「刑事シンクレア シャーウッドの事件」シーズン2(全6話)についてまとめました。
前作の成功を受けて制作された続編で、ノッティンガムシャーの炭鉱村を舞台にした社会派ミステリー。
1984年の炭鉱ストライキが地元住民に残した傷痕や、地方産業の空洞化、若者の犯罪など、イギリス社会が抱える問題に鋭く切り込んだ異色のドラマです。シーズン3の制作も決定しています。
舞台は産業の崩壊により犯罪が激化したノッティンガム。前作よりもフィクション色を強めつつ、地域社会の分断や歴史的な傷をさらに掘り下げています。
前作で事件の捜査にあたった刑事イアンは警察を退職し、若者を救うための「暴力対策チーム」を創設します。ところが、ふたたび殺人事件が起き…。
シーズン1はこちら↓

Contents
作品概要
- 放送局:ミステリーチャンネル
- 放送時間:2025年5月18日(日)16:00から全6話一挙放送
- 製作国:英国(2024年)
- 原題:Sherwood
- 脚本:ジェームズ・グラハム
- 監督:ルイス・アーノルド ほか
あらすじ
イギリスのノッティンガムで、30年ぶりに新たな炭鉱の建設計画が持ち上がる。地元住民は、かつて政府が炭鉱の閉鎖を強行し、大混乱を招いたことを忘れてはいない。当時の悲劇が繰り返されることを不安視する声と、炭鉱建設による産業の活性化を望む声が真っ向から衝突する。一方、警察を退職したイアンは、暴力対策チーム、通称VITを創設する。そんな中、地元の青年、ニッキー・ブランソンが銃殺される事件が発生。
ミステリーチャンネル公式サイトより
予告動画
登場人物(キャスト)一覧
警察
イアン・シンクレア(デヴィッド・モリッシー)
元警察官。シーズン1の事件後に妻ヘレンと離婚し、警察への不信感から退職を決意。外側から変えようと、暴力対策チーム(VIT)を立ち上げ、若者たちの犯罪を防ごうとする。ギャングによる報復殺人を止めるため、一時的に警察官に復帰することになる。
ハリー・サマーズ(マイケル・バログン)
ノッティンガムシャー警察の刑事。イアンが退職した後、後任として警視正に就任した。12年前の事件で恋人のクロエを失い、夜驚症に悩まされるなど、今も葛藤を抱えている。殺人事件の捜査にあたり、ボトムリー家の3人を海沿いの家に避難させる。
マーカス・クラーク(ジョーデン・マイリー)
ノッティンガムシャー警察の刑事。サマーズの部下。
スパロウ家
ミッキー・スパロウ(フィリップ・ジャクソン)
スパロウ家の主。集団を嫌い、家族で射撃場とタクシー会社を営んでいる。麻薬商売からは手を引いたものの、「犯罪一家」として住民から敬遠され、警察からも目をつけられている。妻ダフネへの愛情は深いが、彼女の正体については知らない。
ダフネ・スパロウ(ロレイン・アシュボーン)
ミッキーの妻。警察を毛嫌いしている。シーズン1で、1980年代に村に潜入した極秘部隊・特別デモ捜査班(SDS)のスパイ警官だったことが判明した。家族の中で唯一まだ罪を犯していない次男ロナンを守るために、ブランソン家の復讐に手を貸してしまう。
ローリー・スパロウ(ペリー・フィッツパトリック)
スパロウ家の長男。自分が稼いで家族を養いたいと思っており、金を稼ぐ方法を模索している。ダフネの娘レイチェルの存在を自分だけが知らなかったことや、家族が警察に協力すると決めたことに腹を立て、暴走する。
ロナン・スパロウ(ビル・ジョーンズ)
スパロウ家の次男。母ダフネとイアンの会話を盗み聞きし、ダフネの秘密を知ってしまう。異父姉レイチェルと会っていたときに事件に巻き込まれ、ニッキーが射殺される現場を目撃する。
ブランソン家
ニッキー・ブランソン(サム・ブキャナン)
ギャング一家の息子。自分たちの縄張りに踏み込んできたライアンと揉めた末に、射殺されてしまう。
アン・ブランソン(モニカ・ドラン)
ニッキーの母。狡猾で非情。息子を殺したライアンの家族に復讐することを決め、過去に因縁のあるスパロウ家を脅して協力させようとする。
ロイ・ブランソン(スティーブン・ディレイン)
ニッキーの父。妻のアンとともに復讐計画を企てる。警察にいる“情報提供者”から情報を得て、姿をくらましたボトムリー家を追う。
カイア・ブランソン(コナー・ディーン)
ロイの甥。復讐に手を貸すため、ロイたちと合流する。12年前の事件にも関わっている。
ボトムリー家
パム・ボトムリー(シャーリーン・ホワイト)
ライアンの継母。夫の死後、夫の連れ子だったライアンとステフィを育てた。息子のライアンが非行に走ったことに対して責任を感じている。ライアンが事件を起こした後、警察の指示で海沿いの家に避難する。
デニス・ボトムリー(デヴィッド・ヘアウッド)
パムの兄。失職して一時は荒れていたが、ライアンが非行に走ったことでパムとステフィを支えようと決意。事件後は危険を避けるため、パム、ステフィとともに海沿いの家に避難する。
ライアン・ボトムリー(オリバー・ハンティンドン)
パムの亡き夫の連れ子。非行に走り、ジョーダンらとつるんで麻薬商売に手を出している。スケート場でニッキーを射殺し、逮捕される。妹のステフィを誰よりも大切に思っている。
ステフィ・ボトムリー(ベサニー・アッシャー)
パムの亡き夫の連れ子。ライアンの妹。パム、デニスとともに海沿いの家に避難するが、新たな事件に巻き込まれる。
ウォーターズ家
リサ・ウォーターズ(Ria Zmitrowicz)
ノッティンガムの新しい州長官。イアンの友人。配偶者のサンディと娘のエラと3人でジュリーの家の近くに住んでいる。炭鉱開発計画に反対していることから、嫌がらせや脅迫を受ける。ある日、匿名でスパイに関する資料が送られてくる。
サンディ・ウォーターズ(エイズリング・ロフタス)
リサの配偶者で、議員。ステフィのソーシャルワーカーもしている。
ウォーナー家
フランクリン・ウォーナー(ロバート・リンゼイ)
実業家。ノッティンガムに再び活気を取り戻すため、新たな炭鉱の建設計画を推し進めようとする。炭鉱計画に反対している州長官のリサと対立する。
サム・ウォーナー(ロバート・エムズ)
フランクリンの長男で、跡取り。炭鉱の建設計画を推進しているが、何かと口をはさんでくる父親を持て余している。
そのほか
レイチェル・クロスリー(クリスティン・ボトムリー)
ダフネの娘。生まれてすぐに養子に出され、養父母のもとで育った。ラジオ局に勤務し、婚約者と暮らしている。スケート場でロナンと会っているときにライアンに絡まれ、助けようとしたニッキーが目の前で殺されてしまい、パニックになって逃げ出してしまう。
ジョーダン・マガシ(Tyrese Eaton-Dyce)
ライアンの犯罪グループの仲間。獄中のライアンからステフィの世話を頼まれ、仲間とともにボトムリー家に拠点を移す。
ジュリー・ジャクソン(レスリー・マンヴィル)
シーズン1で最愛の夫ギャリーを殺された女性。ダフネが元スパイ警官であることを突き止め、イアンとその秘密を共有している。このまま村に住み続けることに疑問を抱き始め、家を売りに出す。
キャシー・ラウリー(クレア・ラッシュブルック)
ジュリーの妹。シーズン1の事件の後、夫のフレッドと一緒にピーク地方に引っ越した。ジュリーとは長く疎遠になっていたが、シーズン1で関係を修復し、現在はたまに連絡を取り合っている。
スコット・ラウリー(アダム・ヒューギル)
キャシーとフレッドの息子。3歳の時に両親が離婚し、揉めた末に父親であるフレッドに引き取られた。愛情に飢え、怒りをため込んだ末に殺人事件を犯し、現在は服役中。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
ノッティンガムで30年ぶりに炭鉱開発計画が持ち上がる。計画を推進するのは実業家のフランクリン・ウォーナーとサム・ウォーナー親子だった。新たに州長官に就任したリサ・ウォーターズは計画に強く反対し、2人と対立する。
イアンは妻ヘレンと離婚し、警察を退職して暴力対策チーム(VIT)を立ち上げる。社会福祉サービスと連携を取って犯罪の連鎖を断ち切る仕組みを作り、無防備な子どもたちを救うのが目的だった。
スパロウ家の次男ロナンは、母ダフネとイアンの会話を盗み聞きし、ダフネに秘密の過去があることを知ってしまう。家族への不信感を募らせたロナンは、異父姉レイチェルの存在を知って彼女をスケート場に呼び出す。
ボトムリー家の長男ライアンは、スケート場でたまたま会ったレイチェルとロナンに麻薬を売りつけようとする。だがギャング一家の息子ニッキー・ブランソンに邪魔をされ、衝動的に彼を射殺してしまう。パニックになったレイチェルはその場から逃げ出し、ロナンは置き去りにされる。
ノッティンガムシャー警察のハリー・サマーズ警視正は、事件の目撃者であるロナンがスパロウ家の次男だと知り、過去の抗争が再燃するのではないかと懸念する。だがスパロウ家は警察の介入を頑なに拒む。
ライアンは自ら警察に出頭して逮捕される。ライアンの継母パムは、兄デニスに支えられながら、ライアンの妹で障害のある娘ステフィと暮らしていたが、ライアンがニッキーを殺したことでブランソン家に命を狙われることになる。サマーズはパムとデニス、ステフィの3人を人里離れた海沿いの家に避難させる。
スパロウ家には、ニッキーの父ロイと母アンが訪ねてくる。2人は警察にいる“情報提供者”からの情報で、ロナンが事件現場にいたことや、ライアンから彼の家族の写真を見せられたことを知っていた。
復讐のためにライアンの家族を葬りたい2人は、ロナンに協力を求める。
ブランソン夫妻は警察に保護されているライアンの家族を見つけ出すため、ロナンに彼らを識別させようとする。息子を守りたいダフネはロナンの携帯を使ってレイチェルから住所を聞き出し、彼女の家に押しかける。
レイチェルが自分の娘であることを知ったダフネは激しく動揺するが、ロナンの代わりに協力してほしいと彼女を説得する。
イアンはジュリーの家を訪ね、「今度飲みにいかないか」と誘う。ジュリーの妹キャシーはノッティンガムを離れ、ジュリー自身も夫を失って一人になった今、村に居続けることに疑問を抱き始めていた。
サマーズはボトムリー家が避難する海沿いの家を訪ね、過去の事件で恋人を失ったことをデニスに打ち明ける。デニスと酒を飲んで酔いつぶれたサマーズは、そのまま彼らの家に泊まり、翌朝帰宅する。
ダフネはレイチェルを連れてブランソン夫妻と合流し、彼らが警察の“情報提供者”から聞き出した海沿いの家に向かう。途中のパブでボトムリー一家を見つけたダフネは「今すぐ逃げて」と打ち込んだ使い捨て携帯をパムの上着のポケットに滑り込ませる。
しかし充電が切れたためパムとデニスは携帯のメッセージを見ることができず、不審に思ったパムはサマーズに知らせようとするが、電話に出た部下のクラークがもみ消してしまう。ブランソン夫妻に情報を渡していたのはクラークだった。
ロイは甥のカイアと合流し、海沿いの家に侵入してパムとデニスを射殺する。ブランソン夫妻とダフネとレイチェルが立ち去った後、ステフィは背後からカイアを襲い、刺殺する。
ボトムリー兄妹とカイアの遺体が発見される。「報復殺人」の連鎖を懸念した警察は、退職したイアンに“審査担当官”の権限を与えて一時的に復帰させる。
イアンとサマーズはブランソン夫妻を聴取するが、2人は犯行を否定。カイアが殺されたことをその場で知らされると、アンは「カイアが暴走してボトムリー兄妹を殺した」と主張する。
警察に保護されたステフィは、刑務所にいるライアンと面会し、カイアを殺したことを打ち明ける。ライアンはステフィを守るために仲間のジョーダンに連絡し、活動拠点をパムの家に移してステフィの面倒を見るよう命じる。
イアンはジュリーと飲みに行くが、彼女の夫を殺したスコット・ラウリーを更生させたいと言ってしまい、ジュリーを怒らせてしまう。
州長官のリサのもとに、スパイに関する資料が匿名で届く。かつて政府が村に送り込んだ覆面捜査官たちとは別に、「ウェストミンスター橋」というコードネームを持つ“ボス”が存在していたというのだ。
疑われているのは、炭鉱計画を推し進める実業家のフランクリン・ウォーナーだった。リサに問い詰められたフランクリンは、「この件は他言無用でお願いしたい」と告げる。
サマーズは海沿いの家の近くのパブで使用されたクレジットカードから、レイチェルにたどり着く。レイチェルは事件への関与を否定するが、婚約者に「警察に話すべきだ」と諭される。
サマーズはボトムリー兄妹が殺された前の日に、酔いつぶれて彼らの家に泊まったことを部下のクラークに話す。クラークも彼らの通報を無視したことを明かし、お互いの秘密を守ることを約束する。
ダフネは家族にレイチェルのことを打ち明ける。ミッキーはダフネが彼女を産んだことを知っていたが、何も知らされていなかったローリーは自分だけが蚊帳の外だと激怒する。
家族が危険にさらされることを恐れたダフネは、ブランソン夫妻を投獄させるため警察に密告することを選ぶ。だが殺害現場を目撃していないことから、逮捕は難しいとイアンは言う。
クラークからの情報でスパロウ家の裏切りを知ったロイとアンは、報復を決意する。
ボトムリー兄妹殺害の証拠をつかむため、イアンはダフネに盗聴器をつけてアンを呼び出し、自白を録音する作戦を提案する。だが内通者の妨害により計画は失敗、ダフネが警察に協力したことをアンに知られてしまう。
リサは嫌がらせや殺人予告を受け、イアンに相談する。フランクリンとサムは市庁舎を訪れ、リサに会う。フランクリンは過去に諜報活動を行い、炭鉱で反ストライキを先導していたことを認めるが、公にすれば名誉棄損で訴えるとリサを脅す。
ライアンは刑務所内でスコット・ラウリーに接触し、彼がシャーウッドの森に隠した大金のありかを聞き出すことに成功。仲間のジョーダンたちに金を掘り起こさせ、それを元手に刑務所内で麻薬の密売を始めようと画策する。
ローリーは警察への協力を拒み、ダフネたち家族とは別行動を取る。パムの家に踏み込んだローリーは、ジョーダンに麻薬取引を持ち掛け、彼らと手を組む。
ジョーダンたちはローリーから仕入れた麻薬を古本に染みこませ、刑務所内に持ち込もうとする。ステフィはジョーダンとともにリサの家を訪ね、刑務所の図書室に古本を寄付したいと申し出る。2人が帰った後、家の中で倒れているリサをサンディが発見する。
イアンは警察に復帰したことで、「暴力対策チーム」としての信頼を失ってしまう。ジュリーの家を訪ねるが、彼女はすでに村を去り、家は売却されていた。
リサは一命をとりとめるが、意識不明の重体となる。彼女が盛られたのは“スパイス”と呼ばれるストリードドラッグだった。
警察は会見を開き、リサの件と一連の殺人事件は関連がないと主張する。サマーズの代わりに会見に出席したイアンは、警察が制御を失っていることを認めたうえで、勇気を持って情報提供してほしいと呼びかける。
イアンは市庁舎のリサのデスクにあった匿名の資料を見て、フランクリンがリサの口を封じるために毒を盛ったのではないかと疑う。ダフネはフランクリンがスパイであることを認めるが、資料を送ったのは自分ではないと言う。
聴取を受けたフランクリンは、市庁舎でリサと会ったことも、諜報活動について彼女と話したこともないと主張し、事件への関与を否定する。
ダフネはレイチェルに会いに行き、父親はフランクリンだと打ち明ける。そしてレイチェルを手放した理由を、「昔の自分を思い出すことに耐えられなかった」と語る。
レイチェルは、ロイがボトムリー兄妹を殺害した直後にタバコを吸い、草むらに捨てていたことを思い出す。そのタバコにはパムの血が付着していた。サマーズはブランソン夫妻を逮捕するが、アンは現場にいた証拠がなく、すぐに釈放されてしまう。
ダフネは夫ミッキーに過去の秘密を打ち明ける。ミッキーは「暗い過去を抱えていることはわかっていた」と言い、ダフネの過去を受け入れる。翌日、ダフネが外出している間に、ミッキーは自宅でアンに射殺されてしまう。
ミッキーを殺害され、悲しみに暮れるスパロウ家。ローリーは復讐に燃え、逃亡したアンを捜し出そうと情報集めに奔走する。
イアンとサマーズはロイを説得してアンの逮捕に協力させようとするが、彼は応じず、逆にサマーズの失態を指摘する。そして12年前に死んだクロエがカイアと愛し合っていたことを明かす。
サマーズはクラークが内通者だと気づき、彼を逮捕する。クラークは悔いる様子も見せず、ブランソンに大学の学費を援助してもらったと言い、「彼らのおかげでここにいる」と豪語する。
ステフィの証言により、リサの毒殺未遂事件の犯人はジョーダンだと発覚する。ジョーダンの兄は終身刑で服役中だったが、精神を病んで命を落としていた。リサは刑務所の資金削減が実施された時の議員だった。刑務所の図書室への麻薬密輸計画も露見し、ライアンはステフィから離れた場所へ移送されることとなる。
ジュリーはノッティンガムシャーに戻り、イアンと再会する。「何もかもうまくいかない」と嘆くイアンに、「1人で背負わなくていい」と励ますジュリー。愛する夫を亡くしたダフネは、ジュリーに助言を求める。
ローリーはアンの情報を手に入れ、ひとりで湿地帯へ向かう。それを知ったダフネはレイチェルとともに先回りし、アンと対峙する。
アンを撃つことができず、逃がそうとするダフネだったが、アンはダフネを殺そうとして池に落ちてしまう。ダフネとレイチェルは目の前で溺れる彼女を助けず、見殺しにする。
ステフィはスコットの金を森の中に埋め、サンディが手配した新居に移る。回復したリサは仕事に復帰し、未来への希望を模索する。
感想(ネタバレ有)
実際の事件をもとに社会的分断を描いたシーズン1が高く評価され、それを受けて制作されたシーズン2。
舞台も主要キャストも同じでストーリー的には「続編」なのですが、フィクション要素が大幅に増えたため、作品の印象はかなり変わりました。それを良しとするかどうかで評価が分かれそうです。
社会的テーマの深化
シーズン1では炭鉱ストライキの影響を中心に描かれましたが、シーズン2ではさらに広範な社会問題に踏み込み、英国社会の構造的な問題を深く掘り下げています。
このドラマの脚本家ジェームズ・グラハムは、労働者階級の声を届けることを目的としており、シーズン2ではこの問題にも焦点が当てられています。
警察のスパイ活動
シーズン1で、政府が労働者の動向を監視するために警察のスパイを送り込んでいたことがわかりました。シーズン2では、その秘密を抱えるダフネの苦悩に加え、新たな人物が“大物スパイ”として浮上。
炭鉱開発問題と絡み合いながら、登場人物たちを巻き込んでいきます。
映像美と演出
今回も、ノッティンガムシャーの風景を生かした映像美が、作品の雰囲気をより重厚なものにしています。特にシャーウッドの森を背景にしたシーンは視覚的にも印象的で、ドラマ全体に静かな緊張感を加えていました。
ミステリー要素が希薄に
殺人事件はあるものの、ギャングの抗争(報復殺人)がメインで、「犯人捜し」や「動機をめぐる謎」はほぼありませんでした。前作で、個人的にもっともシビれた「スパイ捜し」のようなスリルもなく、ミステリーとしての楽しみが希薄になってしまいました。
新キャラクターの扱い
サマーズ警視正、州長官のリサ、ウォーナー親子、レイチェルなど、新たなキャラクターが多数登場しますが、描写が浅く、十分に生かされていない印象でした。
レイチェルに関しては、登場のしかたも行動の選択も疑問符しか浮かばず、なかなか作品に入り込めなかった。
俳優陣はみんな素晴らしいんですけどね…。ブランソン夫妻を演じたスティーブン・ディレインとモニカ・ドランはやばかったです。
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シーズン3があるそうです。個人的には懐疑的になってしまうんですが…。
シーズン1は物語として完結していたし、完成度が高すぎて、これに続編なんて要らないのになぁ…というのが正直な気持ちです。
英国ドラマの記事