北欧ドラマ「刑事ヴィスティング~殺人鬼の足跡~」(全10話)についてまとめました。
元警察官ヨルン・リーエル・ホルストの小説〈ヴィスティング〉シリーズをドラマ化。ノルウェー史上最大の製作費を投じたサスペンス大作。好評を受けてシーズン2も製作されました。IMDbの評価は7.3。
舞台はノルウェー南部の小都市ラルヴィク。ラルヴィク署の刑事ヴィスティングが、仲間や娘のリーネと協力して連続殺人犯を追い詰めていく姿が描かれます。
前半と後半でそれぞれ別の原作が下敷きになっているので、感覚的には第1部(第1話~第5話)、第2部(第6話~第10話)のような構成になっています。
Contents
作品概要
- 放送局:WOWOWプライム
- 放送時間:2022年3月26日(土)・27日(日)15:00~ ※各5話ずつ放送
- 製作国:ノルウェー(2019年)
- 原題:Wisting
- 原作:ヨルン・リーエル・ホルスト
- 企画:トリグヴェ・アリステル・ディーセン/カトリーネ・ヴァーレン・サイネル
- 監督:トリグヴェ・アリステル・ディーセンほか
- 製作総指揮:ヨルン・リーエル・ホルスト/アレクサンデル・エイクほか
あらすじ
オスロ南西部の海辺にある小さな町ラルヴィクの畑でミイラ化した男性の死体が発見される。地元警察の刑事ヴィリアム・ヴィスティングは捜査を開始するが、男性の所持品から20年も前から連続殺人容疑で指名手配中の米国人ゴッドウィンの指紋が見つかる。その情報を得たFBIから捜査官2人、マギーらが町へ派遣される。FBIのDNA鑑定で死体は米国人ピーターと判明。どうやらピーターはゴッドウィンを追っていたようだ。
WOWOW公式サイトより
そしてマギーは、ノルウェーにルーツがあるゴッドウィンは他人に成り済まし、ラルヴィクのどこかに潜伏していると推測。年格好の近い男性を絞り込むと同時に、ゴッドウィンが好むブロンドの若い女性の失踪事件を洗い直すが……。
予告動画
原作について
このドラマの原作は、ノルウェーの小説家ヨルン・リーエル・ホルストの〈ヴィスティング〉シリーズです。
著者はノルウェー警察の元上級調査官。2012年に発表した〈ヴィスティング〉シリーズ8作目『猟犬』で「ガラスの鍵」賞など三冠を受賞。12作目『カタリーナ・コード』は2019年英国ペトローナ賞を受賞しています。
シリーズは10作以上発表されていますが、現在邦訳されているのは『猟犬』『カタリーナ・コード』『鍵穴』『悪意』の4冊のみのようです。今回のドラマのストーリーは、『Hulemannen』と『猟犬』が下敷きになっています。
登場人物(キャスト/吹き替え)
※一部ネタバレを含みます
ラルヴィク署
ヴィリアム・ヴィスティング(スヴェーン・ノルディン/声:井上和彦)
捜査主任。FBI捜査官マギーと協力して連続殺人事件の捜査にあたる。1年前に妻を亡くし、子供たちとの距離感をつかめず悩んでいる。
ニルス・ハンメル(マッツ・オウスダル/声:仲野裕)
ベテラン刑事。ヴィリアムの捜査チームのメンバー。家庭内で問題を抱えており、捜査に集中できずにいる。
ベンジャミン(ラーシュ・バルゲ/声:時永ヨウ)
若手刑事。ヴィリアムの捜査チームのメンバー。連続殺人事件の捜査中、ストーカー被害で相談に来たリネーアの対応にあたるが、証拠がないと捜査できないと告げて追い返してしまう。
トールン・ボルグ(ヒャシュティ・サンダル/声:廣田悠美)
女性刑事。ヴィリアムの捜査チームのメンバー。ヴィリアムが停職処分を受けた後、署長から彼の後任に指名されて張り切るが…。
クリスティーネ(ウルリッケ・ハンセン・ドーヴィゲン/声:今泉葉子)
新しい法務担当。
アンドレア・ヴェッティ(イリーナ・アイツヴォル・トゥイエン/声:山像かおり)
警察署長。ヴィリアムの上司。
FBI
マギー・グリフィン(キャリー=アン・モス/声:塩田朋子)
FBIから派遣された特別捜査官。一度取り逃がした連続殺人犯ゴッドウィンの逮捕に執念を燃やす。ラルヴィク署の刑事たちとの間に温度差を感じ、苛立ちを募らせる。
ジョン・バンサム(リッチー・キャンベル)
FBIから派遣された特別捜査官。ホテルのレストランで偶然リーネと出会い、ヴィリアムの娘と知らずに深い仲になる。
ヴィリアムの家族
リーネ・ヴィスティング(テア・グリーン・ルンドバーグ/声:内藤有海)
ヴィリアムの娘。新聞記者。孤独死した隣人ヴィッゴ・ハンセンの記事を書くため、実家に帰ってくる。1年前に母を亡くし、今も悲しみが癒えていない。
トーマス・ヴィスティング(ヨナス・ストラン・グラヴリ)
ヴィリアムの息子。家族でクリスマスを過ごすためタンザニアから帰国する。
犯罪者
ロバート・ゴッドウィン
指名手配中の連続殺人犯。ミネソタ州出身のノルウェー系アメリカ人。20年前からFBIが追っている人物。
ヴィーダル・ハーグルン(Christoffer Staib)
殺人犯。セシリア誘拐殺人で有罪となり17年服役したが、本人は無罪を主張している。
被害者
ピーター・クラブ
元大学教授。ゴッドウィンに教え子を殺され、復讐のため彼を追ってノルウェーへ来ていた。クリスマスツリー畑でミイラ化した遺体となって発見される。
ヴィッゴ・ハンセン
ヴィリアムの隣人。人付き合いがなく、死後何か月も気付かれずに自宅でミイラ化した状態で発見された。
セシリア・リンデ(ダグニー・バッケル・ヨンセン)
17年前、ジョギング中に誘拐され、12日後に遺体で発見された。
エレン・ロベック(Emilie Beck)
失踪したフランクの姪。ヴィーダル・ハーグルンによる犯行かと思われたが、立証できず未だ未解決となっている。
リネーア・カウパング(テア・ソフィー・ロック・ネス)
19歳の少女。ストーカー被害の相談でラルヴィク署を訪れるも、対応したベンジャミンに追い返される。数か月後、行方不明になる。
そのほか
フランク・ロベック(Gard B. Eidsvold)
ヴィリアムたちの元同僚。姪のエレンが失踪し、人が変わってしまう。セシリアの誘拐事件発生当時ヴィリアムと同じチームで捜査に参加していたが、エレンに関しては立証できず、その後退職した。17年経った今もヴィーダル・ハーグルンを犯人と疑っており、出所した彼を監視する。
フィリップ・ヘンネン(フリチョフ・ソーハイム)
弁護士。17年前のセシリア誘拐事件において、警察による証拠改ざんがあったと指摘。ヴィーダル・ハーグルンの有罪判決は不当だったとテレビ番組で告発する。
ヨアキム(Daniel Frikstad)
新人記者。スクープを狙ってしつこくヴィリアムにつきまとう。
トミー(Mads Sjøgård Pettersen)
リーネの元恋人。覚醒剤所有の前科がある。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
オスロ南西部の町ラルヴィクでミイラ化した男の遺体が見つかり、地元警察の刑事ヴィリアム・ヴィスティングが捜査にあたる。遺体のジャケットにあったパンフレットには、指名手配中のアメリカ人連続殺人犯ロバート・ゴッドウィンの指紋が付いていた。
20年前から彼を追っているFBIは、特別捜査官のマギーとジョンを派遣。地元警察と合同で捜査を行うことに。マギーはゴッドウィンがこの町で誰かになりすまして生きていると確信していた。
遺体は失踪中のアメリカ人で、元大学教授のピーター・クラブと判明する。クラブはゴッドウィンと同じ大学で教え、何年も執念深くゴッドウィンを追っていたという。
クラブの荷物から見つかったメモリーカードには、古い農場や荒れ地の写真が記録されていた。写真に井戸が写っているのを見たマギーは、若い女性の失踪事件をすべて洗い直す必要があると発言する。
ゴッドウィンは主にブロンドの白人女性を標的とし、井戸に遺体を隠すという。ヴィスティングは行方不明中の女性エレン・ロベックの写真をマギーに見せる。エレンは元同僚のフランクの姪だった。
ヴィスティングの娘で新聞記者のリーネは、自宅で孤独死した隣人ヴィッゴ・ハンセンに関する記事を書くため、彼の交友関係を調べ始める。
ヴィリアムたちは、この20年間で起きた若い女性の失踪事件を調べ直すと同時に、ゴッドウィンが成り済ましていると考えられる人物をリストアップする。捜査を進める中で、マギーは常に携帯を気にしているハンメルを怪しむ。
一方、リーネはヴィッゴ・ハンセンの子供時代を知る人物を訪ね、彼の父親が銀行強盗で捕まったことや、そのせいで母親が自殺したことなどを聞く。彼と数人の友人たちは、同級生の間でも浮いた存在だったという。
リーネはヴィッゴがいつも座る椅子ではなく、違う椅子に座って死んでいたことに気付き、他殺を疑い始める。さらに、ヴィッゴは死ぬ直前に「アメリカの指名手配犯」を特集した番組を見ていたことがわかる。
リーネはヴィリアムに他殺の可能性を訴えるが、ヴィリアムは再捜査するほどの証拠とは言えないと一蹴する。父親に避けられていると感じたリーネは不満をぶつける。
元鑑識官フィンによる情報で、写真の井戸がハーガトゥンだと判明。マギーは井戸を調べるが、遺体は見つからなかった。
怪しい行動を取るハンメルは、監禁している女性の監視映像を密かに携帯で確認していた。
ゴッドウィンの犯行パターンに合う行方不明者を洗い出すと12人におり、その中にはフランクの姪エレンも含まれていた。そんな中、セシリアの誘拐殺人で17年服役したヴィダル・ハーグルンが出所する。フランクは彼をエレン殺害の犯人と疑い監視するが、その様子を新聞記者ヨアキムに撮られてしまう。
リーネはヴィッゴが14年前に精神科病院に入っていたことを知る。同じく患者だったイレーネは、ヴィッゴが妄想に取り憑かれており、「幼なじみが急に別人になった」と話していたことを明かす。
ヨアキムにフランクの記事を出すと脅されたヴィリアムは、記事を出さない代わりにツリー畑で見つかった他殺体がピーター・クラブであることを教える。
ハンメルはマギーに対して攻撃的な態度を取り、ヴィリアムに注意される。問い詰められたハンメルは、自宅療養中の妻シセルの面倒を見ていることを明かす。
ヴィリアムたちはゴッドウィンの先祖がいた農場を突き止め、近くの井戸で白骨化した遺体を見つける。
ゴッドウィンの先祖がいた農場の井戸で見つかった骨は、男性のものだった。身元がわかればゴッドウィンが誰に成り済ましているかわかると考えたヴィリアムたちだったが、手がかりは腕の骨折痕のみだった。
リーネはヴィッゴが外国人とともに図書館を訪れ、同級生のオーレ・リンゲやオッド・ヴァルナルらと一緒に写っている写真を見ていたという証言を得る。リーネはオッドの家を訪ねるが、オッドは居留守を使う。
タンザニアから帰国したトーマスは家族の時間を作ろうとするが、仕事を優先するヴィリアムに失望し、家を出ていく。リーネもまたヴィリアムに反発し、偶然知り合ったジョンと一夜を過ごす。翌朝、ジョンがFBI捜査官だと知ったリーネは、彼のバッジの写真を編集長に送る。
ヴィリアムはクリスマスツリー農場に蓋を変えた井戸があることを知り、ピーター・クラブの遺体が木の下に捨てられていたのは石の蓋を開けられなかったためだと推測。井戸の底を調べると、十数体の遺体が沈められていた。
ジョンのバッジの写真が掲載され、事件を嗅ぎつけたマスコミがツリー農場に殺到する。リーネも現場へ向かうが、途中で車が故障し、立ち往生しているところへ犯人が現れる。
リーネの友人シノーヴェは、ピーター・クラブが夏にヴィッゴの家を訪れていたことをリーネに知らせようとするが、連絡が取れない。代わりに話を聞いたヴィリアムは、ようやくヴィッゴとゴッドウィンが繋がっていることに気付く。
リーネの車が乗り捨てられているという報告を受け、ヴィリアムはリーネが事件に巻き込まれたことを確信する。
ツリー農場の井戸から発見された多数の遺体の中には、スウェーデン人の被害者も含まれていた。マギーは容疑者リストにヴィッゴの知人オッド・ヴァルナルの名を発見。さらに、ヴィッゴが「幼なじみが別人になった」という妄想にとらわれ、精神科病院に入院していたことも判明する。
だがオッドの指紋はゴッドウィンと一致せず、本人もリーネとは会っていないと話す。リーネの携帯を調べたハンメルは、ジョンが昨夜リーネと一緒にいたことを知って詰め寄る。激怒したヴィリアムとマギーは、ジョンを捜査から閉め出す。
ヴィッゴと同級生たちをよく知るアンニーの証言で、オーレ・リンゲが子供の頃に腕を折っていたことがわかる。オーレの自宅からはピーター・クラブのパスポートや、スウェーデンのスコーパフォルシの写真が見つかる。ヴィリアムはヘリでスコーパフォルシへ向かう。
その頃、オーレに成り済ました連続殺人犯ゴッドウィンに拉致されたリーネは、自力で車のトランクから脱出し、雪の中に建つ小屋に逃げ込んでいた。ゴッドウィンに見つかり捕まりそうになるも、駆けつけたヴィリアムに助けられるリーネ。マギーはゴッドウィンを撃ち、ヴィリアムが井戸に落とす。
事件が解決し、マギーはアメリカに帰国する。ヴィリアムはクリスマスを一緒に過ごそうとトーマスを引き留めるが、トーマスは「期待するのはもう疲れた」と告げて去っていく。
ヴィリアムはゴッドウィンを捕らえた警察官として、一躍ヒーローになる。しかし出演したテレビ番組で、弁護士のヘンネンからセシリア誘拐殺人事件の証拠改ざんを告発される。
それは17年前にヴィリアムが捜査主任を務めた事件で、連れ去り現場に落ちていた吸い殻からDNAが出たことが決め手となり、ヴィーダル・ハーグルンが有罪判決を受けていた。だがヘンネンは警察が証拠を捏造し、ハーグルンは無実の罪で服役させられたと主張する。
リーネの会社でもヴィリアムを告発する記事を明日の一面で出すことが決まり、リーネはそれを回避しようと公園で起きた殺人事件を取材する。被害者のヨーナス・ラヴネバルグの自宅で犯人とおぼしき人物と遭遇し、負傷しながらも記事を書き上げるリーネだったが、一面を差し替えることはできなかった。
翌朝、ヴィリアムは署長のヴェッティから停職処分を言い渡される。有罪の決め手となった証拠の吸い殻をヘンネンが分析したところ、ハーグルンのDNAが出たのは1本だけで、残りの2本は銘柄が違ったという。ヴェッティは署内の誰かがハーグルンを犯人に仕立て上げるため、故意に吸い殻を置いたと考えていた。
ヴィリアムは17年前の捜査でヴェッティが犯した致命的なミスを指摘し、「あなたのせいでセシリアは死んだ」と非難する。
リネーアは数か月前にストーカー被害の相談をしに署を訪れた際、証拠がないと追い返されたことをブログに書き込もうとするが、母親のハンネに注意される。
警察問題調査局のタリエ・ノールブーが調査のためラルヴィク署にやってくる。ノールブーから容赦ない追及を受けたヴィリアムは、17年前の事件について調べ直そうと、資料を持って海辺のコテージに引きこもる。
ラルヴィク署では、トールンがヴィリアムの後任に指名される。署長のヴェッティに期待されていると知って張り切るトールンだったが、不妊治療中で体調が優れず、捜査に集中できない。
リネーアが行方不明になり、母親のハンネと父親のマグヌスはラルヴィク署を訪れる。トールンの代わりに対応したベンジャミンは、かつてリネーアのストーカー被害を聞き流したことを指摘され、両親に問い詰められる。
公園の殺人事件を追うリーネは、被害者ヨーナスの数少ない友人のひとりだったロクスリュに会いに行き、ヨーナスが以前ラルヴィクの近くに住んでいたことを知る。ラルヴィクで元恋人のトミーと偶然再会したリーネは、実家で一夜を共に過ごす。
ハンメルはヴィリアムを手伝うためコテージを訪れる。ヴィリアムは17年前の捜査で自分がプレッシャーをかけすぎたために捜査員たちを追い込んだのではないかと考え、ハンメルを疑う。怒ったハンメルはコテージを出て行く。
行方不明のリネーアを捜すベンジャミンは、彼女の友達に話を聞きに行き、リネーアがインスタグラムに自殺をほのめかすメッセージを投稿をしていることを知る。写真に写っていたファリス湖を捜索すると、無人のボートが浮かんでいた。
ファリス湖に浮かんでいたボートには、きれいに畳まれたセーターが残されていた。湖の底からはリネーアのものらしき携帯電話が見つかるが、母親のハンネは服を畳む習慣がないリネーアがセーターを畳むのはおかしいと考え、自殺を否定する。
帰宅したヴィリアムはトミーと鉢合わせ、に「二度とリーネに近づくな」と告げて家から追い出す。怒ったリーネはヴィリアムを手伝うをやめ、オスロに帰ってしまう。
ベンジャミンはリネーアが母親との不仲に悩み、カウンセリングを受けていたことを知る。家庭内の問題を指摘されたハンネとマグヌスは警察への不信感をあらわにし、ヴィリアムのコテージを訪れて「娘を捜して欲しい」と助けを求める。
ラルヴィク警察に失望したという両親のコメントが新聞に載り、トールンは署長に問い詰められる。トールンとハンメルは謝罪のためカウパング家を訪れるが、トールンが訪問中に倒れ、救急搬送される。
リーネは公園で殺されたヨーナスの取材を続け、彼の人となりを伝える原稿を書くが、編集長にダメ出しをされて休暇を命じられる。
ヴィリアムはフランクとともにハーグルンを監視するも、彼がリネーアを誘拐した証拠は見つからない。ハーグルンはヴィリアムのコテージを訪れ、17年前にある人物が留置場に面会に来て、一緒に煙草を吸ったと話す。
リネーアの父マグヌスが呼びかけた大捜索が始まる。ヴィリアムは17年前に留置場でハーグルンに煙草を吸わせた人物を突き止めるため、通勤途中のビョルグを呼び止めて2001年の面会者記録があるか確かめて欲しいと頼む。
その日ノールブーの面談を受けたビョルグは、ヴィリアムから接触があったのかと問い詰められ、書類を捜すよう頼まれたことを話してしまう。ノールブーにコテージの資料を押収されたヴィリアムは、署に忍び込んでエレンに関する捜査資料を盗み出す。
エレンの事件で聴取を受けた人物の中に、リーネが担当していた事件の被害者ヨーナス・ラヴネバルグの名前を見つけたヴィリアムは、リーネに協力を求める。エレンが失踪した日、彼女の家の近くで赤い車が目撃されており、ヨーナスは周辺でその車を持っている4人のうちの1人だった。
ヴィリアムとリーネはヨーナスの友人ロクスリュを訪ねるが、彼は何者かに殺害されていた。通報を受けてやってきた警察官は、調査局の指示に従いヴィリアムを連行する。
ベンジャミンとハンメルは、リネーアがモデル事務所に応募するための写真を撮影していたことを知り、写真を撮ったダニー・フロムを疑う。彼はセシリアの元恋人で、17年前の事件の最初の容疑者だった。
勾留されるヴィリアムだったが、弁護士ヘンネンの力を借りて釈放される。そしてビョルグから17年前の面会者記録を受け取り、ハーグルンに煙草を渡した人物を知る。ヴィリアムはねつ造を立証するため、元鑑識のフィンに頼んで吸い殻の入った証拠品袋の指紋を調べさせる。
リーネはヨーナスの元恋人マデレアンに会い、ヨーナスが死ぬ前に彼女に預けていたヴィリアム宛ての包みを受け取る。その中身は監禁中のセシリアを撮影したビデオテープだった。
マデレアンの証言でヨーナスが軍のバンカーを所有していることを知ったヴィリアムとリーネは、現地へ向かう。移動中、リーネから過去の罪を告白されるヴィリアム。元恋人のトミーはリーネが持っていた覚醒剤を自分のものだと言い、彼女の代わりに服役したのだという。その出来事がきっかけでリーネは警察学校に入れず、夢を失ったのだった。
その頃、フロムを監視していたベンジャミンもまた、彼を追跡して昔の軍の基地へと向かっていた。フロムは自殺を図ろうとし、事件には一切関与していないことを明かす。
リーネとヴィリアムがバンカーへ踏み込むと、後からフランクもやってくる。中には目撃証言にあった赤い車が隠されており、車のトランクにはエレンの靴が入っていた。
バンカーの奥で監禁されていたリネーアを見つける3人だったが、フランクは犯人に撃たれ命を落とす。犯人はハーグルンだった。ヴィリアムは逃亡するハーグルンを追跡し、捕まえる。
翌朝、署長のヴェッティが記者会見を開き、リネーアを保護したことを発表。証拠改ざんについては調査局が明らかにすると告げる。
その夜、ヴィリアムのコテージに侵入し、証拠隠滅を図ろうとするヴェッティ。17年前、留置場でハーグルンに煙草を渡したのはヴェッティだった。彼女はその煙草を鑑識に持っていき、ハーグルンが待ち伏せしていた場所に落ちていた吸い殻の一つとすり替えたのだ。
ヴィリアムが証拠品袋から指紋が検出されたことを明かすと、ヴェッティは署のみんなのためにやったと告白し、調査局の追及をかわす方法を一緒に見つけようとヴィリアムに持ちかける。ヴィリアムはその会話を録音していた。
ヴェッティは停職処分となり、ヴィリアムは全ての嫌疑が晴れて復職する。帰宅したリネーアは母親と和解し、自分の体験をブログに綴る。バンカーの近くでは、エレンのものと思われる歯が見つかる。
感想(ネタバレ有)
原作の小説が評価を受けている作品だけあって、ストーリー自体はとても面白かったです。
ただやはり映像化の難点と言いますか、主要人物以外の多くの登場人物(事件関係者)は、背景や心情がよくわからないまま、さっと現れては消えていく…という感じで。ほとんど印象に残らないので、覚えるのが大変でした。
小説だとそのあたりも地の文で説明されているのだろうけど、映像だと難しい。わたしはどちらかというと登場人物の気持ちに寄り添って物語を楽しみたいタイプなので、長編小説のドラマ化には毎回すこし物足りなさを感じてしまいます。
今回のドラマは、原作のところでも触れましたが、前半が『Hulemannen』、後半が『Jakthundene(猟犬)』を下敷きにしたストーリーになっているようです。個人的には、前半と後半でまったく別のストーリーが展開されるというのがちょっと違和感ありましたね。
フランクやハーグルンなど、一部の人物が両方のストーリーを繋げる架け橋のような存在にはなっていたけど、署長のヴェッティやトールンは前半と後半で別人のよう。何の伏線もなかったので、後半の展開には正直戸惑いました。
事件が解決しても答え合わせが一切ないところも、潔いなぁと思った。どちらの犯人も“モンスター”なので、いちいち犯行の動機を説明する必要はないと思うけど、前半のヴィッゴ・ハンセン(孤独死した隣人)がどういう経緯で殺されたのかとか、後半のヨーナス・ラヴネバルグ(公園で殺された人)がなぜ犯人と繋がってたのかとかね。
ヴィッゴは犯人の正体に気づいて口封じで殺されたんだろうけど、ヨーナスについてはまったく手がかりなし。いったいどういう繋がりで、犯人に赤い車を貸したり、軍のバンカーを貸したりしてたんだろう。バイク盗難の件で脅されていたのか、それとも何か深い縁があったのか。
最終話で撃たれたフランクの最期を一切映さなかったり、主人公のヴィリアムが一瞬の迷いもなく彼を見捨てて犯人を追いかけたのもすごいなーと思った。日本のドラマだったら(良し悪しは別として)一瞬ためらうシーン入れるよね。そういうところも含めて、北欧ドラマの面白さなんだろうと思う。
シーズン2(全4話)は昨年ノルウェーで放送されました。シーズン3(全4話)の製作も決定しています。ヴィリアムの妻イングリの死についても明らかになるのかな? WOWOWで放送されたら続きも見たいと思います。