中国ドラマ「三体」第1話~第10話ネタバレ・感想・登場人物(キャスト)・視聴方法

中国ドラマ「三体」各話あらすじ・キャスト

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WOWOWで放送された中国ドラマ「三体」第1話~第10話についてまとめました。

累計2900万部超えの世界的大ベストセラー『三体』を実写ドラマ化。1月に中国の配信プラットフォーム・テンセントビデオで配信され、記録的ヒットとなった作品です。IMDbの評価は7.7。

脚本執筆に4年、撮影に126日間、最新の映像技術を駆使して原作の世界観を忠実に再現。予想のつかないサスペンス展開と、人類に迫り来る巨大な危機に立ち向かう重厚な人間ドラマも見どころ。

2023年10月7日(土)・8日(日)に1~10話、11月に11~20話、12月に21~30話が放送・配信されます(第1話は無料放送、期間限定で無料配信されます)。

作品概要

  • 放送局:WOWOW
  • 放送時間:2023年10月7日(土)・8日(日)12:00~ ※5話ずつ放送
  • 製作国:中国(2023年)
  • 原題:三体
  • 原作:劉慈欣『三体』
  • 脚本:田良良(ティエン・リャンリャン)/陳晨(チェン・チェン)
  • 監督:楊磊(ヤン・レイ)

あらすじ

2007年、北京オリンピック開催間近の中国。ナノ素材(マテリアル)の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、突然訪ねてきた警官・史強(シー・チアン)によって正体不明の秘密会議に招集される。そこで世界各地で相次ぐ科学者の自殺、そして知り合いの女性物理学者の死を知らされた汪淼。一連の自殺の陰に潜む学術組織“科学境界(フロンティア)”への潜入を依頼された彼は、科学境界の“主”を探るべく、史強とともに異星が舞台のVRゲーム「三体」の世界に入るが、そこにはある秘密が……。

WOWOW公式サイトより

予告動画

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原作について

このドラマの原作は、劉慈欣(リュウ・ジキン)氏による長編SF小説『三体』(2008年刊行)です。

2006年から中国のSF雑誌「科幻世界」に連載され、2008年に単行本として刊行されました。2015年には英訳版が世界的なSF文学賞であるヒューゴー賞・長編部門をアジア圏の作品として初受賞しています。

日本語版は早川書房から2019年7月に発売され、2020年の第51回星雲賞・海外長編部門を受賞。 続く『三体Ⅱ 黒暗森林』は2020年6月に、『三体Ⅲ 死神永生』は2021年5月に刊行され、どちらも大ヒットを記録しています。

2020年にNetflixが「ゲーム・オブ・スローンズ」制作陣による実写ドラマ化を発表。こちらは2024年1月の配信開始が決定しています。

登場人物/キャスト

主要人物

汪淼(ワン・ミャオ)/張魯一(チャン・ルーイー)
応用物理学者。ナノ素材の研究者。妻の李瑶、娘の豆豆と3人で暮らしている。ある日、作戦センターでの秘密会議に招集され、世界中で相次ぐ物理学者たちの自殺を調査するため、学術組織《科学境界(フロンティア)》への潜入を依頼される。自身も不可解な現象に見舞われるようになり、史強と協力して調査を進めることに。

史強(シー・チアン)/于和偉(ユー・ホーウェイ)
作戦センターに所属する停職中の警官。捜査官としては優秀だが、礼儀知らずで科学については門外漢。元上官である常偉思の指示で、科学者たちの自殺を調査する。無礼な態度で汪淼に近づき拒絶されるが、彼が自殺するのではないかと心配し、監視を続ける。

作戦センター

常偉思(チャン・ウェイスー)/林永健(リン・ヨンジエン)
作戦センターの将軍。史強の元上官。世界各地で相次ぐ科学者たちの自殺に事件性を感じ、史強に調査させる。学術組織《科学境界》の関与を疑っており、汪淼に潜入捜査を依頼する。

徐冰冰(シュー・ビンビン)
史強の助手として捜査課から配属された警察官。10人分の働きをする有能な助手。

科学境界

申玉菲(シェン・ユーフェイ)/李小冉(リー・シャオラン)
外国籍の物理学者。科学境界(フロンティア)の会員。自殺した科学者たちは死ぬ前に彼女と接触していた。汪淼を科学境界に誘い、VRゲーム「三体」に参加させる。

潘寒(パン・ハン)
環境保護主義の生物学者で、“中華田園計画”の創立者。環境破壊に対して強い危機感を持っている。慕星の取材を受ける。

胡暁希(フー・シャオシー)
ネットでSF小説を書いている。潘寒の指示で記者の慕星に接触し、作戦センターの極秘情報を提供する。

科学者たち

楊冬(ヤン・ドン)
自殺した物理学者。ひも理論の研究者。自殺する10か月前に超弦理論の衝突実験を行い、失敗している。遺書には「人類の物理学は存在しない」と書かれていた。

丁儀(ティン・イー)
楊冬の婚約者。基礎物理学者。楊冬が残した「物理学は存在しない」という言葉の意味を汪淼に教える。

マンフィー
物理学者。楊冬の指導教授。楊冬が実験を行う前に申玉菲と接触し、自殺する。

葉文潔(イエ・ウェンジエ)/陳瑾(チェン・ジン)、王子文(ワン・ズーウェン)
天体物理学者。楊冬の母。文化大革命で理論物理学者だった父親を亡くしている。清華大学出身で、教壇にも立っていた。現在は退職しているが、時々学生の活動に参加している。

沙瑞山(シャー・ルイシャン)
天文学者。葉文潔の教え子。北京郊外の電波天文観測基地で働いている。汪淼とともに“宇宙の瞬き”を目撃する。

そのほか

慕星(ムー・シン)
独立系メディアの記者。環境保護に関する事件を調べている。科学者の自殺に興味を持ち、史強や潘寒に取材を試みる。

李瑶(リー・ヤオ)
汪淼の妻。汪淼と娘の豆豆と3人で暮らしている。目の異常を訴える夫を心配し、知り合いの眼科医を紹介する。

葉哲泰(イエ・ジョータイ)
葉文潔の父。理論物理学者。文化大革命期に反革命派だったことから連行された。

白沐霖(バイ・ムーリン)
兵団機関紙「大生産報」の記者。文化大革命期に、大興安嶺の営林場で葉文潔と出会った。葉文潔にレイチェル・カーソンの著書「沈黙の春」を貸す。

第1話~第10話のあらすじ(ネタバレ有)

2007年、北京オリンピック開催間近の中国。物理学者・楊冬の遺体が自宅で発見される。睡眠薬の過剰摂取による自殺と思われたが、捜査は警察から軍に引き継がれる。
ナノマテリアルの研究者・汪淼は、突然訪ねてきた警官の史強によって、各国政府や軍関係者が集う正体不明の秘密会議に招集される。何もわからないまま会議に参加した汪淼は、世界中で科学者の自殺が急増していることや、自殺者リストの中に知り合いの物理学者・楊冬が含まれていることを知ってショックを受ける。
作戦センターの指揮官である常偉思将軍は、自殺した科学者のほとんどが学術組織《科学境界(フロンティア)》と関わりがあったと説明する。汪淼も申玉菲という物理学者に誘われ、《科学境界》の集会に出席したことがあった。
常偉思は《科学境界》の内部事情を探るため、汪淼に組織への潜入を依頼する。だが汪淼は多忙を理由に断り、作戦センターを後にする。
10か月前。良湘加速器実験基地で、楊冬が超弦理論の衝突実験を行おうとしていた。しかし実験が始まる前に、楊冬の指導教授であるマンフィー教授のもとに実験結果のデータが届けられる。届けたのは《科学境界》の会員・申玉菲だった。その直後、マンフィー教授は自ら命を絶ってしまう。

汪淼は会議からの帰り、自殺した楊冬の婚約者で、基礎物理学者の丁儀を訪ねる。楊冬の遺書には「過去に物理学は存在せず、将来も存在しない」とか書かれていた。汪淼がその意味を尋ねると、丁儀はビリヤードを使って奇妙な実験を行い、10か月前に楊冬の実験基地であり得ない実験結果が出たことや、その結果が実験を行う前に楊冬の指導教授に届いていたことを語る。
深まる疑念を解くため、汪淼はふたたび申玉菲のいる《科学境界》を訪ね、射撃手(Shooter)と農場主(Farmer)を巡る議論に参加する。
【射撃手仮説】凄腕の射撃手が的に10センチ間隔で一つずつ穴を開ける。この的には二次元生物が住んでいて、その二次元生物の科学者は“宇宙”を観察して「10センチごとに必ず穴が空いている」と気づく。射撃手の気まぐれによる行為を“宇宙の不変の法則”だと考えたのだ。
【農場主仮説】ある農場で農場主が毎朝11時に七面鳥に給餌する。七面鳥の科学者は、この現象を一年近く観察し、一度の例外も見つからなかったため、「この宇宙では毎朝午前11時に食べ物が出現する」と発表する。しかしその日は感謝祭で、午前11時にエサは現れず、農場主がすべての七面鳥を殺してしまった。
「我々は二次元生物の科学者や七面鳥の科学者なのかもしれない」と語る申玉菲に、汪淼は「そうした言葉は人を殺しかねない」と諭す。
汪淼は楊冬の葬儀に参列し、楊冬の母・葉文潔と会う。実験基地で撮影した楊冬の写真を彼女に渡そうとするが、その写真の真ん中に「1200:00:00」という小さな数字が刻まれていることに気づき、現像し直すことに。
自宅に戻って写真を調べた汪淼は、ネガの段階からすべての写真に数字が刻まれていることに気づく。その数字が時間を逆に刻んでいることに気づいた汪淼は、新たに写真を撮って現像してみるが、やはりどの写真にもカウントダウンが刻まれていた。

写真の中に現れた謎の数字がカウントダウンだと気づいた汪淼は、帰宅した妻と娘にも適当に撮影するよう頼み、現像してみるが、2人が撮った写真に数字は現れなかった。
カウントダウンが現われるのは自分が撮影した写真だけだと悟った彼は、絶望に駆られ、夜の街に車を走らせる。すると、今度は彼の視界の中央に光る数字が現れ、カウントダウンを刻み始める。
パニックになり、あやうく事故を起こしかける汪淼。彼を監視していた史強は何があったのか尋ねるが、汪淼は激しく拒絶する。
眼科を受診するも心の問題だと言われ、飛蚊症と診断される。憔悴した汪淼は申玉菲のもとを訪ね、救いを求める。すると彼女は汪淼が進めているナノプロジェクトの研究を直ちに中止するよう助言する。

止まらないカウントダウンに、汪淼は眠ることもできず憔悴しきっていた。超常的な現象に遭遇し、初めて射撃手と農場主の仮説を理解できたと汪淼は妻に語る。
汪淼は職場の研究センターへ行き、システムのメンテナンスのために実験を休止すると研究員たちに伝える。全システムの電源が落とされると、視界からカウントダウンが消える。
汪淼は申玉菲に電話し、どういうつもりだと怒りをぶつける。手品じゃないなら人類に不可能なことをしてみろ、と挑発する汪淼に、申玉菲は3日後の午前1時から5時に「全宇宙があなたのために瞬く」と言い、宇宙背景放射を観測できる場所を探すよう告げる。
汪淼は観測地を教えてもらうため、楊冬の母で天体物理学者でもある葉文潔を訪ねる。葉文潔は楊冬が幼い時から普通の子とは違っていたと話し、信じていた世界が崩れた途端に生きる支えを失ってしまったのだと語る。
汪淼の尾行を続ける史強は、彼が自ら命を絶つのではないかと心配し、話を聞き出そうとする。だが汪淼は史強の介入を受け入れず、「また尾行したら通報する」と警告する。

史強は独立系メディアの記者・慕星から科学者の自殺について調査協力を提案されるが、拒絶する。
汪淼は葉文潔の教え子・沙瑞山が勤務する電波天文観測基地を訪れる。汪淼の目的が「宇宙背景放射の揺らぎ」だと聞いた沙瑞山は、そのようなことはありえないと笑う。だが約束の午前1時になると突如赤い波形が現れ、沙瑞山は超自然的な現象をまのあたりにして大混乱に陥る。
汪淼が赤い波形をモールス符号で解読すると、それはカウントダウンの数字を示していた。汪淼は揺らぎを肉眼で観測するため、天文館へ行き3K眼鏡を借りることに。眼鏡を装着すると世界のすべてが明滅し、巨大なカウントダウンとなって迫ってきた。
カウントダウンの先に何が待っているのか。汪淼は申玉菲に電話して問い詰めるが、申玉菲は「さあね」とはぐらかす。
恐怖に怯える汪淼の前に史強が現れ、酒を飲みに行こうと誘う。汪淼はカウントダウンが見えることや、宇宙の瞬きを見たことを打ち明ける。史強は汪淼を励ますために、「物理学や科学がなくなっても問題はない」と豪語する。
史強もまた常偉思から何も知らされておらず、作戦センターでは“七面鳥”状態だと言う。汪淼は自分を守ろうとする史強を信じ、カウントダウンが刻まれた写真を彼に渡す。
汪淼は研究中の“飛刃(フライング・ブレード)”の量産を可能にする方法を見つける。システムを再起動し、実験を再開させる汪淼。すると視界に再びカウントダウンが出現する。

史強は作戦センターの常偉思に、汪淼のカウントダウンについて報告する。そして申玉菲の目的を探るため、汪淼を《科学境界》に潜入させることを決める。
立て続けに起こる不可解な出来事に混乱し、不安を隠せない汪淼。史強は汪淼の不安を和らげるため、友人に作らせたカウントダウン時計を身につけ、汪淼と同じ時間を刻むようセッティングする。
常偉思は史強にオフィスを与え、捜査官の徐冰冰をチームに配属させる。有能な徐冰冰は史強からの指示を受け、葉文潔と慕星について調査を始める。史強は葉文潔が娘である楊冬の死に対して冷静だったことに違和感を覚えていた。
葉文潔の父親は著名な科学者で、反革命派だった。1960年代、文化大革命のときに彼を追い詰めたのは、妻の紹琳と葉文潔の妹・葉文雪だった。葉文雪は父親を連行させ、紹琳とともに糾弾したのだ。

汪淼は申玉菲に連絡し、“宇宙の揺らぎ”がどのようにして起こったか、そのからくりを冷静に分析してみせる。だがそれは人類には不可能なことだった。
汪淼は《科学境界》に入ることを申玉菲に伝え、改めて農場主の正体を尋ねる。すると申玉菲は「農場主の世界を自分の目で確かめて」と言い、あるウェブサイトのURLを書いた紙を手渡す。
それは仮想現実(VR)ゲーム「三体」のサイトだった。汪淼と史強は常偉思の許可を得て高価なVRデバイスを入手し、ゲームに挑戦する。
「三体」の世界で汪淼が最初に出会ったのは、“周の文王”と名乗る男だった。彼によると今は「乱紀」で、太陽の動きが一定ではなく、日が昇っても1世紀続くか1日で終わるか誰にもわからないという。そして「乱紀」の隙間に気候が温暖な「恒紀」が現れ、「恒紀」が長く続けば文明が発展するという。
人々は全身の水分を放出する“脱水”という機能を使って「乱紀」を乗り越え、「恒紀」が来ると“再水化”して文明を発展させてきたが、これまでに「恒紀」の到来と期間を予測できた者はいなかった。このゲームの目的は、太陽運行の法則を捉えることだった。

周の文王は「三体」の世界における太陽運行の法則を捉えたかに見えたが、彼の予測は外れ、天に3つの飛星が現れる。それは極寒の冬の到来を意味していた。その暗く冷たい夜は48年間続き、文明第137号は崩壊してしまう。
ゲームをログアウトし現実世界に戻ってきた汪淼は、史強とともに「三体」の世界について検証する。徹夜して「三体」のレポートを書き上げた史強の助手・徐冰冰は、細部の体感があまりにリアルなことに違和感を抱き、制作会社に注目する。
常偉思によると「三体」のゲームは以前から存在しており、プレイヤーの大半は科学者か各界のエリートで、中でも《科学境界》の会員が多いという。
常偉思は科学者たちの自殺を食い止めるため、汪淼と史強に《科学境界》と接触した科学者のリストを作らせる。そしてリストに上がった物理学者9人に対して、強制的に保護することを決断する。
記者の慕星は学会で出会った生物学者・潘寒を取材する。潘寒もまた《科学境界》の会員で、環境破壊に対して強い危機感を持っていた。
慕星はある人物から情報提供を受け、常偉思が極秘裏に保護した科学者たちの居場所を突き止める。だが現場で史強に見つかり、連行されて尋問を受けることに。
保護された科学者のうちの一人が超常現象に襲われ、怪我をして病院に運ばれる。本人は「花火が見えた」と説明するが、医師の診断は飛蚊症だった。

史強は身柄を拘束した記者・慕星から、ある動画を入手する。それは常偉思が下した科学者保護に関わる極秘の命令が、事前に外部に漏れていたことを示す映像だった。厳格に管理された状況下での情報漏洩に、常偉思と史強は驚きを隠せない。
史強はその動画を慕星に提供した胡暁希という男を逮捕する。組織の黒幕を聞き出そうとする常偉思に対し、胡暁希は「射撃手と農場主の仮説」を語るのだった。
胡暁希に指示を出して慕星に情報提供させたのは、生物学者の潘寒だった。潘寒は「科学者の自殺を調査する価値はない」と告げ、環境汚染問題を報道するよう慕星に協力を求める。
汪淼と史強は申玉菲のもとを訪ね、自殺した科学者に何が起きたのか聞き出そうとする。申玉菲は10か月前、楊冬が実験を行う前に、その実験結果をマンフィーに届けたことを認める。実験結果を計算したのは誰か、と問う汪淼に、申玉菲は「主は全知全能よ」と答える。そしてマンフィーはその事実を受け入れたからこそ、自殺したのだと語る。
楊冬もまた真実を受け入れたが、彼女は人生を諦めなかった。丁儀と婚約し、転職することを望んだ。申玉菲は彼女のために転職先の研究所を紹介したという。申玉菲自身も、楊冬がなぜ10か月後に死を選んだのか理解できない、と話す。

楊冬の死が問題解決の鍵を握っていると考えた汪淼と史強は、実験後から自殺するまでの彼女の行動を洗い直すことに。徐冰冰は楊冬の婚約者・丁儀から聞き取りを行う。
楊冬は常に物理のことを考え、私生活には無頓着な女性だった。だが研究を手放してからは、生活に変化が見られたという。丁儀と2人で家具店をまわって新生活のための家具を揃え、流行のデザインの服を買い、結婚の準備を進めていた。学術的な話は一切しなくなったが、リラックスしていたという。
実験に失敗し、指導教授だったマンフィーを喪い、申玉菲と会って「物理学が存在しない」ことを確信した彼女は、結婚して普通に暮らす道を選択した。申玉菲に紹介してもらった研究所での新たな仕事にも、熱意を示していた。
だが、仕事のオファーを受けた3日後に楊冬は自殺した。史強はその3日間に何かがあったのではないかと推測し、楊冬の母・葉文潔に注目する。
汪淼は葉文潔に頼まれ、彼女の出身校である清華大学でナノ物理学について講義を行う。講義の後、葉文潔は汪淼の質問にこたえ、自身の特殊な経歴について語り始める。
1960年代後半。父を亡くした葉文潔は、大興安嶺の営林場で働いていた。そこで兵団機関紙「大生産報」の記者・白沐霖と出会い、彼からレイチェル・カーソンの著書「沈黙の春」を借りて読む。
ある日、葉文潔は白沐霖から、“レーダー峰”と呼ばれる山の上の軍事基地について聞かされる。基地の周辺は立入禁止地区になっており、巨大なパラボラアンテナが出現すると動物が情緒不安定になり、人間も体調が悪くなるという。
白沐霖は開発による自然破壊に危機感を覚え、中央政府に手紙を書くことを決める。葉文潔はうまくペンを持てない彼の代わりに、手紙を代筆する。

第1話~第10話の感想

ハードなSFについていけるか不安でしたが、杞憂でした。ぞくぞくするほど面白かったです。

原作とは構成が少し違っているみたいですね。原作は文化大革命期(葉文潔の視点)から始まるようです。現代から始まるほうが物語に入り込みやすいという判断かもしれません。

しかし序盤の第5話くらいまでは、かなりのスローペースでちょっとジリジリしました。2つの組織(作戦センター、科学境界)の目的がいつまでたっても明かされず、「この人たちはいったい何をしてるんだろう?」という疑問を抱えたまま、科学者たちの謎の死という事件を追うことになるので、少しストレスが溜まりました。

作戦センターの目的くらいは序盤で明かされると思ってたんですが…まったく謎のままでしたね。それにどうやら指揮官の常偉思将軍も、敵の正体がわからないまま戦っているようでした。

でも、第1話で常偉思は「まもなく全人類が全てを知ることになる」と汪淼に話していたので、地球外生命であることはわかっているのかも。

中盤あたりから反発し合っていた汪淼と史強がバディのようになり、一気に面白くなっていきました。史強の部下で10人分の働きをする徐冰冰も加わり、3人が楊冬の死の謎に迫るというミステリアスな展開が秀逸でした。

私がいちばん興味深かったのは、「射撃手と農場主の仮説」と、VRゲーム「三体」の世界。考えれば考えるほど恐ろしく、同時に面白くもある。きっとこのあとのストーリーで重要な要素を担うのだと思います。

続きの第11話~第20話は、来月11月4日(土)、5日(日)にWOWOWで放送されます。ついに葉文潔の過去が明かされるのでしょうか。楽しみです。

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