英国ドラマ「ヨルガオ殺人事件」(全6話)についてまとめました。
原作者であるアンソニー・ホロヴィッツ自身が脚本を執筆したミステリードラマ「カササギ殺人事件」の続編。
IMDbの評価は7.4。
今回もホロヴィッツ自身の脚本によりドラマ化。前作同様、現実と空想世界の二重の謎が絡み合う構成になっています。頭こんがらがるけどめちゃくちゃ面白い!
前作「カササギ殺人事件」で命を落としたクセの強い作家アラン・コンウェイがまたまた登場。8年前に彼が書いた作品「愚行の代償」の謎を解くため、再びスーザンが動き出します。
※この記事は随時更新中です。各話視聴後、加筆修正します
前作の記事はこちら↓

Contents
作品概要
- 放送局:WOWOW
- 放送時間:2025年3月8日(土)14:00~ ※全6話一挙放送
- 製作国:英国(2024年)
- 原題:Moonflower Murders
- 原作:アンソニー・ホロヴィッツ『ヨルガオ殺人事件』
- 脚本:アンソニー・ホロヴィッツ
あらすじ
「カササギ殺人事件」から2年後、シリーズの担当編集者だったスーザンは出版社を辞め、交際していたアンドレアスとともにギリシャのクレタ島に引っ越し、ホテルの経営に悪戦苦闘していた。
WOWOW公式サイトより
そのホテルに英国からある夫婦がスーザンを訪ねてくる。アラン・コンウェイによる小説「愚行の代償」を読み終えた後、なぜか娘が失踪したというのだ。小説の中に失踪のヒントが隠されているのではと思った夫婦は、その謎を当時の編集者だったスーザンに解くように依頼。スーザンは英国に戻り、アランの小説を読み解き始め……。
予告動画
登場人物(キャスト)一覧
※前作「カササギ殺人事件」のネタバレを含みます
現実世界
スーザン・ライランド(レスリー・マンヴィル)
元敏腕編集者。前回の事件のあと出版社を辞め、現在はギリシャのクレタ島で恋人とともにホテルを経営している。本の世界が恋しくなり悩んでいた際に、トレハーン夫妻から失踪事件の調査を1万ポンドで依頼され、ロンドンへ。自身の助言により執筆されたアラン・コンウェイの小説「愚行の代償」を読み進めつつ、事件の捜査に乗り出す。
アラン・コンウェイ(コンリース・ヒル)
嫌われ者の推理小説作家。性格が悪く、担当編集者だったスーザンともメールでのやりとりだった。「名探偵アティカス・ピュント」シリーズの新作「カササギ殺人事件」を書き上げた直後に殺害された。8年前、フランク・パリス事件をもとに小説「愚行の代償」を書き上げ、物語の中に事件の真相を隠した。
アンドレアス・パタキス(アレクサンドロス・ログーテティス)
スーザンの恋人。ギリシャ人。ロンドンの学校で教師をしていたが、スーザンを連れて故郷クレタ島に戻った。クレタ島でホテル経営を始めるも、悪戦苦闘している。
ローレンス・トレハーン(エイドリアン・ローリンズ)
サフォーク州にあるホテル「ブランロウ・ホール」の経営者。8年前、娘のセシリーの結婚式当日、ホテルに宿泊していたフランク・パリスが殺害される事件が発生。犯人はすぐに逮捕されたが、アランの小説「愚行の代償」を読んだセシリーが失踪してしまい、クレタ島を訪ねてスーザンに相談を持ち掛ける。
ポーリーン・トレハーン(Pooky Quesnel)
ローレンスの妻。夫婦でホテル「ブランロウ・ホール」を経営している。夫のローレンスとともにクレタ島を訪れ、「愚行の代償」を編集したスーザンに助けを求める。
セシリー・マクニール(エイミー・グリフィス)
ローレンスとポーリーンの娘。エイデンとの結婚式当日にフランク・パリスが殺害され、犯人として逮捕されたステファンの無実を主張していた。結婚式のときには妊娠しており、その後ロクサーナを出産。8年後、アランが書いた小説「愚行の代償」の中に真犯人が記されている、と家族に告げた直後、謎の失踪を遂げた。
リサ・トレハーン(ロザリー・クレイグ)
ローレンスとポーリーンの娘。セシリーの姉。ホテル「ブランロウ・ホール」の総支配人。8年前、フランク・パリスが殺される2時間前にホテルの用務員ステファンを解雇した。犯罪歴のあるステファンを犯人と疑い、ロック警視に話す。子供のころセシリーと喧嘩してグラスを投げつけられ、顔に傷痕が残っている。
エイデン・マクニール(ウィル・チューダー)
セシリーの夫。不動産会社で働いていたときにセシリーと出会い、彼女の両親が経営する「ブランロウ・ホール」に転職した。面倒な客のあしらいが上手く、8年前、部屋の交換を願い出たフランク・パリスにヨルガオ棟の12号室を案内した。セシリーとの間に8歳になる娘ロクサーナをもうけている。ホテルの敷地内の家を義姉リサから譲り受け、住んでいる。
フランク・パリス(マーク・ゲイティス)
8年前に殺害された男性。無作法で気難しい性格。エイデンとセシリーの結婚式の最中に、ヨルガオ棟の12号室で遺体となって発見された。オーストラリアに移住して事業を始めるもすぐに破綻。相続した実家を売却する件で妹と話し合うため渡英し、「ブランロウ・ホール」に宿泊していた。
ステファン・レオニダ(アレック・セカレアヌ)
8年前のフランク・パリス事件の犯人。犯罪歴があり、更生プログラムの枠で用務員として働いていたが、盗みを働いていることが判明したためリサが解雇を言い渡していた。その2時間後にフランクが殺害され、ステファンの部屋から血痕と紙幣が見つかり逮捕された。半年後に終身刑を言い渡され、現在服役中。
デレク・エンディコット(トーマス・クームズ)
ホテル「ブランロウ・ホール」の従業員。8年前の事件当夜、ホテルの夜間受付で仕事をしていた。2階でステファンとおぼしき人物を見かけており、その証言がステファン逮捕に繋がった。
グウィネス・エンディコット(ジョアンナ・ベーコン)
デレクの母。セシリーの娘ロクサーナの世話をしている。
リアム・コービー(ウェイド・ブリッグス)
ホテル「ブランロウ・ホール」の従業員。ジム責任者。オーストラリア出身。ステファンの友人だった。
ジョアン・ウェブスター(ケイト・アシュフィールド)
殺害されたフランク・パリスの妹。ホテル「ブランロウ・ホール」の近くに住んでいる。事件当日、家を訪ねてきたフランクと相続の件で口論になっていた。
マーティン・ウェブスター(ティム・プレスター)
ジョアンの夫。妻に逆らえない。8年前、フランク・パリスに家を明け渡すよう迫られていた。
サジッド・カーン(サンジーヴ・コーリ)
弁護士。かつてはアランの弁護士だった。ジョアンの実家の名義変更を担当しており、その件で8年前の事件前日にフランク・パリスに会っていた。最近ケイティから相談を受けたとスーザンに話す。
ケイティ・ウィリアムズ(クレア・ラッシュブルック)
スーザンの妹。家族とともにウッドブリッジに住んでいる。アランは教師時代の元同僚。息子のジャックは大学を休学中で、園芸店で一緒に働いている。深刻な問題を抱えているが、姉のスーザンには打ち明けられずにいる。
ジェイムズ・テイラー(マシュー・ビアード)
アランの元恋人。アランの遺産を手に入れ、新たな恋人との結婚を予定している。アランが「愚行の代償」を執筆したときの資料をスーザンに渡す。ロンドンで男娼をしていた頃にフランク・パリスと知り合い、彼の紹介でアランと出会った。
ロック警視(ダニエル・メイズ)
前回、アランの事件を捜査した刑事。フランク・パリス事件の担当刑事として現場へ赴き、用務員のステファンを逮捕した。アランの本に事件の真相が隠されていることを信じようとせず、スーザンを邪魔者扱いする。
空想世界
アティカス・ピュント(ティム・マクマラン)
アラン・コンウェイの推理小説「名探偵アティカス・ピュント」シリーズの主人公。名探偵。芸能事務所の経営者から人気女優メリッサ・ジェイムズ殺害事件の捜査を依頼され、秘書のマデレンとともにデヴォン州へ。ヨルガオ館に宿泊しながら捜査に乗り出す。
マデレン・ケイン(ピッパ・ベネット=ワーナー)
ピュントの有能な秘書。以前は食品会社の経理部で働いていた。メリッサの事件を解決すれば名声が高まると考え、ピュントを説得。ピュントとともに事件現場となったデヴォン州トーリー村を訪れ、手腕を振るう。
チャブ警部補(ダニエル・メイズ)
メリッサの事件の担当刑事。サフォーク州出身だが、デヴォン州に移ってきた。ピュントの助力を歓迎し、ともに行動する。捜査能力はいまひとつで、ピュントの助手的な存在。
メリッサ・ジェイムズ(ロザリー・クレイグ)
人気女優。5年前に映画の撮影現場で事故に遭い、引退した。その後、トーリー村の近くのホテルを保険金で購入。「ヨルガオ館」と名付け、ガードナー夫妻に業務を任せていた。ある日、自宅で何者かに殺害される。
ジョン・スペンサー(ルパート・エヴァンス)
メリッサの夫。上流階級の出身。メリッサと結婚し、家を勘当された。事件当日メリッサに捨てられ、鬱屈した感情を抱えていた。
フィリス・チャンドラー(ジョアンナ・ベーコン)
メリッサの家の家政婦。息子のエリックとともにメリッサの家に住み込みで働いている。事件当日、ある問題が発覚し、メリッサに解雇を宣告されていた。
エリック・チャンドラー(トーマス・クームズ)
フィリスの息子。メリッサの運転手と雑用係をしている。
アルジャーノン・マーシュ(ウィル・チューダー)
資産アドバイザーを名乗る詐欺師。メリッサにインチキな投資話を持ち掛け、カモにしていた。姉のサマンサが叔母の遺産を相続することを知り、義兄のレナードを脅して遺産を手に入れようとする。
レナード・コリンズ(リアム・ギャリガン)
トーリー村の医師。メリッサの主治医で、彼女が殺される直前に電話で助けを求められていた。遺体の第一発見者でもある。妻のサマンサに遺産が入ることを知り、トーリーを出て新たな生活を始めようと希望を抱く。遺産については夫婦の秘密にしていたが、義弟のアルジャーノンに知られてしまう。
サマンサ・コリンズ(ジーニー・スパーク)
レナードの妻。アルジャーノンの姉。信心深く善良な女性。叔母の遺産98万ポンドを相続することになり、夫のレナードとともに村を出ることを夢見ている。
ランス・ガードナー(エイドリアン・ローリンズ)
ヨルガオ館の支配人。夫婦でホテルの金を横領していると疑われている。メリッサの死後、彼女が書いたと思われる手紙の下書きを見つけ、ピュントに報告する。
オスカー・ベルリン(マーク・ゲイティス)
映画プロデューサー。メリッサが出演する映画の企画を3年かけて準備してきたが、撮影開始2か月前に突然彼女に出演を断られ、破滅に追い込まれる。メリッサが殺された日、彼女の家を訪ねて家政婦と言い争う声を聞いている。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
「カササギ殺人事件」から2年後。人気作家アラン・コンウェイの担当編集者だったスーザンは、ギリシャのクレタ島で恋人アンドレアスとともにホテル経営をしていた。
だが経営はうまくいかず、本の世界を恋しく思い始めていた矢先、イギリスからトレハーン夫妻が訪ねてくる。
夫妻はサフォーク州でホテル「ブランロウ・ホール」を経営しており、失踪した娘セシリーの捜索をスーザンに手伝ってほしいと言う。
セシリーは、8年前に「ブランロウ・ホール」で起きたフランク・パリス殺人事件を題材に書かれたアランの小説『愚行の代償』を読み、「本の中に真犯人が記されている」と告げた直後に姿を消したと言う。
フランク・パリスはホテルの宿泊客だった。部屋が気に入らないと言って交換を希望し、セシリーの婚約者エイデンがヨルガオ棟12号室へ案内していた。
事件が起きたのはセシリーとエイデンの結婚式前夜で、パリスの遺体がホテルの部屋で発見されたのは結婚式の最中だった。
担当刑事のロック警視は、ホテルの用務員ステファン・レオニダを逮捕。夜勤の従業員デレクの目撃証言や、ステファンの部屋から血痕と盗んだ紙幣が見つかったことが決め手となった。ステファン自身も犯行を自白し、殺人罪で終身刑を言い渡されていた。
トレハーン夫妻は『愚行の代償』を編集したスーザンに、「ホテルに来て本を読み直し、セシリーが何に気づいたか解明してほしい」と告げ、1万ポンドの謝礼を提示する。
困惑するスーザンだったが、自分が手がけた本が失踪事件の発端になったことに罪悪感を覚え、イギリスに戻ることを決意。アンドレアスに「ここでの生活は幸せじゃない」と告げてクレタ島を去る。
8年前。アラン・コンウェイは『愚行の代償』を書き進めていた。舞台は1954年の夏、デヴォン州のトーリー村。ハリウッドで活躍した英国人女優メリッサ・ジェイムズが、自宅の寝室で殺害される事件が発生する。
メリッサは事故に遭って女優を引退し、保険金で村の近くのホテルを購入していた。「ヨルガオ館」と名づけたホテルは、ガードナー夫妻が一切の業務を任されていたが、ひどい赤字だった。
不正を疑ったメリッサは、ロンドンから資産アドバイザーのアルジャーノンを呼び寄せた。アルジャーノンはメリッサの自宅へ向かう途中、車で男性をはねてしまうが、放置して立ち去ってしまう。
映画プロデューサーのオスカーは、メリッサのために3年かけて映画の企画を準備してきたが、「気が変わった」という一言であっさり出演を断られ、破滅の危機に陥る。
そしてメリッサの夫ジョンは、彼女の愛が消えてしまったことを知り、約束していたオペラ「フィガロの結婚」をひとりで見に行くことになる。
8年前。アランの担当になったスーザンは、初めてアランと会う。そのとき偶然フランク・パリス事件の新聞記事が目につき、アランは「被害者を知っている」と話す。新作を望むスーザンは、小説の題材になると助言する。
英国に着いたスーザンは、赤い愛車に乗ってサフォーク州のホテル「ブランロウ・ホール」を訪れる。ヨルガオ館に泊まり、『愚行の代償』を再読しながら関係者に話を聞いて回る。
事件当夜、ステファンを見たという従業員のデレクに話を聞くと、彼はステファンの毛糸帽をかぶり工具バッグを手にした人物を見ただけで、顔を確認してはいなかった。さらに、ホテルで盗みを働いていたのはステファンではなく、客室係のナターシャだったことも判明する。
物語の世界では、名探偵アティカス・ピュントの探偵事務所に依頼人のシュルツ氏が現れる。彼はニューヨークの芸能事務所の社長で、殺害された看板女優メリッサ・ジェイムズの事件を解決してほしいと言う。
気が進まないピュントだったが、助手のマデレンに「解決すればあなたの名声が高まる」と勧められ、依頼を受けることに。
ピュントはマデレンとともにデヴォン州を訪ね、担当刑事のチャブ警部補から事件の経緯を聞く。遺体の第一発見者は主治医のレナード・コリンズ医師だった。メリッサは夜の6時28分にコリンズ医師に電話して助けを求めたが、10分後に医師が到着すると彼女はすでに死んでいたと言う。
チャブ警部補は疑わしい人物として、ホテルの金を横領していた支配人夫妻や、メリッサに裏切られた映画プロデューサー、さらに資産アドバイザーのアルジャーノン・マーシュらの名をあげる。
ピュントはコリンズ家を訪ね、レナードと妻サマンサに会う。家の前にはフェンダーがゆがんだ車が停まっていた。車の持ち主はアルジャーノンで、彼はサマンサの弟だった。レナードは、ホテルの支配人夫妻の横領などで、メリッサが神経を参らせていたと話す。
ピュントらが帰った後、レナードとサマンサは退屈なトーリー村を出ていくことを決める。サマンサの叔母が亡くなり、遺産がすべてサマンサに相続されることになったのだった。義弟のアルジャーノンを信用できないレナードは、彼には遺産のことを黙っておくよう、サマンサに言い聞かせる。
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