WOWOW連続ドラマW「シャドウワーク」についてまとめました。
心に傷を抱える女性たちが選択した“究極のシスターフッド”を描いたヒューマンミステリー。DV(家庭内暴力)という、なかなか表に出にくい問題に真正面から向き合った作品です。
“シャドウワーク”とは、報酬は伴わないけれど社会を支える不可欠な労働のこと。このドラマでは、DV被害者たちが行う“秘密の行動”に重ねられています。
主演は多部未華子さん。WOWOWの連続ドラマでは初主演となり、これまでにない難しい役どころに挑戦しています。
※この記事は随時更新中です。各話視聴後、加筆修正します
Contents
作品概要
- 放送局:WOWOW
- 放送時間:2025年11月23日(日)22:00~ほか
- 原作:佐野広実『シャドウワーク』
- 脚本:関久代
- 監督:山田篤宏
- 音楽:渡邊崇
あらすじ
紀子(多部未華子)は、夫からの数年にもわたる日常的な暴力により自己喪失し、暴力を受ける自分が悪いのだと考えるまでになっている主婦。そんな紀子は、ある日、命からがら逃げ出した先の病院である人物と出会い、江ノ島にある一軒の家へと導かれることに。そこで自分と同じ境遇にあるさまざまな女性たちと共同生活を送るうち、本来の自分と豊かな生活を取り戻していく。だが、その家に敷かれた秘密のルールに直面し、どのように自ら決断すべきか葛藤する――。
WOWOW公式サイトより
予告動画
原作について
このドラマの原作は、佐野広実さんの小説『シャドウワーク』(2022年刊行)です。
DV被害に苦しむ女性たちの生き直しをテーマにした社会派ミステリーです。
主人公の宮内紀子は夫の暴力から逃げ出し、江ノ島近くの秘密のシェルターに身を寄せます。一方で、館山の海岸では女性の溺死体が発見され、刑事の北川薫が捜査に乗り出します。
紀子と薫という2人の女性の物語が交錯し、暴力の連鎖を断ち切るために彼女たちが迫られる「究極の選択」が物語の核心となります。
暴力の現実とそこから逃れようとする人々の葛藤を鋭く問いかける作品であり、重いテーマを扱いながらも、人間の強さや連帯の力を感じさせる一冊です。
登場人物(キャスト)一覧
シェアハウス
宮内紀子(多部未華子)
30代の主婦。夫の清明から長年暴力を受け、DV被害者のシェルターとなっているシェアハウスに入居する。清明への恐怖を抱えながらも、シェアハウスでの生活で本来の自分を取り戻していく。
志村昭江(寺島しのぶ)
DV被害者のシェルターであるシェアハウスを運営し、この家の“ルール”を司る女性。住人たちが働くパン屋も経営している。自身もDV被害を受けた過去があり、共同運営者の路子とはシェルターで出会っている。
間宮路子(石田ひかり)
昭江とともにシェアハウスを立ち上げた共同運営者。看護師として勤める病院で紀子と出会い、シェアハウスを紹介した。面倒見がよく、住人たちからも慕われる存在。
奈美(トリンドル玲奈)
シェアハウスの住人。一番の古株で、世話好きのしっかり者。紀子をサポートする。
洋子(上原実矩)
シェアハウスの住人。最年少だが奈美の次に入居歴が長い。ハキハキとした性格。
雅代(須藤理彩)
シェアハウスの住人。最年長だが、一番の新入り。まわりの空気を読むムードメーカー。
警察
北川薫(桜井ユキ)
館山南署刑事課に所属する警部補。かつては県警本部で勤務していたが、警察庁のエリート刑事である夫・晋一からのDV被害を告発したことで、地方署への異動を余儀なくされた。溺死体として発見された女性の過去を追う中で、彼女がDVの被害者であったことを突き止め、看護師・間宮路子との接点に行き着く。
荒木悠真(川西拓実)
館山南署刑事課所属の若手刑事。薫のバディ。マイペースで頼りないが、純粋で思いやりのある人物。
北川晋一(竹財輝之助)
薫の夫。警察庁刑事局捜査第二課に所属するエリートで、父親は元刑事局長。薫に暴力を振るい、支配的に振る舞う。自分を告訴した薫に報いを受けさせるべく、警察内部の立場を利用し、組織ぐるみでその動きを封じ込めようと卑劣な行動に出る。
斉藤義久(宮崎吐夢)
館山南署刑事課署長。薫の上司。表にはあまり出さないが、苦境にある薫を気遣い、見守っている。
そのほか
清明(森岡龍)
紀子の夫。気に入らない事がある度に、気絶するまで紀子に暴力を振るうが、冷静さを取り戻すと紀子にすがって謝る。典型的なDV夫。
西山千栄子(街田しおん)
シェアハウスの住人の法的サポートをする弁護士。この家の“ルール”も理解し、協力する。
今井美佳子
館山の海岸で溺死体として発見された女性。自殺と判断されたが、調査の過程で彼女が過去に夫から深刻なDV被害を受け、保護施設に入所していたことが明らかになる。また、現在の同居人である松原からも暴力を受けていた。
松原幸次(髙﨑俊吾)
今井美佳子の同居人。美佳子に暴力を振るっていた。美佳子の遺体を引き取った後、心不全で死亡する。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
DV被害に苦しむ宮内紀子(多部未華子)は看護師の間宮路子(石田ひかり)に導かれ、江ノ島近くのシェルターに辿り着く。そこは志村昭江(寺島しのぶ)が運営する秘密の共同生活施設だった。
紀子は奈美(トリンドル玲奈)、雅代(須藤理彩)、洋子(上原実矩)ら居住者と出会い、彼女たちの温かい言葉に支えられ、ここで生き直す決意を固める。施設には独自のルールがあり、家事の分担はすべて“持ち回り”で、平日は昭江が経営するパン屋で働き、夜はゲームへの参加が義務づけられていた。
一方、館山の海岸では女性の腐乱死体が発見され、刑事の北川薫(桜井ユキ)と新人刑事荒木悠真(川西拓実)が身元調査にあたる。遺体は美容整形のカルテから今井美佳子と判明し、彼女が過去に激しいDVを受けていた事実が浮かび上がる。薫は自殺と判断する上層部に反発し、美佳子の同居人である松原幸次(髙﨑俊吾)を追及するが、警察内部の圧力に阻まれる。その後、松原は心不全で死亡し、事件性はないとされるが、薫は納得できず独自に調査を続ける。
美佳子の過去を辿る中で、彼女がかつて夫から暴力を受け、一時保護施設に入所していたことが判明する。さらに、その際に担当していた看護師が間宮路子であったことが明らかになる。
薫の携帯には夫・晋一(竹財輝之助)からの着信が積み重なり、彼女自身もまた夫の支配に苦しんでいることが示される。
紀子は夫・清明(森岡龍)から受けた暴力の記憶に苦しみ続けていたが、奈美、洋子、雅代と共にパン屋で働くうちに少しずつ心を開き、本来の自分を取り戻し始める。
シェアハウスでは、昭江が弁護士・西山千栄子(街田しおん)を紹介し、離婚調停を進めるよう支援する。紀子は夫が離婚を認めないだろうと不安を抱くが、昭江は「ここにいる間に決着がつくから」と言う。
昭江は自分と路子もかつてDVの被害者だったこと、シェルターで出会ったことを打ち明ける。そして「一生に一度だけ他人を押しのけてもいい、と思うことにした」と語り、自らも25年前にその「一度」を使ったと告白する。
一方、刑事の北川薫は、溺死体で発見された今井美佳子の遺骨を寺に預け、引き取り手を探す。同僚の荒木は、薫が警察庁捜査二課のエリートである夫・晋一をDVで訴えたため、警察内部で疎外されていることを知り、複雑な思いを抱く。
晋一は薫の居場所を突き止めて押しかけ、執拗に支配しようとし、さらに依頼した弁護士を通じてDVを否定し和解を迫るが、薫は毅然として拒絶する。
薫は今井美佳子の担当看護師だった間宮路子と面会するが、路子は「退院後は会っていない」と答える。しかし通話履歴から、美佳子が退院後も路子と連絡を取っていたことが判明し、薫は彼女に疑念を抱く。その直後、薫は路上で何者かに襲撃され、命の危険に晒される。
シェアハウスでは、紀子が仲間たちとトランプやクイズに続き「思考実験」に挑む。昭江は「生きるためにやっている」と語り、ゲームが生存の訓練であることを示す。
深夜、紀子は廊下で倒れている昭江を発見し、彼女の部屋から救急箱を取りに行くが、その際に夫・清明を含む複数の男性の情報が記されたファイルを目にし、衝撃を受ける。
薫は何者かに襲撃され、全治3か月の重傷を負う。夫・晋一の関与を疑う薫だったが、当日晋一にはアリバイがあり、実行犯は別にいると考えざるを得なかった。さらに署長の斉藤(宮崎吐夢)からは、「復帰後は刑事を辞めて内勤に回れ」と告げられてしまう。
一方、シェアハウスで暮らす紀子は、昭江と路子が「新潟の件」について密談しているのを耳にし、施設が秘密裏に犯罪計画を進めていることを察知する。路子は紀子をお茶に誘い、「新潟に行くかどうかはあなたが決めていい」と選択を委ねる。
恐ろしくなった紀子は一度は家を抜け出そうとするが、夫・清明の幻影に怯え、結局戻ってしまう。そしてついに仲間たちと共に新潟へ赴き、町村信三(小宮孝泰)のマンションを訪ねる。
路子は弁護士を、紀子は調査員を装い、町村に示談交渉を持ちかける。紀子に与えられた役割は、町村の飲み物に睡眠薬を混ぜることだった。やがて町村が意識を失うと、雅代と洋子が加わり、路子の指示で注射器を用いて体内に空気を注入し、町村を死に至らしめる。淡々と進められるその行為を目の当たりにした紀子は、衝撃を受ける。
帰宅後、紀子は高熱を出して寝込み、昭江から「持ち回り」の意味を知らされる。昭江たちは半年から1年に1度の割合で、全国の仲間と連携しながら、「DV夫」を自然死に見せかけて殺害していた。自分たちの夫を殺してもらう代わりに、見知らぬ誰かの夫を殺害するという仕組みだ。
町村は2日後に発見され、心不全として処理される。同じ日に、奈美の夫も別の仲間によって自然死に偽装されて亡くなったことが、弁護士の西山から報告される。奈美は安堵の涙を流し、感謝を伝える。
薫は回復後、再び路子に接触し、かつて今井美佳子が彼女の運営する秘密のシェルターで保護されていたことを知る。薫は施設の見学を希望し、路子は仲間たちに刑事が訪れることを報告する。
薫は美佳子の遺体発見現場を訪れて手を合わせるが、そこに夫・晋一が現れる。
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