ロシアン・ドール:謎のタイムループ|考察とネタバレ感想。深みにはまる斬新な仕掛け

海外ドラマ「ロシアン・ドール: 謎のタイムループ」キャスト・ネタバレ

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Netflixの海外ドラマ「ロシアン・ドール:謎のタイムループ」(全8話)についてまとめました。

36歳の誕生日に交通事故で死んでしまった女性が、何度も生き返って同じ一日を繰り返すというコメディタッチのドラマ。1話30分、合計4時間なのでサクッと見られます。

Netflixに入ったら絶対見ようと思っていたドラマのひとつ。
わたしの大好きな時間系ストーリーで、めちゃくちゃ面白かったです。

設定自体は「恋はデジャ・ブ」や「エターナル・サンシャイン」に代表されるタイムループものなんですけど、スタイリッシュな作風とどんどん深みにはまっていく斬新な仕掛けが秀逸でした。

重要人物が加わる第3話から、一気に面白さが加速した感じですね。終盤はかなりハラハラさせられました。

製作総指揮・原案・監督・主演を務めているのは「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のニッキー役で知られるナターシャ・リオン。製作陣は全員女性。

恋愛下手でヘビースモーカーで精神的にも不安を抱えているダメダメな主人公が、だんだん可愛らしく、愛おしく見えてきます。

作品概要

  • 製作国:アメリカ(2019年)
  • 原題:Russian Doll
  • 脚本:ナターシャ・リオンほか
  • 監督: レスリー・ヘッドランド/ジェイミー・バビット/ナターシャ・リオン
  • 製作総指揮:ナターシャ・リオン/エイミー・ポーラーほか

あらすじ

36歳の誕生日を友人たちと祝うナディアに訪れた早すぎる死。だが、死の直後、彼女は再び友人たちが集う誕生会に舞戻っているのだった。

Netflix公式サイト

予告動画

登場人物(キャスト)

主要人物

ナディア・ブルボコフ(ナターシャ・リオン)

フリーのソフトウェアエンジニア。36歳の誕生日の夜に車にはねられて死亡する。それ以来、同じ日を何度もループし続けている。ループから抜け出すため、あらゆる方法を試す。

アラン(チャーリー・バーネット)

几帳面で規則正しく、ナディアとは正反対の完璧主義の青年。恋人のベアトリスに振られた夜を何度もループしている。ナディアと出会い、2人でループから抜け出す方法を探る。

ナディアの関係者

ルース・ブレナー(エリザベス・アシュリー)

セラピスト。精神的に問題を抱えていたナディアの母の代わりに、ナディアを引き取って育てた。今もナディアの相談相手になっている。

ジョン・レイエス(ユル・バスケス)

半年前に別れたナディアの元彼。現在は妻と離婚し、ナディアとの復縁を望んでいる。ルーシーという娘がいる。

マキシン(グレタ・リー)

ナディアの友人。ナディアの36歳の誕生日を祝うパーティーを開く。

リジー(レベッカ・ヘンダーソン)

ナディアの友人。子犬を飼いたがっている。

レノラ(クロエ・セヴィニー)

ナディアの母。精神的に問題を抱え、娘のナディアに強く依存していたが、同時に育児放棄もしていた。ナディアが子供の頃に亡くなった。

アランの関係者

ベアトリス(ダーシャ・ポランコ)

アランの恋人。アランとは「幼なじみで親友のような関係」と言い、プロポーズを断った。実は大学教授のマイクと浮気をしているが、アランが心を病んでいることを気にして言い出せない。

マイク(ジェレミー・ボブ)

大学教授。バツイチで子持ち。ベアトリスの浮気相手で、ほかにも多くの女性たちと関係を持っている。誕生日会でナディアと出会い、一夜を過ごす。

フェラン(リテシュ・ラジャン)

デリで働くアランの友人。デリの地下で猫のオートミールを飼っており、ナディアとも顔見知り。小説を書いている。

ジョー(バート・ヤング)

アランと同じアパートに住む老人。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

36歳の誕生日を友人たちと祝うナディア。バツイチ男性のマイクをお持ち帰りするものの、その気が失せてしまい、タバコを買いに出て行方不明中の猫オートミールを見つる。道路に飛び出したナディアは、車に跳ねられて死んでしまう。
次の瞬間、ナディアは再び友人たちが集う誕生会に舞い戻ってくる。元彼のジョンに生き返ったことを説明するも、信じてもらえない。ナディアはジョンと一緒に猫を探そうとパーティーを抜け出すが、ナディアとの復縁を望むジョンは猫にはまるで関心がない。
ジョンと別れたナディアは猫を見つけるが、なぜか猫は消えてしまい、ナディアは川に転落してやはり死んでしまう。
またもや生き返り、誕生日会のトイレに舞い戻ったナディアは、コカインによる幻覚を疑い、友人のマキシンと言い争いになる。ナディアはパーティーを抜け出し、ひとりで帰宅する。

翌朝、ナディアは麻薬の売人ウォードッグに連絡する。仕事の打ち合わせに出た後、ウォードッグと会ってコカインの中身を確かめるが、特別な情報はつかめなかった。元彼のジョンと電話で話しながら歩いている最中、ナディアは穴に落ちて死んでしまい、またもや誕生日会に舞い戻る。
ナディアはマキシンが吸っているコカインを持ってウォードッグに会いに行き、中身について尋ねる。同席していたダニエル博士はがん患者に効果があるケタミンだと説明。ナディアは店を出たところで友人と一緒にいるフェランを見かけ、声を掛けようとするが穴に落ちて死んでしまう。
何度死んでも生き返り、パニックに陥るナディア。セラピストのルースに相談すると、病院へ行くよう勧められる。だが乗り込んだ救急車が事故に遭い、やはり死んでしまう。

元ユダヤ教学校だったという建物に原因があると考えたナディアは、移転先のユダヤ教会堂を訪れる。責任者のラビに面会するため、ジョンに頼んで夫のふりをしてもらう。
ラビと会ったジョンは、ナディアの代わりに古いユダヤ教学校に呪いがかかっていないかどうか尋ねるが、何の手がかりも得られない。ジョンはナディアに「ヨリを戻さないか」と迫って断られ、2人は喧嘩別れする。
猫のオートミールを探しに出た夜の町で、ナディアはホームレスのホースと出会う。ホースに髪を切ってもらった後、一緒に路上で眠り、凍え死ぬナディア。
誕生日会に戻ったナディアはシェルターでホースを見つけ、彼の靴を見張るためシェルターで一晩過ごす。翌朝、ナディアはエレベーターの中で指輪のケースを手にした男と出会う。男は落下するエレベーターの中でも顔色一つ変えず「いつも死んでいるから」と言う。

几帳面なアランは10回目となるその日を規則正しく生きる。恋人のベアトリスに会いに行き、プロポーズするが断られる。ゲームをして夜を過ごし、翌朝、友人のフェランに失恋したことを打ち明ける。救世軍で働く母に会い、結婚すると嘘の報告をする。
エレベーターの中で再びナディアと会うアラン。2人は互いに何度も死んでいることを告白し合う。生き返ったアランは動揺し、いつものルーティンが乱れてしまう。アランが黙っていると、ベアトリスは大学教授のマイクと浮気をしていることを告白する。
ナディアはエレベーターの中で会った男を探すため、宝石店へ。指輪を買ったアランがネットでレビューを書いていたため、名前を住所を突き止める。アランは家の前で待ち伏せていたナディアを見ると、ルーティンが変わって恋人の浮気を知る羽目になった、とナディアを責める。ナディアは誕生会に招待し、一緒にこの状況をなんとかしようと持ちかける。
アランはベアトリスの浮気相手マイクに殴りかかり、指輪を川に捨てる。

生き返ったナディアとアランは誕生日会で再会し、ループの原因を探ろうとする。ナディアはずっと避けてきたジョンの娘ルーシーに会うことを約束。アランはマイクと向き合おうとするが、邪魔者扱いされる。
ジョンと一夜を過ごしたナディアは、翌朝ルースの家へ本を取りに行き、ガス爆発に巻き込まれて死亡。生き返ったナディアは夜のうちにルースの家に行き、ガス漏れが起きていることを通報するが、ルースはナディアを泥棒と間違えて撃ち殺す。
ナディアとアランはお互いに15回生き返っていることを知る。マイクにベアトリスとの浮気を問い詰めるアラン。マイクは彼女が「精神的に病んでいるのに認めない。別れたら危険」とアランのことを話していたと明かす。
ナディアはジョンの娘ルーシーに会いに行くが、ルーシーの目の前で死ぬかも知れないと気づき、ジョンの説得を拒んで立ち去る。ナディアとアランは、2人が死ぬのは同時だと気づく。

ナディアはアランの部屋に行き、互いの境遇を確認して共通点を探る。アランは最初にどうやって死んだのか覚えておらず、それが元凶かもしれないと考えたナディアは、アランに最初の死因を思い出させるため行動を共にすることに。
2人は一緒にベアトリスに会いに行き、彼女がアランに別れを切り出すと、ナディアが罵倒して2人でその場を去る。その後、ナディアは最初の時にマイクと寝たことを告白。アランはマイクより上手いことを証明するためナディアとセックスする。
アランが寝入った後、ナディアはホームレスのホースに会いに行き、アランの靴と母親の形見のクルーガーランド金貨のペンダントを譲る。フェランの店に行ったナディアは、最初の夜にアランが店にいたことを思い出す。フェランとアランは大学で出会った友人同士だった。
アランと喧嘩したナディアはひとりでチキンを食べている最中に死に、再び誕生日会のトイレへ。だがトイレの鏡が消えており、マキシンは「もとからなかった」と言う。アランの家へ行くと、アランの家の洗面所の鏡も消えていた。
謝罪して仲直りする2人。アランは最初の夜にビルから飛び降りて自殺したことを告白する。

ループの原因は自殺した自分にあると落ち込むアラン。ナディアは最初の夜にフェランの店で会っていたことを話し、もしもその時に互いに声をかけていたら2人とも死んでいないと結論づける。
そこからやり直そうと勢いづく2人だったが、ナディアは少女時代の自分の幻影を見て動揺し、心臓発作で死ぬ。誕生日会に戻ってやり直そうとするたび、少女時代のナディアが目の前に現れ、ナディアは死んでしまう。
誕生日会の客は生き返るたびに減っていき、やがて空っぽの部屋にマキシンだけという状況に。ナディアは子供の頃、精神的に問題を抱えていた母親との暮らしに耐えられず、許されないことをしたとアランに告白する。
アランはベアトリスに正直に話すことを決め、ナディアを置いて出ていく。精神的に不安定だったことを認め、ベアトリスに本心を打ち明けるアラン。
ナディアはルースの家を訪ね、自分が子供の頃に「ルースと住みたい」と役所の人に言ったことが原因で母を死に追いやったことを打ち明ける。ルースはナディアのせいではないと否定し、子供だったナディアが必死に生きようとしただけだと慰める。
ルースがお湯を沸かすためガスをつけるが、爆発は起きない。ナディアはジョンの娘ルーシーに会いに行き、子供の頃に好きだったモンゴメリの小説「可愛いエミリー」を手渡す。その場で血を吐いて倒れるナディア。
そこに少女時代のナディアが現れ、「手を放せる? 今日で自由だよ」と告げる。

生き返るナディアとアラン。ナディアは公園で見つけた猫のオートミールを抱いてデリへ行く。そこには泥酔したアランがいたが、アランはナディアを覚えていなかった。一方、アランもナディアを探してデリへ行く。アランの前に現れたナディアはマイクと一緒で、アランのことを覚えていなかった。それぞれが異なる時間軸にいることを知って動揺する2人。
ナディアはアランの自殺を止めようと、アランを尾行。ベアトリスに失恋して自暴自棄になっているアランは、指輪や所持金をホームレスに渡してしまう。ナディアはアランを連れて帰り、一緒に眠る。目覚めると、アランは屋上にいて自殺を思いとどまっていた。
アランはナディアとマイクのキス現場を撮影し、ベアトリスに送る。友人のフェランに頼んでナディアをデリに呼び出し、時間軸の説明をするが、取り合ってもらえない。アランはナディアと一緒に猫を探しに行き、車にひかれそうになったナディアを助ける。
ナディアはマイクと帰ろうとするが、思い直してアランのもとへ戻る。一方、自殺を思いとどまったアランもナディアと一緒に夜の町へ繰り出す。ホームレスたちのパレードに加わる2人。2つの世界はひとつになる。

感想(ネタバレ有)

マトリョーシカ人形の中身

前評判は知っていましたが、期待を裏切らない作品でした。
最後まで予想がつかない展開で、面白かったです。

序盤はブラック・コメディ満載。中盤から終盤にかけては一気にシリアスな展開になり、ナディアが抱えていた根源的な問題が明らかになるなど、意外と深いテーマを扱っていることがわかります。

主人公のナディアは死んでも死んでも生き返り、何度も同じ夜(36歳の誕生日)を繰り返します。彼女はループ地獄から抜け出そうと、原因を探り、あらゆる方法を試します。

これじゃない、あれじゃない、これも違った、あれも違った……そうやって出口を探してタイムループを繰り返すうちに、彼女をとりまく人や物が少しずつ消えていく。

ロシアの民芸品“マトリョーシカ人形”は、大きな人形の中にひとまわり小さな人形が、その人形の中にさらに小さな人形が入っている「入れ子構造」になっています。ひとつずつ外側の人形を外していくと、最後に最も小さな人形が出てくるという仕組み。

この“マトリョーシカ人形”が物語のメタファーとなっていることは、タイトルからも明らか。同じ一日を繰り返す中で、ナディアが最後の人形(=大切なもの)に辿り着くことができるかどうか。それが彼女に与えられた課題でした。

姿を変えて登場する3人の男

ナディアが最初に死んだ夜(第1話)、デリで3人の酔っ払い男性に絡まれるシーンがありました。実はこの3人組、その後も姿を変えてナディアの前に現れているんですね。

  1. デリで騒いでいる酔っ払い3人組(第1話)
  2. 会議に出席していた3人の男性(第2話)
  3. 救急車の救急隊員たち(第2話)

共通しているのは、彼らはどの場面でもナディアを否定する存在として登場すること。彼らは他者であり、ナディアが内包する“影”とも考えられます。

母を死に追いやったのは自分だと思い込んでいたナディアは、自分の人生を否定し、他者から否定されることを恐れていました。

ホースはナディアの潜在意識

第1話から登場するホームレスのホース。ナディアは最初にホースを見たとき、「見覚えがある」と言っていました。彼もまた重要な役割を担っています。

監督の1人であるレスリー・ヘッドランドは、ホースはナディアの“潜在意識”のような存在だと語っています。彼が登場するシーンは、ナディアが意識していない欲望や本音が表れていました。

例えば、第3話でナディアがホースに髪を切ってもらうシーン。ホースは切った髪をナディアに見せて、こう言います。

「見ろ、古い君だ。長い間ずっとずっと君だった。もう違う。これが新しい君。これで何にでもなれる」

ナディアの長い髪は、母レノラのお気に入りでした。髪を切る行為は、母を切り離すことを意味していると思われます。彼女自身、心の底で強く望んでいることです。

第6話では、ナディアが母親の形見のクルーガーランド金貨のペンダントを「自分には重過ぎる」と言ってホースに譲るシーンもありました。

Ariadne(アリアドネ)の糸

アランの部屋には、ナディアがデザインしたゲーム「THE LEGEND ARIADNE」がありました。アランは「攻略できない」という理由で、途中でやめてしまったと言います。

お手本を見せようとするナディアでしたが、なかなか攻略できません。ゲームの話はそれきりでしたが、このゲームの名前「Ariadne(アリアドネ)」は、最終話のタイトルにもなっていました。

「アリアドネ」とは、ギリシャ神話に登場する女神の名前です。

アリアドネ【Ariadnē】
ギリシャ神話で、クレタ王ミノスの娘。ミノタウロス退治に来たテセウスに恋し、糸玉を与えて迷宮を通り抜けさせた。ここから難問解決の手引き・方法を「アリアドネの糸」という。

大辞林 第三版より

タイムループという迷宮に迷い込んでしまったナディアとアラン。彼らが迷宮を抜け出すには、アリアドネのように手引きしてくれる自分以外の「誰か」が必要でした。

自分自身が問題を認識し、他者に打ち明け、助け(糸)を借りる。そして、次は「誰か」を助ける。自分のことしか考えていなかった2人が、最終話では相手を助けるために奔走します。

ナディアはアランの「糸」に、アランはナディアの「糸」になるために。

不可解なラストシーン

別々の時間軸にいたナディアとアランは、それぞれ死に向かっていた相手を助けることに成功。最後に2つの世界はひとつになり、パレードに加わった2人は世界の中心を歩いていました。

はたして2人は迷宮から脱出することができたのか?
それとも、永遠に迷宮に留まることになったのか?

ナディアとアランはやってくるパレードに向かって歩いていたのに、途中からパレードと同じ向きに変わるんですよね。

それと同時に、グレーのコートを着た2人のナディアとすれ違う形で、白のブラウスに黒のジャケットを着たナディアがパレードと一緒に歩いてくる。

ナディアの表情に開放感や達成感はなく、とても不安げで、恐れを払拭するために声を出して自分を鼓舞しているようにも見えました。

パレードのシーンは何度見ても謎めいていて不可解で、興味が尽きません。シーズン2が決定しているので、このフィナーレからどんな物語に続くのか、とても楽しみです。

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