちの遺体はどこにあるのか?
- 資料室の防犯カメラ映像を消去したのは誰なのか?
- 田所幹男はなぜ富樫のアリバイをすぐに証言しなかったのか? なぜ精神科に入院していたのか? 「鹿の夢」は何を意味するのか?
- 加代と中橋、八代正義のつながりとは?
これらの謎が今後どのように明かされていくのか。物語はますます複雑になっていきます。
そして前半では対立していた富樫と真人が、同じ目的のもとに少しずつ協力し合うようになります。2人が信頼関係を築いていく過程は、物語のもうひとつの見どころです。
そのほかの記事