英国ドラマ「レッド・アイ/陰謀のフライト」(全6話)についてまとめました。
“空飛ぶ密室”と化した航空機を舞台に展開する、スリリングなサスペンスドラマ。IMDbの評価は7.0。
殺人容疑をかけられ護送される医師ノーランを演じるのは、「ホビット」シリーズでトーリン役を演じたリチャード・アーミティッジ。
企画はジョディ・フォスター主演のスカイサスペンス映画「フライトプラン」の脚本家ピーター・A・ダウリング。
Contents
作品概要
- 放送局:WOWOW
- 放送時間:2025年1月12日(日)から毎週23:00~ほか【全6話】
- 製作国:英国(2024年)
- 原題:Red Eye
- 企画:ピーター・A・ダウリング
あらすじ
北京で学会に出席しクラブに行った後、追突事故を起こした英国の医師ノーラン。航空機でロンドンに戻るが、ヒースロー空港で当局に身柄を拘束される。シェン・ジャオという女性が、事故を起こしたノーランの車の中で死亡しているのが発見されたのだ。しかしノーランは殺人を否認。ロンドン警察の刑事ハナ・リーは彼を北京に護送する任務に就く。ノーランと一緒に学会に参加した知人も、証言のため北京に送り返されることになり、所要時間11時間半のフライトに出発。だが離陸後、ノーラン用の機内食を代わりに食べた男性が心臓まひで急死してしまう……。
WOWOW公式サイトより
予告動画
登場人物(キャスト/吹替)一覧
※第3話までのネタバレを含みます
マシュー・ノーラン(リチャード・アーミティッジ/声:東地宏樹)
医師。北京で学会に出席した後、クラブでトラブルに見舞われる。帰国後ロンドンの空港で拘束され、シェン・ジャオ殺害容疑をかけられて中国に引き渡されることに。北京行き357便に乗り、陰謀に巻き込まれる。
ハナ・リー(ジン・ルージ/声:志田有彩)
ロンドン市警の刑事。5歳まで香港に住んでいたという理由でノーランの護送任務を命じられ、北京行き357便に乗ることに。離陸後、ノーランの食事を口にした乗客が不審な死を遂げ、陰謀を疑い始める。MI5のディレイニーのサポートを受け、機内で捜査を行う。
ジェス・リー(ジェマ・ムーア/声・萱間円佳)
ハナの異母妹。イギリス生まれ。ジャーナリスト希望だが、データ入力ばかりで嫌気がさしている。ネットに拡散された動画でハナがノーランの護送任務についたことを知り、それをネタに記事を書こうと取材を始めるが、自身も命を狙われることに。
トニ・チャン(ダン・リー/声・斉藤隼一)
空中警察の捜査官。ハナと協力し、機内で発生した事件の捜査にあたる。一連の事件の犯人としてノーランを疑っている。
マデリン・ディレイニー(レスリー・シャープ/声:唐沢潤)
MI5の長官。政治的な理由で中国からの要請をやむなく受け入れ、ノーランと証人たちを引き渡すことを決定する。機内で事件が発生したことを知り、テムズ・ハウスからハナの捜査をサポートする。夫は事故で寝たきりの生活を送っている。
ジョン・テナント(ジョナサン・アリス/声:相樂真太郎)
内務省の高官。首相からの命を受け、MI5を監督するためテムズ・ハウスにやってくる。中国の原発建設にもノーランの身柄引き渡しにも賛成し、ディレイニーと対立する。
ルース・バンクス(キャッシュ・ホーランド)
ディレイニーの補佐官。忠実で優秀。
マイク・マクスウェル(ミド・ハマダ/声:広瀬竜一)
CIAロンドン支局の支局長。ディレイニーの愛人。密かにディレイニーに協力する。
サイモン(ロバート・ギルバート)
ロンドン市警の警視。ハナの上司であり、長年の親友。ハナにノーランの護送を命じる。ジェスに頼み込まれ、護送任務の経緯を話してしまう。
シェン・ジャオ(エレイン・タン)
ノーランが北京で出会った女性。将軍の娘で、ジョージ・チャップマン卿の友人。ノーランをクラブに誘い、クスリを盛って酩酊状態にさせた。ノーランが交通事故を起こした車に取り残され死亡したとされている。
スティーヴン・ハースト(オリヴァー・モルトマン)
北京で学会に出席した医学者。ノーランの知人。帰国後、中国からの要請を受けてノーランの事件の証人として再渡航することになり、北京行き357便に乗る。ノーランの無実を知って協力しようとした矢先、機内で事故死する。
アンバー・ハースト(ゾーイ・テルフォード)
スティーブンの妻。北京で学会に出席した医学者。帰国後、ノーランの事件の証人として再渡航することになり、北京行き357便に乗る。スティーヴンの死後、過剰摂取に見せかけて殺害される。
ケイト・ウォード(ルシアン・マケヴォイ)
北京で学会に出席した医学者。帰国後、ノーランの事件の証人として再渡航することになり、北京行き357便に乗る。スティーヴンと不倫関係を続けていたが、スティーヴンが亡くなる直前に別れを告げられている。
クリス・ピール(リック・ウォーデン)
北京で学会に出席した医学者。ノーランにシェン・ジャオを紹介した人物。再渡航を拒否して帰宅しようとしたが、空港の駐車場で何者かに拉致された。
チェン(Thomas Chaanhing)
ノース・チャイナ航空357便の機長。機内で起きた事件を隠蔽しようとし、緊急着陸を頑なに拒否する。
ソンユン(Xiangyi Tan)
ノース・チャイナ航空357便の客室乗務員。“ウィンイー・リー”という名札が付いたキャリーバッグを機内に持ち込む。
ジョージ・チャップマン卿(ピーター・ギネス/声:塾一久)
ワールド・パシフィック医学会の代表者。
ダニエル・ロマックス(Ryan Cloud)
北京行き357便の乗客。体育教師。ノーランに用意された機内食を代わりに食べた直後、心臓発作を起こして死亡した。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
医師のマシュー・ノーランは北京で学会に出席した後、クラブでトラブルに巻き込まれる。怪我をして交通事故を起こすも、どうにか帰国。
ところがロンドンの空港で拘束され、北京で出会ったシェン・ジャオという女性の殺害容疑が自分にかけられていることを知らされる。
彼女は将軍の娘で、中国側はノーランの身柄引き渡しを要求。中国の協力で原子力発電所の建設を進めたいイギリス政府はそれに応じ、ノーランを北京行きの飛行機に乗せようとする。
ノーランの護送任務を命じられた刑事のハナ・リーは、ノーランとともに北京行き357便に乗り込もうとする。
ノーランは必死に無実を主張するも聞き入れられず、隙を見て逃走。空港にいた人々に「私は無実の罪で中国に引き渡されようとしている!」と叫び、ネットに拡散してほしいと訴える。
ノーランはすぐに捕まるが、動画を見たハナの妹ジェスは、このネタを記事にして実力を証明しようと思いつく。
ノーランとともに学会に出席したスティーヴン、アンバー、ケイトの3人は、証人として中国への再渡航を命じられ、357便に乗ることに。
再渡航を拒否して帰宅しようとしたクリスは、空港の駐車場で何者かに拉致されてしまう。
離陸後、ノーランのために用意されたヴィーガン食を食べた乗客のダニエル・ロマックスが心臓発作を起こして亡くなる。
ダニエルの死を不審に思ったノーランは、彼が自分の食事を代わりに食べたために死亡したのではないかと毒殺を疑う。
ノーランは自分の食事に毒が盛られていた可能性を疑い、最寄りの空港に着陸して分析すべきだと訴えるが、機長のチェンはあくまでも病死と主張して拒否する。
だがその後、近くに座っていた女性の犬がロマックスの残飯を口にして死んでしまい、ハナもノーランの主張を信じざるを得なくなる。
そんな折、機体が激しく揺れる異常事態が発生。制御スイッチがオフになっていたことが原因だったが、機長のチェンはその事実を隠蔽し、乗客には「乱気流」と説明する。
その後、階段下でスティーヴンの遺体が発見される。機体が揺れた際に階段から落ち、後頭部を打ったと思われ、チェンは事故死として片付ける。
納得がいかないハナのもとに、MI5の長官ディレイニーから連絡が入る。ハナはディレイニーの協力のもと、2人の死を捜査することを決意する。
ハナに頼まれてスティーヴンの遺体を検視したノーランは、彼の両手に索痕があり、拘束されていた可能性があると指摘。
乗客のひとりで空中警察の捜査官であるトニ・チャンも捜査に加わり、ノーランの妻アンバーを聴取する。
スティーヴンは医師のケイトと不倫関係にあり、機内で最後に彼と会ったのはケイトだった。だが彼女は「別れを告げられただけ」と言い、殺害を否定する。
外部と連絡を取りたいノーランは、隙を見てスティーヴンの携帯を奪うが、パスワードがわからず使用することができない。
ハナの妹ジェスは特ダネを記事にするため、ハナの上司で旧知の仲でもあるサイモンに会いに行き、ノーランの事件に関する情報を得る。ハナにも電話取材を試みるが、拒否されてしまう。
ハナはシャン・ジャオの死が事件の鍵だと考え、ノーランに北京で何があったのかすべて話すよう促す。
ノーランは3日前の夜に北京で何があったか、ハナに詳しく話す。医学会のパーティーに参加したノーランは、クリス・ピールからシャン・ジャオを紹介された。彼女はワールド・パシフィック医学会の代表者であるジョージ・チャップマン卿の友人だという。
ホテルに帰ろうとしたノーランは、シャン・ジャオに強引に誘われてクラブ「ヘイロン」へ立ち寄り、そこでクスリを盛られて酩酊状態となった。
クラブの用心棒と乱闘騒ぎを起こし、逃げるように店を出て車に乗り込み、交通事故を起こしたのだった。だがそのとき、シャン・ジャオは乗り合わせていなかったと話す。
ハナは「誰かに嵌められた」というノーランの主張を信じ、無実だと確信する。その直後、クルーレストでアンバーの遺体が発見され、空中警察のトニ・チャンはケイトをハースト夫妻の殺害容疑で逮捕する。
ノーランの検視により、アンバーとスティーヴンは指を折られていることが判明。ハナは2人が拘束されて尋問を受けたと推測し、チャンと意見が分かれる。
ハナからの報告を受け、ディレイニーはパーティー会場の映像を確認。シャン・ジャオが誰かに何かを渡すために会場へ行ったのではないかと推測する。
その頃、ジェスはワールド・パシフィック医学会のオフィスを訪れていた。役人たちがオフィスからPCや資料を運び出す現場を目撃したジェスは、とっさに動画を撮影し、役人たちから追われることに。
ジェスの身を案じたハナは取材をやめるよう諭すが、ジェスはハナの忠告を無視してジョージ・チャップマン卿の自宅へ向かう。
ハナは医学会に関することでノーランが何か隠しているのではないかと問い詰めるが、ノーランは見当もつかないと言う。
そんな中、殺害容疑をかけられたケイトが姿を消す。ケイトを捜しに貨物室へ行ったチャンも戻らず、ハナは貨物室へ向かう。
ノーランは密かにスティーヴンの遺体を使ってスマホの顔認証を行う。
ハナは貨物室でチャンと遭遇するが、ケイトの姿はなかった。ノーランは客室乗務員から「食品用リフトが動かない」と聞かされ、調べるとリフトの中にはケイトの遺体が。
ノーランはスティーヴンの携帯でジョージ・チャップマン卿に電話するが、ハナに見つかって携帯を取り上げられてしまう。
ハナはシェン・ジャオがノーランに何かを託したのではないかと疑うが、問い詰めてもノーランは「何も受け取っていない」と繰り返す。
一方、取材のためジョージ卿の自宅を訪れたジェスは、ジョージ卿を狙う暗殺者の銃撃に巻き込まれてしまう。
ジェスを逃がそうとして撃たれたジョージ卿は、「誰も信じるな。マシューに“君が持ってる”と伝えてくれ」と言い残して命を落とす。
ディレイニーは、MI6が「ワールド・パシフィック医学会」を利用して“不意打ち作戦”と呼ばれる諜報活動を行っていたことを知る。
テナントによれば、MI6は医学会の医師たちに“郵便では送れない物”を運ばせていたという。知っていたのはジョージ卿とクリス・ピールだけで、ノーランたちは何も知らずに運び屋をさせられていたのだ。
北京で出会ったシャン・ジャオは、本来クリス・ピールに“物”を渡すはずだった。だが何らかの理由でそれがかなわず、とっさにノーランに渡したと思われていた。
それが何かは不明だが、原発の交渉に関わるもので、愛国者のシャン・ジャオが国を裏切るほど重大な内容だとテナントは話す。
ノーランはハナの許可をもらってジョージ卿に連絡し、ジョージ卿の携帯を持っていたジェスから彼が死んだことを知らされる。“君が持ってる”というジョージ卿の言葉を聞かされるも、身に覚えがないノーラン。
ディレイニーは行方不明だったクリス・ピールの遺体を発見する。
サイモンはジェスを迎えに行き、警察署で保護しようとするが、MI5がジェスを連れ去ってしまう。
テムズ・ハウスでジェスと面会したディレイニーは、ジェスが撮影した動画を見て、ワールド・パシフィック医学会のオフィスに安全保障局の捜査官が押し入り、隠蔽を図っていたことを知る。
ハナはノーランの脇腹の傷口から、ナノSIMカードを発見する。北京でノーランを刺したのはシェン・ジャオで、ノーランに鎮静剤を飲ませた後、脇腹を刺して傷の中にSIMカードを隠したのだった。
ハナはディレイニーの指示に従い、カードの中身のファイルをテムズ・ハウスに転送しようとするが、工作員が貨物室のワイヤーを切断し、Wi-Fi通信が途切れてしまう。
ハナとチャンが貨物室へ行くと、フードを被った工作員が姿を現す。そしてチャンが工作員と共謀していることが明らかになる。
格闘の末、ノーランが工作員を殺し、チャンは「ウィンイー、君は北京で死ぬ」と言い残して青酸カリで自殺する。
“ウィンイー”がハナの本名だと知ったノーランは、クルーレストに保管されていたキャリーケースに“ウィンイー・リー”の名札が付いていたことを思い出す。
キャリーケースを持ち込んだ客室乗務員のソンユンを問い詰めると、依頼主とは面識がなく、金が欲しくてやったと打ち明ける。キャリーバッグの中には、ハナの偽造パスポートと現金が入っていた。
ハナは自分がスパイに仕立て上げられ、北京に到着すれば殺人犯として逮捕されると気づき、ノーランとともに飛行機をハイジャックする。そして今すぐロンドンに引き返すよう、機長と副機長に命じる。
ハナは5歳のときに母を亡くしたことをノーランに話す。ハナの母は香港で大学講師をしていたが、学生に反共思想を吹き込んだとして逮捕され、獄死したのだった。それ以来、父は母のことを話さなくなったという。
英国首相はディレイニーを解任し、テナントに指揮権を与える。ディレイニーはジェスとともにテムズ・ハウスを出て、飛行機が到着する空港へ向かう。
ディレイニーは恋人でCIA捜査官のマイクに助けを求めるが、彼がジョージ卿を殺害したスナイパー、エリック・ジョーンズの上司であることを知らない。
北京でシェン・ジャオを殺したのはCIAだった。その夜、マイクとジョーンズ、コーエンの3人はシェン・ジャオを監視していた。
ノーランがクラブで騒動を起こして逃げた後、マイクは部下のジョーンズに命じてシェン・ジャオを殺害させ、ノーランに罪を着せたのだった。
ハナとノーランが乗る357便はダンズフォールド飛行場に到着する。ディレイニーは黒幕がマイクだとは知らず、2人をアメリカ大使館へ避難させる。
テムズ・ハウスでは、357便に乗り込んだ工作員2名の身元調査が進められていた。2人とも元特殊部隊のフリーランスで、CIAのダミー会社に雇われていたことが判明する。
マイクはノーランとハナ、ジェスの3人を眠らせてSIMカードを奪おうとするが、ノーランは北京のパーティー会場でコーエンを見たことを思い出し、CIAの関与を疑う。
マイクが黒幕だと気づいたディレイニーは、ハナたちを連れて大使館を出る。そしてSIMカードの中身をテムズ・ハウスに送る。それは遠隔操作で原子炉を暴走させることができるハッカーのコードだった。
CIAはそのコードを中国軍が作成したように偽装工作し、イギリスに見つけさせて中国と手を切らせようとした。その企みを暴くため、シェン・ジャオは危険を犯してイギリスにファイルを届けようとしたのだ。
ノーランは、ジョージ卿や友人の医師たちを殺したマイクを許せず、このままでは納得がいかないとディレイニーに訴える。ディレイニーは中国大使館のタン部長に連絡し、マイクの犯行を伝える。
ハナとノーランはSIMカードを持っているふりをして、中国大使館の庭にマイクを誘い込む。追い詰められたマイクはノーランに発砲し、その場で中国軍に拘束される。
ノーランは右胸を撃たれ、病院に搬送されるも一命を取り留める。
ディレイニーはSIMの中身については機密事項にあたるとしたうえで、内務省とMI6が“無自覚の運び屋”として市民を利用し、死なせたことを記事に書いて暴いてほしいとジェスに頼む。
後日、ジェスの記事は署名入りで一面に掲載される。ハナは投獄された母親のその後を記した書類をディレイニーから受け取り、父に渡す。
感想(ネタバレ有)
最後までハラハラさせられるエンタメ満載のドラマでした。意外と面白かったです。
- 飛行機の中で連続殺人事件が起きる
- ロンドン市警の刑事と中国の空中警察が機内で捜査を始める
- 護送中の犯人は冤罪
- 怪しい密航者の存在
- 地上では記者志望の妹が大暴走
- MI5、MI6、CIAが入り乱れる
と、ここまでたくさんの要素を盛り込んでいるにも関わらず、スピーディーなテンポで展開し、最終的にすべての謎を解いてスッキリと終わらせているところは評価できると思います。
主人公のひとりがアジア系の女性だったことも新鮮で、親近感が湧きました。
ただ「いやいや、それはありえなくない?」と思うところもたくさんあって、そこ考え出すと一気に面白くなくなるので、あんまり深く考えずに「楽しむ」のが一番よさそう。
ネットで感想を読んでいると「ありえないのはジェスの前髪だけ」と書いている人がいて、ちょっと笑ってしまいました。
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